ナチュラルでかわいいカフェ風の家に憧れている人も多いはず。外観もインテリアのイメージと合わせたデザインにすれば、カフェのようなおしゃれな雰囲気をいつでも気軽に楽しむことができ、おうち時間が有意義なものに。そこで、カフェ風の外観にするためのポイントやプランニングの際の注意点について、Hughomeの高津久嗣さんに伺った。
カフェはほっとひと息つきたいときなどに訪れる非日常空間。住宅をカフェのような空間にするためには、柔らかな印象や温かみが感じられるような、ひと手間加えた手触り感のある雰囲気を演出するのがポイントになる。
「最近ではカフェは身近な存在になり、おうちにいるような空間も増えてきています。住宅とカフェが近しい雰囲気になってきているといえるでしょう。
住宅の場合はあくまで暮らす場所なので、お店っぽくつくりすぎてしまうと周囲の街並みから浮いてしまったり、あまりトレンドに寄せすぎると長年住む間に飽きてしまいます。
カフェ風のデザインを取り入れる際は、ナチュラルなテイストをベースに温もり感のある素材をプラスして、シンプルだけどほっとできるような雰囲気にするのが鉄則です。白の塗り壁に木の温もりやタイルの質感などを取り入れると、カフェ風の柔らかい印象の外観になります」(高津さん、以下同)
「屋根や外壁はなるべく凹凸を少なくフラットにするのがポイント。イラストで描きやすいような三角屋根やスクエアなどのシンプルな形状にすると、かわいらしいカフェの雰囲気になります」
屋根や外壁はシンプルにして壁面積を大きく取ったところに窓や玄関ドアなどでリズムをつけて、カフェらしさを演出しよう。
カフェ風の外観にするためには、外観デザインのアクセントとして目に留まる窓と玄関ドアの役割は重要になる。
「窓は室内の気配を感じられるくらいのサイズのものを選びましょう。木製の窓越しにレースのカーテンがかかっていて、窓の奥にはインテリアの温かい照明が見えるというように、『中がどうなっているのかな?』と覗いてみたくなるような魅力的な雰囲気をさりげなく取り入れるとよいですね。
窓のない閉鎖的な外観では、カフェっぽさはなくなってしまいます。反対に、大開口の掃き出し窓を設けるとホテルやレストランのようなラグジュアリーな雰囲気になってしまうので、室内のテーブルがちょっと見えるくらいの腰窓がベストです」
玄関は窓よりも存在感があるため、木製など温かみのある素材感でアクセントをつけながらも、外壁に馴染むよう凹凸なくフラットにしつらえると柔らかい印象になる。
外観をカフェらしい雰囲気に演出するためには、照明の選び方も大事なポイント。照明器具の存在感を出して、アクセントとして外観デザインの一部として取り入れよう。
「アンティークの照明を玄関先に付けるだけでグッと雰囲気が出ます。照明ひとつで好みのテイストがわかるので、カフェ風の外観をつくる上では重要な要素です」
カフェ風のナチュラルな外観にするためには、外観に使用する色はグリーンやブルー、ブラウンなど自然色を使うと飽きのこない大人可愛い雰囲気になる。
「暮らす場所として考えると、やりすぎないことが大事。3色くらいのアースカラーでまとめれば、住んでいくうちに風合いが出てきて、味わいが増していきます」
また、玄関アプローチや玄関前に植栽を置くとナチュラルな雰囲気が増すだけでなく、空間にメリハリが生まれる。
「カフェっぽさを演出するなら、オリーブやユーカリなどの青みがあって適度に華奢な枝ぶりのグリーンがオススメです」
グリーンだけでなく、玄関先にさりげなく木製ベンチを置いても、カフェのような雰囲気を演出することができる。
カフェらしい非日常空間を演出するためには生活感をなくす事が重要。道路から見える外観の正面部分には、洗濯物を干すバルコニーが見えないようにレイアウトしよう。また、掃き出し窓やシャッターのある大きな窓にしてしまうと生活感が出てしまうので、窓のサイズやデザインにも配慮が必要だ。
旗竿地など土地の条件によって玄関部分しか見えないという場合は、外から見える部分をカフェ風にしつらえるとよい。玄関ドアまわりにタイルや木などの素材を用いたり、玄関ドアにガラスを入れて窓の役割をもたせて透け感を演出することで、室内の明かりがこぼれて温かみを感じられる。
「外観を考えるときは、外から見える部分が広くても狭くてもカフェ風の外観にするためのポイントを取り入れてつくり込めば、雰囲気のある空間になりますよ」
「外観にアルミやサイディングなど工業的な素材を使ってしまうと無機質な雰囲気になってしまい、カフェらしさがなくなってしまいます。木やタイルなど温かみのある素材を使いながら、インテリアとのつながりを意識してストーリー性のある外観にしましょう」
質感のある素材を使う際には、外観とインテリアで一部の素材や色を揃えて、双方の空間とのつながりをもたせよう。
外観をオープンにし過ぎてしまうと家の中が丸見えになってしまうので、外構まわりを含めてプライバシーを考慮して検討しよう。
「一部を塀にして外観の全貌は明らかにしない適度なおこもり感を残すのも、カフェ風の外観をつくる上での演出効果のひとつです」
カフェ風の外観はナチュラルでかわいらしいフレンチテイストやカントリーテイストなどのデザインがベースになるが、最近ではコーヒースタンドのようなかっこいいデザインにも注目が集まっている。そこで、さまざまなテイストのカフェ風の外観のプランアイデアをご紹介!
カフェ風の外観の代名詞とも言える、ヨーロッパの片田舎にある家のようなほっこりとした雰囲気が魅力のカントリーテイスト。白を基調とした外壁にレンガやタイル、古材などの素材感を取り入れてアンティークな雰囲気を演出。
コーヒースタンドのようなクールな雰囲気のカフェをイメージしているなら、無骨な素材感のあるインダストリアルテイストがオススメ。カフェ風外観をつくる上での基本的なポイントを押さえつつ、ダークトーンの配色と外壁の素材感でコーヒースタンドのような雰囲気の外観に。
外壁にレンガやモルタルなどを使用すると、ざらっとした手触り感のある質感を演出できる。モルタルの場合は外壁には窓を少なめにして、その分玄関ドアにガラスを入れるとバランスが良い。
スクエアなどシンプルで直線的なデザインで色みを抑えて全体をシャープにまとめながらも、素材感でアクセントをプラスすることで、洗練されたカフェのような外観に。温もり感が出過ぎない素材を選ぶのがポイント。
海沿いにあるカフェのような外観は、カバードポーチと大開口窓を設けるなどゆったりと開放的な雰囲気に。カフェ風の外観のなかでは窓の面積が大きく、オープンな空間が特徴。
カフェ風の外観にするためには、ナチュラルなテイストをベースに温もり感のある素材をプラスして、シンプルだけどほっとできるような雰囲気にするのが鉄則
道路から見える外観の正面部分は、洗濯物を干すバルコニーが見えないようにレイアウトし、窓のサイズやデザインにも配慮を
旗竿地など土地の条件によって玄関部分しか見えないという場合は、外から見える部分をカフェ風にしつらえるだけでもOK