アメリカンインテリアとは?好みのスタイルに合わせたインテリアコーディネートのポイントを紹介

公開日 2024年05月20日
アメリカンインテリアとは?好みのスタイルに合わせたインテリアコーディネートのポイントを紹介

アメリカンインテリアと一口に言っても、ミッドセンチュリー、アメリカンダイナー、ヴィンテージ、ニューヨークスタイル、西海岸スタイルなど、特徴の異なるさまざまなスタイルがあります。家を新築したり購入したりするタイミングで、憧れのアメリカンインテリアを取り入れたいという場合は、自分のイメージのスタイルの特徴を理解した上で、上手におしゃれな空間をつくりたいものですよね。

今回はアメリカンインテリアのさまざまなスタイル、それぞれのスタイルに合わせた家具の選び方やインテリアコーディネート術を、クラシスホームのインテリアコーディネーター・長谷川さんに伺いました。素敵なアメリカンインテリアの実例もご紹介します。

アメリカンインテリアとは

アメリカンインテリアとは、いわば『アメリカ風のインテリア』のことですが、アメリカは広く、長い歴史があるため、地域や年代によって親しまれてきた内装や家具はさまざまです。

アメリカンインテリアと総称されるスタイルとしてはどのようなものがあるのか、日本の住まいでもよく取り入れられるスタイルをいくつか見ていきましょう。

ミッドセンチュリー

ミッドセンチュリーは20世紀半ばにアメリカで支持され広まったインテリアのスタイルです。大きな特徴としては FRP(繊維強化プラスチック)やプライウッド(成型積層合板)など、当時の新素材によって可能になった曲線的なデザインの家具などを取り入れたインテリアコーディネートを指します。デザイン性が高く、シンプルながらモダンな印象のスタイルです。

「ミッドセンチュリーは広く知られる代表的なデザインの家具などもあり、アメリカンインテリアの中でも人気のあるスタイルの一つです。

床や壁などはベーシックな色合いにして、ビビッドなカラーなどを取り入れてポイントにしたり、ミッドセンチュリーを象徴するようなデザイナーズ家具や照明を取り入れると、ミッドセンチュリーのイメージに近い雰囲気になります」(クラシスホーム・長谷川さん、以下同)

ミッドセンチュリーのデザインの家具や照明が映える、ダイニングキッチン
ミッドセンチュリーのデザインの家具や照明が映える、ダイニングキッチン
(画像提供/クラシスホーム)

アメリカンダイナー

アメリカンダイナーといってまず思い浮かべるのは、白と黒のタイルを組みわせた柄の床。コントラストの効いた柄の床にビビッドな色の小物などを組み合わせて、レトロなアメリカのダイナー(カジュアルなレストラン)を彷彿とさせるようなスタイルです。

「アメリカンダイナーはナチュラルな木などではなく、プラスチックやレザー、ブリキや金属など、少し無機質な素材を選ぶと、アメリカンダイナーらしい、レトロな雰囲気に調和します。

また、一般的にはものをあまり増やさずに、室内をスッキリさせた方がおしゃれな雰囲気にまとめやすいものですが、アメリカンダイナーの場合は、あえてテイストに合った小物をにぎやかに飾ることで、よりアメリカンダイナーらしい雰囲気を演出できると思います」

カラフルで大胆な色使いや遊び心のある小物使いといえば、『アメリカンポップ』もアメリカンインテリアの代表的なスタイル。アメリカンポップスタイルではよくピンクや黄色、水色などの色を差し色というよりもメインの色として使い、遊び心のある空間を演出します。

アメリカンダイナーを象徴する白と黒のタイルが印象的なポップなインテリア
アメリカンダイナーを象徴する白と黒のタイルがポイントのポップなインテリア
(画像提供/サンワ設計)

アメリカンヴィンテージ

アメリカンヴィンテージは木材や革、アイアンなどを組み合わせた、無骨で素朴な雰囲気が感じられるスタイルです。塗装が剥がれているような木材を使用するなどして、少し粗い雰囲気を演出したり、ユーズド感のある家具などを取り入れることが多いのが特徴です。

アメリカンヴィンテージ風のインテリア
(画像/PIXTA)

ニューヨークスタイル

ニューヨークスタイルには、主にマンハッタンスタイルとブルックリンスタイルがあります。

マンハッタンスタイルは白やグレーをベースにしたホテルライクなスタイルで、都会的でモダンな内装に、ラグジュアリーな家具などを組み合わせたりすることもあります。ヨーロッパ風のホテルライクなスタイルに比べると、黒を差し色にして、少し空間の印象を引き締めることが多いのもマンハッタンスタイルの特徴です。

天井の梁はマンハッタン・ソーホー地区によく見られるデザインをアレンジ
天井の梁はマンハッタン・ソーホー地区によく見られるデザインをアレンジ
(画像提供/メープルホームズインターナショナル)

