【実例】和室とは? 和室の基礎知識とおしゃれな和室にするリフォームのコツとインテリアや照明の選び方

最終更新日 2023年05月01日
【実例】和室とは? 和室の基礎知識とおしゃれな和室にするリフォームのコツとインテリアや照明の選び方

生活様式の変化により、和室をどう利用していいかわからないという人が増えているようです。
そこで、そもそも和室とはどのようなものなのかがわかる基礎知識、和室のメリット・デメリットに加え、和室が生きるインテリア、そして和室を洋室ライクに使うためのリフォーム【実例】まで、新しい価値を生み出すリノベーションを数多く手掛けるスタイル工房・プランナーの阿部高明さんにお話を聞きました。

和室とは?

和室の基礎知識

和室とは、日本の伝統的な様式の部屋のこと。
和室=畳の部屋というイメージを持つ人も多いですが、それ以外にも和室を構成する要素には次のようなものがあります。

・床の間
掛け軸や花・置物などを飾るスペース
・長押
柱と柱の間に取り付けた横木
・鴨居/敷居
障子や襖をはめ込むための溝のついた横木。上部にあるのが鴨居、下部にあるのが敷居
・欄間
長押や鴨居の上に設けられた通風や採光を兼ねた装飾

<床の間>
床の間
美しい床の間があると、心が豊かになるような気もします(画像/PIXTA)
<長押、鴨居、欄間>
長押、鴨居、欄間

「つくりとしては、壁の外側に柱が見えている真壁(しんかべ)が大きな特徴です。ただし、最近は柱を見せない洋風の壁に畳を敷いて “和室風”に仕立てた部屋も含め、広く和室という言葉で表現されることが多いようです」(阿部さん、以下同)

また、襖や障子が使われているのも特徴。
「障子は光が拡散して、部屋全体を明るくする効果があります」
襖や障子は引き戸のため、ドア周辺のスペースを有効に使うことができるのも洋室との違いです。

和室

和室のメリット・デメリットは?

和室のメリット

和室には、実はさまざまなメリットがあります。

・リラックスできる
気軽にごろんと横になれるのが魅力。また、イグサには芳香成分があり、香りにはリラックス効果があるといわれています。

・調湿効果がある
畳には調湿機能があります。湿度が高いときには湿気を吸収し、空気が乾燥しているときには湿気を放出するので、夏は涼しく、冬は暖かく過ごすことができます。畳以外でも和紙や漆喰など、和室に使われることの多い素材は調湿機能を持っています。

・防音効果がある
畳にはクッション性があるため、フローリングよりは足音が響きません。転倒した場合にも怪我をしにくいでしょう。

・多目的な空間として使える
何といっても多目的に使えるというのが大きなメリット。小さな子どものいるお宅なら昼寝やオムツ換えの場所としての用途や走り回ったり転んだりしても安心です。布団を並べれば何人でも寝られるので、ゲストルームとしても重宝します。

「日本人は座り込んで何かをするって落ち着くんですよね。アイロンがけや洗濯物を畳むなどの家事をするユーティリティルームとしても使えます」

和室のデメリット

一方、和室のデメリットは以下のようなことがあります。

・手入れに手間・お金がかかる
砂壁は古くなってくるとはがれ落ちてきて掃除が大変。畳は水分に弱く、カビやダニが発生しやすいといわれています。

・収納が使いづらい
押入れは奥行きが深く、死蔵スペースが生まれがち。また、上段と下段に分かれているため、背の高い季節家電などは収納できないこともあります。

・家具のコーディネートが難しい
柱が出ている場合には、家具の大きさや配置などに制限が生まれます。家具の重みは畳を傷める原因にもなります。

和室の使い方を考えたり、模様替えやリフォームをするときには、メリット、デメリットを理解したうえで行うとよいでしょう。

昔ながらの和室をおしゃれでモダンに変えるには

デザイン性の高い畳やカラー畳に新しく変える

和室を手っ取り早くモダンな雰囲気にしたいときに効果的なのが、畳の交換です。

「畳を縁なし畳やカラー畳にするだけでがらりと雰囲気が変わります」

畳を交換する際には、機能にもこだわりたいもの。おすすめは和紙畳。
「カビの発生とダニの増殖を抑えられるほか、撥水性や耐久性も高いので、ワンちゃんやネコちゃんが引っかいたりしても安心。ペットを飼っているお宅には特におすすめです」

