マンションを購入しても自治会・町内会に入らないとダメ?加入の目的やメリットを解説

最終更新日 2023年11月30日
マンションを購入しても自治会・町内会に入らないとダメ?加入の目的やメリットを解説

「マンションを購入したら自治会(町内会)にまで加入しなきゃいけないの?」と疑問を感じていませんか?自治会への加入は強制ではありませんが、自治会とマンションの管理組合は別物。両者とも役割が異なるため、自治会の役割を知ったうえで加入を検討しましょう。

今回は、自治会の役割やマンションの管理組合との違い、加入のメリット・デメリットについて、専門家の水津陽子さんの見解を交えて解説します。

マンションの自治会(町内会)って何?管理組合との違いは

「自治会」は、一定のエリアの住民で構成される組織であり、マンションの「管理組合」とは所有者で構成される組織です。マンション内に自治会が形成されているケースもあります。水津さんに、両者の違いとマンションの自治会について伺いました。

自治会とは?

自治会(町内会)とは、自分たちが住むエリアの問題の解決や魅力の創出、住人同士の交流などを目的とした住民自治組織です。そのエリアに住む人が構成員となりますが、加入は任意。総務省によれば、2020年度の自治会加入率は指定都市で7割ほど、人口1万人未満の都市では8割前後だといいます。小さな町ほど、加入率は高い傾向にあるようです。ただ、いずれのエリアも自治会の加入率は低下傾向にあります。なお、地縁団体については地域によって自治会、町内会のほか、町会、区会、区、部落会などの呼び名を用いているところもあります。

指定都市の指定都市の自治会加入率の推移
年度 加入率(%)
H22 78.0%
H23 77.6%
H24 77.2%
H25 76.5%
H26 75.9%
H27 75.3%
H28 74.7%
H29 74.0%
H30 73.3%
R01 72.4%
R02 71.7%
自治会の加入率は低下傾向にある
(資料/総務省 「自治会等に関する市区町村の取り組みについてのアンケート調査」)

マンションの管理組合とは?

一方、マンションの管理組合とは、マンションの所有者で構成される団体です。自治会のように加入は任意ではなく、義務。これは、区分所有法によって定められています。管理組合は、組合員の中から専任された理事や委員などを中心に、マンションの維持や管理を目的に活動しています。

マンションによっては管理組合と自治会が一体化していることも

基本的に自治会とマンションの管理組合は別物ですが、水津さんによれば、自治的な機能を持ったマンションの管理組合も見られるそうです。

「千葉市では、マンションの管理組合を町内自治会と同様の組織として位置付ける制度があります。新たに自治会をつくらなくても、自治会と同じように行政から情報提供をしてもらえたり、地域活動をする際、補助や助成を受けることもできるため、マンションの管理組合にも一定のメリットがあると思います」(水津さん)

一方、マンションの管理組合の中には、コミュニティ活動を担う部会を設けたり、管理組合が自治会の活動費を支出してマンションの防災や環境美化、交流など、マンションの住みよさや資産価値の向上につながるコミュニティ活動の運営を任せるところもあります。ただし、こうした取り組みはまだまだ一部だと水津さんは言います。

自治会の活動内容は?

任意団体である自治会は、法律で「やらなければならないこと」や「決めなければならないこと」が定められているわけではありません。そのため、各自治会によって活動内容はさまざまです。ここでは、多くの自治会に見られる活動内容を紹介します。

地域の安全を守る

自治会の多くは、地域の安心・安全を守ることを目的のひとつとしています。大規模災害が発生したときに大事なのは、自らを守る「自助」に加え、お互いに助け合う「共助」。自治会で、独自に防災訓練を実施したり、防災備蓄をしていたりするケースも見られます。

高齢者の多い自治会では、孤立化や孤独死を避けるため、自治会が主体となって高齢者の見守りを推進している地域もあります。同様に、子どもが多い地域では、登下校や夜間の見守りパトロールなどの活動をしている自治会もあるようです。

自治会員がパトロールしている様子
子どもが多いエリアでは、登下校時の見守りや防犯パトロールする自治会も見られる(イラスト/青山京子)

周辺住民との情報共有

行政や地域の情報を拡散し、共有することも自治会の役割のひとつ。一部には、独自に定期的に広報誌を発行したり、ホームページを制作・更新していたりする自治会もあるようです。マンションの管理組合には理事会や委員会がありますが、自治会にも役員会や定例総会があります。ここで運営方法や活動内容などについて協議等が行われます。

自治会員が話し合っている様子
自治会にも、管理組合のような役員会や定例総会がある(イラスト/青山京子)

イベントやお祭りの企画・運営

多くの自治会で見られるのが、クリスマスや七夕などのイベントやお祭りを催すことです。季節によってさまざまなイベントがあれば、子どもをはじめ多くの方が楽しめます。イベントやお祭りを企画・運営する目的は、楽しむことだけではなく、地域住人同士の「親睦」にあります。親睦を深めることで近くにどんな人が住んでいるか把握でき、有事の際にはお互い助け合うことができます。

お祭りの様子
お祭りなどのイベントを企画・運営するのも、自治会の役割のひとつ(画像/PIXTA)

マンション居住者が自治会に入るメリットは?

