ルーフバルコニー付きマンションの魅力と注意点活用例と使用の注意点は?

最終更新日 2025年10月27日

ルーフバルコニー付きマンションの魅力と注意点活用例と使用の注意点は?

マンション選びでは、ルーフバルコニーに魅力を感じる方も多いでしょう。開放感があり、趣味やプライベートな時間を楽しむ際に活用できる場所です。さまざまなメリットがあるルーフバルコニーですが、住む際には注意すべき点もあります。

この記事では、ルーフバルコニーの定義をはじめ、メリットやデメリット、注意点などを解説していきます。活用実例についてもまとめているので、ルーフバルコニーのあるマンションが気になっている方、ルーフバルコニーについて知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

ルーフバルコニーの定義

今回、ルーフバルコニーについて詳しくお話を伺ったのは、“「家」の固定観念を飛び越えて、一人ひとりのストーリーに沿った住まいづくり”を得意としているデザイン事務所、ブルースタジオの石井健さん。これまで、ルーフバルコニーのリノベーションも多数手がけられています。

マンションのルーフバルコニーは共用部

まず、そもそも「ルーフバルコニー」とはどういったものなのか、解説してもらいました。

「『ルーフバルコニー』と呼ばれているため、専用庭のように認識されがちですが、実際には『ルーフ=屋根、屋上』なので、マンションでは『共用部』ということになります」(石井さん、以下同)

厳密に言うと、ルーフバルコニーに個人の「所有権」はなく「利用権」のみ付与されていることになります。そのため、自由度は専有部分と同じではありません。さらに、法律で定められたルールもしっかりおさえておきたいところ。

「ルーフバルコニーは屋根なので、人が歩くことを前提としていないケースもあります。その場合、床面を保護せずに家具を設置したり、歩行したりすることで、コンクリートの防水層を傷つけてしまうことに。そうなると、階下へ漏水してしまいます。ルーフバルコニーを活用したいのであれば、歩行用の防水仕上げでなくてはいけません。そのため、歩行用に塗装されているかどうかを確認、されていないのであれば床面を保護する処置が必要になります」

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ルーフバルコニー付きマンションのメリット

ルーフバルコニーのあるマンション、ないマンションでは暮らし方に大きな違いがあります。ルーフバルコニーのあるマンションに住むと、どのようなメリットが得られるのでしょうか。

開放感があり部屋が広く感じられる

ルーフバルコニーは、室内の延長線上に設定されています。そのため、一見すると部屋が広くなったように感じます。同じ間取りでも、ルーフバルコニーの有無によって開放感に大きな違いがあるはずです。

また、ルーフバルコニーと室内の床の色が同調色だと、通常よりもさらに広く感じます。開放感があり、室内を広く見せたいと考えているのなら、ルーフバルコニー付きのマンションを検討してみてください。

周囲の視線が気にならず趣味やプライベート空間を満喫できる

ルーフバルコニーは下の階の屋根の上を床面として利用しているため、一般的には2階以上の部屋に設置されるケースが多くなっています。道路に面した部分にウッドデッキや庭がある家だと、人目を気にしてしまう方もいるはずです。しかし、2階以上であれば道路から直接見られる心配がないため、人目を気にせず趣味やプライベートの時間を満喫できます。

また、ルーフバルコニーは部屋から少し離れた位置に設置されることが多いため、バルコニー側から直接部屋の中を覗き込まれる心配が少なく、外からの視線が届きにくい構造になっています。状況によってはカーテンを開けて外の風を感じながら、開放的に過ごすこともできます。

特にマンションが密集している住宅地であれば、隣の建物との距離が近く、視線が気になる方もいるはずです。しかし、ルーフバルコニー付きのマンションであれば、部屋の中が見えにくいので、視線を気にせず不安なく過ごせます。プライバシーを確保して安心して過ごせるのは大きなメリットだと言えます。

子どもの遊び場やペットスペースとして使える

ルーフバルコニーは、広さを活かしたさまざまな使い方ができます。特に、子どもやペットのいる家庭は重宝するでしょう。例えば、プランターを並べて家庭菜園にすれば食育につながります。ガーデニングで水やりや雑草取りといったお世話をすることは、子どもの感性を育てる良い機会になります。

テントを張ればお家キャンプのような楽しみ方も可能です。食事をしたり、夜空を眺めながら過ごすなど、家にいながらでも非日常を味わえる貴重な体験ができるでしょう。ただし、焼肉やBBQなど煙やにおいが強いもの、夜間の騒がしい使用などは近隣トラブルにつながる恐れがあるため注意が必要です。物件によっては、ルーフバルコニーでの飲食やテント設置を制限しているケースもあるため、使用前に管理規約を確認しておくとよいでしょう。

また、ルーフバルコニーはペットとの相性も抜群です。一般的なバルコニーやベランダと比較すると広さがあるため、遊び場として活用できます。日光浴ができ、散歩に行けないときにはペットの運動場として遊ばせることが可能です。日除けとしてドッグハウスを用意すれば、ゆっくりと休める空間もつくれます。

希少性が高く資産価値を維持しやすい

資産価値は立地や築年数、物件の管理状況などの要因によって変動しますが、ルーフバルコニー付きマンションは物件数が少なく希少性があるため、一般的には資産価値を維持しやすいメリットもあります。加えて角部屋や天井が高いといった特徴のある部屋であれば、さらに希少価値が高くなります。

