引越し先を探していたIさんが、この部屋に出合ったのは約1年前。都心のワンルームによくある縦長の閉塞的な間取りが苦手という彼女にとって、スクエアに近い広々とした間取りと、大きな窓からたっぷり光が差し込む明るい空間は理想的だった。それに加え、室内の塗装や壁紙、設備などについて、入居者自身の要望を採り入れたリノベーションも可能という魅力的な"付加価値"までついていた。すぐに内見を申し込んだという。
「内見はオーナーの安藤さん自身が対応してくれました。改装についてもその場で相談に乗っていただけたので心強かったですし、例えば壁紙ひとつとってもカタログを開きながら丁寧に壁紙の種類や選び方のアドバイスをしてくれるので、まったく知識のない私でもイメージを膨らませることができました」（Iさん）

入居者自身にカスタマイズの余地を残す、こうした賃貸物件はここのところ少しずつ登場してきている。だが、細かいパーツ選びにまでオーナーが入居者のために時間と労力を使い、とことん付き合うケースは稀だ。
「ドアノブやキッチンを選ぶのにオーナーさん自らお店まで同行してアドバイスいただいたり、夜中まで相談に乗っていただくこともありました。最初は申し訳ない気持ちでいっぱいでしたが『自分が納得できるものをつくらないと駄目です』というオーナーさんの言葉に背中を押されて、途中からはあまり遠慮せず、むしろ甘えっぱなしだったように思います」
その結果、Iさんにとって最高に心地よいと思える住まいが完成した。それだけに愛着もひとしおだ。
「やはり自分の目でひとつひとつ確かめて選べたというのは大きかったと思います。例えばキッチンひとつとっても、ガスの強さや掃除のしやすさなども考慮して選んでいるので、使いやすさがこれまでの家とはぜんぜん違いますよ。ここに来てから早く家に帰って料理をつくったりするようにもなりましたし、以前より自分の時間を大切に過ごすことができていると思います」