2LDKの平屋の間取り メリット・デメリット、価格についても紹介

最終更新日 2023年03月30日
2LDKの平屋の間取り メリット・デメリット、価格についても紹介

ワンフロアで生活でき、シニアだけでなく、幅広い世代から暮らしやすいと人気のある平屋ですが、実際に建てるとなると、どのような間取りになるのでしょうか。家族2人~3人で暮らす2LDKの平屋を例に、間取りプランニングの秘訣を窪江建築設計事務所の窪江健さんに教えてもらいました。平屋のメリット・デメリットや、気になる価格についても解説します。

2LDKの平屋の間取りのポイントは?

2LDKの平屋の家の広さは20坪程度から

リビングと寝室のほかに、子供部屋や趣味の部屋を確保できる2LDK。平屋で2LDKの間取りを希望する理由は人それぞれですが、2LDKの間取りを希望する家族人数としては、2~3人が一般的です。

「夫婦2人で、LDKと寝室のほかに、書斎や趣味の部屋といったプラスαの部屋が欲しいというケースでは20~25坪程度の床面積でも平屋の2LDKを建てることは可能です。子どもがいる3人家族で、子供部屋を確保したいという場合は、将来の家族人数の変化にも備え、30坪程度の床面積でプランニングをする人が多いです」(窪江建築設計事務所 窪江さん、以下同)

通常、2LDKの平屋を建てたい場合、床面積は20~25坪から可能ですが、ゆったりとした生活をしたい場合は30坪くらい必要になるイメージといえそうです。

明るいLDK
約16坪と床面積をかなり抑えた平屋の間取り。寝室のほかはLDKの横にコンパクトな和室スペースを確保。暮らしのスペースと大きめのデッキを外壁や塀でぐるりと囲み、目隠しのある安心感から心理的に広く感じられるようにつくられている(画像提供/窪江建築設計事務所)
約16坪・平屋の間取り
(間取図提供/窪江建築設計事務所)

平屋を建てるなら敷地には余裕をもたせる

限られた敷地面積に対して、できるだけ床面積を確保できるような平屋をプランニングしたいと考える人も多いものですが、平屋の場合はどれだけ敷地に余裕をもたせるかという点も重要です。

平屋は2階建ての住宅などに近接していると上からの視線を遮ることが難しいため、そもそも住宅密集地のような場所には不向きですが、住宅密集地とまではいかない場所であっても、プライバシーを確保するためには、隣家と建物の間にはある程度の距離が必要だといいます。

「平屋の場合は特に、プライバシーを確保するための工夫が不可欠ですが、隣家との間に距離を確保し、建物の形状や植栽、外構などを工夫すれば、周囲からの視線が気にならない暮らしを実現することは可能です。例えば、隣家との距離をとりながら、屋内に光や風を取り込めるL字型やコの字型の形状の建物にすることもおすすめです」

コの字型の建物
約147坪の敷地に建てられた床面積約39坪、2LDKの平屋。プライバシーを確保しながら、中庭から光や風をたっぷり取り込める(画像提供/窪江建築設計事務所)
約39坪・2LDKの中庭のある平屋の間取り
(間取図提供/窪江建築設計事務所)

限られた床面積を活かすよう、賢く収納計画を立てる

平屋となると、限られた床面積のなかで、収納スペースにどの程度の面積を割くべきかと頭を悩ませる人も多いと思いますが、「どれだけ広く収納スペースを確保するか」ということは、あまり重要なことではないといいます。

「1カ所に大きな収納を設けたところで、要らない物をしまい込むだけになってしまうので、大きな収納スペースを無理に確保する必要はありません。収納の基本的なルールは、『使う場所でしまう』ということなので、このポイントを押さえて収納計画を立てることが大事です」

例えば、リビングについてはどうしても収納しておく必要のあるものは実はそれほど多くありません。テレビ回りのもの、ちょっとした書類や文具、新聞や雑誌程度を収納できればいいので、リビングに大容量の収納は不要です。

一方で、ある程度収納を設けておいた方がいいのは、キッチン、洗面所、寝室などです。キッチンには、食器、調理器具、食品のストックなどをしまう場所が必要になるため、1畳程度で良いのでパントリーを設けておくのがオススメです。

また、洗面所については洗面化粧台に洗面所で使用する小物類を収納したうえで、タオルなどの収納スペースが必要です。さらに、寝室には衣類を全部収納できるウォークインクローゼットをしっかり設けておくと安心だといいます。

収納スペースはあればあるほどいいということではありませんが、少なくていいということでもありません。重要なのは『使う場所にしまうこと』。必要な場所に必要な容量の収納を設けることで、LDKにものがあふれることのないよう、賢く収納計画を立てるようにしましょう。

収納を確保した分、シンプルでコンパクトにした寝室
寝室はコンパクトでもウォークインクローゼット(WIC)はしっかり確保(画像提供/窪江建築設計事務所)
大容量のウォークインクローゼットを寝室にそなえた2LDK平屋の間取り
(間取図提供/窪江建築設計事務所)

