ZEH-M(ゼッチマンション)とはどんなマンション?選ぶメリットや新築マンションで増えている理由も解説

最終更新日 2026年03月30日
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ZEH-M(ゼッチマンション)とはどんなマンション?選ぶメリットや新築マンションで増えている理由も解説

エネルギー消費を抑える省エネだけでなく、最近は太陽光発電などでエネルギーを作る創エネも身近になってきています。ZEHの戸建てのほか、最近はZEH-M(ゼッチマンション)の普及も進んでいます。ZEH-Mとは具体的にどのようなものなのでしょうか。住み心地にはどう影響するのでしょうか。戸建住宅や賃貸住宅に続き、新築分譲マンションのZEH化を推進している積水ハウスに取材しました。

ZEH(ゼッチ)とは、「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」を略した呼び方

ZEH-M(ゼッチマンション)について解説する前に、まずは「ZEH(ゼッチ)」について説明しておきましょう。

ZEHとは、Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略。住宅の断熱・省エネ性をあげ、太陽光発電などによってエネルギーを創ることで、年間の一次エネルギー消費量をゼロ以下にしようというものです。

ちなみに、一次エネルギー消費量とは、暖冷房や換気、給湯、照明の使用で消費されるエネルギー量のこと。テレビなどの家電による消費量は含まれません。

ZEH(ゼッチ)の仕組み
断熱や省エネ、創エネにより、消費するエネルギー0を目指すのがZEH(イラスト/いぢちひろゆき)

ZEHの普及は政府も後押し。なぜ?

ZEHの普及は政府が後押しをしており、2021年10月に閣議決定された「第6次エネルギー基本計画」では、「2030年度以降新築される住宅について、ZEH基準の水準の省エネルギー性能の確保を目指す」としています。

なぜ、ZEHの普及を目指すのでしょうか。
「地球温暖化対策のためのCO2排出量の削減、化石燃料からの脱却など、地球規模での課題解決に向けて、エネルギーをいかに有効に使っていくかという取り組みが住宅にも求められるからです」(積水ハウス・古谷さん、以下古谷さん)

日本のエネルギ-自給率は、2024年度は16.4%と、東日本大震災後の6%台から上昇していますが、OECD38カ国中37位(2023年)と未だ低い水準です。ですから住宅など家庭部門での省エネ・創エネはとても重要なのです。
※経済産業省資源エネルギー庁「日本のエネルギー(2026年2月発行)」より。

ZEHはマンションでも普及。ZEH-Mの定義を知っておこう

2018年度以降、ZEH-Mの普及が加速

政府は、注文住宅でのZEH普及への注力から始まり、その後、建売戸建、賃貸住宅、そして、分譲マンションへと普及を後押しする対象を拡大してきました。

ZEH-Mが注目されたのは2018年。マンションにおけるZEHの定義を明確にし、補助金を事業者に交付することでZEH-Mの普及を支援し、加速させる「高層ZEH-M実証事業」「低・中層ZEH-M支援事業」をスタート。2018年度以降、ゼッチマンションが続々登場し、私たちも「ZEH」や「ZEH-M」という言葉を耳にする機会が増えました。

ZEH-Mは4タイプ。定義を解説

ZEH-Mと呼ばれるのは、どのようなマンションなのでしょうか。国が定めた定義を見てみましょう。

ZEH-Mは、省エネ率などによって4タイプに分かれています。

高い断熱性や省エネ性に太陽光パネルなどでの創エネをプラスして住棟全体で100%以上の省エネ率を実現するのが『ZEH-M』。そのほか、Nearly ZEH-M、ZEH-M Ready、ZEH-M Orientedがあり、順に省エネ率の基準がゆるくなっています。

例えば、ZEH-M Orientedの基準は、住棟全体で20%以上の省エネを実現すること。他のタイプに求められる創エネの導入は条件になっていません。これは、階数の高いマンションになるほど、住戸数に対する太陽光パネルの設置数が少なくなるため。それぞれのマンションの規模に応じて、実現可能なタイプを目指せるよう定義が設けられているのです。

なお、マンションの場合、「共用部分を含む住棟」と「専有部分のみの住戸」のそれぞれで評価方法が定められているのが特徴です。

■ZEH-Mは4タイプ
4タイプあるZEH-Mの種類
(イラスト/いぢちひろゆき)

ZEH-Mの補助金制度「ZEH-M支援事業」は、マンションの階数に応じて「高層ZEH-M支援事業(6階以上20階以下)」「中層ZEH-M支援事業(4~5階)」「低層ZEH-M促進事業(3階以下)」の3区分が設けられています。

以下、ZEH-Mの種類ごとに補助金の要件をまとめました。要件の緩やかな「ZEH-M Ready」が4~5階建て限定、「ZEH-M Oeriennted」が6階建て以上限定というように、高層マンションほど設計上の制約が大きいため、再エネ導入要件が一部緩和されています。

