虫が入り込みやすい環境と侵入のしやすさは、マンションの階層によって異なります。マンションに出る虫は、コバエ、ダニ、ゴキブリ、カメムシなどが多く見られます。そのほか、3階以下では多様な種類の虫が見られます。この記事では、虫が侵入しやすい環境とその防ぎ方、衛生管理の重要性について詳しく解説します。また、虫が好む出入り口と、それを防ぐための具体的な対策もご紹介。虫の侵入を防ぎ、清潔で快適なマンション生活を送るためのポイントを学びましょう。
虫が出やすい部屋には、2つの要因があります。
まずは環境についてについて詳しく紹介します。
虫が過ごしやすい環境とは、川や公園、畑の近く。そこまで広い範囲の自然でなくとも、生垣や植え込みがあれば虫は繁殖しやすいです。
また、生ごみの管理が甘く、においが漏れ出していると、虫はそのにおいを辿って食べ物に寄ってきます。飲食店のあるマンションは虫が出やすいのではないかと心配する人もいますが、大切なのは飲食店の有無よりも、衛生管理の状況です。
「飲食店が入っていたとしても、衛生管理が徹底されていれば、虫を目撃する回数はそう多くはなりません。大切なことは、飲食店であれ居住者であれ、マンションにいる人たちがきちんと衛生管理をすることです。生ごみのごみ箱が密閉されていなかったり、何日も置きっぱなしにされていたりすると、虫を目撃することが増えるでしょう」(ダスキン 齋藤さん)
マンションで見る虫にはさまざまな種類があり、種類によって移動能力が異なります。例えば、ゴキブリは垂直の壁を登る能力と、飛ぶ能力があります。マンションの2~3階程度なら、壁や高い木をつたって侵入することができます。また、カメムシも飛ぶ能力が高いため、ベランダに居るのを見たことがある人も多いはず。10m程度までは、虫が自力で侵入できると考えておきましょう。
「一般的には、その虫が自然で生息している範囲・高さなら侵入が可能です。ですので、結果としてマンションの低層階の方が、様々な虫を確認する頻度が高まります」(ダスキン 齋藤さん)
高層階なら虫は入って来られないかというと、そうではありません。虫は小さいため、人や荷物にくっついてエレベーターで昇ったり、排水管や壁の内側などを通って、マンション中を移動することができます。
前述の通り、虫が自力で侵入できるのは3階程度が目安。
3階以下では、ダンゴムシやアリなど飛ばない虫も侵入してくることがあります。
一方、繁殖力が高く、高所まで飛行できるカメムシ、移動能力が高く狭い場所に入り込めるゴキブリは高層階でも目撃しやすい虫。コバエやダニは小さいため、気づかないうちに荷物や観葉植物に付着し、部屋の中で繁殖することがあります。
特に低層階(1~3階)で目撃される | どこでも目撃される |
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ダンゴムシ ヤスデ ゲジ ムカデ 蚊 ナメクジ アリ |
カメムシ ゴキブリ コバエ ダニ |
マンションは機密性が高く隙間が少ないため、一軒家よりも虫が入りにくい構造になっています。ではどこから虫が入ってしまうのかというと、ほとんどは玄関や窓。次に、排水管を通っての侵入や、人や荷物にくっついての侵入と続きます。
虫の居場所になるような植木鉢や荷物を玄関周りに置かない。
置く場合は、こまめに位置を変えたり防虫剤を使用して虫の繁殖を防ぐ。
網戸に隙間や破れがないかこまめにチェックして修繕する。
また、スライド式の窓で換気をするときは中途半端に開けず、限界まで開いた方が隙間ができない。
生ごみをこまめに捨てて清潔に保ち、キッチンや洗面台など水回りの排水口に隙間ができないようにする。
虫の多い場所に出かけたあとは上着や荷物に虫がついていないかチェックしてから部屋に入る。衣服はすぐに洗濯する。荷物は、特に段ボールに注意。できるだけ部屋の奥に持ち込まず、開封したらできるだけすぐに廃棄する。
