2人家族にぴったりの一戸建ての間取りは？1LDK、2LDK、3LDKの二人暮らしの実例も紹介

2人家族にちょうどいい一戸建ての間取りとは

賃貸か持ち家か、マンションか一戸建てかで異なる間取りの選択肢

賃貸の場合はライフスタイルの変化とともに住み替えやすいため、住まい探しの時点での経済状況や家での過ごし方のみにフォーカスした間取りで問題ありませんが、持ち家となると、将来の変化も見据えた選び方をしたほうが安心です。

また、マンションの場合はほとんどの場合、ワンフロアで完結する間取りになりますが、平屋ではない2階建てなどの一戸建てになると、個室とLDKが上下階に分かれるような間取りになることを考えておかなければなりません。

「2階建てや3階建ての間取りは、上下階の移動について考慮しておく必要があります。連携しておきたい部屋を考えて間取りをプランニングしておかないと、家事がしづらくなることがあるので注意が必要です。

また、一戸建ての場合はマンションとは違い、外部とのつながりも考えておきたいポイントです。セキュリティやプライバシーの確保、駐車場や駐輪スペース、ゴミ置き場など、マンションでは共用部に備えられている機能も絡めて、間取りを考えていくのが大切です」（白崎さん、以下同）

注文住宅ならかなう間取り

縦方向の空間の広がりや、外の空間を楽しむ間取りをつくれるというのは、一戸建てならではの魅力です。一戸建てのなかでも、注文住宅であればさらに間取りの自由度は上がります。

「注文住宅は屋根の形を自由に選べるので、吹抜けなど天井の高い空間をつくることができます。吹き抜けにしてリビングイン階段にすれば、上下階のコミュニケーションもスムーズに取ることができます。

また、土地の状況によりますが、壁を挟んで隣室と隣り合うマンションとは違い、全方向から光を取り入れることができます。隣の家があっても、工夫次第ではカーテンをつけなくても空が見えるような窓をつくることも可能です。

さらに、注文住宅は面積の配分の自由度も高いので、プラスアルファのスペースをつくりやすいというのも魅力です。パントリーや室内干し、家事コーナーなど、暮らしが少し楽になるような場所をつくることができるというのは注文住宅の特徴だと思います」

マンションよりも屋外空間とのつながりや親和性が高い一戸建ては、屋内の間取りだけでなく、外部空間も自由に考えることができます。家庭菜園やガーデニングを楽しみたい、ウッドデッキでバーベキューをしたい、車を複数台置きたいなど、自分の暮らしに合わせた外部空間をプランニングできるのも一戸建ての暮らしならではといえるでしょう。

また、外だけでなく、外と内の中間的な位置付けの場所をつくれるというのも一戸建ての魅力で、インナーテラスやインナーガレージなどのプランも可能です。

（画像／PIXTA）

間取りのポイントは部屋の数と広さ

1LDK、2LDK、3LDKなどの間取りがありますが、個室がいくつ必要かはライフスタイルによって異なるものです。2人だから2LDKとは限らず、個室が１つでいいのなら1LDK、将来家族の人数が増えることを視野に入れるのなら3LDKという選択肢もあります。また、間取りを考える場合、部屋数だけでなく、希望の間取りに必要な“広さ”についても考える必要があります。

「マンションや平屋の場合、2人暮らしだと40m²（約12坪）くらいがミニマムな居住面積になると思いますが、目安としては50m²（約15坪）くらいは欲しいところでしょう。2階建てになると、階段や2階の廊下スペースが必要になります。また、2階にトイレや収納をプラスすることもあると思うので、2階建ての一戸建ての場合、マンションや平屋よりも4～6坪程度プラスされると考えておきましょう。３階建てとなると、さらに2坪程度は必要になるイメージです。なお、部屋を1つ増やす場合は、2.5～３坪（4.5～6畳）を目安にさらに面積が必要になります」

2人家族で平屋・1LDKの場合の居住面積の目安は15坪程度～。2階建ては19坪～、３階建ては21坪～が目安の面積になりますが、部屋数や部屋の広さが必要になると、さらに面積が必要になります。