一方、ブルックリンスタイルはアメリカンヴィンテージと少し似たような雰囲気のスタイルで、コンクリート打ちっぱなしや、古材の使用などで醸し出されるインダストリアル(工業的)な雰囲気が特徴です。

「アメリカンヴィンテージとブルックリンスタイルの雰囲気はよく似ていますが、無骨でラフなイメージのアメリカンヴィンテージに対し、ブルックリンは装飾を削ぎ落とした工業的な実用美が感じられるスタイルです」

黒やグレーを基調とした空間にレンガの壁が映える、ブルックリンスタイルのエントランス
黒やグレーを基調とした空間にレンガの壁が映える、ブルックリンスタイルのエントランス
(画像提供/クラシスホーム)

西海岸風・カリフォルニアスタイル

カリフォルニア、LA、サンフランシスコなど、海が近く、暖かい気候のエリアをイメージした、リゾート感を感じられるようなスタイルも、アメリカンインテリアの代表的なイメージの一つではないでしょうか。海をイメージさせるような小物やブルーの色味を取り入れたり、自然を想起させる観葉植物や無垢材などを組み合わせたりするのが特徴です。

「カリフォルニアスタイルは海の近くにあるような家というイメージで、開放感のある部屋づくりが基本です。シーリングファンなどは、カリフォルニアスタイルの部屋にはよく用いられます。カラーは白や青が定番で、木材なども白く塗装したものなどを取り入れることが少なくありません」

ネイビーのラグや観葉植物の緑がアクセント。白×木の西海岸風リビング
白×木の西海岸風リビング
(画像提供/クラシスホーム)

アーリーアメリカン

ヨーロッパの雰囲気も残る開拓時代、古き良きアメリカの雰囲気のインテリアのことをアーリーアメリカンスタイルといいます。木の温もりが感じられるような小物や家具を取り入れるのが特徴で、ロッキングチェアやパッチワークなどがよく用いられます。素朴な雰囲気の小物などを使ったインテリアコーディネートでアメリカの田舎を想起させるような“アメリカンカントリー”も同じような特徴を持つスタイルです。

「アーリーアメリカンやアメリカンカントリーといったスタイルの場合、ラグやカーテン、クッションなどのファブリック類を、ほかのスタイルよりも比較的室内に多用します。上手く布を使って温かい雰囲気を出すというのがこのスタイルのコーディネートのポイントの一つです」

パッチワーク作品やアンティーク家具が映える、アーリーアメリカンスタイルのリビングダイニング
アーリーアメリカンスタイルのリビングダイニング
(画像/セルコホーム)

アメリカンインテリアの部屋をつくるポイント

自分の思い描く『アメリカンインテリア』はどのようにすれば実現できるのか、ポイントを知った上で、住まいづくりをしたいものですよね。インテリアコーディネートで失敗を防ぐポイントを教えてもらいました。

ポイント1 インターネットの画像検索などを使って、イメージを具体的にする

先にご紹介したように、アメリカンインテリアにはさまざまなスタイルがあります。漠然と『アメリカ風のインテリアにしたい』と考えている場合は、まず、自分が思い描く理想のアメリカンスタイルはどのようなものか、明確にしておくことが必要です。

「インテリアのイメージを言葉で明確に表現するのは難しいですが、そんなとき役に立つのはインターネットの画像検索などです。検索サイトやSNSなどで自分のイメージに近い画像などをリストアップしていくことで、実現したいインテリアはどのようなものなのかが自ずと具体的になっていきます」

ポイント2 叶えたいイメージをコーディネーターとしっかり共有する

住まいづくりの際は、存分にプロの力を借りるのがおすすめです。自分の理想のイメージを担当のインテリアコーディネーターにしっかり伝えられるかどうかが、失敗や後悔を防ぐ重要なポイントになります。

「好みのイメージの画像などを集めたら、細かいことは気にせず、全ての画像をコーディネーターと共有していただくのが一番です。

自分のイメージするインテリアがブルックリンスタイルなのか、マンハッタンスタイルなのかなど、言葉で説明するのは難しいと思いますが、集めた画像は、お客様の好みが集約されているものです。多少集めた画像のイメージにばらつきがあっても、理想のインテリアのイメージを読み取ることはできますし、対話もしながら、実現できるコーディネートのご提案をしていくことができます」

インテリアコーディネートの打ち合わせのイメージ
(画像/PIXTA)

ポイント3 インテリアはまずは床から決める

実現したいインテリアのイメージが決まったら、まずは床から好みのスタイルに合わせて選んでいくと、コーディネートがスムーズにまとまるそうです。

「床は部屋の中で大きな面積を占める部分なので、床をどのようにするかで部屋の雰囲気が大きく左右されます。

例えば、部屋の中で『木』が占める分量が多いとよりナチュラルな雰囲気になるので、アーリーアメリカンのようなスタイルの場合は、床をはじめ、全体的に木の分量を多くしていきます。一方で、アメリカンダイナーなどの場合は、極力木の分量を減らして無機質な素材のもので特有の雰囲気を演出したりするので、やはり床をどうするかは最初に決めたいポイントになります」

