治安の良し悪しは気になるところ。今では街の犯罪統計資料を警視庁や各県の警察のHPで見ることができるし、ネットの掲示板などで情報収集もできる。近所の交番で質問してみるのもいいだろう。
警視庁のHP内にある犯罪発生マップ。空き巣やひったくりなどの犯罪がどのエリアでどれくらい発生しているかが分かる。
犯罪発生マップ:http://www2.wagmap.jp/jouhomap/Portal
駅の出入り口によってにぎやかさは変わるので要注意。人が通らない暗い場所はないか確認しよう。逆に飲食店が多くてにぎやかでも、時間帯によっては酔っぱらいがいて不安という声も。
駅から遠い物件の場合、夜帰りが遅くなった時の交通手段は重要。タクシーがつかまりやすいか、バスは何時まで運行されるか確認しよう。夜遅くまで運行される深夜バスがあればより便利だ。
実際に物件まで歩いてみよう。休日の昼間と平日の夜では、街の雰囲気が変わるので、通常の帰宅時間に合わせて平日夜の様子もチェックしよう。途中、公園や広い駐車場など、夜間に人気のない場所はないか確認。駅から遠いなら、人通りの多い安心なルートはないか調べよう。「不審者につけられないよう、何パターンか帰宅経路を持っておくと安心です」(京師さん)
コンビニやファミレスなど、深夜営業のお店があれば、夜の帰り道も明るいし、いざという時の避難場所になる。さらに交番があれば心強い。
現地見学に行ったら、まずは建物の周辺をぐるりと回ろう。建物のつくり自体で侵入されやすいかどうかが分かるからだ。オートロックや防犯カメラなど共用設備も要チェック。
侵入される足場になるものはないか、建物の周辺を探ってみよう。ポイントはドロボーの目線で見ること。「例えば、電柱や雨どい、エアコンの室外機、隣りの家の塀、駐輪場の屋根などが侵入する際の足場になりえます」(京師さん)。また、不審者がひそんでいられる場所はないかも確認。例えば、大きな植栽の影、隣りの建物との狭い隙間、普段使わない非常階段など、外から見えにくい場所には注意が必要だ。エントランス、1階通路、駐車場など、死角になりがちな場所に防犯カメラがある物件はおすすめ。
階段は侵入者の格好の隠れ場。「階段が近く、エレベーターから遠い部屋は、もし住人が帰ってきても階段から逃げればいいので狙われやすいです」(京師さん)。また、建物の外側に、階段や廊下がある場合、外から侵入者が見えやすいメリットもある一方、どの部屋に住んでいるか特定されやすい。高さや位置によっては階段や外廊下自体が侵入経路にもなりやすいこともあるので、外からも侵入しやすいか見てみよう。建物の中に階段や廊下がある場合は逆で、侵入されにくいが、いったん入ってしまえば外から見えにくい難点もある。
例えば1.5mのコンクリートブロックのような、一度入ってしまえば外から見えない塀は危険。柵や植栽など、仕切っていても外から見えるものは、プライバシー面では難点でもセキュリティ面では◎。
1階だけが侵入されやすいと思いがちだが、2階以上でも、案外安心して窓を施錠せずに出かけて被害に遭うこともある。暮らし方に注意も必要だ。また最上階は屋上から侵入される危険もある。
郵便物は個人情報の宝庫。盗まれて悪用されないためにも、郵便ボックスは鍵付きで、手が入らない投入口のものがベスト。自分で市販の鍵を付けることもできる。また、宅配ロッカーがあれば外部の人間の建物内部への出入りが少なくなる利点がある。
密室になるエレベーターは中の様子がうかがえるガラス窓や監視カメラが付いているものがベター。乗る前に周囲を確認したり、後ろから誰かが乗り込んできたら、思いきって降りるなど、2人きりにならないようにしたい。立ち位置もボタンを前に壁を背にして立つのが正解。自室が特定されないよう1階上のボタンを押して階段で降りるのもよい。エレベーター内に設置された防犯カメラがあると犯罪を防止する効果が。
管理員が常駐したり、大家さんが敷地内にいて清掃もしているような、常に誰かしらの目の光る物件は狙われにくいもの。窓や玄関から侵入されると警備会社が駆けつけるセキュリティシステムを導入したマンションもある。またゴミが散乱していたり、ゴミ出しのマナーが悪い物件も狙われやすい。「管理が行き届いていない、住人のマナーが悪くてお互い関心がないとみなされて狙われやすいんです」(京師さん)
ゴミ置き場も個人情報が漏れる場所。建物内の鍵付きのゴミ置き場なら防犯性が高い。個人名や会社名などが特定されるようなものはシュレッダーにかけてから捨てよう。前の日の夜よりも、朝早く収集直前に出したほうがいい。
やはり、オートロックの有無は重要。しかしそれだけで安心してはダメ。他の入居者と一緒に建物内に侵入するケースもあるからだ。また、エントランス以外に、外階段、駐輪場や駐車場へ通じる他の出入口がある場合は、施錠できるつくりかどうか注意しよう。出入りした後に自動的に閉まるオートロックがベターだ。エントランスやエレベーター前で不審者がひそんでいられる場所はないかもチェック。
室内では防犯のための設備が充実しているか確認。もしそうした設備がなくても、市販の防犯グッズで安全性を高めることもできる。
鍵を開けるのに時間がかかるドアは、ドロボーにとっては、それだけ発見されやすくなるので、嫌なもの。最近の新築では2カ所施錠する1ドア・2ロックの物件も。大家さんが承認すれば自分で補助錠を追加することもできる。 また、郵便受けから室内をのぞけるような場合は、自分で目隠しをしよう。「のぞき穴をはずしてそこから鍵を開けるケースもあるので、外から開かないか確かめましょう」(京師さん)