玄関の位置は敷地によってある程度限定される

家づくりでは、日当たりや家相などから玄関の位置にこだわりをもつ人もいます。しかし、例えば「南玄関にしたい」という要望があったとしても、敷地によっては希望の位置に玄関を配置するのが難しいこともあります。

「昔は人を迎えたり、接客したりする場所として、玄関を南側の良い位置に設けることも多かったようですが、最近では、一番良い部分にはリビングや居室などを優先して配置するというケースが多いです。

また、玄関の位置というのは道路にどのように面しているかに左右されます。駐車スペースが必要な場合は、車の出し入れについても考慮する必要があるので、どのような敷地に家を建てるかで、玄関の位置はおのずと決まってしまいます」

敷地によってある程度玄関の位置は限定されるものですが、自分の理想のイメージに合う玄関をつくることは工夫次第で可能です。例えば、玄関が狭くなってしまったり、閉塞感があるといった悩みに対しては玄関の正面に坪庭をつくるという方法もあります。

「玄関を入ってすぐの窓は、地窓(かなり低い位置につけた窓)にするなどして、光や開放感を維持しながら 中でくつろぐ人のプライバシーも守るという方法をとることもあります」

玄関正面に坪庭のある明るい玄関
窓から光を取り込み、玄関が明るく開放的な雰囲気に(画像提供/窪江建築設計事務所)

2LDKの平屋のメリット

2LDKの平屋を希望する理由は、人それぞれだと思いますが、そもそも2LDKの平屋にはどのような特徴があるのでしょうか。メリット・デメリットの両面から、その特徴を見ていきましょう。

メリット1 老後も暮らしやすい

フラットな空間で暮らしが完結する平屋は上下移動がないため、車椅子でも生活しやすく、高齢者も暮らしやすい住まいです。洗濯物を2階のバルコニーに干しに行ったり、2階の寝室から1階のトイレに行くなどの移動もないので、生活動線も効率的です。子どもが独立して家族人数が減ったタイミングなどで、建て替えや住み替えを考えている場合、平屋は長く快適に住み続けることが可能な選択肢のひとつといえるでしょう。

車椅子と平屋のイメージ
(画像/PIXTA)

メリット2 外部空間とのつながりを感じやすい

平屋は外部との一体感のある暮らしを実現できるというのも魅力です。窓を開ければ、すぐそこに庭があり、地面の近くで暮らす感覚を味わうことができます。また、2階部分のない平屋は建物の重さが軽くなる分構造的に安定しているため、開口部も比較的大きく取ることもできます。

ウッドデッキでくつろぐ家族のイメージ
(画像/PIXTA)

メリット3 天井の自由度が高い

2階がない平屋は、天井の高さの自由度が高くなります。傾斜をつけた勾配天井などにもしやすいため、天井に工夫をして、開放的な空間をつくることができます。天井を高くすると、空間にゆとりができるだけでなく、高い位置に窓をつけて光を取り込んだり、ロフトをつくって収納スペースなどとして活用することも可能です。

勾配天井と高窓のあるリビングのイメージ
(画像/PIXTA)

メリット4 2LDKならプラスαの空間を確保できる

夫婦2人というケースの家づくりでは、寝室として1部屋を確保できる1LDKで十分と考えることもあると思いますが、2LDKにすれば、寝室以外にもプラスαの空間を確保することができます。

リモートワークで使用できるような書斎、趣味に没頭できる個室、リビングと緩やかにつながりを感じられる和室など、ライフスタイルによってプラスαの一室の用途はそれぞれですが、どちらかがリビングで過ごしている時間に、少し距離をとってくつろげる空間を確保できるというのは、2LDKの間取りを選択するメリットです。

書斎のイメージ
(画像/PIXTA)

2LDKの平屋のデメリット

デメリット1 採光・通風に工夫が必要

建物の高さが低い平屋の場合、風通しや日当たりなどは、2階建ての住宅などに比べると周辺環境に左右されやすく、建物の中に光や風を取り込むための工夫が必要です。

例えば、開口部を大きくしたり、高窓や天窓を設けたり、中庭を配置するなどの方法が挙げられますが、周辺環境や土地の形、方角なども考慮してその敷地にあった工夫を施すことが必要といえるでしょう。

風通しの良い家のイメージ
(画像/PIXTA)

デメリット2 近隣からの視線が気になることも

外部空間とつながりのある暮らしを実現させたいということで、平屋を建てたいと考える人も多いのではないでしょうか。しかし、「ウッドデッキを設けてオープンリビングのように使いたい」、「中庭で子どもを思い切り遊ばせたい」などのイメージをもっていても、近隣の視線が気になってしまっては、思い通りの暮らしを実現しづらいということもあります。

プライバシーを確保するには敷地にゆとりが不可欠と前述しましたが、塀を設ける、植栽を工夫するなど、2階建ての場合よりも、周囲からの視線への対策が必要になると考えておきましょう。

