10畳の部屋は広そうだけど、畳の種類によって同じ10畳でも微妙に広さが異なります。また、ワンルームなのか、リビング・ダイニングが分かれている部屋なのかでも違いがあります。物件情報には部屋の広さは平米数で記載されていることが多いので、10畳の平米数を知っておくと便利です。この記事では畳の種類ごとの10畳の平米数や1Kとワンルームの違いを解説し、部屋をおしゃれにレイアウトするコツやエアコンの必要台数、生活タイプ別のレイアウト実例などをインテリアコーディネーターのMAKOさんに聞いてみました。
畳には中京間、江戸間、本間(京間)、団地間などの種類があり、それぞれ面積・サイズが異なります。使われる地域も違うため、物件情報に「〇畳」と記載されていた場合は、住んでいる地域で使われている畳の種類を不動産業者に確認するといいでしょう。畳の単位は「帖」と表記される場合がありますが、「畳」と広さの違いはありません。
名称 | 10畳のm2数(面積) | 10畳の広さ |
---|---|---|
京間(西日本エリア) | 18.24m2 | 477.5cm×382cm |
中京間(東海エリア) | 16.56m2 | 455cm×364cm |
江戸間(東日本エリア) | 15.49m2 | 440cm×352cm |
団地間(エリアに関係なく多くの団地で採用) | 14.45m2 | 425cm×340cm |
不動産公正取引協議会では、「1畳は1.62m2以上」と全国統一されています。畳数から専有面積を計算する時は、「畳数×1.62m2=部屋の専有面積」となります。逆に専有面積から畳数を計算する場合は、「専有面積÷1.62m2=畳数」です。その場合、10畳の専有面積は「10畳×1.62=16.2m2」でおおよそ4.6m×3.52mが基本です。賃貸の部屋の広さは畳でなく専有面積(〇m2)で記載されていることが多いので、この公式で「この専有面積なら〇畳くらい」と把握することが出来ます。
10畳の専有面積:10畳×1.62=16.2m2(約4.6m×3.52m)
畳の種類や専有面積は分かりましたが、実際の広さ、サイズ感はどのくらいなのでしょうか。10畳の部屋は中京間で455cm×364cmなので、シングルベッド(長さ195cm、横幅100cmが基本)を置いてもまだ十分な余裕があります。ベッドはシングル、セミダブル、ダブルまで置けるので、睡眠を第一に考える人は大きめのベッドにしてもいいでしょう。「ベッドのほか、デスク、ラウンジチェア、キャビネットを置くことができ、空いているスペースにはローテーブルも置けるでしょう。必要なときにはテーブルを移動させ、宅トレ(ヨガなど)のスペースを確保することも可能です」(MAKOさん)。
種類 | 長さ×横幅(cm) |
---|---|
シングル | 約195×100 |
セミダブル | 約195×120 |
ダブル | 約195×140 |
国土交通省の「住生活基本計画における居住面積水準」では一人暮らしに最低限必要な広さが設けられており、25平米以上といわれています。10畳の部屋は、居室以外の風呂や廊下などを含めれば30m2ほどになるので十分な広さです。十分なスペースがあるので所有物が多い人、部屋のレイアウトやインテリアにこだわりたい人、部屋で過ごす時間が長い人、在宅ワークや宅トレをする人などに向いています。
ワンルームと1Kの大きな違いは、キッチンが独立しているかどうかです。ワンルームはキッチンが部屋の中にありますが、1Kは部屋とキッチンの間に仕切り(扉)があり、キッチンが独立しています。自炊をよくする人、生活の場と調理の場を分けたいという人は1Kの間取りがおすすめです。
1Kと反対でキッチンがすぐそばにあるので、飲み物を飲みたい場合も数歩で冷蔵庫を開けることができます。料理をする場合も同様で、生活動線は1Kのときより短くなるため生活しやすいと感じる人もいるでしょう。
キッチンがすぐそばなので調理が見えてしまう、調理後には生ごみなどが出るなど、生活感が出ることがデメリットの一つです。また、キッチン家電は無機質な印象を与えるので、リビングとのインテリアのつなげ方が難しいという点も挙げられます。「その場合、冷蔵庫とダイニングテーブルの間に観葉植物を置くなどの工夫をすると、インテリアとのなじみがよくなります」(MAKOさん)。
「最近はおしゃれな家電も多く出ていますが、それでも無機質な印象があります。また、キッチンは調理をする場なので物が多く生活感が出ます。キッチンが独立していれば、部屋に生活感を持ち込むことなくインテリアのコーディネートが可能です」(MAKOさん)。
1Kはドアで仕切られています。例えば映画を見ているときに飲み物を飲みたい場合は、ドアを開けて冷蔵庫に取りに行くことになります。ワンルームよりワンアクション多くなり、嫌がる人もいるかもしれません。また、キッチンは廊下に面していることが多いので、冬は寒い、夏は暑い可能性があります。これを解消するためヒーターや扇風機などを使用すると、別途光熱費がかかるデメリットがあります。
10畳サイズのエアコンがあれば十分ですが、1Kの場合キッチンまで暖かさや涼しさが届かないこともあります。その場合は調理の際に足元を温めるコンパクトヒーターや、扇風機があるといいでしょう。「賃貸でエアコンの設置位置が自分で決められない場合や既にエアコンが設置されている場合は、エアコンの位置で家具を配置するのではなく、自分の生活導線を優先したほうが生活しやすいです。その場合エアコンに頼らず、縦型の冷温風機などで代用するのも方法の一つです」(MAKOさん)。