なお、当制度の補助対象となるのは、マンションの建築主であるデベロッパーや不動産会社などです。

『ZEH-M』

強化外皮基準(地域ごとに求められる断熱性能の指標・省エネ基準を満たし、UA値を強化した基準。以下同)
住棟全体で再エネ(太陽光発電などでの創エネ、以下同)を含む省エネ率が正味100%以上
住棟全体で省エネのみの省エネ率20%
全区分のマンションが補助対象となる

Nearly ZEH-M

強化外皮基準
住棟全体で再エネを含む省エネ率が正味75%以上100%未満
住棟全体で省エネのみの省エネ率20%
全区分のマンションが補助対象となる

ZEH-M Ready

強化外皮基準
住棟全体で再エネを含む省エネ率が50%以上75%未満
住棟全体で省エネのみの省エネ率20%
4~5階建て(中層マンション)が補助対象となる

ZEH-M Oriented

強化外皮基準
住棟全体で省エネのみの省エネ率20%
再エネの導入は必要ない
6階建て以上(高層マンション)が補助対象となる

■ZEH-Mの定義
ZEH-Mの評価基準をまとめた表
出典:環境共創イニシアチブ「2025年のZEH補助金」(図表作成/SUUMO編集部)

ZEH-Mはどんなマンション? メリットは?

ZEH-Mにするために採用している建材や設備は?

断熱性能や省エネ性能が高いZEH-M。採用される建築材料や住宅設備は、会社や物件によって異なります。例えば、積水ハウスが販売する分譲マンション「グランドメゾン」での主なZEH対応は下の通りです。

  • 壁、屋根、柱、床などにそれぞれの住戸に応じた断熱材を施工
  • 窓には断熱性能の高い高性能複層ガラスを採用
  • 高効率な空調・給湯設備などを採用
  • 家庭用燃料電池エネファームを標準採用(物件や地域の特性によっては採用しない事例もある)

「建物の外気に接する壁や屋根、柱、床、熱の出入りの大きな窓の断熱性能をより高め、高効率な住宅設備を採用することで、一般的なマンションに比べて建築コストや販売価格は高くなります。しかし、快適性やランニングコスト面などのさまざまな別のメリットが享受できるのがZEH-Mです」(古谷さん)

健康面・快適性でのメリット

「断熱性が高いということは、室温が外気温に影響されにくいということ。窓や壁、収納の中に発生し、カビなどの原因になる結露の悩みが軽減されます。住戸内に温度差がないためヒートショックを防ぐことにもつながります。健康面に与えるメリットはとても大きいといえます」(古谷さん)

また、夏の猛暑や、冬の寒さの影響も受けにくいため、住戸内では夏涼しく、冬あたたかい快適な時間を過ごせます。

光熱費が抑えられるメリット

ZEH-Mの断熱性の高さは暮らしのランニングコストにもメリットを生みます。住戸内を快適な室温に保つためのエアコンや床暖房の使用が抑えられます。また、エネファームやエコキュート、エコジョーズなどの高効率な給湯設備や、各住戸に太陽光パネルが割り当てられていれば、創エネによってさらに光熱費は抑えられます。エリアや物件による差はありますが、余剰分の電気を売電することによる光熱費削減も大きなメリットです。

防災面で安心感が高いメリット

地震や台風などの影響で、停電が起こった場合、太陽光パネルと燃料電池エネファームが採用されているZEH-Mなら、ガスの供給が止まっていなければ電気やお湯をつくり、使うことができます。災害時に在宅避難をする場合に、照明が使えて夜も明るい部屋で過ごせたり、冷蔵庫内の食材を無駄にせずにすんだりといった安心感につながります。キッチンでお湯が使えるのも、特に寒い時期には大助かりです。

「電気の供給源が複数あることは、防災面でも重要だと思っています。当社では、今後、物件によっては、停電時には燃料電池から電気が供給されるよう自動的に切り替わるシステムの採用を計画しています」(古谷さん)

住宅ローン控除での節税効果がアップするメリット

ローンを借りて住宅を購入すると年末のローン残高の0.7%相当額が所得税・住民税から一定期間控除されるのが住宅ローン控除(住宅ローン減税)です。控除の対象となるローン残高には上限があり、省エネ性の高い住宅ほど上限額が高くなります。

例えば、控除期間の13年間、4500万円以上の年末ローン残高が続く借り入れをした場合、一般的な省エネ基準を満たす省エネ基準適合住宅の全期間最大控除額は273万円ですが、ZEH-Mでは最大409.5万円になります(子育て世帯等が住宅を取得し2026年~2030年に入居する場合)。

実際に控除される税額は、住宅を購入・新築する人の世帯構成や住宅ローンの借入額、所得税・住民税の税額によって異なります。しかし、所得税等が戻ってくるという面では多くの人にメリットがあるといえます。

