子ども部屋を持つメリットは?子どもが自分から片付けたくなる収納は?クローゼットやロフトの収納アイデア

最終更新日 2023年07月03日
子どもが自分から片付けたくなる収納は?子ども部屋づくりのポイントを専門家に聞いた

子どもが個室を欲しがる年齢になると、心配なのがおもちゃや本が出しっぱなしになりそうなこと。「片付けなさい!」と毎日叱らずにすむような、収納やレイアウトの工夫はないのでしょうか? 子ども部屋づくりのアイデアや片付け好きに育つプランニングのコツを、生活デザイン設計室 サンク一級建築士事務所代表の古屋茂子さん、整理収納アドバイザーの米村大子さんに聞きました。

子どもが部屋を持つメリットは?何畳あれば足りる?

個室を与えられることで自立心が芽生えやすくなる

リビングの一角の勉強コーナーや、兄弟姉妹と共有の部屋ではなく、他の部屋から独立した自分だけの部屋は、子どもにとって必要なものなのでしょうか。まずは、子どもに個室を与えることのメリットについて古屋さんに聞いてみましょう。
「子どもの成長段階において、居場所や陣地のような安心して居られる場所は必要。個室を与えられることで、自分の居場所ができ、自立心も芽生えやすくなります。朝は自分で起きて寝具を整えたり、一人で着替えたり、年相応の基礎生活力が身につけやすい環境も整います」(古屋さん)

個室を与えるタイミングは小学生が目安。では、最低限必要な広さは?

子どもが小さなころは、親の目が届くように子ども部屋は与えずリビングで遊ばせたり、将来、間仕切りを設けて個室に変更できる広めの部屋を兄弟姉妹で共有している家庭もあるでしょう。では、個室を与えるタイミングはいつがいいのでしょう?

「一概には言えませんが、小学校入学のころでしょうか。学校に関する持ち物を自分で管理するなど、子どもが自分の生活を組み立てるよい機会になります。部屋の広さは小学生から中学生へと進むにつれて趣味や持ち物も多くなるので広くできれば理想ですが、ベッド、机、本などの日常品の置き場を考えると5畳は欲しいところです」(古屋さん)

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ベッド、机、本棚のスペースのほか、出入口や収納の扉の開閉スペースが必要

きょうだいでケンカしない、間取りを考えよう

「お兄ちゃんの部屋のほうが広くてずるい!」「私のクローゼットが欲しい!」など、きょうだいでケンカにならないようにするには、どうすればいいのでしょう。

「なるべく不公平感のないよう、同じくらいの広さの部屋を用意したいですね。とはいえ、それぞれの家庭環境や住宅事情でそうもいかない場合は、数年ごとに部屋を交換すると片付けの一環にもなり、おたがいを思いやる気持ちも育つかもしれません」(古屋さん)

そのほか、子ども部屋プランのアイデアの一例を紹介しましょう。

【小学校入学前】10畳以上の部屋を共有。将来は仕切って個室に

年齢が近いきょうだいの場合は、広めの部屋を遊び場として共有するのもいいでしょう。将来、個室が必要な時期が来たら、壁を設けたり、同性のきょうだいなら間仕切り家具で仕切って個室に。個室にしても必要な広さが取れるよう10畳以上の広さが欲しいところ。また、窓やクローゼットの大きさやドアの位置は、仕切ったときのことも考えておきましょう。

【小学生・中学生以上】寝る部屋と勉強する部屋を分ける

年齢が近く、同性同士のきょうだいなら1人1室ではなく、「寝る部屋と勉強する部屋に分けるのもよいのでは?勉強部屋を共有すれば、年長者が勉強をみてあげるなど、コミュニケーションも生まれます」

家族でスタディースペースを共有

男女のきょうだいや年齢差がある場合は、寝室としての個室を与えたうえで、勉強は家族で共有するスタディースペースを使うプランも。「子ども時代は短いので、家族で密な時間を過ごせる点でもよい環境ですね」

受験や試験前に集中して勉強したいときのために、個室はベッドと机、本棚が置ける5畳以上あるといいでしょう。

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個室+共有のスタディースペース。個室は5畳以上あれば一人で集中して勉強するための机も置ける

子どもに「片付けたい!」という気持ちになってもらうには?子ども部屋収納のコツ

子どもが自分から部屋を片付けたくなるようにするには、家具選びや間取りだけでなく、子どもが自分の部屋に愛着と責任をもてるようにすることが大切。整理収納アドバイザーの米村大子さんは、収納グッズや収納の仕方などを子どもに決めてもらうことを勧めています。