和室
ブラウン系の畳なら落ちついた上品な雰囲気(写真提供/大建工業)
和室
二色のカラー畳を市松模様に並べるとポップな印象に(写真提供/大建工業)

襖や壁紙を変えて雰囲気を刷新

襖や壁紙をモダンな色柄のものに変えるのも効果があります。

「壁紙は手触りが感じられるような、素材感、立体感のあるものを選ぶとよいでしょう。例えば和紙製や織物調のものなどは和室との相性がよいです」

和室
縦横に重なる糸の織りがボリューム感を演出する織物製の壁紙(画像提供/シンコール)
和室
糸の染まりが不均一で、自然な味わいが楽しめる紙布の壁紙(画像提供/シンコール)

ブラウンやネイビーなど、リビングに使うにはちょっと重いかな、と感じるような濃い目の色も意外なことに和室にはしっくりきます。少し冒険してみるのもよいでしょう。
「とはいえ壁は面積が大きいので、全部を濃い色のクロスにしてしまうと部屋が暗く感じることも。濃い目の色を使いたいときはアクセントクロスにするのがおすすめです」

和室
ネイビーの壁紙がアクセントになり、モダンな印象に(画像提供/スタイル工房)

和室に合わせるインテリアは?

壁紙と同様、大切なのは素材感。木や竹、籐、和紙など自然素材をそのまま使った家具や小物がなじみます。

「畳を傷めないよう、できるだけ軽い家具であることも重要です」

阿部さんがおすすめするのは、スウェーデンの家具デザイナー、ブルーノ・マットソンの家具。
「日本の住環境を研究し、畳にキズがつきにくいように脚がソリのような形状になっています。軽くつくられていることもポイントです」

テーブル、チェア、ソファ、ハイバックチェア
家具メーカー、天童木工がブルーノ・マットソンにデザインを依頼。テーブル、チェア、ソファ、ハイバックチェアなどがラインナップされている(画像提供/天童木工)
テーブル、チェア
脚をそり状にしたことで安定感が生まれ、座り心地も抜群(画像提供/天童木工)

「照明ならイサム・ノグチです。岐阜提灯にインスパイアされて誕生した「AKARI」シリーズは、和と洋が見事に融合した照明彫刻。これがひとつあるだけで部屋がぐんとスタイリッシュになり、ワンランク格上げされます。インテリアに迷ったらこれをおすすめしています」

照明
イサム・ノグチのAKARIシリーズにはつり下げ型、置き型など180種類くらいがある。右:55D/1万5000円、左:1N /1万9000円。※税抜価格。ペンダントタイプは器具別売(画像提供/オゼキ)

和室のインテリアとしては、「プリーツスクリーンも人気」とのこと。
ほどよい透け感のある和紙調の生地は、障子のような印象で和室にぴったりです。窓枠の中にすっきりと収まり、和モダンな空間を演出できます。
和と洋、どちらとも相性がよいので、和室と洋室の間の間仕切りとして使うのもよいでしょう。

「特におすすめなのが、ツインスタイル。シースルー生地と不透明生地の2枚を上下に配置し、中間バーの上下で光の量をコントロールできます」

ツインスタイルのプリーツスクリーン
ツインスタイルのプリーツスクリーン。光を取り込みたいときは、シースルー生地の分量を増やし、目隠しとして使いたいときには不透明生地の分量を増やす(画像提供/ニチベイ)

和室リフォームの実例

リビングの隣の和室をつぶして広々LDKに

開放感があり、家具のレイアウトもしやすいことから、最近の住宅はリビングを大きくとる間取りが主流。リフォームの際も、和室を取り込んでリビングを広げる事例が増えているそうです。

「まるっきり和室をなくしてしまうのではなく、シームレスにリビングとつながる空間にしておけば、いろいろな用途に使うことができます」

【AFTER】
リビング【AFTER】
手を加え過ぎず、和室をそのままリビングの一部として使用できるようにした(画像提供/スタイル工房)

「こちらのお宅は和室の引き戸を取り外して壁の中に収納できるようにリフォームしました。普段は戸を全てはずして広々としたリビングとして使用。必要があるときは、戸を取り付けて個室にできる仕組みです」

【BEFORE】
リビング【BEFORE】
(画像提供/スタイル工房)
【AFTER1】
リビング【AFTER1】
戸をはずすとリビングの一角の畳スペース、という状態に(画像提供/スタイル工房)
【AFTER2】
リビング【AFTER2】
引き戸を取り付けて閉めると独立した和室としても使うことができる(画像提供/スタイル工房)

