「せっかく、DIY可の賃貸物件を借りたんだから、自分の手でDIYカスタマイズしたい!」と考えている人へ。
DIYでできることは、いろいろあります。照明の電球交換レベルの道具を使わない簡単なことから、床材張り替えや間取り変更といったプロレベルの高難度のことまで、がんばれば資格が必要な作業以外のほとんどのリノベーションメニューをDIYでこなせます。そこで、DIYテクニックを難易度別に3段階に分け、リノベーションに関する部材・ツールなどのネット販売やデザイン・設計・施工を行っている「R不動産toolbox」による監修・協力のもと、各レベルに応じたカスタマイズ施工例をご紹介します。
中級編で紹介するのは、壁の塗装や棚板の取り付けなど、一人でもできそうに思えるメジャーな施工だけど、一人だとちょっと大変と感じる施工例です。部屋のイメージを大きく変えることができるカスタマイズ例なので、DIY好きの人ならがんばれば一人でもできるかもしれないけれど、初心者なら仲間と一緒に作業すると安全で楽にできそうです
海外では当たり前、基本のDIY技「塗装」。壁や天井を好きな色に塗るだけで、お部屋の雰囲気は一変します。飽きても、また違う色を塗り重ねられます。賃貸住宅の壁天井はクロス仕上げが一般的ですが、クロスの上から直接塗装できる塗料も増えてきています。大きな面積を占める部分だけに、1面だけを塗るのでも効果は大。
A:マスカー
B:マスキングテープ(24mm×18m)
C:バケット、バケット内容器、ネット
D:ローラー(ハンドル+ローラー6インチ中毛タイプ)
E:はけ(水性塗料用、幅5cm)
F:目地はけ(水性塗料用 5号)
G:缶オープナー*
H:フレキシ(塗料を注ぐ際に塗料缶の縁に取り付け、垂れを防止するもの)*
*必須アイテムではありませんが、あると便利です
【Before】施工前
今回は、クロスの上から塗装します。クロスが剥がれたり、浮いているところがあったら、ボンドを使って補修を。クロスの表面や、接しているドアの枠、幅木まわりのほこりなどの汚れを払ってキレイにします。
【Step1】マスキングテープで塗装面を縁取り
塗装する壁面まわりを養生します。養生とは、仕上げ部分以外に汚れや傷がつかないように保護すること。塗装しない部分との境界、ドアの枠やコンセントまわりなど、縁ぴったりにマスキングテープを張っていきます。
【Step2】マスカーで塗装面の周辺を保護
引き続き養生作業。Step1で貼ったマスキングテープの上から、養生シートとテープが一体になった便利アイテム・マスカーを貼ります。テープ部分を貼ったらビニールシート部分を広げて、塗る面以外を保護します。
【Step3】塗料の準備をします
ローラーバケットにバケット内容器をセット。塗料缶をよく振ってから、塗料を容器に注ぎ入れます。塗料は一度にたくさん注ぐのではなく、足りなくなったら継ぎ足して。縁についた塗料は拭きとってからきっちりふたを。
【Step4】縁から塗り始めます
まずは、ローラーでは塗りにくい壁の端の部分やドア枠、幅木との境界部分、コンセントまわりなどを、はけを使って塗っていきます。地道な作業ですが、これをやっておくと後の塗装が思い切り楽しめます。
【Step5】ローラーで広い面を塗ります
遂にメインイベント。ローラーにまんべんなく塗料を付け、広い面を塗装していきます。ローラーは大きく平らな面を塗る際、はけに比べムラになりづらくオススメ。乾いたら2度塗りをします。
【Step6】養生を剥がします
2度塗りが終わったら、塗料が乾く前に養生のマスカー、マスキングテープを剥がします。乾ききってしまうと、マスキングテープを剥がす際に塗った部分の塗料も一緒にくっついて剥がれてしまう場合があるので注意を。
【After】完成
鉄筋コンクリート(RC)造の建物では、コンクリートの躯体に直接クロスが張られていることがあります。無骨なテイストが好みなら、クロスを剥がし、コンクリートのクールな表情を楽しむのも一興。ただし、コンクリートの状態は平滑で、きれいなものもあれば、ラフなものもあり、剥がしてみないと分からない点に留意を。
A:マスカー
B:カッター
C:はさみ
D:カーボンへラ
E:霧吹き
【Before】施工前
コンクリートが出てくるかどうかの見極めは重要です。隣住戸との境の壁を、手で叩いてみて重くずっしりとした感触であればコンクリートの可能性が高いです。