虫が繁殖しにくい部屋作りをしましょう。虫にとって心地の良い場所を作らないこと、食べ物を放置しないことなどが大切です。
虫の種類によりますが、多くの虫は湿度と気温が高い場所で活発になります。バルコニーや庭に物が多いと、湿度が高まりやすく、虫も隠れやすくなります。虫対策の観点では、不要なものは置かず、同じ場所に長期間放置しないことを心がけましょう。
バルコニーに放置していた容器や植木鉢・プランターの受け皿に水が溜まったり、水耕栽培や花瓶の水を何日も換えずにいると、蚊などが繁殖することが。バルコニーや玄関に雨水が溜まらないようにし、植物の水はこまめに換えましょう。
マンションで虫を駆除したいなら、以下の2つの方法があります。
スーパーやドラッグストア等で購入できる害虫駆除アイテムは、大きく3種類に分けられます。
虫を直接駆除するアイテム
虫を捕獲するアイテム
虫を除けるアイテム
最も一般的なのは、虫を直接駆除するスプレー剤、毒餌(ベイト)剤、燻煙剤。毒餌剤はかえって虫を寄せ付けてしまうのではないかと心配になるかもしれませんが、寄せ付けると言ってもそもそも住戸の中にいる虫が一時的に餌を食べにくる程度。マンション中の虫を寄せ付けるようなことはありません。
特に飛行する虫に効果的なのが、捕虫器や粘着シートなどの捕獲アイテムです。捕獲といっても、シートなどに粘着した虫はすぐに死んでしまうので処分も簡単です。
最後に、虫を除けるアイテム。そもそも虫を寄せ付けないため、うまく活用すれば最もストレスの少ない方法でしょう。
「人の住環境にいる虫は、不快害虫と呼ばれます。見た目が不快ということで、住民からは気持ち悪いと嫌がられてしまいますが、これらの中で、本当に人に害を与える虫はごくわずかです。自然の中では、落ち葉を分解して土に戻したり、増えすぎた虫を駆除してくれたりと、なくてはならない働きをしています。すべての虫を駆除しようとするのではなく、人と虫の『住み分け』という観点も考えたいものです」(ダスキン 齋藤さん)
部屋で虫を見かけると、出来れば穏便に窓から出て行って欲しいものではないでしょうか。できるだけ殺虫剤を使用したくない人や、虫を殺したくはないという人も多いでしょう。虫を除けアイテムや、虫を殺さず追い出せるアイテムも活用しましょう。
専門業者による害虫駆除サービスを依頼する方法もあります。使用する殺虫成分や殺虫方法が多岐にわたるため、小さな子どもやペットがいるご家庭、絵画や革製品などが多いご家庭など個別の事情にも配慮してもらえます。
「専門業者による害虫駆除サービスでは、虫の出入り口の特定や、各家庭に応じた駆除方法の選定など、個人ではなかなかできない部分まで行き届いたサービスを行います。強い成分で殺虫するだけではなく、そもそも虫が寄り付かない工夫や、繁殖しにくい環境作りもサポートします」(ダスキン 齋藤さん)
害虫駆除サービスを行っている業者探しは、インターネットなどを活用するほか、市区町村の保健所で相談すれば地域の業者を紹介してもらえることもあります。
マンションで虫が発生しやすいのは、自然に近く、虫にとって過ごしやすい環境で、低層階の部屋。自然の近さや階数は変えられませんが、衛生管理や侵入対策によって、虫が出入りしにくく、繁殖しにくい環境を作ることができます。市販の害虫駆除アイテムや専門業者の駆除サービスは日々進歩しているので、ぜひこまめにチェックしてみましょう。
マンションで虫を見かけやすいのは、自然に近く、虫にとって過ごしやすい環境で、低層階(3階以下が目安)の部屋
虫が侵入しやすいのは、玄関、窓、排水管などの開口部
虫が繁殖しやすいのは、湿度や気温が高い場所や水のある場所
市販の害虫駆除アイテムや専門業者の害虫駆除サービスは日々進歩している