エリアやマンションによって、マンション居住者が自治会に加入する方法は異なります。

  • 各世帯の判断で自治会に入る
  • マンションの管理組合が自治会に加入している
     ※管理組合の自治会への加入は任意のため、マンションによって加入していない場合もある
  • 管理組合が自治会の機能を持ち合わせている

いずれにしても、マンションの居住者が自治会に入るメリットはどんなことにあるのでしょうか?

マンションの居住者が自治会に加入する方法
マンション居住者が自治会に加入する方法は、エリアやマンションによって異なる(イラスト/青山京子)

被災時にも安心

近年、自然災害が多発化・甚大化しています。2019年には、台風の影響による多摩川の水位上昇を受け、神奈川県川崎市の武蔵小杉駅周辺で内水氾濫が発生し、周辺の高層マンションが浸水する被害が発生。一部のマンションでは、高圧受変電設備などが故障するなど多大な被害を受けました。被災当時は、マンションの住人も土嚢(どのう)積みや排水作業にあたったといいます。自然災害は、突発的かつ広範囲に及ぶものです。マンションの住人のみならず、地域の住人同士が顔見知りで関係性が築かれていれば、防災や減災、共助にもつながるでしょう。

「被災したマンションでは電気や水道の復旧に長い時間を要したところもありましたが、日ごろからコミュニティの活動が活発なマンションでは被災直後から、多数の住民のボランティが排水作業にあたりました。当初は長期の避難生活を想定したそうですが、早期にインフラの回復に至りました」(水津さん)

地域住民とコミュニケーションが取れる

地域のお祭りやイベント、日々の清掃作業などがなければ、なかなか地域住民と関わる機会はありません。自治会に入ることで、マンション内だけでなく、地域にどんな方が住んでいるか知ることができ、交流できます。

「昨今、大手デベロッパーの中には、マンションコミュニティの形成に力を入れているところがあります。自治会はあくまで任意の団体ですが、都市部では大手のデベロッパーや管理会社が、自治会の立ち上げをサポートしているケースも見られます」(水津さん)

地域の情報を得られる

地域住人と仲良くなることで、いざという時に助け合えたり、地域の情報が耳に入りやすくなります。

  • 地域のイベント開催
  • 地域限定のプレミアム商品券発行のお知らせ
  • 地域福祉の情報

上記のようなことは、テレビやラジオで流れてくるものではありません。耳寄り情報が得られやすくなり、平時から地域のことを把握しやすくなることも、自治会に加入するメリットのひとつだといえるでしょう。

マンション居住者が自治会に入るデメリットはある?

自治会への加入は、メリットばかりではありません。加入は任意であり、一定の費用がかかることから、デメリットも認識したうえで加入を検討する必要があるでしょう。

自治会費(町内会費)がかかる

自治会の会費については、次の3つのケースで異なります。

1.個人で加入
2.マンションとして加入 
3.独自に自治会設立

「1.個人で加入」の場合、都市部では月百円~数百円が多く、「2.マンションとして加入」する場合は戸数ではなく、一棟いくらと定めていることもあります。「3.独自に自治会設立」する場合は、独自に会費を決めることができます。会費の使途は、防災防犯や環境美化、イベントや親睦事業などさまざま。防犯カメラを設置する際には自治体の補助がある場合もありますが、すべての自治体がこうした制度を備えているわけではありません。街路灯は自治体からの助成を得て自治会が設置し、自治会が管理し、電気代を負担しているところもありますが、こうした役割を自治会が担っていることは知らない市民の方も少なくありません。

「会費については一部、年間1万円以上、中には10万円を超えるような地域もあり、入会金や集会所建設費等の負担を求める例もありますが、大都市圏ではほとんどみません。会費が何に使われているか、総会の資料にある決算書類などで活動内容や支出の趣旨等を確認して、加入するかどうか判断されると良いと思います。会の運営方法や活動内容に納得できない場合、加入しないという判断もあるかと思いますが、その場合、地域のNPOなどの活動の中から自分に合う共助コミュニティを探してみるのも、ひとつの選択肢です」(水津さん)

自治会費(町内会費)が家計の負担になることも
多くの自治会の会費は数百円程度だが、中には高額な会費がかかる自治体もある(イラスト/青山京子)