植栽が工夫された平屋の室内
植栽を工夫することで、1階でも周囲からの視線が気にならない(画像提供/窪江建築設計事務所)

デメリット3 2LDKの場合、子供部屋は1部屋

2LDKの場合、LDKと寝室以外の個室は1部屋なので、子供部屋は1部屋しか確保できません。30坪位の平屋をイメージしている場合、将来的に子供部屋が2部屋必要になるかもしれないと考えていても、やむをえず3LDKではなく、2LDKにするというケースもあるでしょう。

子どもがまだ小さい子育て世代には、将来も考えると部屋数が少ないというのはデメリットと感じることもありますが、2LDKでも、将来家族人数が変化した場合に備えて、フレキシブルな間取りにしておくという方法もあるといいます。

「限られた面積のなかで、3LDKにするために、家族が長く過ごすことになるリビングを狭くしてしまうという選択をする人もいると思いますが、無理をして個室を増やすよりも、ゆったりとしたリビングのある2LDKのほうが、暮らしが豊かになるという考え方もできます。例えば、将来的に子供部屋が2部屋必要になるということであれば、必要になった場合に、1部屋を区切って使えるようにしておくことも可能です」

将来的に仕切ることも可能な子供部屋
ロフトがあり、天井が高い分広がりを感じる子供部屋。将来的に部屋を区切りたい場合は、1人3畳程度の空間をつくることもできる(画像提供/窪江建築設計事務所)

2LDKの平屋 価格は?

建物の価格を左右するポイントは広さ、プラン、グレード

通常、建物の建築費用は延床面積が広くなる程アップします。平屋の場合も広い建物になればなるほど、建築費用は高くなるものです。

なお、平屋の場合は同じ広さの2階建ての住宅よりも基礎や屋根などの部分が増えるため、面積当たりの費用は比較的割高になる傾向があります。

しかし、価格を左右するポイントは広さだけでなく、設計プランや設備・建材のグレードなどにもよるため、平屋だから2階建てよりも必ず費用がかかるということではなく、プランやグレードなども合わせてトータルコストで調整することも可能です。

平屋の価格のイメージ
(画像/PIXTA)

予算内で理想の平屋を実現するには、優先順位をつけてプランニング

設計事務所などに依頼してこだわりのあるデザインや間取りプランの平屋を建ててほしい場合は、その分費用もかかるということもありますが、自分の理想の間取りを一からつくりやすいというメリットもあります。

一方、ローコストで平屋をつくりたい場合は、住宅メーカーなどが用意している規格プランなどを選ぶのも手です。しかし、依頼する会社によって規格プランの価格も千差万別。また同じ会社のプランでも、グレードの高い設備や建材などを選んだり、オプションをつけたりすることで、費用が高くなることもあります。

いずれにせよ、予算内で自分の思い描く理想の平屋を建てるには、自分にとって暮らしのなかの大事にしたい部分は何か、きちんと優先順位をつけてプランニングを行うことが必要です。

「予算が限られていても、暮らしの質は下げたくないものです。例えば、寝室を8畳ではなく、6畳にするなど、少し面積をコンパクトにするだけでも予算を抑えることはできます。自分にとって要らない物は思い切って削る。そうすることで、優先順位が高い部分に予算を回すことができれば、暮らしの質を上げることにつながり、結果的に自分らしい家をつくることができると思います」

広々としたリビングのイメージ
(画像/PIXTA)

「老後も見据えてワンフロアで生活したい。趣味の部屋も欲しい!」「将来の子供部屋も確保しつつ、外とのつながりを感じる住まいがいい」など、それぞれの求める理想の2LDKの平屋は異なるものです。なぜ平屋がいいのか、どうして2LDKの間取りにするのか、自分たちのイメージの根底にある暮らしへの理想を整理して、自分らしい住まいづくりの第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

まとめ

2LDKの平屋の広さは20~30坪程度から

間取りは通風や採光、プライバシーなどにも注意してプランニングする

平屋は2階建ての住宅などよりも割高な傾向はあるが、広さやプラン、グレードにもよる

注文住宅の会社を探す
土地を探す
新築一戸建てを探す
中古一戸建てを探す
カウンターで相談する
ハウスメーカーを探す
賃貸物件を探す
リフォーム会社を探す
中古マンションを探す
新築マンションを探す
売却査定する
引越し見積もりをする
取材・文/島田美那子
関連する最新記事を見る
住みたいエリアや購入価格からマンション・一戸建てを探そう!
住まいの種類
住みたいエリア
  • エリア
  • 都道府県
  • 市区郡
購入価格

お役立ち講座・個別相談のご案内無料

住まい選びで「気になること」は、人それぞれ。スーモカウンターのアドバイザーは、新築マンション選びと会社選びをサポートします。講座や個別相談を通じて、よかった!と思える安心の住まい選びをお手伝いします。
カウンターアドバイザー

住み替えサポートサービス

ページトップへ戻る