「リノベーション」を選ぶべき理由|中古マンションでこそ活きる魅力も解説

最終更新日 2025年10月27日

「リノベーション」を選ぶべき理由|中古マンションでこそ活きる魅力も解説

年々新築マンションが高騰している中で、中古マンションの購入やリノベーションを検討している方が増えています。中古マンションといっても築浅な物件だけでなく、築年数が経過していたり設備が古かったりする物件も多く見られます。価格も新築に比べれば安い傾向にありますが、なぜ中古マンションを選ぶ人が増えているのでしょうか?

この記事では、中古マンションでリノベーションを選ぶべき理由について解説します。また、中古マンションのリノベーションが人気な理由についても紹介しています。

中古マンションは今やスタンダードな選択肢に

近年、中古マンションの成約件数が増えています。不動産ストックの流通や活用を推進している「リノベる株式会社」の調査を見てみましょう。2024年、首都圏の新築分譲マンションの販売戸数は3年連続で3万戸を割り込む結果となりました。一方の中古マンションの成約件数は新築を上回る状況が続いており、2024年では前年比3.4%増の3万7222戸という結果が出ています。

これらの結果から、近年中古マンションを第一の選択肢として検討するユーザーが増加していることが読み取れます。築年数に関しても、築21年以上の物件の成約が増えており、特に築31年以上が全体の6割を超える割合を占めています。このように、現在では新築マンションに比べて中古マンションに注目している人が多く、住宅購入の選択肢として“中古”がポピュラーなものになったといえます。

不安を解消し、価値を高める「適合リノベーション住宅」

中古マンションと聞くと「傷んでいる」「耐震が不安」「設備が古そう」などのマイナスイメージをもつかもしれません。しかし、適合リノベーション住宅なら価値を高めて不安を解消してくれます。ここでは、適合リノベーションについて紹介します。

中古リフォームに安心の一定基準を設けた

図

そんな不安を払拭してくれるのが、リノベーション住宅推進協議会によって定められた基準をクリアした「適合リノベーション住宅」です。住宅の価値・機能を再生させる包括的な改修である「リノベーション」は、単に原状回復のための表面的な修繕を行う「リフォーム」とは一線を画した画期的な手法です。なかでも、「適合リノベーション住宅」は、さらに統一基準に沿って検査や工事が行われ、保証や住宅履歴情報の開示が義務付けられているのが特長です。現在は、マンションの『専有部分』を対象とした「R1住宅(適合リノベーションR1住宅)」という基準が運用されています。ここでいう専有部分とは、住戸内の床・壁・天井・キッチンや浴室など、住人だけが使用する空間のことです。玄関ドアやサッシなどの『共用部分』には適用されないため、その点を理解しておくことが大切です。

原状回復のための「リフォーム」に対し、「リノベーション」は住宅の機能再生のための全面的改修であり、「優良なリノベーション」は性能保証・情報開示を伴うさらに高次の改修を意味します。

安心を担保する適合リノベーション住宅の検査内容

適合リノベーションと認定されるためには、物件の検査が欠かせません。

では、いったいどのような内容なのか、マンション専有部分について定められた「R1住宅」の検査内容を見てみましょう。

写真
全項目をクリアしてはじめて「適合」となる

上に紹介したのは、適合リノベーション住宅のマンション専有部分版「R1住宅」の検査項目です。これらすべての項目をクリアした物件だけが「R1住宅」と名乗ることができます。

検査は、これらの統一基準に基づいて各リノベーション会社が実施します。目視や触手、計測など決められた手順に沿って検査を行い、その結果、不具合箇所があれば、必要な工事を行います。例えば、排水管の水漏れが見つかったときなどは、床をはがして修繕することもあり得るそう。

「本当に安心?」リノベーションのQ&A

検査内容は分かったけれど、「本当に安心できるレベルの検査なの?」「検査のせいで価格が高くなったりしない?」といった疑問をもつ方もいるでしょう。そんな不安や疑問をQ&A形式で紹介します。

Q 検査内容は安心できるレベルなの?

A 統一基準のおかげで一定の品質を確保

前ページで一例を紹介した「適合リノベーション住宅」の検査には、細かく適合基準が決められています。基準を満たさない項目があれば工事が行われ、工事後の「竣工検査」で、基準をクリアしているかを確認します。この一連のフローが「統一基準」となっているため、品質は確保されます。

適合リノベーション住宅のチェックフロー

Q 検査していない中古物件ってリスキーってこと?

A 物件次第だが不安は残る

検査が行われる「適合リノベーション住宅」と異なり、一般の中古物件では、ホームインスペクションや既存住宅保証制度などを利用しない限り、「検査」「保証」を受けることはありません。築年の浅い物件を中心に、品質に問題のない物件も多数ある一方で、残念ながら不安の残る物件もあるのが現実です。

箇所別耐久年数の目安
※一般的な実例をもとに編集部が作成

Q 検査や工事……リノベーション済み物件は高額になる?

A 検査・工事費用は物件価格に含まれる

都度リフォームとリノベーションを比較

不具合が出てくる度にリフォームを行うと、その都度、仮住まいの必要が生じたりして手間も費用もかかります。その点、リノベーションなら、一括で改修するため、費用もリーズナブルなうえ、手間も軽減されます。また、工事費用は物件価格に含まれているため、後から思わぬ出費が発生する心配もありません。

Q 本当に安心して暮らせるの?