地域の活動に参加しなければならない

「自治会への加入や活動への参加は本来強制されるものではありませんが、加入すると班長などの役が回ってきたり、清掃活動などへの参加を求められることもあります。」(水津さん)

ゴミ拾いや清掃など、自治会の活動内容
自治会に加入することで、地域の清掃活動などに参加しなければならないことも(イラスト/青山京子)

業務負担がある

自治会は、任意の団体です。話し合いやイベントの開催、清掃活動、防災訓練などは、基本的に住民相互が協力して行うものですが、人によってはこれらの活動が負担に感じることもあるでしょう。特に自治会長や役員になれば、業務負担が増えることも考えられます。会長などを引き受けるつもりはないとしても、輪番制で役割が回ってくる自治会も少なくありません。

ただ、最近都内では、会費や役を強制せず、希望や都合で参加できる自治会も見られるようになっていると水津さんは言います。

「会費ゼロ、役の強制もなしで、地域連携や有志サポーターにより活動している自治会もあります。このような自治会は、イベントを開催する際には実行委員会形式で運営し、イベントの運営は会費ではなく、参加者から参加費を徴収する受益者負担や協賛金などによって賄うことも少なくありません。自分が参加したい活動やイベントだけに参加し、参加する際はその費用を負担するという形態も、自治会の在り方のひとつ。まだまだ数は多くありませんが、こういった自治会の形態は今後どんどん広まっていくかもしれませんね」(水津さん)

自治会の活動が負担になることも
自治会の活動は住民自治、自分事として住民相互が協力して行うものだが、ときには業務が負担になることも(イラスト/青山京子)

自治会に入らないことで起こり得るトラブルとは?

ここまでお伝えしたとおり、マンションの所有者は必ず管理組合に所属しますが、自治会への参加にいたっては任意です。強制的に自治体に加入させたり、退会させなかったりする行為は違法となり得ます。しかし、自治会に入らないことによってトラブルが起きてしまうこともあるのだとか……。水津さんに、どんなトラブルが想定されるのか、トラブルを回避する方法はあるのか伺いました。

トラブル事例:地域の行事に参加しにくくなる

「自治会の中には、会費に『氏子費』などの『神社関係費』や赤い羽根募金などの金額を含めて請求している例もあります。神社関係費や募金は、思想や信教上の自由において強制できないという判決も出ています。あくまでお願いベースですが、地方部などでは氏子でないと会員にはなれないという自治会も未だに存在します。募金の会費上乗せに関しては、マンションなどの集合住宅ではよく問題視されるところです。また、地域伝統の祭りに参加することを楽しみに加入したのに、新参者は神輿などの担ぎ手にはなれず、些末な役割を割り当てられてガッカリしたという声も時々聞きます。

とはいえ、自治会に加入していなくても参加できるお祭りやイベントもたくさんあります。近年は神輿の担ぎ手を外に頼る団体も少なくありません。自分が住むエリアはもちろん、会社や学校がある地域でも参加できる祭りやイベントを探してみましょう。どのような地域活動があるかを知りたい場合は、自治体で自治会やNPOなどの地域活動団体を所管、支援している担当課などに問い合わせたり、市のホームページを検索してみるといいでしょう」(水津さん)

自治体に加入しないことで地域のイベントに参加にしくいことも
自治会に加入しないことで参加できない活動も出てくる可能性がある(イラスト/青山京子)

マンションの管理組合と自治会が関わることもあるの?

マンションの管理組合と自治会は基本的には別物ですが、マンションが自治会に加入していれば、管理組合の理事が自治会の役員会に参加したり、逆に自治会から管理組合に要望が出されることもあります。そもそも、マンションが自治会に加入する意味は「所有者の集まりである管理組合機能にない、地域コミュニティの活動を求めるから」だと、水津さんは言います。

合同の防災訓練やイベントも見られる

自治会と管理組合が連携や協力して、防災訓練やイベントを開催するケースも見られます。

「自治会の防災訓練やイベントにマンションが参加したり、共催したり、さまざまな連携協力例があります。古い住宅が多い地域では、マンションの共有スペースを避難場所として提供する例などもあります。マンションだけではできないことも自治会に加入したり、加入しなくても相互協力や連携したりすることでできることもあると思います」(水津さん)

自治会の加入方法はマンションや自治体次第

マンションの管理組合も、組織によって活動内容は異なります。マンションの管理組合でカバーできない部分について、地域の中で補完できる手段として自治会の設立や会加入、他の地域団体などとの連携が選択肢としてあります。また、個人で加入するか、マンションで加入するかもマンションやその地域の自治体次第です。

まとめ

自治会加入はマンションの管理組合のように必須ではない

自治会に入ることで地域住民とコミュニケーションが取れる

安全・快適なまちづくりのため加入を検討しよう

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取材・文/亀梨奈美(りんかく・realwave) イラスト/青山京子
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