10畳の部屋はシングルベッドを置いてもまだ余裕があるので、洋服などの収納に使用するチェストやテレビボードのほか、ベッドの前にリビングテーブルも置けます。また、ダイニングテーブルとダイニングチェアを別に置き、食事する場所とベッド回りの就寝スペースをゾーニングするといいでしょう。「部屋が縦長の場合は壁に沿って平行に家具を配置すると、中央にスペースができて奥行き感がでます。横長の場合には家具を活用して空間を仕切れば、ゾーニング効果が出て生活にメリハリがつきますよ」(MAKOさん)。
10畳ならセミダブルベッドを置いても余裕があります。「仕事が忙しいので部屋ではゆっくり休みたい」という人は、ベッドを大きくして安眠を確保しましょう。例えばホテルのようなインテリアなら、部屋全体が癒やしの空間になるでしょう。また、「ゆったりくつろげる一人用ソファやフロアライト、観葉植物などで癒やし効果をアップさせると安眠効果があります」(MAKOさん)。
仕事スペースとくつろぎスペースをゾーニングし、生活にメリハリをつけると在宅ワークの際も快適です。仕事ゾーンは大きめのデスクに疲れない大きめのデスクチェアを置きます。就寝ゾーンはラグや観葉植物でくつろげる空間を作ります。
居室とリビング・ダイニング・キッチンが分かれているので、居室にはスペースによって好きな大きさのベッドを置きましょう。リビングにはソファやダイニングテーブル、椅子が置けるので、寝るまでの時間はリビング・ダイニングでくつろげます。ソファのほかにビーズクッションなどをいくつか置けば、友達が複数遊びに来ても問題ありません。
「部屋のレイアウトを考えるとき、ダイニングテーブルを冷蔵庫に近い場所に置くなど生活動線が短いことを優先させがちですが、最近は『光の入る場所でご飯を食べたいから、ダイニングテーブルは窓際に置きたい』など、その空間で自分がどう過ごしたいかを優先させる方も多いですね」(MAKOさん)。スペースに余裕がある10畳の部屋に住むのなら、自分のこだわりを優先してレイアウトを考えるのもおすすめです。
床面積が広いので、リビングスペースとダイニングスペース、ベッドスペースとリビングスペースなどゾーニングをして生活や空間にメリハリをつけましょう。ゾーニングにはソファやシェルフなどを活用するほかに、ラグを使うのもおすすめです。「例えばラウンジチェアの下にラグを敷き、隣にフロアスタンドを置けば、ゆったり読書が出来るくつろぎスペースが出来上がります。ドレッサーや姿見の鏡の前にラグを敷けば、仕切りがなくても自然とメイク・フィッティングスペースとして確立されます」(MAKOさん)。
「最近は北欧と和など、家具をミックスさせてレイアウトする方も増えています」(MAKOさん)。家具をミックスするときはテイストを2種類に絞るとレイアウトしやすいといいます。センスに自信がない人は雑誌やSNSなどで好きなテイストの部屋をチェックして、真似するといいでしょう。「センスに自信がない人が他の方の部屋を真似するときは、部屋のサイズや窓の数など自分の部屋に環境が似ている部屋を選ぶこと、徹底的に真似をすることがポイントです。最後に『自分の部屋だからここはこうしよう』と、自分らしさを出してしまうと失敗しがちです。やるなら徹底的に真似するのがおすすめです」(MAKOさん)。
「統一感のある部屋は、同系色のものを空間全体に散らすことで出来上がります。キャラクターや趣味で集めたフィギュアなど、明らかに部屋の中で異素材と感じられるものを置きたいなら、部屋全体ではなく、キャビネットの上などにコーナーを作って1点集中させましょう」(MAKOさん)。部屋全体に置いてしまうと部屋全体の統一感が失われ、おしゃれな部屋にはなりません。
家具だけでなく照明もおしゃれな部屋作りには重要です。「部屋全体を照らすシーリングライト(天井に直接据え付ける照明器具)だけでなく、ラウンジチェアの隣にフロアスタンドを置いたり、キャビネットの上に照明を置いてみると部屋の雰囲気がぐっとおしゃれになります」(MAKOさん)。照明が多いことで付けたり消したりするのが面倒だと思うなら、あらかじめスマートフォンなど手元で操作できるものを選ぶといいでしょう。
「小物の使い方でカッコいい部屋にするなら、背が高く、濃い色味や切れ長の葉の観葉植物を置く、カーテンをブラインドやロールスクリーンにするなどがおすすめです。また、部屋全体の色味を少なくして、深みのある濃い色(ネイビーやブラウン、グリーンなど)を選ぶといいでしょう。アイキャッチとして大きめのポスターやオブジェを置くのもいいですね」(MAKOさん)。
「カッコいい部屋とは対照的に、淡い色の観葉植物や花、柔らかい印象のタイポグラフィや抽象画のポスターなどを置くといいでしょう。また、椅子の上に柔らかいファブリックやファーを置いたり、カーテンに優しい印象のコットンやリネンなどの素材を使うのもいいですね」(MAKOさん)。
10畳の部屋は思ったより自由度が高く、インテリア好きな人はレイアウトのしがいがあるでしょう。わざわざ家具を変えなくても、ファブリックや小物で部屋をカッコよくも可愛くも変化させることは可能です。今回ご紹介したレイアウト実例を参考に、自分が好きなスタイルの部屋をSNSや雑誌などで研究し、あなたの「こうしたい」を実現してみてください。
10畳の専有面積は16.2m2で、約4.6m×3.52m。シングルベッドを置いても十分な余裕がある
広い10畳の部屋をレイアウトするコツは「ゾーニング」すること
キャラものやフィギュアなどはコーナーを作り、1点集中させると部屋に統一感が出る