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収入が安定した公務員は、住宅ローンを借りやすいのでしょうか。審査に通らない場合があるとすれば、どのようなケースでしょうか?今回は、共済組合の貸し付けや、夫婦共に公務員の場合の注意ポイントなどを解説します。
まず、公務員は住宅ローンを借りやすいかどうかを結論から言うと、一般の会社員に比べると公務員のほうが住宅ローンの審査は通りやすいでしょう。
その理由は、会社員に比べて解雇される可能性が低く、収入も安定しているからです。
公務員は、大きく分けると国家公務員と地方公務員の2種類がありますが、いずれも、自分の都合で退職したり、犯罪行為などで懲戒免職になったりしない限り、基本的には定年退職まで勤め続けることができます。
月給やボーナス(賞与)、そして退職金も、確実にもらえるようになっています。
会社員だと、ボーナスが会社の業績と連動しているケースや、自分の営業成績と連動しているケースもあり、いくらもらえるかが確定していない場合も多くあります。退職金も、会社によって大きく異なります。そもそも、退職金の制度がない中小企業もたくさんあります。
したがって、住宅ローンを貸し出す金融機関等としては、会社員よりも公務員のほうが確実に返済してくれる可能性が高いと判断できるため、審査を通りやすくしているわけです。
とはいえ、公務員でも住宅ローンの審査が通らないケースも当然あります。その理由は基本的に会社員の場合と同様です。
過去にクレジットカードやローン返済の遅延や滞納があって、信用情報に問題がある場合や、収入に対して借入額が大きすぎ、返済負担率の条件をクリアできない場合など、住宅ローンを利用するうえでの条件を満たせていないと、さすがに公務員であっても審査は通りません。
結局は、融資をする金融機関等の立場からすると、きちんと返済できる人に貸したいわけです。公務員なら、返済原資である月給やボーナス、退職金が安定しているので、会社員よりは安心できますが、遅延や滞納の履歴があったり、返済負担率が高かったりすると、会社員の場合と同様に審査を否決とするのです。

公務員の場合、加入している共済組合から、さまざまな種類の貸付を受けることができます。会社員の場合の社内融資のような制度です。
しかし、住宅貸付の制度はあるものの、共済組合の加入期間が短いほど、借りられる金額は少なく、上限も2000万円程度となっているのが通常です。そして、貸付金利も年2%近い固定金利になっています。
ネット銀行等の住宅ローン商品で、適用金利が年0.3%前後のところもあることを考えると、当初の利息負担がかなり違うと思われます。もちろん、金利が安かったとしても変動金利型の場合はリスクを理解し、適用金利が多少上がったとしても家計に無理のない返済が続けられるかどうかを確認する必要はあります。変動金利型のリスクは絶対に取りたくないという人は、共済組合の貸付や【フラット35】などを検討するとよいでしょう。
ちなみに、地方銀行などの一部の銀行では、住宅ローンの申込者が公務員の場合は適用金利を優遇するサービスを実施しているという話を聞いたことがあります。ただし、銀行のwebサイトや店頭に置いてあるチラシには、そのような記載はありませんので、直接確認してみてください。
夫婦共に公務員だと、より審査も通りやすい分、住宅ローンを借り過ぎてしまう点には注意が必要です。
例えば、借入希望額が6000万円、審査金利が年1.0%、返済期間が35年だったとすると、夫婦の収入合算をした世帯年収が600万円でも十分に借りられる可能性があります。
収入合算した世帯年収が1000万円にもなると、1億円の借入希望額でも審査に通る可能性があります。
世帯年収1000万円といっても、手取りベースでは750万円くらい。1億円も借りてしまうと、35年返済でも年間300万円以上を返済しなければなりません。残りのお金で生活をしながら、住宅の維持費や教育資金、老後資金など、十分に賄えるでしょうか?かなり厳しいのではないかと思います。
やはり、一番重要なのは、借りられる金額と返せる金額は違うということを、認識しておきましょう。
収入などが安定している公務員は、一般的な会社員に比べると住宅ローンの審査に通りやすい
信用情報に問題がある場合や、年収に対して希望の借入額が多すぎる場合は公務員でも審査に通らない
共済組合の住宅貸付より、民間の住宅ローンの方が金利面などで有利な傾向にある
夫婦共に公務員の場合、借入可能額が大きくなる。借りすぎで返済が苦しくならないよう注意
イラスト/杉崎アチャ
SUUMOコンテンツスタッフ