【Step1】マスカーで床を保護
クロスの剥がしカスを片づけやすくするために、養生シートとテープが一体になった便利アイテム・マスカーで床を養生します。
【Step2】縁に切り込みを入れる
壁のクロスを剥がす際に、天井やほかの壁のクロスまで一緒にめくれてしまう場合があります。それを防ぐために、剥がしたい部分のクロスと天井やほかの壁の境目に、あらかじめカッターで切り込みを入れておきます。
【Step3】クロスを剥がす
のりで貼り付いたクロスを、カッターを差し込んで浮かせていきます。カッターの刃を長めに出して、クロスの継ぎ目から差し込みコンクリートに沿わせるように動かしましょう。浮いたところで手で引っ張って剥がします。
【Step4】薄紙に霧吹きをして浮かせて剥がす
大体のクロスを剥がしたら、壁面に残っている薄紙部分を取っていきます。薄紙に水を霧吹きして十分に湿らせ、ふやけたらヘラでそぎ落とします。あとは根気の世界。とにかく頑張って丁寧に剥がしていきましょう。
【After】完成
壁面を有効活用して、お部屋をすっきり収納上手に!出し入れの多い小物や、お気に入りの雑貨や本、CDなどで壁を飾って。完成品の棚を取り付けるのもいいけれど、棚受け金具と好みの板を組み合わせて、オリジナルの棚をつくるのもオススメ。重いものを載せる場合は、壁の下地木材がある部分に固定を。下地チェックが重要です。
【Before】下地の状況を確認する
まずは壁を叩いてみて軽い音がするか、重い音がするか確認を。全体に重い音がする場合はコンクリート壁。軽い音がする場合は中が空洞の石膏ボード仕上げ。今回はコンクリート壁でした。
【Step1】位置だし
棚を取り付ける位置に目印をつけます。仕上げ済みの壁には直接印をつけず、マスキングテープを張ってその上からマジックで印をつけると、壁に印の跡が残りません。石膏ボードの場合は、下地材がある位置に目印を。
【Step2】下穴を開ける
棚受け金物のビスをつける位置に印をつけて、下穴を開けます。今回取り付ける壁は、下地がコンクリート壁なので、電動ドリルでいきなりビスを打ち込むことができません。振動ドリルで下穴を開けます。
【Step3】棚受け金物を固定する
まずは1本目のビスを電動ドライバーで取り付けたら、水平器や差し金などで垂直を確認して、ほかのビスも打っていきます。棚受け同士の水平にも気をつけて。コンクリート壁には、コンクリート用ビスを使います。
【Step4】棚板を固定する
棚板を仮置きして再度水平器でチェック。水平を確認して問題なければ、棚板の下側から金物とビスで固定します。このとき、棚板の厚みより短いビスを使わないと、板の表面にビスが突き出てしまうので気をつけましょう。
【After】完成
賃貸では最初からついていることが多いけれど、至って普通なものが多いカーテンレール。せっかくお気に入りのカーテンを取り付けるなら、カーテンレールにだってこだわりたい。主役のカーテンを引き立てつつ、カーテンを開けているときもアクセントになるようなカーテンレールに変えて、心地よい窓辺の風景を演出してみて。
【Before】施工前
カーテンレールは、窓枠に直接取り付けるか、窓枠の上の出っ張った部分(“ちり”といいます)に載せるような形で取り付けるのがオススメ。窓枠は木製であることが多いので、壁面よりもビス打ちが容易なのです。
【Step1】ビスの頭を黒く塗る
コの字金物付属のビスはシルバー色。コの字金物は黒色なので、ビスの頭が目立ってしまいます。なので今回はビスの頭を黒く塗装しました。小さな気遣いですが、でき上がりの見栄えに影響する大切なポイント。
【Step2】コの字金物を取り付ける
木製カーテンレールの取り付け補助パーツ、コの字金物を先に取り付けます。取り付けたい位置に印をつけ、電動ドライバーで下穴を空け、ビスを打って固定します。コの字金物は約45cm間隔で取り付けていきましょう。
【Step3】木製カーテンレールをはめる
コの字部分に木製カーテンレールをはめ込みます。奥までしっかりはめ込んで。あまり遊びの隙間はなく、キツメにはまります。高いところでの作業なので、脚立を使って安全に作業しましょう。
【Step4】木製カーテンレールを固定する
コの字金物の上と下にはビス穴が空いています。コの字金物に付属しているビスを電動ドライバーで打ち込んで、木製カーテンレールとコの字金物を固定していけば、完成!
【After】完成