購入の申し込みとは、物件を購入する意思を正式に示す手続き。会社によっては「購入予約」ということもある。新築マンション等と中古住宅等では、申し込みの方法が異なるので、それぞれの流れを見ておこう。
新築マンションや一部の新築一戸建て、土地など不動産会社から直接購入する物件(※)は、販売開始日以降に「先着順」で申し込みを受け付ける物件が多い。買いたい物件が決まったら、申し込み方法や資金計画について早めに相談しておこう。
※販売業務を他の会社が代理で行う「販売代理」等の物件も同じように申し込む
新築マンションのなかには、先着順ではなく、抽選方式で申し込み者を決める物件もある。その場合は、定められた登録期間内に登録を行い、同じ住戸に登録した人がいれば抽選が行われる。抽選に当たれば、申し込みをすることができる。
物件によっては、申込時に「申込証拠金」が必要なことも。これは「買います!」という意思を明確に示すために不動産会社に預けるお金で、金額は2万~10万円程度と物件によって異なる。このお金は売買契約の時点で手付金の一部に充当され、契約に至らなかった場合には返却される。支払いの際、その旨を明記した預かり証をもらっておこう。
中古住宅や一部の新築一戸建て、土地などは、仲介会社に「買付証明書」を渡すのが一般的。買付証明書は、購入価格や手付金の額、引き渡し時期などについて「この条件なら買います」という意思を売主に伝える書面のこと。これをもとに仲介会社を介して、売主と売買の条件交渉を行い、売主が「この人と売買契約を結ぼう」と決断したら、「売り渡し承諾書(※)」等を買主に渡し、最終的な調整をしたうえで売買契約へと進むことになる。
なお、新築マンションなどの場合、申し込み時に「申込証拠金」が必要な物件もあるが、中古住宅などは必要ないケースが多い。
※地域や会社によって名称が違う。また売り渡し承諾書等を渡さないこともある
「買付証明書」を渡しても、売主が条件に納得できない場合や、時を前後して他の買主からより良い条件が提示された場合などは、売却を断られることもある。一方、売主から提示された条件に合意できない場合、買主から断ることもできる。交渉をスムーズに進めるためには、「入居するためにはリフォームが必要」など自分の希望を仲介会社に率直に話したうえで、よく相談して購入条件を決めることが大切だ。
住宅の売買では、「購入申し込み(購入予約)」自体には法的な拘束力はない。このため、購入申し込みから売買契約までの間にキャンセルしても金銭的なペナルティはなく、新築マンションなどで「申込証拠金」を支払った場合、このお金は返金される。反対に、売主側からキャンセルされても損害賠償などを請求できないケースがほとんどだ。しかし、購入申し込み後にキャンセルすれば売買契約の準備に入った相手に迷惑をかけることになる。よく検討したうえで行おう。
「購入申し込み」の後、おおよそ1週間~10日くらい後に「売買契約」を結び、「手付金(価格の5%~10%程度が目安)」を支払う。売買契約後にキャンセルをする場合、手付金は戻って来ない。契約前に行われる「重要事項説明」の内容を理解して、納得してから契約に臨むことが大切だ。
※買主と売主とで事前に話し合って決めるため、目安より金額が多くなることもある