「どんな収納家具をどこに置くか、どんなふうに収納するかなど、収納プランは親が決めるのではなく、子どもに決めてもらうことが大切です。自分の意見が通ることで、子どもは『ここは自分の部屋』という意識をもつのではないかと思っています。子どもが選んだ収納グッズなどに使いにくいのでは?と感じることもあるかもしれません。でも、大人から見て失敗でも、本人がすごく気に入っているならそれで正解。子どもも失敗だと感じたとしても、次の収納グッズ選びに活かしていければいいのだと思います」(米村さん)

大切なのは大人が決めるのではなく、アドバイザーになること。では、子ども部屋づくりの際に、親はどのようなことを知っていれば上手にアドバイスできるのでしょうか。

勉強と睡眠のスペースを分けることが、片付けやすい子ども部屋の基本

「小学生以上なら勉強するところと眠るところ、就学前の小さなお子さんだったら遊ぶところと眠るところを分けてあげることが子ども部屋の機能としての基本です。それぞれのスペースごとに収納場所を設けると、『これは勉強に関係するものだからこの棚に』など、子どもも片付けがしやすくなります」(米村さん)

子ども部屋の例の画像
ベッドと勉強机を離したレイアウト。机を使うときはベッドが視界に入らないため勉強に集中しやすい(撮影/米村大子さん、協力/三愛地所「モデルハウスVoiz」)

長期休みには親子で片付けをする

子どもが成長するにしたがって、持ち物の種類や量が変わってきます。収納方法を定期的に見直すことで、片付けやすい部屋を維持することができます。
「夏休みや冬休みなど、長期休みの一日を『部屋の片付けをする日』に決めて、親子で一緒に片付けをするのもいいですね。例えば、春休みは学年の締めくくりの時期ですから、使っていた教科書やノート、テスト用紙の整理をするのに良いタイミングです」(米村さん)

物をもたせすぎないようにする

「物をたくさんもたせると、片付けのハードルが上がってしまいます。子どもの個性や年齢によって自分で管理ができる物の量は違ってきますから、大人が調整してあげるといいですね」(米村さん)

片付けは少しずつ上手になればOKとする

「子ども部屋は、子どもが自分で着替えたり、片付けたり、掃除をしたりといったことを通して。一人前の社会人になっていくためのトレーニングをする場所だと思っています。ですから、片付けも最初から上手じゃなくていい。買ってみた収納グッズのサイズが合わなかったり、使いにくかったりなどの失敗をするのもいい。自分で考えたり、つくったりする経験ができる場所として、大人は見守ってあげるといいのではと思います」(米村さん)

子どもが自分から片付けたくなるのは楽しくラクに片づけられる収納家具

子ども部屋を与えたからには、自分の部屋は自分で片付ける習慣を身につけてほしいもの。そのためには収納家具選びにもポイントがあります。

【小学校入学前】かわいい色やキャラクターでおもちゃの片付けを楽しく

「小さな子どもの収納家具選びは、倒れたりしないかなど安全第一に考えましょう。特に、小学校入学前の幼児の場合は、扉などで指を挟まない造りになっているか注意して選んであげましょう。オープンな棚の手の届く低い位置の一角を与えて、おもちゃのお片付けからスタートするといいでしょう。色のかわいい棚やカゴ、好きなキャラクターの絵柄がついている収納も楽しみながら片付けるのにいいですね。入っているものがひと目で分かるよう、収納箱にラベリングするのもいいですね」(古屋さん)

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子どもが小さいうちは、安全のため収納スペースは低い位置に。かわいい色の収納家具もオススメ

【小学生・中学生以上】ストレスなく収納できる家具を選ぶ

小学生、中学生以上になると、成長するにしたがって趣味や持ち物の多さが違ってきます。収納したいものをストレスなくしまえることが片付け嫌いにならないためのポイント。仕切りが動かせる、間仕切りに使えるなど可変性のある収納家具がいいでしょう。
「長い目で見て家具選びをしておけば、子ども部屋以外でも使い回しができますから、ある程度長く使える良質のものを選ぶといいと思います」(古屋さん)

マネしたい子ども部屋の収納プランや間取りのアイデア

造り付けのクローゼットやロフトの注意点

造り付けのクローゼットは地震で倒れる心配もなく、子ども部屋に安心な収納です。

子ども部屋には、最低でも間口1800mm、奥行き600mm(約0.7畳)のクローゼットを設け、幅900mmの本棚が置けるスペースがあるといいでしょう。

また、片付けの習慣を身につけるには、取り出しやすく、しまいやすいことが大切。洋服だけでなく、カバンなどもラクに出し入れできるよう、ポールや棚の位置を子どもの体のサイズに合わせて決めましょう。洋服をかけるポールは、小さなころは低い位置に、成長するにしたがって高い位置に変更できるようにしておくと便利。ホームセンターで棚板やポール、支えるための金具が売っていますから、DIYで好きな位置に棚を付けるのもいいですね。

