働くママとパパを応援! 東京23区・保育しやすい街の選び方 【保育料編】

公開日 2017年12月20日

東京23区保育しやすい街 保育料編

保育園を利用したいママ・パパにとって気になるポイントといえば、「保育園に入れるかどうか」と「保育料」ではないでしょうか。「えっ、保育料ってどこも同じじゃないの?」と思った人もいるかもしれませんが、実は保育料は住む自治体によって金額が違うのです。前回の「入りやすさ編」に続き、今回は保育料という視点から解説していきます。

同じ年収でも、住む街によって認可保育園の保育料は変わる

自治体ごとの保育料の前に、まずは認可保育園の保育料の基本についてご説明しましょう。

そもそも、認可保育園の保育料は、夫婦の収入を合算した世帯年収をもとに「住民税の負担額による所得階層」にあてはめて算出されます。世帯年収が低い家庭ほど自己負担額が低く、年収があがるにつれて階層があがり、自己負担額が大きくなる仕組みです。

また、年収以外にも、預け入れる子どもの年齢、数、利用する時間(短時間か標準時間か)によっても保育料は異なります。基本的には3歳未満だと高く、3歳児、4歳児以上と子どもの年齢が大きくなるほど、保育料は安くなっていきます。

ここまでは、各自治体に共通するルールなのですが、自治体よって保育料そのものや「階層」の設定が異なるため、同じ世帯年収でも住む街が変われば保育料も違う、なんてこともあるのです。

中間層の保育料が安いのは渋谷区! その理由は?

では、平均的な所得階層である「中間額」と、最も負担が重くなる「最高額」の2つで具体的に東京23区を比較してみましょう。

まずは平均的な所得とされる中間額(世帯年収約575万円)。ダントツで保育料が安かったのは、渋谷区。2位の中央区のほぼ半分ですから、驚きです。また、ベスト10には中央区や千代田区、新宿区といった行政区がみられます。この点について普光院さんは、以下のように解説します。

「認可保育所は国と自治体、利用する保護者のお金で運営されています。国は保護者の保育料の上限額を決めているのですが、国の上限額では保護者の負担が重すぎることから、各自治体が予算をとって保護者の費用負担を助成しているのです。そのため、財政が豊かな自治体ほど、保育料が軽い傾向にあります」

東京23区中間額の負担が軽い行政区 ベスト10

順位 3歳未満の月額保育料
1位 渋谷区 7490円
2位 中央区 1万3100円
3位 練馬区 2万600円
4位 新宿区
千代田区
2万1500円
6位 杉並区
文京区
港区
2万3600円
9位 足立区 2万4700円
10位 板橋区 2万4800円
※所得控除前の年収が夫496万2396円、妻が78万7584円とし、夫の社会保険料を69万4735円、子どもが1人の場合の、第一子の保育料。年収は総務省「平成28年度家計年報」の勤労者世帯2人以上世帯の勤め先収入。社会保険料は概算14%

また、都心部のエリアだけでなく、足立区や板橋区もランクイン。この2区は保育園の入りやすさを表した「新規入園決定率」でも上位です。比較的保育園に入りやすく、金額面でも負担が軽いとなると、平均的な所得の共働きカップルが子育てしやすい街といえるのではないでしょうか。

反対に中間額で最も負担が大きかったのは、江戸川区で3万1500円。前回「入園のしやすさ編」で紹介したように、保育園の開設ペースもゆるやかな江戸川区は、保護者負担も高め。その代わり、私立幼稚園の「保護者負担軽減」や学校給食費の「保護者負担軽減」といった独自の施策に注力しているようです。

最高額で保育料が安いのは、荒川区・葛飾区・千代田区

一方で、しばしばあるのが、夫婦で官公庁や大企業に勤めていると、夫婦の年収を合算することで「最高額」の階層になってしまうことだそう。では、その「最高額」で負担が軽い自治体はどこなのでしょうか。

東京23区・最高額の負担が軽い行政区 ベスト10

順位 3歳未満の月額保育料
1位 荒川区
葛飾区
千代田区
5万7500円
4位 江戸川区 5万8500円
5位 北区
豊島区
6万3000円
7位 太田区 6万3500円
8位 中央区 6万4000円
9位 杉並区 6万8500円
10位 墨田区 6万9600円
※第一子の場合

