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タワーマンションの最上階での暮らしは、開放感のある美しい景色を存分に楽しめる点が魅力です。眺望はもちろん、採光や通風の良さといった快適性、さらに資産価値の高さなどさまざまな魅力があり、一方、デメリットとなる注意すべき点も存在します。
そこでこの記事では、タワーマンションの最上階で暮らすメリットやデメリットをはじめ、暑さや寒さを含む快適性、部屋選びのポイントなどを解説していきます。タワーマンションでの暮らしを考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
タワーマンションの最上階といっても、どの程度高さがあるのか知らない方も多いでしょう。まずは、地上何m程度の高さがあるのか解説するとともに、高さのイメージをつかむためにも、どのような建物が当てはまるのか紹介していきます。
地上何m以上の高さのマンションをタワーマンションというのでしょう?タワーマンション(タワマン)には法的な定義はありませんが、20階建て以上のマンションをタワーマンションと呼ぶのが一般的です。これは、建築基準法で、高さ60m超の建築物が「超高層建築物」とされており、高さ60mの建物はマンションでは20階建て程度になるからです。最近は、100m超のタワーマンションも珍しくはなく、高さ200m超の物件も多く見られます。
高さ100m、200mといわれても実際どれくらいの高さでどのような眺望なのか、あまりピンとこない方もいるでしょう。東京都内の身近な建物でいえば、東京都庁は地上243m、展望室は地上202m。東京タワーはメインデッキが地上150m、その上のトップデッキが地上250m。関西なら京都タワー展望室は地上100m、通天閣4階の展望台が84mです。展望室からの景色を眺めることで、タワーマンションからの眺望をイメージしてみるのもいいかもしれません。

タワーマンション、そのなかでも最上階の住戸には、さまざまなメリットがあります。
・眺望がいい
タワーマンションが多く集まるエリアでは、高層階であっても、周辺の建物が眺望を遮る場合があります。しかし、最上階の窓からは空が大きく眺められ、同じくらいの高さの建物が接近していなければ、眺望も期待でき、開放感が得られます。
・採光がいい
タワーマンションは敷地が広いため、窓のすぐ近くに別の建物がある、ということはなく採光が良いといえます。特に最上階なら、北向きの部屋でも窓の外が開放的な立地なら採光の良さは期待できます。
・生活音を感じにくい
最上階のため上階からの足音など、生活音の心配がありません。
・希少性が高い間取りや広さ
グレードの高い物件等では、最上階が特別仕様になっているプランを見かけます。他のフロアよりも専有面積が広い住戸があったり、メゾネットになっていたりなど、同じマンション内でも希少性のあるプランであることも。
・ラウンジが近い
居住者が利用できるラウンジやゲストルーム、展望室は見晴らしのいい高層階に設けられるケースが多く、近くにある最上階の部屋からは比較的アクセスしやすい場合があります。
・セキュリティ面で安心
タワーマンションは、24時間有人管理や二重三重のオートロックなどで、もともとセキュリティが高いのが特徴。最上階は外からの侵入もより難しいため、安心して暮らすことができます。
・高層階専用エレベーターで便利
高層階専用エレベーターがあるタワーマンションなら、エントランスや駐車場から最上階までをスピーディーに行き来できます。
・将来、貸しやすい、売りやすい資産性の高さ
最上階は一般的なマンションでも人気が高いもの。立地や共用施設の豪華さなど、さまざまなメリットがあるタワーマンションとなるとなおさらです。人気が高く、住みたい人が多い最上階は、将来、貸したり、売ったりがスムーズにできる可能性が高いといえます。
そのほか、最上階には限りませんが、エントランスや共用施設が豪華、駅に近い利便性、再開発エリアに誕生したタワーマンションは機能が充実した街で暮らせるなどのメリットもあります。

タワーマンションの最上階には、低層階や中層階にはないデメリットもあります。
・最上階では他の階に比べて暑さや寒さを感じる物件がある
コンクリートでできた建物は蓄熱しやすく、古いマンションなどで屋上の断熱性能が低い場合は夏の暑さが室内に影響することがあります。また、冬はコンクリートが冷えてしまい、断熱性能によっては寒さも感じることも。ただし、最近の、特に新築のマンションは断熱性能が上がっていますから、暑さや寒さを過度に心配する必要はないでしょう。もしも住んでみて暑さや寒さを感じるなら、躯体の内側に断熱材を施工するリフォームで断熱性能をアップさせる方法もあります。
ただし、遮るもののない西向きの部屋などでは、夏の間、容赦なく入ってくる日差しで部屋の温度が高くなることがあります。
・エレベーターの上り下りで時間がかかる
乗り降りする人が多い時間帯は特に、エレベーターでの上り下りに時間がかかるのが最上階のデメリットです。ただし、前述のように高層階専用エレベーターがある場合は、エレベーター待ちのストレスは少なくなるでしょう。
・携帯の電波が入りにくい
マンションの立地や高さにもよりますが、携帯電話の電波が入りにくいケースがあります。
・管理費や修繕積立金が高くなる
タワーマンションは、月々の管理費や修繕積立金が高いため、購入後に発生する費用が、一般的なマンションよりも高額になりやすい点がデメリットです。特にハイスペックな設備や、プール・ジム・ラウンジなどの豪華な共用施設を備えている物件では、提供されるサービスの質が高いため、その分、維持管理費も上昇します。
また、国土交通省の「平成30年度 マンション総合調査結果」によると、1戸あたりの修繕積立金の平均額は、一般的なマンションが月額1万1060円であるのに対し、タワーマンションは1万2305円と高い傾向にあります。
さらに、専有面積が広い住戸ほど負担額も大きくなるため、最上階など広めの住戸では修繕積立金も高額になりやすい点に注意が必要です。
・地震や風での揺れ
タワーマンションは、耐震性能に優れています。しかし、地震や強風で建物が揺れるのは一般のマンションと同じで、揺れは高層階ほど大きく、時間も長く続きます。常に揺れているような感覚になる場合もあるので、地震に敏感な人は日常的にストレスを感じるかもしれません。
・停電でエレベーターや水が止まる
大きな地震や火災、停電が発生するとエレベーターは使えなくなります。最上階の場合は特に、階段を使っての外との行き来が大変になります。また、停電時には給水ポンプが止まるため水も使えなくなりますから、万一に備えて、水や食糧のストックをしておくことが必要です。
そのほか、最上階に限らず、タワーマンションの高層階では外に出るのがおっくう、バルコニーに洗濯物を干せない場合があるなどのデメリットがあります。