【カップル・夫妻、親子、きょうだい】2人暮らしそれぞれの間取りポイント

2人家族の場合、カップル・夫妻、親子、きょうだい（兄弟姉妹）など、さまざまな家族構成のケースがありますが、ケースごとに暮らしやすい間取りも変わります。家族構成が同じでも、一概に暮らしやすい間取りが同じという訳ではありませんが、ケースごとに間取りを考えるヒントをご紹介します。

カップル・夫妻の場合

若いカップルや夫妻の場合、将来の変化も見据えた間取り選びが安心です。

「将来子どもが生まれたり、親と同居するような場合に備えて、部屋数を確保しておくとライフスタイルの変化に対応しやすくなります。

また、カップル・夫妻であっても、寝室はそれぞれ必要というケースもあるでしょう。年齢を経るにつれて、別々の寝室がよくなったり、自分の時間を楽しむための個室が欲しくなることもあります。今現在の暮らし方だけでなく、これからを見据えて、自分がどうしたいかを考えると必要な部屋数が決まってきます」

将来に備えて部屋数に余裕があると安心ではありますが、余分の1部屋を設けるには面積や費用的に難しいケースもあるでしょう。その場合は、将来的に部屋を仕切れるようにしておくという方法もあります。

（画像／PIXTA）

親子の場合

親子の2人暮らしの場合、住む人の年代によって間取りを考える際に気にしておきたいポイントは変わります。

「子どもが小さい場合は、子どもを見守ることを考えると、リビングと子ども部屋の位置関係が大事になります。ただし、いずれ子どもが成長すると、自分の部屋の独立性やプライバシーを確保したくなるので、その場合は親子で部屋を取り替えるといった選択肢も想定しておくといいかもしれません。

また、ある程度年齢の高い親子の場合は、介護も視野に入れて寝室と水回りの動線に注意しておきましょう。親が高齢になっても、自分である程度身の回りのことができるように、親の寝室と水回りは同じ階にしておくのが安心です」

（画像／PIXTA）

きょうだい（兄弟姉妹）の場合

きょうだいはイーブンな関係のことが多いのでシェアハウスのようなイメージで間取りを考えるといいと言います。

「きょうだいの場合は、お互い平等に家事がしやすく、個室はほどほどの距離感が取れるような間取りがいいでしょう。プライバシーは確保しつつも、困ったときに助け合えるような距離感にしておくと、お互い暮らしやすいと思います」

（画像／PIXTA）

【1LDK・2LDK・3LDK】一戸建てでの2人暮らし

ここからは、1LDK・2LDK・3LDKの各間取りで、2人暮らしをする場合の暮らし方のイメージやプランニングの注意点などを見ていきましょう。

1LDK・一戸建てでの2人暮らし

1LDKはリビング・ダイニング・キッチンと居室が1部屋の間取りです。部屋は１つになるので、2人で1つの寝室を使い、寝るとき以外は基本的にLDKで一緒に過ごすというカップル・夫妻の2人暮らしの場合は検討できる間取りになるでしょう。

「リビング・ダイニングをある程度広く設けて基本的にはそこで過ごし、寝室は寝るだけの場所という場合は2人暮らしでも1LDKを選ぶケースはあると思います。2階建てであれば、2階にリビングを設け、1階は水回りと寝室にするといった間取りが多いです。

1LDKの場合は家族が増えたりした場合、個室の確保が難しくなる可能性もあるので、リビングの一角に簡単に仕切れる畳スペースを設けておいたり、リフォームで小さな個室をつくる可能性なども想定しておくといいと思います」

また、平屋の1LDKであれば、個室の仕切りを引き戸などにしておくと、ワンルームのような使い方もできます。

【実例】1LDKの2人暮らし

【2階建て・1LDK】１階は主寝室と豊富な収納。2階は周囲の目が気にならない明るいリビング

リビングを2階にすることで、視線が気にならない明るい空間に（画像提供／アールギャラリー（アールプランナー））

カフェのようなナチュラルなテイストの家づくりを目指したMさん夫妻。シンプルな空間をベースに、どんなインテリアとも調和しやすい住まいにしたことで、将来的にインテリアの好みが変わっても、自由にアレンジを楽しめるようにしました。