最高額でも負担が軽いのは、葛飾区、荒川区、千代田区。並んでトップという結果に。夫婦でしっかり稼いでも認可保育園の保育料が毎月5万7500円であれば、「ほっとする」という人も多いことでしょう。

「中間層に手厚く補助を出し、高所得層には応分の負担してもらうのか、それとも高所得層の夫婦の負担を軽減して保育所を利用しやすくするのか、自治体の考え方がわかれますね。ただ、他の政令指定都市と比較しても、東京都内は全体に手厚い傾向にあります」(普光院さん)

ちなみに、最高額で負担が重いのは、江東区で月額7万7700円、ついで文京区で7万7500円。通勤アクセスにもすぐれているエリアですが、「所得の高い人はその分に負担を」ということかもしれません。

また、注目したいのは杉並区。中間層・高所得層ともに負担が軽い行政区としてランクイン。どの階層にも、比較的に保育料負担を軽減した「気配りの街」といえそうです。

夫婦の「働き方」で、子育てする「街を選ぶ」という考え方

ここまで、「中間額」と「最高額」ごとで、保育料の負担をみてきました。「中間額」「最高額」をもとに子育てする街を選ぶとしたら、「夫婦でどのように働きたいか?」が街選びにリンクするといえそうです。

2人ともがっつり働きたいのであれば、最高階層の負担が軽い葛飾区や荒川区、千代田区のような街を選ぶのがよさそう。反対に子どもが小さいうちは、夫婦のどちらかが時短勤務やパートタイムでと考えるのであれば、中間層に手厚い渋谷区や中央区、練馬区などがよさそうです。

また、第二子を考えている家庭であれば、第二子以降の保育料の軽減も見逃せないところ。例えば、港区は、23区で唯一、第二子以降の保育料全額無料化としています。

「港区の傾向として、0~1歳、2歳児は多いのに、3歳児以降の幼児が少ないということがあるようです。そこで、末永く港区に住んでもらうための施策として、第二子であれば保育料無料を打ち出しています。第三子はどこの自治体でも無料としています」

今回は認可保育所の保育料について解説していますが、都の基準を満たしている認可外施設に通わせている家庭に対しての助成制度もあり、こちらも行政によって制度が異なります。制度は大きく4つ。

(1)認証保育所に通った場合の保育料との差額を補助(中央区や港区など)
(2)子どもの年齢に応じて補助(新宿区、練馬区など)
(3)世帯収入に応じて補助(江東区、文京区など)
(4)その他(北区、千代田区)

認可保育所に入れなかったことを考えて、住みたいと思っている行政区がどの助成制度を採用しているかもチェックしておきたいところです。

ちなみに今の年収なら保育料がいくらになるのか、どの階層にあてはまるのかは、自治体の窓口にいけば試算をしてもらえます。会社員なら源泉徴収票、自営業なら確定申告書類を持参するとよいでしょう。

保育料の負担は子どもの成長とともに軽く。長期的な視野で考えよう

保育料が高く、「妻の給料はすべて保育料に消えていく…」という愚痴のような悲鳴のような声を聞いたことがある人も多いことでしょう。確かに毎月のこととなると負担感を感じますが、「そこは長期的な目で見て」と普光院さん。

「子どもが3歳になれば保育料は安くなるので、ずっと負担が続くわけではありません。何より生涯賃金で見れば、妻が働き続けることが大きなアドバンテージになります」とアドバイスします。

保育料負担の軽い街で子育てをするのか、保育料が高くても会社に近い場所に住みしっかりと働くのか。働き方と住まい方、考え方に正解はありません。長く、楽しく子育てをするためにも、自分たちにあった街選びをしたいものです。

まとめ

認可保育園の保育料は、世帯年収をもとに「住民税の負担額による所得階層」にあてはめて算出される

預け入れる子どもの年齢・数・利用する時間によっても保育料は異なり、基本的には3歳未満だと高く、年齢が大きくなるほど安くなる

どの階層に当てはまるかは自治体の窓口で試算できるため、会社員なら源泉徴収票、自営業なら確定申告書類を持参し問い合わせよう

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取材・文/嘉屋恭子 
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