A 非工事部分も2年間保証、相談窓口も

R1住宅の適合状況報告書見本

「適合リノベーション住宅」では、重要なインフラ部分についてはリノベーション工事を行わない非工事部分についても検査を行い、工事部分と同様に最低2年間の保証がつけられます。同時にアフターサービス対応窓口も設置されているため、万が一不具合が起きた場合もすぐに相談でき、登録された住宅履歴も参照可能です。

Q 玄関ドアが古いままなのはなぜ?

A 共用部分の改修はNG。修繕履歴と計画も確認。

築年の古いマンションのリノベーション物件の場合、玄関ドアやサッシが古いままなのは、それらがマンションの「共用部分」だからです。ほとんどのマンションが手を加えないように管理規約で定めています。また、長く安心して住めるという意味では、大規模修繕の履歴と今後の計画も要チェックしておきたいところです。

中古マンションを購入して、自分たちでリノベーションするという選択肢も

最近は、中古マンションを購入して好みの空間にリノベーションする人も増えてきています。なぜ、中古マンションでのリノベーションが人気なのか、理由を見ていきましょう。

中古マンションのリノベーションが人気な理由

中古マンションでリノベーションをするのが人気な理由として、中古マンションなら自分の暮らし方やライフステージ、家族構成などに合わせて内装や間取りを自由に変更できる点が挙げられます。それなら、新築マンションのほうがあらかじめ内装なども決まっていて、面倒がないと考えるかもしれません。しかし、中古マンションなら価格も新築マンションに比べてリーズナブルであり、注文住宅のような内装にできるのが魅力です。

また、必要な部分だけをリノベーションできるので、理想の空間に整えやすくなっています。新築マンションとなると決まった場所や環境でしか見つからない場合も多いですが、中古マンションなら希望の条件や広さがあり、理想の物件に出会いやすいのも人気の理由といえるでしょう。

中古マンションのリノベーション費用の相場

中古マンションのリノベーション費用の相場は、築年数とリフォーム部分によって変わってきます。水回り設備の更新やクロスの交換など部分的なリフォームでは300万~600万円程度、間取り変更を伴うスケルトンリノベーションでは、60m2の物件で900万~1200万円程度かかるケースが一般的です。建材・設備費の高騰により、従来より費用相場は上昇傾向にあるため、余裕をもった予算設定が重要です。

しかし、中古マンションなら必要最低限だけリノベーションすることも可能です。予算を設定してリノベーションしなければならない部分の優先順位を決めて、費用対効果のバランスを十分に考えることが重要です。

リノベーションを前提として中古マンションを購入する際のポイント

リノベーションを前提に中古マンションを購入する際には、以下のポイントをチェックしながら検討してみてください。

・築年数は25年を目安に考えよう
築25年をひとつの目安とされることもありますが、実際には立地条件や管理状況、修繕履歴によって資産価値は大きく変わります。

・耐震強度の基準をチェックしよう
安心して生活するには、耐震強度の基準を確認することも大切です。1981年に建築基準法の耐震基準が大幅に改正され、1981年6月1日以降に建築確認を受けた建物には『新耐震基準』が適用されています。物件の耐震基準を確認する際は、完成年月ではなく『建築確認日』で判断することが重要です。建築確認日は登記簿や建築確認済証で確認できます。耐震診断で現時点の基準を判断することも可能です。

・希望のリノベーションが実現できるか確認
事前にリノベーションプランを考えて、希望どおりにできるかどうかを確認してみることも重要です。マンションの構造によって、できるリノベーションとできないリノベーションがあります。また、水回りの位置変更についても変更範囲の制限内かどうかを確認しておくと、購入後に「理想のリノベーションができなかった」とがっかりすることもありません。

・中古マンションでもリフォーム済みかどうかチェック
中古マンションでもすでにリフォーム済みのケースもあります。この場合、すでに不動産会社によってリフォームがされていることになりますが、その際には内装をスケルトンにしてつくり変えているかを確認してみることが大切です。

ここまで変わる。リノベーションの実力

リノベーション物件のもうひとつの魅力は、新築を凌駕する設備や間取り、デザインにあります。

写真

構造からガラッと入れ替え
リノベーションの多くは構造だけを残して中身を入れ替えます。写真は実例の工事中の写真。一度、構造だけの”スケルトン”にした上で、構造を強化するため鉄筋を入れる工事を行いました。

リビング・キッチンのビフォア・アフター写真

築21年の中古マンションが最新設備×洗練デザインに

リノベーションによって高まるのは、性能だけではありません。設備や内装は新築同様に改装されるし、なかには新築を凌ぐ設備やデザインが実現する物件もあります。
例えば、上のリノベーション物件は、築21年の中古マンションのリノベーション例です。シックでモダンな内装は、新築でもそうお目にかかれないほどのグレード感があります。既存の間仕切りを取り払って約20畳のLDを設けるなど、新築分譲マンションではなかなかできない思い切った間取りを実現できたのもリノベーションならでは。リノベーション物件なら、新築同様、あるいは新築以上の住み心地が得られることも珍しくありません。

リビング・キッチンのビフォア・アフター間取り図

DATA
種別●中古マンション
構造●鉄筋コンクリート造
築年数●21年
専有面積●86.2m2
所在地●渋谷区広尾3丁目
間取り●1LDK(リノベーション前:2LDK)
施工監理●トータルエステート TEL03-6230-1105

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取材・文/SUUMO編集部 取材協力・写真提供/トータルエステート、リノベーション住宅推進協議会
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