年月が経てばライフステージにも変化があります。そのため、急遽引越しが必要になればマンションの売却を検討するケースもあります。そんなときでも、ルーフバルコニー付きマンションであれば一定の需要が見込まれるため、比較的有利な条件で売却できる可能性があります。資産形成の一環として、選択肢の1つに加えてみてもよいでしょう。

ルーフバルコニー付きマンションのデメリット

ルーフバルコニーは、掃除やメンテナンスが必要になる点に注意してください。屋根がないため、汚れやすくなります。また、雨や風が吹き込むのはもちろん、ホコリや花粉、排気ガスといった汚れもたまりやすいため、掃除をしないと汚い空間になってしまいます。

さらに、勾配が少ないので雨水もたまりやすいです。劣化が早く進む可能性があるため、新築だったとしても早ければ5~6年程度でひび割れが発生するケースがあります。

しかし、ルーフバルコニーは「専有使用権付きの共用部分」とされており、居住者が勝手に修繕することはできません。防水機能が劣化すると雨漏りの原因になり、下階の住戸に影響を及ぼす恐れもあるため、異変に気づいた際は速やかに管理組合へ連絡し、適切な対応を依頼することが大切です。排水管が詰まることでも雨漏りを引き起こすので、定期的に排水管に異常がないか点検する必要もあります。

ウッドデッキやタイルを敷く場合にも注意が必要

また、ウッドデッキなどで床を底上げする際には、床面から手すりまでの高さに注意が必要です。

「日本の法律では、バルコニーの床面から測って1.1m以上の高さがある手すりをつけることが定められています。そのため、例えばデッキを敷くときにも注意が必要です。厚みがある板材だと床面が数十cm高くなることも。手すりの高さが1.1m未満になるのは法律に抵触してしまいます。また、景観や安全面を考慮して手すりに設置物をつけるのを禁じているマンションも多いので、きちんと確認を取りましょう」

なお、木材のほかにもタイルや人工芝などを敷くケースもあるそうですが、排水溝が汚れで詰まらないように定期的に水を流すなどの掃除も大切です。

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ほかにも、ルーフバルコニーに物を設置する場合は法律や構造計算で定められた建築物の床に加わる荷重「積載荷重(せきさいかじゅう)」の上限を超えないこと。また、強風で飛ばされるような物品の設置も禁止されています。

利用に際して、とりわけ配慮が必要なのは足音です。ルーフバルコニーの床面は、階下の部屋の天井と一体なので、足音や物音が迷惑になる可能性もあります。階下住人への配慮はくれぐれもお忘れないようにしてください。ちなみに、分譲マンションのルーフバルコニーをリフォームやリノベーションするにあたって、管理組合への許可取りは必須ですので、しかるべき手続きを踏むようにしてください。

<注意ポイントまとめ>
  • ルーフバルコニーの利用には制限がある
  • 床面にデッキを敷くときは、床~手すりまでの高さが1.1m以上あるかどうか確認
  • 床面に何かを敷いたときは、排水溝が詰まらないようこまめな掃除が大切
  • ルーフバルコニーの足音は階下の天井に響く可能性がある
  • ルーフバルコニーに物を設置する場合には、積載荷重を超えないこと
  • リフォームやリノベーションする場合は、マンションの管理組合に確認する

【実例紹介】暮らしをより楽しむルーフバルコニーの活用実例

ルーフバルコニーは広々としていて日当たりも良いとあって、洗濯物を干したり、ガーデニングを楽しんだりと幅広い使い道が考えられます。でも、せっかくなら120%活用して、すてき空間として満喫したい! そこで、ブルースタジオで手がけたルーフバルコニーのリノベーションを例にとって、満喫ポイントをみていきましょう。

<Yさん(36歳)宅>

間取り

「ルーフバルコニーを第二のリビングとしてとらえる」という考え方のもと、部屋とシームレスにつながるL字型のルーフバルコニーに仕立てました。室内のフローリングと段差をなくすようにウッドデッキを敷くことで、ルーフバルコニーが部屋の一部になったような感覚に。ちなみに、ウッドデッキは特殊な不燃加工をしているものを使用。あくまで家具の扱いとして、取り外し可能な取り付け方をしています。

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間接照明を灯せば、くつろぎ空間に大変身。天気のいい日は友人を招いてルーフバルコニーをアウトドアリビングにしてパーティーをすることも。部屋の中からルーフバルコニーが見えることで、リビングが窓の外にも広がるような開放感(画像提供/ブルースタジオ)

<Iさん宅>

間取り

ルーフバルコニーを活用してくつろぎ空間をつくりたいというご希望で、1年以上部屋を探していたIさん。プランターはデッキに埋め込み、空中に出現したジャングルのように植栽を配置。色はダーク系がお好みとのことで、ルーフバルコニーも落ち着いたトーンで統一。インテリアとしてもカッコいいデザインは、望みどおりですごく気に入っているとのこと。

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手すりの内側に木材のフレームを立てることで、まとまりのあるおしゃれな雰囲気に。ウッドデッキを段違いにすることで、立体感と奥行きを演出。友人や家族との語らいの場としても大活躍(画像提供/ブルースタジオ)

ルーフバルコニーがある生活、いかがだったでしょうか? アイデア次第でいかようにも活用できそうですよね。「暮らしに“外の空間”を取り入れることで、楽しみが増えると思います」と石井さん。ルーフバルコニー付きマンションの暮らしは、何気ない毎日をきっとアップグレードしてくれることでしょう。

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取材・文/末吉陽子、SUUMO編集部 写真/PIXTA
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