収納力のある上がり畳に

和室のよさを活かしつつ、リフォームしたいという場合には、「小上がり」として残すのもよいでしょう。

「ソファのように腰かけることもできますし、畳下を収納として活用できます。まさに和と洋のいいとこどりですね」

【BEFORE】
リビング【BEFORE】
(画像提供/スタイル工房)
【AFTER】
リビング【AFTER】
リビングと和室の間仕切りをなくし、和室だった部分を小上がりスペースに(画像提供/スタイル工房)

周囲をフローリングに

こちらは、和室にあった既存の畳を撤去し、フローリングに。そして中央部分にのみ琉球畳を埋め込んだ事例です。

「周囲をフローリングにすることで家具がおきやすくなります。和の要素を残したまま、使い勝手が向上した例といえるでしょう」

【AFTER】
リビング【AFTER】
色調を合わせることで畳の和の雰囲気がリビングの北欧風の空間と違和感なくなじんでいる(画像提供/スタイル工房)

「新築やリフォーム時に、独立した和室はいらないけど、リビングの一角などにちょっとした畳スペースはほしいというお客様はとても多いんですよ」

自分のライフスタイルと好み、そして予算に応じて、おしゃれな和室のコーディネートやリフォームを検討してみてはいかがでしょうか。

「SUUMOリフォーム」でかなえた、和室リフォーム実例

ここからは「SUUMOリフォーム」に掲載しているリフォーム実例をいくつかご紹介します。「SUUMOリフォーム」では豊富な実例を掲載し、理想のリフォームをかなえるヒントやアイデアが満載です。リフォームの情報収集にお役立てください。

和室を小上がりに、かつ、段差を収納スペースに活用したケース

和室の間仕切りを撤去して、明るく広く感じる和室にリフォーム。段差は引き出し式の収納とハッチボックスになっていて、畳の下全面が収納に。一面だけ色違いのクロスや、間接照明が空間を特別なものに見せています。

畳スペース&収納ユニット
畳スペース&収納ユニットは、パナソニックの「畳が丘」を採用(画像提供/山商リフォームサービス)
概算費用 46万円
工期(住戸全体) 1カ月
会社名 山商リフォームサービス(山商リフォームサービス株式会社)
対応エリア 東京、神奈川、埼玉、千葉、茨城(一部地域を除く)

座敷風の和室をリフォームで実現、あえて残した既存柱がアクセントに

既存のキッチンと和室の一部を変更してつくった座敷風の和室。左側にある既存柱はあえて残し、天井の梁や電気の配線とともに黒く塗装したことで、雰囲気のある和の空間になりました。

市松状に敷いた畳
黒く塗装した梁や市松状に敷いた畳など、こだわりが随所に感じられる(画像提供/山商リフォームサービス)
概算費用 103万円
工期(住戸全体) 3カ月
会社名 山商リフォームサービス(山商リフォームサービス株式会社)
対応エリア 東京、神奈川、埼玉、千葉、茨城(一部地域を除く)

昔ながらの和室を、和モダン+大容量クローゼットに

昔ながらの和室を明るく和モダンなデザインに。扉を開け放してもリビングとなじむようにしました。新設したクローゼットは、箪笥もまるごと入る大容量設計で、LDKはいつもスッキリしています。

大容量のクローゼット
大容量のクローゼットで、すっきりと整頓された過ごしやすい和室に(画像提供/JS Reform)
概算費用 130万円
工期(住戸全体) 2カ月
会社名 JS Reform(日本総合住生活)(日本総合住生活株式会社)
対応エリア 東京、神奈川、埼玉、千葉、愛知、大阪、兵庫、福岡(一部地域を除く)

リビングの隣に、多目的に使える畳コーナーを設置

リビングの隣に設置した畳コーナーは、寝室としても洗濯物をたたむ家事部屋としても、多目的に使える場所に。縁なし畳でモダンに仕上げ、LDKの雰囲気と合わせています。布団もしまえる収納も設けているので、空間はいつもスッキリ。

リビングと和室
リビングと和室が違和感なくつながり、多目的に利用できる場所に(画像提供/リフォーム工房)
概算費用 40万円
工期(住戸全体) 2.5カ月
会社名 リフォーム工房(株式会社リフォーム工房)
対応エリア 東京(詳細はお問合せください)
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取材・文/増岡真理(メディアム)
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