1階には土間収納やウォークインクロゼットなどたっぷり収納を設け、LDKは2階に。一戸建てならではの勾配天井のリビングは、外からの視線を気にせずカーテンを開け放って暮らせる開放感のある空間になっています。また、2階の洗面室の横にはサンルームを配置し、天候に左右されず洗濯物を扱えるようになっているのもうれしいポイントです。

1階

1階には土間収納に加え、大容量のウォークインクローゼットも（画像提供／アールギャラリー（アールプランナー））

2階

バルコニーは段差のない設計で、セカンドリビングのように使える（画像提供／アールギャラリー（アールプランナー））

【平屋・1LDK】キッチンから全体が見渡せる暮らしやすい動線

広々としたLDKの一角には和室スペースも（画像提供／Lib Work）

平屋であることを第一条件に土地探しから家づくりをしたSさん夫妻。無駄を省いた効率的な動線で、シンプルで暮らしやすい平屋を実現しました。建物自体はコンパクトサイズですが、家の中は広く感じられるような工夫が施されています。

LDKの一角に設けた和室スペースは、シェルフを置いて空間をゆるやかに区分。スクリーンで間仕切りもできるので、来客時は客間としても使うことができます。また、和室横のスペースは将来的に個室にすることも想定した造りになっているので、家族の人数が増えても安心です。

無駄を省き、効率的な動線を確保。和室スペースはシェルフを置いて、空間を仕切れるように工夫（画像提供／Lib Work）

2LDK・一戸建てでの2人暮らし

2LDKはリビング・ダイニング・キッチンと居室が2部屋の間取りです。部屋が２つあればそれぞれの個室を設けることができるので、カップル・夫妻だけでなく、親子やきょうだい（兄弟姉妹）も選びやすい間取りです。寝室は１つでよいのであれば、もう１部屋は書斎やゲストルーム、将来の子ども部屋など、ライフスタイルに合わせて多様な使い方が可能になります。

「2LDKは寝室のほかに、１つ予備室があるので、2人暮らしの方が選びやすい間取りです。しかし、主にリビングで過ごすというライフスタイルの場合は、せっかく予備室をつくっても持て余してしまうこともあります。

予備室を持て余してしまうのはもったいないので、明確な用途がないのであれば、例えば、予備室はリビングの横に配置して、セカンドリビングのような使い方ができるようにしておくなど、普段使いしやすい配置にしておくのがよいと思います」

【実例】2LDKの2人暮らし

【2階建て・2LDK】各階に洋室を設け、将来の変化に対応できるよう工夫

憧れだったスケルトン階段が映えるLDK（画像提供／アークホーム　一級建築士事務所）

一戸建てならではの吹抜け空間が印象的なLDKがある1階は、玄関、LDK、脱衣室・浴室、ウォークインクローゼット、洗面コーナーと回遊できる動線を確保しました。洗濯してから干し、取り入れて収納するという動きがスムーズになるなど、共働きの夫妻の家事が楽になるように工夫されています。

また、1階と2階それぞれに個室を設けたので、将来親と同居することになった場合も安心。2階の個室は面積を広く取ってあるので、子どもが生まれたら壁を設置して２つに分けられるよう、あらかじめドアを2つ設けました。さらに、2階の洋室の一角には引き戸をつけた書斎スペースを用意。戸を閉めることで個室として使えるので、在宅ワークの際は仕事に集中することができます。

1階

将来夫妻が高齢になった場合、1階で生活が完結できるような間取りに（画像提供／アークホーム　一級建築士事務所）

2階

2階はプライベートスペースとして使用（画像提供／アークホーム　一級建築士事務所）

【平屋・2LDK】互いの存在を感じながら、それぞれの時間を過ごせる空間

平屋ならではの天井高を活かした開放的なリビング（画像提供／アールギャラリー（アールプランナー））

高齢になっても、上下階の移動がなく安心して暮らせるということで、平屋建てを希望したHさん夫妻。廊下のないプランニングは実際の広さ以上のゆとりを感じさせ、特にLDKと和室、書斎コーナーは壁ではなく段差をつけて空間を仕切ることで、開放感のある空間になっています。

LDKの一角の書斎コーナーは段上がりとなっているものの、勾配天井の高さを活用することで圧迫感を解消。ゆるやかにゾーニングされていることで、家族の存在は感じながらも、思い思いの時間も過ごしやすい住まいになりました。