入居者が替わるタイミングで鍵が交換されているか確認しよう。ピッキングされにくいディンプルキーが望ましい。大家さんによって対応が違うので、自己負担でも替えたほうがいい。また、最近ではカード式や暗証番号付きの電子錠も登場している。サムターンまわし対策も、市販されているカバーを付けるだけでもOK。一定の防犯性能がある建物部品(錠、ドア、ガラス、サッシ、窓フィルム等)に、警察庁や関係民間団体で組織する「官民合同会議」が認定したCP(=Crime Prevention)マークが付いているので、物件選びの参考にしよう。
ドアを開けずに来訪者に応対できるインターホンは不審者をシャットアウトできる。できればTVモニター付きが望ましい。「侵入犯はインターホンで留守かどうかを確認するので、TVモニターで録画できるようなものだと敬遠するでしょう」と京師さん。何か起きたときに管理会社に知らせる機能がついたものもある。
下着ドロボーに狙われないためにも洗濯機置き場は室内に欲しい。また洗濯物は性別や行動パターンなどを判断する材料になるので、外に干さなくてすむ浴室乾燥機があると便利。夜になっても干しっぱなしというのも留守だと分からせることになるので要注意。
下のグラフから分かるように、侵入犯の約半数がガラス破り。特に3階以下の建物の場合は要注意だ。備え付けの鍵だけでなく、市販の補助錠や防犯ブザーを付けよう。「防犯ブザーは振動に反応するタイプだと台風の強風でも鳴ってしまう危険があるので、周波数を感知することでガラスが割れたときにだけ反応するものを選びましょう」(京師さん)。また、廊下側の窓も面格子が付いて、そこからは侵入できないか確認しよう。1階に電動シャッターが付いた物件だと、防犯性がアップする。
目の前に何が建っているかもポイント。隣りの家から丸見えだと常に外部からの視線にさらされることになるので落ち着かない。しかし、外からまったく見えない場合も、いったん侵入されると分かりにくいデメリットがある。
まずバルコニーに立って、排水管、非常階段、電柱、ブロック塀などから、バルコニーに侵入されやすくないか確認しよう。また隣りの住戸からバルコニーを通って侵入される危険もあるので、防犯面では隣りの住戸とバルコニーでつながっていないほうがベター。ただし、つながっていれば、火災時の避難通路になる。
夜道が怖いからといって携帯で電話しながら帰るのはダメ。電話に夢中になると足音やバイク音などが聞こえなくなるからだ。同様に、音楽を聴きながらもNG。「自転車なら安心だと思いがちですが、ハンドルで両手がふさがっているので、バイクが後ろから来て、ひったくりやチカンに遭っても防ぎきれないことも。いつも、音には敏感になりましょう」
帰り道を気にするあまり、毎日疑心暗鬼になるのはストレスがたまるもの。「道を曲がるときに、後をつけている人がいないか気にするようにしましょう。また、コンビニは買い物内容から”一人暮らし”と目星をつけられ、そこから後をつけられる場合もあるので、お店を出る瞬間も気をつけましょう」
「玄関を開けて部屋に入ろうとしたときに、後ろから襲われてそのまま室内にひきずりこまれる犯罪もあるので、その瞬間は特に気をつけましょう」。例えば、鍵が盗まれないようバッグの奥底にしまい込むのはNG。玄関前で鍵を出すのに手間取るからだ。すぐ取り出せる場所にしまっておこう。そして入る前に、足音で後ろからつけてきた不審者はいないか周囲を見まわして、階段や植栽などの影に人がいないか確認しよう。入る際に「ただいま」と声をかけ、同居人の存在を匂わせるのも有効だ。
入居者が帰ってくるのを部屋で待ち伏せる犯罪もある。「そろえて置いていたはずの靴が倒れている、身に覚えのないゴミがあるなど、出かけたときと様子が違うか感じ取りましょう」。それが難しい場合は、玄関ドアにつまようじをはさんだり、目につきにくい場所にセロハンテープを張ったりして、一度開いたかどうか確かめる方法もある。
女性の一人暮らしなら洗濯物に男性ものの下着を交ぜる、表札に2つの苗字を書くなど、ふたり暮らしに見せる方法は有効。かわいらしい柄のカーテンや出窓に人形を飾るのも、「若い女性の一人暮らし」をアピールする結果になるので避けたほうがいい。また、ポストに新聞がささったままなのも不在の印なので注意したい。「夜、ランダムな時間にタイマーで電気がつくようセットするのもいいですね」
実は鍵の閉め忘れも多いので、毎日の戸締まりには敏感になろう。また来訪者に対して不用意にドアを開けないことも大切。「宅配業者を装った犯行もあるので、誰からの配達か質問したり、玄関前に荷物を置いてもらい、ドアチェーン越しにやりとりするなど防衛策をとりましょう」
ドロボーが一番嫌がるのは手間がかかること。貴重品は見つけにくい場所、取り出すのに時間がかかるところに隠すようにしよう。「例えば、ぬいぐるみのファスナーの中に袋を入れ、さらにその中に隠すとか。意外と、冷蔵庫、トイレのタンクの中は見つかりやすい場所なので避けたほうがいい。特に目線の高さは見つかりやすいんです」。通帳と印鑑は分散させておくことも大切だ。まったく金めのものを置かないというのも手だが、「嫌がらせに生ゴミをばらまかれたり、放火されることもあるので、引き出しなど分かりやすい場所に、盗まれてもいい金額のお金をあらかじめ置いておくのも手です」