タワーマンションの最上階ならではの魅力は多くありますが、その一方で、暑さや寒さ、災害時のリスクなど注意すべき点も存在します。ここでは、タワーマンションで最上階を選ぶ際に確認すべきポイントについて解説します。
タワーマンションの最上階の最大の特徴であり、メリットなのが眺望の良さです。それを最大限に楽しむために、窓から何が見えるのか、どれくらいの高さなのかをチェックしましょう。都心の夜景を見たいのか、山並みや海など自然を感じる景色がいいのかなど、自分の好みに合うかも大切です。
新築物件なら、モデルルームに方角別、階数別の眺望のイメージ画像が用意されていることがあります。中古での購入や賃貸での部屋探しの場合は、必ず現地で確認しましょう。できれば、時間帯を変えて見学することが大切です。
地震の際に揺れることはタワーマンションなら避けられません。携帯電話の電波の届きにくさは建物完成前の新築では確認が難しいのですが、入居後に携帯電話会社から電波改善装置をレンタルするなどの対応策があります。
部屋選びの段階で確認しておきたいのは、避難ルートや停電時の対策など災害時の備え。最近は、太陽光パネルや蓄電システムを備え、停電時にも共用部の電気が使えるようにしていたり、水や食糧を備蓄しているマンションも見られます。

タワーマンションの最上階での暮らしには、眺望や採光の良さといった魅力がある一方で、家賃の高さも気になるところです。ここでは、実際の家賃相場をもとに、必要な年収の目安について解説します。
タワーマンションでは、階数が上がるにつれて家賃も高くなる傾向にあります。例えば、同じマンション内にある同程度の広さ・間取りの部屋でも、低層階より高層階の方が家賃は高く設定されます。
タワーマンションの最上階と、それ以外の階では同じ広さの部屋でも家賃に違いがあります。例えば、SUUMO※で検索した東京都豊島区に立つ22階建てのマンション。3階にある37.89m2で1LDKの部屋では家賃が17万1000円です。一方、最上階にある32.05 m2の1LDKの部屋の家賃は18万5000円です。広さは若干の違いがありますが、どちらも北西向きの部屋。しかし、最上階の方が3階の部屋よりも毎月1万4000円も家賃が高く設定されています。※あくまでも目安の一例として紹介しています。
一般的に、毎月の家賃は手取り月収の30%までが適正だと考えられています。地域やそれぞれのライフスタイルによって月収の何割までが安心なのかは異なりますが、ここでは手取り月収の30%と考えて話を進めていきます。上記の家賃で考えると、3階にある家賃17万1000円の部屋であれば、家賃の30%になる手取り月収は57万円、手取り年収に換算すると684万円です。
一方、最上階にある家賃18万5000円の部屋になると、家賃が30%になる手取り月収は61万2000円程度となり、手取り年収に換算すれば約734万円です。このケースでは、3階ではなく最上階の22階の部屋を借りるために、必要となる手取り年収は1割程度アップすることになります。
※2025年8月28日時点での情報です。
借りるのではなく購入する場合は、タワーマンションの最上階はどの程度の価格で購入できるのでしょうか。価格は、立地やマンション全体のグレード、新築もしくは中古、住戸の広さ、階数など、条件によって違いがあります。
東京都ではなく、大阪圏や名古屋圏を含む三大都市圏、札幌市、仙台市、広島市、福岡市といった地方中枢都市などでもタワーマンションの供給は進んでいますが、最上階は地方都市であっても1億円を超えるケースは珍しくありません。中には、3億円や4億円となる部屋もあります。一方、郊外でもタワーマンションが供給されている東京エリアでは、1億円未満で購入できる最上階の部屋も存在します。
傾向としては、同じマンションの他の階の部屋よりも最上階の部屋は高めの価格が設定されています。物件によっては、他の階にはない広さやグレードの部屋も用意されており、その場合は価格も大幅にアップします。
例えば、東京都江戸川区に建設中の地上33階建てタワーマンション「プラウドタワー小岩フロント」では、74.28m2の住戸が9798万円で販売されています。
※2025年8月28日時点での情報です。

眺望や採光など、快適な暮らし心地が得られるタワーマンションの最上階。問題は、借りる場合も購入する場合もコストが大きいということ。余裕をもって借りたり、購入したりできるのか、自分の年収や資産を確認してから決めるといいでしょう。
タワーマンションの最上階は、同じマンションの他の階よりも、さらに眺望や採光の良さが期待できる
最上階の住戸は、他の階にはない間取りや広さの希少性の高いタイプがあることも
最上階の住戸は、災害時の停電や断水の際のリスクが大きいため、普段から備えておく必要がある
部屋探しの際には眺望のほか、マンション全体で災害に対してどのような備えをしているかをチェックしよう
タワーマンションの最上階を借りる・購入する場合、家賃や価格は高めになる傾向