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マンションや建売一戸建ての造り付けクローゼットも、DIYで棚やポールを工夫すれば、子どもが使いやすい収納になる(画像/PIXTA)

ロフトはベッドにしたり、勉強スペースにしたり、さまざまな使い方ができる場所ですが、気をつけたいのは安全性。子どもが小さいうちは転落事故を防ぐため、はしごは外しておいたほうがいいでしょう。子どものための収納スペースとして使う場合は、季節外の衣類や寝具、スポーツ用品など、頻繁に出し入れしなくてすむ物の収納場所として活用するのがオススメです。

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将来、間仕切りで2部屋に分けられる子ども部屋。写真のロフトはあらかじめ分離してあるが、仕切りを設けず、ロフトでゆるやかに空間を共有するプランもアリだ(画像/PIXTA)

扉の有無でクローゼットの使い勝手が違ってくる

「子ども部屋のクローゼットは扉付きにするか、扉なしにするかで使い勝手が違ってきます」(米村さん)

扉のあるクローゼットのメリット

扉のある一般的なクローゼットの場合、扉を閉めてしまえば中が見えないので部屋全体をスッキリ見せることができます。また、収納している衣類にホコリがつきにくい、衣類を紫外線から守りやすいなどのメリットがあります。

収納のアイデア実例。扉のあるクローゼットの子ども部屋の画像
扉のある一般的なクローゼット。衣類をホコリや紫外線から守り、扉を閉めれば部屋の中はスッキリ(撮影/米村大子さん、協力/三愛地所「モデルハウスVoiz」)

扉なしのクローゼットのメリット

一方、扉のないクローゼットにもさまざまなメリットがあります。

「最近は建築費が高騰し、マンションも戸建ても床面積がコンパクトに。そのため、広々とした子ども部屋が確保できないケースも多くなっています。6畳未満の子ども部屋だと、部屋の形やドア、窓の位置によっては家具の配置が固定されたり、ベッドを置くとクローゼットの扉の開閉がしにくいことも。そこで、最近はあえて子ども部屋のクローゼットには扉をつけない提案をすることが多いです」(米村さん)

扉がないことで、家具を置けるスペースが広がります。また、クローゼットの扉によるデッドスペースが生まれず、100%収納に活用することができます。

「扉がなく、出し入れがしやすいので、衣類だけでなく本棚を置いたり、ランドセル置き場やいつも遊ぶおもちゃの収納場所をつくったりもしやすいのがメリット。中が見えることで、きれいに収納しよう、きれいに使おうという意識も生まれやすいのではと思います。お友達が遊びに来たときに収納の中が見えるのが気になるなら、そのときだけ隠せるようにロールスクリーンをつけておくといいでしょう」(米村さん)

収納のアイデア実例。扉のないクローゼットの子ども部屋の画像
扉のないクローゼット。衣類をきれいに並べたり、棚を追加して見せる収納にしたり、意識して片付けをするトレーニングにもなる(撮影/米村大子さん、協力/三愛地所「モデルハウスVoiz」)

きょうだいで一つの収納を使うなら広さはどれくらい必要?

きょうだいで使っていた子ども部屋を個室に分ける際、収納スペースも設ける必要があるなら、間仕切りを兼ねた収納にするプランも。

「同性同士のきょうだいなら、洋服や持ち物を共有することもあるでしょう。どちらの個室からも出入りできるウォークスルークローゼットは、部屋の通風によく、文字通り風通しのいいきょうだいの関係を築くにもよいのでは?通路になるスペースが必要なので、最低でも間口1800mm、奥行き900mmの広さがあるといいでしょう」(古屋さん)

間口1800mm、奥行き900mmは約1畳分の広さ。もともとの子ども部屋が10畳だとしたら、個室スペースには4.5畳ずつとれることになります。

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普段から洋服などの貸し借りが多いきょうだいなら、共有のクローゼットは便利で省スペースにもなる

片付けやすい環境をつくることが、片付けを嫌がらない子どもに育つための第一歩。子ども部屋の収納スペースや収納家具には何をしまいたいのか、子どもの意見も聞きながら、出しやすくしまいやすい収納を考えてみましょう。

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取材・文/田方みき イラスト/もり谷ゆみ
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