家族ごとのオーダーメイドとなる注文住宅は、完成品を見て購入する商品と違い、一からつくっていく楽しさも大きい半面、実際に住むまで気づかない失敗も起こりがち。特に机上で考える「間取り」は、図面から温度や音などを感じる想像力が必要となる。そこで先輩たちの「しまった!」体験談をランキングにし、間取りづくりのためのチェックポイントを紹介。プロのアドバイスも併せて参考にし、住み始めてからも大満足な間取りをつくろう!
順位 | 失敗内容 | 人数 |
---|---|---|
1位 | 配線計画 | 147人 |
2位 | 収納のつくり | 123人 |
3位 | 暑さ・寒さ | 91人 |
4位 | 部屋の広さ | 88人 |
5位 | 生活動線 | 76人 |
6位 | 明るさ | 75人 |
7位 | 音の伝わり方 | 64人 |
生活の便利さを大きく左右するコンセントや照明スイッチ。プランニングの後半で決めるため、最後までじっくり考えて。
配線計画編
□家具と家電の配置を図面に書き込み、必要な数のコンセントがあるか
□掃除機をかける際、コンセントの抜き差しの回数が少なくて済むか
□照明スイッチが開けたドアの裏に隠れる場所に設置されていないか
□帰宅したとき、就寝するときなどの生活動線上にスイッチがあるか
必要な場所に必要な数のコンセントを設けるためには、使う家電をリストアップ。常時出しておく家電のほか、季節家電なども忘れずに。照明スイッチは生活動線に沿って設置することが大切。一日の行動を書き出してみよう。
十分な広さや収納量をとるだけでなく、収納内部のつくりや収納場所も大事。モノを出す・使う・しまうシーンを考えよう。
収納編
□図面の収納スペースに坪数でなく幅・奥行きの長さを記入したか
□収納したいモノのサイズと、収納スペースの幅・奥行き・高さが合うか
□モノを使う場所から収納する場所までは近いか、動線はスムーズか
□クロゼットや靴収納などのスペースは、現在の住まいと比べて十分か
□収納扉は開き戸、引き戸、折り戸など、使いやすいものになっているか
□オープン収納がほかの部屋などから丸見えになって困ることはないか
□よく使う、よく出し入れするモノは手の届きやすい高さに収納できるか
□収納内部に照明やコンセントを設置するなどの工夫があるか
□どこに何をしまうか、家族全員がわかりやすいつくりになっているか
必要な収納スペースは、床面積ではなく、出し入れする「面」、すなわち壁面積で考えるのがコツ。旭化成ホームズの調べによると、LDの収納は壁面積7m2あれば、学齢期の子どもがいる家庭でもほとんどのモノが収まる。
住まいの高気密・高断熱化が進み、オープンな間取りでも冷暖房効率が高まってきたが、間取りの影響もしっかり確認しよう。
暑さ・寒さ編
□各フロアの図面を重ねて、吹抜けから上がる暖気を書き込んだか
□熱のこもりがちなロフトや小屋裏に熱気を抜く窓が設置されているか
□吹抜けなどオープンな空間は、広さに適した冷暖房器具が設置されているか
□夏は日が入りにくく、冬はよく入る、軒の出が深い設計になっているか
高気密・高断熱の家でも、室内に日差しや風がどのように入るか、間取りがどれくらいオープンかなどによって、暑さ・寒さは変わってくる。必要に応じて間仕切りできる間取りにするなど、部屋の用途に合わせて検討しよう。
住まいという限られた面積では、スペースの配分がカギ!それぞれに適した広さをとるには、優先順位づけを明確にしよう。
部屋の広さ編
□置く予定の家具や家電などを、図面に書き込んで広さを確認したか
□トイレは子どもでもペーパーに届く横幅になっているか
□ドアや収納扉を開けた状態で、使う家具を置いても余裕があるか
□家族が長い時間を過ごす空間にたっぷりとスペースが取れているか
□人と人がすれ違うことの多い通路部分には十分な幅が取れているか
□洗濯機から物干しまでの通路は、洗濯カゴなどを持って通れる広さか
□広すぎてモノを取りにくい、家事がしにくいなど不便なところはないか
□引き戸の開け閉めなどにより、自在に広さを変えられる工夫があるか
□将来、ライフスタイルの変化に合わせて部屋の広さを変えやすいか
旭化成ホームズの調べによると、7割程度の人が適当と思う広さはLD15畳、キッチン5畳。これらを基準として敷地やライフスタイルに合わせたプランを考えるのもいい。置きたい家具が決まっているならサイズを伝えよう。
暮らしやすさへの影響が大きい生活動線。プランニングでは間取図上を歩くつもりで、家族全員&来客の動線をチェック!
生活動線編
□起きてから寝るまでの動線を書き込んでみて、不便なところはないか
□朝の身支度など、家族の動線が集中して混雑するところはないか
□家族が集まって過ごす空間は、それぞれの個室と行き来しやすいか
□家族が来客のいる空間を通らずに移動できるような工夫はあるか
朝から夜までの間にどのような動線を描きながら移動するかは、家族ごとに大きく違う。家族が家にいる間の動きを紙に書き出してから、外出前、帰宅後など、平日・休日ごとのよくある行動パターンを設計士に伝えよう。
光の入り方は窓の大きさ、周囲の建物などによっても変わり、季節ごとにも異なる。さまざまなシーンを想像してチェックしよう。
明るさ・暗さ編
□光の入り方を設計士に聞いて日の入る線を図面に書き込んだか
□視線を遮りつつも光を入れたい空間はスリット窓などを使っているか
□外壁に接しない部屋や通路に自然光を取り入れるための工夫があるか
□トップライトの下が日焼けの気になる家具を置く場所になっていないか
光が室内にどのように入るかは、時間や季節によって大きく変わる。休日は外出が多い、家で過ごすことが多いなど、家族のライフスタイルに合わせて間取り、窓の大きさやタイプ、設置場所などを考えてもらうのがベストだ。
室内での足音、話し声、テレビの音、食洗機や洗濯機の音、外のクルマの音など、音の発生源との配置を意識しよう。
音の伝わり編
□図面の中で音の出る箇所に印をつけて、各フロア重ねてみたか
□足音のする通路や部屋がリビングや寝室の上の階に配置されていないか
□人通りの多い道路沿いの1階に寝室や子ども部屋が配置されていないか
□機械音や排水音の出るキッチンやトイレの傍にくつろぎ空間がないか
子どもが走りまわる足音、キッチンの換気扇や食洗機、洗濯機の運転音、浴室やトイレの排水音、楽器など、音の発生源をリストアップ。その近くにリビングや寝室、客間などが接していないか図面をチェックしておくと安心。
間取りは設計時によく考えたつもりでも、住んでみて失敗に気づくことがたくさんある。家での過ごし方を、朝と夜、平日と休日など、時間ごとにシミュレーションし、失敗のない家づくりを目指そう。
注文住宅は一からつくる楽しさも大きい半面、実際に住むまで気付かない失敗もある
間取りを平面で見るのではなく、温度や音がどう伝わるか考える想像力が必要になる
こだわりの優先順位を決めて、その部分での満足を目指そう
※HOUSING2010年5月21日発売号より一部抜粋