同棲費用はどのくらいかかる? 経済的にお得? ファイナンシャルプランナーに聞く同棲のメリット

最終更新日 2025年09月01日
同棲費用はどのくらいかかる? 経済的にお得? ファイナンシャルプランナーに聞く同棲のメリット

同棲と一人暮らしでは、どちらが経済的にお得でしょうか。同棲は家賃や水道光熱費の支払いを二人で分担できるなどのメリットが考えられる一方で、意外なデメリットも? 同棲費用のあれこれについて、ファイナンシャルプランナーの歌代将也さんにお聞きしました。

一人暮らしの生活費より、同棲のほうが1人あたり年間約23万円お得!

一人暮らし費用のシミュレーション

まずは一人暮らしにかかる費用をシミュレーションしてみましょう。2024年の「総務省 家計調査 家計収支編」を参考に、勤労者(60歳未満)かつ一人世帯の1カ月間の支出を見てみます。
(※地域差が大きい家賃については後述します)

消費支出(住居等は除く):11万1936円

一人暮らしの主な支出と平均額
食料 4万8204円
外食 1万2370円
光熱・水道 2万2629円
家具・家事用品 5938円
保健医療 8502円
通信費 6401円
交際費 7894円
出典:総務省「家計調査 家計収支編」(2024年)
ッチンで料理をする男性
(画像/PIXTA)

続いて一人暮らしの家賃相場を見てみましょう。東京都の中でも人口の多い世田谷区の場合、一人暮らしで一般的なワンルームの家賃相場は7万2000円、1K/1DKは8万7000円です。

一人暮らしの家賃相場(世田谷区)
ワンルーム 7万2000円
1K/1DK 8万7000円

同棲費用のシミュレーション

続いて、同棲にかかる費用をシミュレーションします。2024年の「総務省 家計調査 家計収支編」を参考に、勤労者(60歳未満)かつ二人世帯の1カ月間の支出を見てみましょう。

消費支出(住居等は除く):18万8668円(一人あたり9万4334円)

同棲の主な支出と平均額 ()内は一人あたりの平均額
食料 8万9936円(4万4968円)
外食 1万5633円 (7816.5円)
光熱・水道 3万9864円 (1万9932円)
家具・家事用品 1万2788円 (6394円)
保健医療 8690円 (4345円)
通信費 1万1780円 (5890円)
交際費 9978円 (4989円)
出典:総務省「家計調査 家計収支編」(2024年)

同棲の消費支出(住居等を除く)は18万8668円ですので、仮に費用を二人で折半した場合は、一人あたり9万4334円となります。一人暮らしの消費支出(住居等を除く)は11万1936円であることから、同棲すると一人あたり月1万7602円お得になる計算です。年間にすると、21万1224円も一人暮らしよりも節約できるといえます。

同棲
(画像/PIXTA)

続いて、同棲の家賃相場を見てみましょう。東京都の中でも人口の多い世田谷区の場合、二人暮らしで一般的な1LDK/2K/2DKの家賃相場は14万円になります。

同棲の家賃相場(世田谷区)()内は一人あたりの金額
1LDK/2K/2DK 14万円(7万円)

ワンルームの家賃相場は7万2000円ですから、同棲せずに一人暮らしのままそれぞれこの額を払っていたら、合計14万4000円です。しかし同棲した場合、1LDK/2K/2DKの家賃相場は14万円で済むため、毎月4000円(一人あたり2000円)の出費を抑えることができます。年間にすると4万8000円(一人あたり2万4000円)の違いが出てきます。

同棲のほうが節約効果は高い

消費支出と家賃相場の差額を合わせると、一人暮らしと同棲では、同棲のほうが一人あたり月1万9602円、年間約23万5000円以上も節約できることがわかります。

一人暮らしと同棲の支出比較
一人暮らし 同棲(一人あたり)
a.消費支出(住居費等を除く) 11万1936円 9万4334円
b.家賃 7万2000円(ワンルーム) 7万円(1LDK/2K/2DK)
a+bの合計 18万3936円 16万4334円

同棲したら得すること

生活費が節約できる

同棲をして得することといえば、やはり生活費が節約できることでしょう。2024年の「総務省 家計調査 家計収支編」のデータをもとに計算してみましょう。

■食費
一人暮らしの食費の月間平均支出は4万8204円、同棲の場合は二人分で8万9936円(一人あたり4万4968円)です。一人あたりで計算すると、その差は3236円で、年間にすると3万8832円の差になります。

