自己破産をしたら、将来、住宅ローンは借りられなくなるの?

公開日 2025年10月09日
ヒッシーのマネー騎士(ナイト)
自己破産をしたら、将来、住宅ローンは借りられなくなるの?

自己破産をしたことがある人が、将来、住宅ローンを利用することはできるのでしょうか。事故情報が信用情報に載ることでどんな影響があるのか、自己破産後、住宅ローンを借りるためにはどうすればいいのか、などを解説します。

自己破産をしても、マイホームの夢はあきらめなくていい?

自己破産をしても、住宅ローンを組めなくなるわけではない

・リボ払いを多用して雪だるま式に支払いが増えてしまった
・複数社のカードローンや消費者金融を利用して多重債務に
・ゲームのガチャ課金やアイテム購入で高額請求が来た
・ギャンブル依存で借金が膨らんでしまった

など、何らかの理由で自己破産をしてしまうと、もう二度と住宅ローンは組めず、マイホーム取得の夢はあきらめなければならないと思う人もいるようです。

しかし、そもそも「自己破産」とは、お金にだらしない人への「烙印(らくいん)」ではありません。借金をどうしても返済できなくなった人を救済し、生活を立て直すための国が用意したセーフティネットです。裁判所に申し立てを行うことで債務の支払い義務を免除してもらい、再スタートを切るための制度なのです。

結論から言うと、
自己破産をしても、住宅ローンを二度と組めなくなるわけではありません。

ただし、住宅ローンなどの借り入れの審査に通るには、それなりの時間と準備が必要です。今回は、自己破産後の取り扱いと、マイホーム取得を目指すためにできることのポイントを整理しましょう。

自己破産をすると「事故情報」が信用情報に登録される

事故情報の登録期間中は住宅ローンが借りられない

自己破産をすると、株式会社シー・アイ・シー(CIC)、株式会社日本信用情報機構(JICC)、全国銀行個人信用情報センター(KSC)といった信用情報機関に、「事故情報」が登録されます。これは俗にいう「ブラックリストに載る」ことを意味します。

そして、以下の登録期間中は、新たにクレジットカードをつくったり、住宅ローンや自動車ローンなどを組むことができなかったり、買い物の分割払いや、クレジット機能付き電子マネーなどが利用不可になったりします。

・CIC(クレジットカード系)・・・登録期間は最長5年
・JICC(消費者金融系)・・・・・登録期間は最長5年
・KSC(銀行系)・・・登録期間は最長7年(2022年に10年から7年に短縮)

銀行の住宅ローンの審査ではKSCの情報を重視すると考えられますので、自己破産から最長で7年が経過しないと事故情報は消えないでしょう。とはいえ、以前よりも登録期間が短くなったのは、再スタートを目指す人にとっては大きな追い風と言えるでしょう。

事故情報が消えてもすぐには借りられない?

「ホワイト」と「スーパーホワイト」の違い

事故情報の登録期間が過ぎると、信用情報は「ブラック」から「ホワイト」になります。ホワイトとは、事故情報が一切ないクリーンな状態を指します。クリーンになったのだから、すぐに住宅ローンを組めるだろうと思いがちですが、ホワイト過ぎることが審査でひっかかってしまうことがあるのです。

クレジットやローンなどを一度も利用したことがない人は、利用履歴であるクレジットヒストリー(以下、クレヒス)が全くないので、「スーパーホワイト」と呼ばれます。実は、金融機関が信用情報を照会した際、事故情報が消えた人である「ホワイト」と「スーパーホワイト」の区別がつかないのです。

したがって、学生や新社会人であれば、クレヒスが全くなくても疑われにくいですが、30代や40代でクレヒスがない人は、事故情報が消えてホワイトになった人と疑われる可能性が高いと考えられます。金融機関も融資には慎重になるわけです。

信用を積み直すステップが大切

事故情報が消えたら、ただ待つだけでなく、健全なクレヒスを少しずつつくっていくようにしましょう。具体的には、以下の方法などが有効です。

・携帯電話の本体代金を分割払いにして、期日どおり支払う
・審査が比較的やさしいクレジットカードを少額利用し、毎月きちんと支払う
・公共料金をカード払いに切り替える

これらのような小さな積み重ねが「返済能力あり」と金融機関に示す証拠になるのです。焦らず、延滞ゼロを続けることが将来の住宅ローン審査で大きな力になります。

自己破産のイメージ
事故情報が消えてからは、健全なクレジットヒストリーの積み重ねをしていくことが大切(画像/PIXTA)

自己破産後に住宅ローンを借りるには?

審査に通りやすくするための対策

配偶者名義で借りる

共働きで配偶者に安定収入があるのであれば、配偶者の単独名義で住宅ローンを申し込むことが可能でしょう。ただし、自己破産経験者が連帯保証人になる場合は、審査に影響する可能性がありますので、登録期間経過後の信用を積み直すステップが一定期間必要になると考えられます。

頭金を多く入れ、返済負担率を低くする

これは自己破産経験のない人にも共通する点ですが、自己資金を多く用意して借入額を少なくしたり、返済負担率(=年間返済額÷年収)を低くしたりすれば、金融機関の審査は通りやすくなります。

複数の金融機関に幅広く相談

金融機関ごとに審査基準が異なります。A銀行で審査に落ちてもB銀行では通るということが現実にあります。複数の金融機関に相談に行くことが重要です。また、【フラット35】のように融資の基準が統一されている商品を検討するのもよいでしょう。

資金計画を相談する夫婦のイメージ
再スタートを目指すためには住宅ローンの借り方を幅広く検討しよう(画像/PIXTA)

借金の整理には自己破産以外の方法もある

焦らず、信用を積み直せば道は開ける

なお、借金の整理には自己破産だけでなく、
・任意整理(弁護士などが債権者と交渉して利息や返済条件を緩和する方法)
・個人再生(裁判所の認可を得て借金を大幅に減額する方法)
などの制度もあります。

持ち家を守りたい場合や安定収入がある場合には、これらを選ぶことも有効でしょう。最適な方法は借入額や収入状況によって異なります。借金の返済が苦しくなったら、できるだけ早く、弁護士や司法書士などの専門家に相談するとよいでしょう。

自己破産をすると、一定期間は住宅ローンを組めません。しかし、「事故情報が消える」+「信用を再構築する」という2つのステップを踏むことで、マイホーム取得を目指す道は見えてきます。

事故情報が消えれば誰もが「ホワイト」になります。でも、30代以上でクレヒスが全くない状態のままだと、金融機関からは過去に事故があったのではと推測されます。だからこそ、少額でも確実に返済実績を積み、新たなクレヒスをつくっていきましょう。

自己破産は「終わり」ではなく「新たなスタート」です。多少の時間は必要ですが、マイホームの夢をあきらめる必要はないのです。

まとめ

自己破産は生活を立て直すために国が用意したセーフティネット

自己破産から最長で7年が経過しないと事故情報は消えない

事故情報の登録期間後は、健全なクレジットヒストリーをつくることが大切

自己破産をしても、マイホーム購入の夢をあきらめる必要はない

イラスト/杉崎アチャ

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