新築住宅の住宅ローン控除最大控除額(控除期間は13年)
対象物件 ローン残高の上限 全期間の最大控除額
長期優良住宅・低炭素住宅 5000万円 455万円
ZEH水準省エネ住宅 4500万円 409.5万円
省エネ基準適合住宅(2027年まで) 3000万円 273万円
※19歳未満の子を扶養する世帯または、夫・妻のいずれかが40歳未満の夫婦世帯が新築住宅を取得し、2026年~2030年に入居する場合の最大控除額
※新築の省エネ基準適合住宅は、原則として、2028年以降は住宅ローン控除の対象外となる
※実際に控除される税額は、ローン残高などによって異なり、納めた所得税・住民税以上の税額が戻ることはない(図表作成/SUUMO編集部)

資産価値が維持しやすいメリット

ZEH-Mは、個人のリフォームでは変更できない建物自体の基本性能が優れています。そのため、耐久性や快適性、経済性を長く維持することができます。20年後、30年後といった将来、ZEH-Mの水準ではない物件と比べると、売却の際に有利になるなど資産価値の面でもメリットが出ることが考えられます。

ZEH-Mのメリットを伝えるイラスト
ZEH-Mにはさまざまなメリットがある(イラスト/いぢちひろゆき)

【実例】マンションの特性を活かしながらZEH-M基準をクリアした物件を紹介

立地や物件の特性や主な居住者層によって、マンションのZEH化のためのプランは異なります。ここでは、積水ハウスが手がけた物件から、それぞれの特徴を活かすポイントについて紹介します。

実例1:開放感と高断熱を両立した長期優良住宅認定マンション

グランドメゾン杉並永福町(東京都杉並区)

第一種低層住居専用地域の戸建エリアと大宮八幡宮・和田堀公園の緑に臨む、武蔵野台地の高台に位置する2025年7月竣工の「グランドメゾン杉並永福町」。都心の喧騒から離れた歴史ある環境に建つ8階建て51戸のマンションです。

南側低層住宅地と北側緑地という周辺環境の良さを建物に取り込むため、各住戸に高断熱ペアガラスを採用した開放感ある開口を設けたプランニングを企画。またZEH-M Orientedだけでなく、耐震等級2をベースとする長期優良住宅認定や低炭素建築物認定等も取得するなど、環境配慮と共にさらなる安心・安全を提供できる建物として計画。誰もが長く快適に暮らしていただける資産としての価値向上も実現しています。

長期優良住宅、低炭素建築物の基準を満たす「グランドメゾン杉並永福町」
長期優良住宅、低炭素建築物の基準を満たす「グランドメゾン杉並永福町」
ZEH-M Oriented、長期優良住宅、低炭素建築物の基準を満たす「グランドメゾン杉並永福町」(画像提供/積水ハウス)

実例2:階段状の建物計画や屋上緑化による、多様な住戸プランが魅力の高規格マンション

グランドメゾンThe本山鹿子町(愛知県名古屋市)
都心エリアに隣接する第一種低層住居専用地域の丘陵地に建つ2026年9月竣工予定の「グランドメゾンThe本山鹿子町」。既存の地域環境特性に配慮した、低層38戸のマンションです。

南斜面の立地を活かした階段状の計画にすることで、位置や階ごとに24タイプのワイドスパンの住戸プランを設定。自然光や風を積極的に取り込むとともに、テラスや屋上緑化を設けるなど、単なる数値にとどまらないそれぞれのプランに応じた形でのZEH-M Orientedを実現しています。また設備等の採用についても上質感と環境配慮の双方を目指し、低炭素建築物認定も取得するなど、快適な暮らしと環境配慮を無理なく両立しています。

多様な住戸プランと緑豊かな外構を備えた邸宅「グランドメゾンThe本山鹿子町」の外観
多様な住戸プランと緑豊かな外構を備えた邸宅「グランドメゾンThe本山鹿子町」の外観
ZEH-M Orientedと低炭素建築物認定を取得し、多様な住戸プランと緑豊かな外構を備えた邸宅「グランドメゾンThe本山鹿子町」(画像提供/積水ハウス)

今後、ZEH-Mはマンションのスタンダードに

「全世界で脱炭素社会への転換が求められている今、ZEH-Mの基準を満たすことがこれからのマンションのスタンダードになっていくでしょう。マンションでは、住棟単位での基準を満たすZEH-Mと、住戸単位で基準を満たす住戸ZEHがあります。

当社では、2023年以降に販売する分譲マンション「グランドメゾン」の全てがZEH-Mに。そして、棟内のすべての住戸がZEHとなります。今、住戸はZEH Oriented、住棟はZEH-M Oriented以上を基準としていますが、今後はその省エネ率−20%という基準をさらに超えていくよう取り組んでいきます」(古谷さん)

ZEH-Mはこれからのマンション選びの指標の一つになっていくはず。ZEH-Mのメリットを知ったうえで、各社の取り組みにも注目していきましょう。

まとめ

断熱や省エネ、創エネにより、消費するエネルギー0を目指すのがZEH

マンションにおけるZEH基準を満たすのがZEH-M

ZEH-Mは省エネ率などによって4タイプがある

ZEH-Mは快適性や光熱費、節税、防災、資産価値などの面でメリットが大きい

これからのマンションはZEH-Mがスタンダードに

SUUMOコンテンツスタッフ

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