■外食費
外食費用の月間平均支出は、一人暮らしが1万2370円、同棲が二人分で1万5633円。つまり同棲の場合、外食は一人あたり7816.5円で、一人暮らしの半分ほどです。

これは一人暮らしをしている人の傾向として、一人分だけの料理を作る手間より外食の手軽さを優先する人が多く、外食費用が高くなっているという事情があると考えられます。また、外食も二人で折半するほうが、一人あたりの負担額が少なく済むケースが多いこともあるでしょう。

カップルが食事する様子
(画像/PIXTA)

■光熱・水道費
光熱・水道費の月間平均支出は、一人暮らしが2万2629円、同棲が3万9863円です。一人あたりで計算すると約2697円の差額が生まれ、年間で約3万2364円の節約になります。

■通信費
通信費の月間平均支出は、一人暮らしが6401円、同棲が1万1780円(一人あたり5890円)です。自宅のインターネット回線は使い放題プランであれば、世帯人数に関係なく一律料金であるため、二人で利用できる同棲のほうがお得でしょう。

最近では結婚していなくても、同一住居に住んでいるだけで家族割引が適用されるスマホの料金プランも出てきているので、スマホ代についても節約できるかもしれません。

■サブスクリプション(定額制)サービスの月額料
近年利用する人が増えてきたサブスクリプション(定額制)サービスについても、同棲することで家族割が適用され月額料の負担が軽減されるというメリットがあります。動画配信サービスから、ネットショッピングの有料会員サービス、新聞やNHK受信料など、家族割が適用される可能性がありますので、各社の適用条件をチェックしてみましょう。

リビングでタブレットを見ている男女
(画像/PIXTA)

■消耗品の購入費
トイレやキッチン、洗面所など、掃除する範囲は同棲も一人暮らしもそこまで変わりません。掃除道具や掃除用品などの消費量も変わらぬまま、二人で費用を支払うことができるため、一人あたりの負担額が減るといえるでしょう。

これらの生活費については、地方よりも物価が高い都心部のほうが、同棲による節約のメリットを大きく感じられるはずです。

二人で家賃を出し合うことでより利便性があり、広い家を借りられる

先ほど家賃についての話でも紹介しましたが、ワンルームの家賃相場は7万2000円(世田谷区)。一人暮らしでそれぞれこの額を払っていたら合計14万4000円ですが、同棲した場合は1LDK/2K/2DKの家賃相場14万円で済むため、毎月4000円出費を抑えることができます。

さらに同棲の場合、一人暮らしの時よりも広い物件、そして利便性の高い立地や、条件の良い物件を選べるというメリットがあります。一人暮らしの平均的な部屋の広さは18~20m2程度ですが、二人暮らしの場合40~60m2の間取りが中心です。単純に一人暮らしの2倍の金額を払うだけで、それよりも広い物件に暮らすことができるのは同棲のメリットといえそうです。

特に都市部から離れた地域はワンルームの選択肢が少なく、二人暮らし以上を想定した物件のほうが数が多く、条件も良い傾向にあります。

家事を分担できる

同棲の場合、トイレや風呂場、洗面所やキッチンの数は変わらないのに、人手は2倍になっています。つまり、家事を分担することで、一人暮らしよりも家事労働の負担を減らすことができます。特に料理に関しては、一人分でも二人分でもさほど調理の手間は変わりません。二人で交代制にすることで、半分の手間で済むともいえます。

また片方が料理をしている間に片方が掃除をする、といった分担方式でも家事の手間軽減を実感できるでしょう。

家事を一緒にする夫婦
(画像/PIXTA)

緊急時もお互いをサポートできる

一人暮らしの場合、緊急時に助けを求める相手に窮することもあるでしょう。一方が病気になった際も、看病したり、代わりに買い物に行ったりと、助け合いやすいというメリットもあります。これは精神面でも同様です。災害時などにも、パートナーと協力することで難局を乗り切りやすいと考えられます。

同棲のほうが損すること

一方が浪費家だった場合、金銭感覚が異なる場合

一人暮らしであれば、自分の好き勝手に生活できますが、同棲の場合そうはいきません。相手に心地よく暮らしてもらうために、こちら側もある程度配慮をする必要があるでしょう。経済的に損していると感じるかはわかりませんが、自分だけでなく相手も尊重する必要があり、時には配慮をするのが億劫と感じる人もいるかもしれません。