玄関に設けた土間収納と土間部屋は広々としており、収納を確保しながら趣味も楽しめる空間に（画像提供／アールギャラリー（アールプランナー））

3LDK・一戸建てでの2人暮らし

3LDKはリビング・ダイニング・キッチンと居室が3部屋の間取りです。部屋が3つなので、2人家族なら、主寝室に加え、それぞれの仕事部屋にしたり、将来子どもが2人増えても、それぞれの個室を確保することが可能です。

「2人暮らしで3LDKを選ぶ方は、夫妻で寝室のほかにそれぞれの仕事部屋が欲しいというようなケースもありますが、将来子どもが2人生まれる場合を想定しているという方が多いのではないでしょうか。

居室を子ども部屋として使うことを想定しているのであれば、特に子どもが小さいうちはLDKから子どもの様子がわかるようにしておくと安心です。例えば、吹抜けのあるリビングにして、2階に声が届くようにするなど、居室とLDKの連携を考えて間取りをプランニングするのがおすすめです」

【実例】3LDKの2人暮らし

【2階建て・3LDK】1階全面床暖房と無垢床で暖かく居心地の良い空間

無垢（むく）フローリングのぬくもりに床暖房の暖かさも加わった、居心地よいリビング（画像提供／ユニバーサルホーム）

1階全面床暖房のおかげで、トイレや洗面室、浴室も一定の温度をキープでき、快適に家の中を動けるようになったというHさん夫妻。30坪という広さの住まいは2人暮らしにちょうどよく、ちょっと腰掛けてくつろげるリビングの窓際のヌックもお気に入りの空間だそうです。

1階のキッチンにミセスコーナーを、2階の寝室には書斎スペースを設けるなど、お互いを近くに感じながら、程よい距離で自分時間も楽しめる間取りになっています。

1階

リビングの窓辺にはヌックを、キッチンの一角にはミセスコーナーを設置。玄関には、土間続きのクロークを設けたことで整理整頓がラクに（画像提供／ユニバーサルホーム）

2階

ウォークインクローゼットの入口に設けた書斎スペースにも窓をつくったことで、採光・通風も快適（画像提供／ユニバーサルホーム）

【3階建て・3LDK】日当たりの良い角地立地を活かした明るい住まい

グレーのサイディングと玄関回りの植栽で上質な雰囲気に（画像提供／フォーライフ）

日当たりの良い快適な住まいを実現するために、1階に水回りと収納を集約。2階にLDKを配置し、３階には寝室と妻のプライベートルームを設けました。

３方向に大きな窓を設けた明るく開放的な2階のLDKは、キッチンとリビング・ダイニング間でスムーズにコミュニケーションが取れるような空間。外部からの視線が気にならないよう、窓の形状や配置も工夫されています。

3階に設けた妻のプライベートルームはお気に入りのものを置き、ゆったり過ごすための場所です。コンパクトな空間ながら、東側の大きな窓とバルコニーの視覚的効果もあり、実際よりも広々と感じられます。

1階

大容量のシューズインクローゼットのおかげで玄関はいつもスッキリ。帰宅後すぐに手を洗えるように洗面脱衣室も近くにレイアウト。階段下のデッドスペースには備蓄倉庫も（画像提供／フォーライフ）

2階

LDKは2階に。リビングの北側の一角はワークスペースとして使うことを想定しつつ、仕切りは設けないことで、家族の気配を感じられる空間に（画像提供／フォーライフ）

3階

３階には寝室と妻のプライベートルームとなる3.1畳の洋室を配置。ホールに収納スペースを設けることで個室はできるだけ広く活用できるように工夫している（画像提供／フォーライフ）

2人家族といっても、カップル・夫妻、親子、きょうだい（兄弟姉妹）など、家族構成によって暮らし方は変わります。また同じような家族構成であっても、年代や家での過ごし方、将来設計などが変われば、ピッタリの間取りもおのずと変わってきます。今回記事ではさまざまなケースを紹介しましたが、ぜひ紹介した間取り選びの考え方なども参考に、自分たちの暮らしに合う一戸建ての間取りを思い描いてみてください。