費用面で損なこととしては、一方が倹約家でもう一方が浪費家だった場合、倹約家のほうが「損している」という印象を持ちやすいケースが考えられます。

とはいえ、これは同棲の際にお財布をどのように分けるか、家計をどう折半するかという話し合いにもよります。パートナーが共通のお財布で無駄遣いをするのが不満、といった場合は「自分のものは自分のお財布から出してもらう」などのルール決めや話し合いで解決するようにしましょう。

山積みの服と買い物袋
(画像/PIXTA)

こういった不満は、飲食の場面でも現れるかもしれません。一方が少食でもう一方が大食い、一方がお酒を飲まないのにもう一方はお酒好きといった場合、半額ずつ家計を負担していると、片方が不満に思う場合もあるでしょう。こういった場合も、消費量が多いほうが負担額を増やすなど、話し合いが必要です。

また別々で暮らしていたときにはわからなかった金銭感覚の違いが、同棲によって浮き彫りになることもあるでしょう。金銭感覚はいわば“体質”のようなもので、変えていこうとしても難しいものです。二人で使うものは話し合いで決め、それぞれが使うものは使う人のお財布から出すなど、こちらもルール化が必要かもしれません。

同棲を解消する場合

同棲の最大のデメリットは、同棲を解消するときの面倒さが挙げられます。その際は、かなりの金銭的負担と精神的負荷が発生することでしょう。一人暮らしの引越しと違い、同棲を解消する際の引越しは、家具や家電をどちらが引き取るかで揉める場合もあるほか、同棲時に使っていた家電が一人暮らしにはオーバースペックな場合もあります。また、退去するタイミングが二人で異なる場合、どちらがその間の家賃を負担するのかも焦点になるでしょう。

お別れするだけでも心労が大きい上に、引越しをどうするか、新しい物件をどう探すか、持ち物をどう折半するかなどの課題が山積みになってしまうため、精神的にも肉体的にも金銭的にも余裕がなくなってしまうことが考えられます。

同棲よりも経済的にお得なのは結婚!?

ここまで同棲についてのメリット・デメリットを紹介してきましたが、結婚した場合はどうなるのでしょうか。

まず、結婚のメリットとして挙げられるのが「扶養に入れる」ことです。これは「税法上の扶養」と「社会保険上の扶養」があります。

「税法上の扶養」では、配偶者の年収が103万円以下の場合、扶養者が38万円の配偶者控除を受けられます(納税者本人の合計所得が900万円以下の場合)。配偶者の年収が103万円を超えても、201万円以下であれば、配偶者特別控除を受けることができます。

社会保険(健康保険・厚生年金保険)では、配偶者の年収が130万円未満で扶養者の年収の2分の1未満である場合、健康保険の被扶養者、国民年金の第3号被保険者となり、配偶者は自分で健康保険料、年金保険料を納める必要がなくなります。

ちなみに、社会保険における扶養は、事実婚の場合でも適用されます。ただし、単なる同棲ではなく「事実上婚姻関係と同様の事情にある者」が対象であり、同居・生計同一関係であることが要件となります。住民票の世帯を同じくするなど、事実婚であることを証明する必要があります。

また、一方が配偶者手当のある会社に勤めていて、法律婚が条件になっている場合は、結婚したほうが手当をもらうことができ、経済的にお得といえます。結婚することで社宅に入れる、借上社宅に住める、などの福利厚生がある会社の場合も同様です。ただし「扶養者の年収が103万円以下」という条件があるケースも多いようなので、勤務先に確認するようにしましょう。

給与所得者の配偶者控除等申告書、扶養控除等(異動)申告書、保険料控除申告書
(画像/PIXTA)

そのほか税金や配偶者控除などについて詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてみてください。

「固定費」を抑えてストレスフリーな節約を

同棲に限らず出費を抑えて暮らすには、まず、家賃や水道光熱費、保険料、インターネット・スマホ代など自動的に引き落とされてしまう「固定費」を削減することが大切です。固定費の中でも大きな金額を占める家賃を抑えることができれば、食費など日々の生活を切り詰めるよりもストレスなく簡単に節約することができます。

お付き合いしている方がいる場合は、一人暮らしよりも経済面でお得な点が多い同棲を検討してみるのはいかがでしょうか。

まとめ

一人暮らしよりも、同棲のほうが一人あたり年間23万円ほどお得になる

同棲するパートナーと家事分担をすることで、費用だけではなく家事の負担も軽減できる

結婚した場合は、税金や保険料なども節約できる

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取材・文/中森りほ、SUUMO編集部 編集/ノオト
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