床をどうするかを決めた後、スタイルに合わせて壁や天井の配色などを順に考えていくそうです。

「スタイルによって色の取り入れ方は変わりますが、大きく面積を占める部分については、基本的にあまりたくさん色を取り入れすぎず、床の色も含めて2~3色程度にすると上手くまとまります」

ポイント4 手持ちの家具の取り入れ方は早めに相談

住まいに合わせて家具を新調する場合は、スタイルに合わせたものを選ぶことになりますが、安易に手持ちの家具を取り入れてしまうと、チグハグな印象になってしまうこともあります。

「新居で使いたい家具については、ごく初期の段階でプランナーと共有しておくのがおすすめです。

例えばお手持ちの家具をそのまま新居でも使用したいけれど、新居のインテリアのイメージと雰囲気が合わないという場合は、使いたい家具にインテリアのイメージを合わせるか、もしくはリビングなどは好みのインテリアスタイルにした上で、そこに合わない家具はほかの個室などで活用するなどの方法を取ることになります。

プランニングの初期段階であれば、活用方法を考えやすいので、ぜひ、お部屋のスタイルが確定する前の段階で、プランナーに相談してみてください」

ポイント5 フォーカルポイントをつくって小物使いを楽しむ

インテリアのスタイルを決めたら、スタイルを特徴づける小物なども取り入れると、空間がぐっとおしゃれな雰囲気になります。小物を取り入れる場合は部屋の中にフォーカルポイント(目を引くポイント)を設けて飾るようにすると、失敗しにくいといいます。

「小物をたくさん取り入れると、家の中が雑然とした雰囲気になってしまうこともあります。そのような失敗を防ぐには、スタイルに合った小物を選ぶことも大事ですが、それに加えて、部屋の中にフォーカルポイントをつくって、その場所に飾るというのがおすすめです」

アメリカンダイナーやアメリカンポップといったインテリアスタイルの場合は、スタイルに合う小物をたくさん飾ることで、より雰囲気を演出しやすいということもありますが、小物使いに自信がなかったり、失敗したくないという人は、飾る場所をまずは1カ所に決めて、厳選したお気に入りの小物を飾ることからはじめてみるといいかもしれません。

インテリア小物のイメージ
(画像/PIXTA)

ポイント6 好みのイメージの住まいが得意そうな会社に依頼する

家づくりのパートナー選びは、理想の住まいを実現させる上で、とても大事なポイントです。建築会社やリフォーム会社には、それぞれ得意な分野もあれば不得意な分野もあります。

実現したいインテリアのイメージが明確にある場合は、各社の過去の施工事例なども参考に、自分の思い描くイメージを実現できそうな会社に依頼するのが安心です。

アメリカンインテリアのおしゃれな実例

実際にアメリカンインテリアを住まいに取り入れると、どのような雰囲気になるのでしょうか。おしゃれなアメリカンインテリアの家を実現させた、3つの事例をご紹介します。

【実例1】ミッドセンチュリー家具に彩られた住空間

30畳超の広々としたLDK
30畳超の広々としたLDKは、ミッドセンチュリーの家具や照明、木や石などの素材感が調和する洗練された空間(画像提供/クラシスホーム)

元々インテリアが好きで、使う家具に合わせて家をつくったというOさん。新居で使う家具を決めてから、きれいに配置できるよう設計していったそうです。また、広々としたリビングの一部にはミッドセンチュリーの住まいで象徴的に使われることの多い天然石張りの壁を設け空間のアクセントに。お気に入りの家具や照明と調和して洗練された印象を演出しています。

さらに、理想のイメージに合わせて、キッチンには鮮やかな配色がレトロ感を醸す吊戸棚を、洗面室にはサイドボードのような雰囲気の洗面台を造作。細部までこだわりの詰まった、ヴィンテージ感たっぷりの住まいになりました。

造作の洗面台
造作の洗面台はサイドボードのような置き家具をイメージし、細部までこだわってデザイン。壁のタイルはインテリアコーディネーターがOさんの好みに合わせて提案してくれたものだそう(画像提供/クラシスホーム)

【実例2】1階部分はアメリカンダイナーをイメージ。理想のアメリカンハウスを実現

黒、白、赤の色使いのインテリア
黒、白、赤の色使いのインテリアに、レトロなインテリアが見事に調和。丸みを帯びたキッチンは特注品(画像提供/ブリリアントホーム)

洋服や車、バイクなど、50年代のアメリカが好きで多くの影響を受けたというOさんは、注文住宅を建てる際も、やはりアメリカンスタイルの家を希望したそうです。1階はアメリカンダイナーをイメージした空間で、黒、白、赤の色使いが印象的です。アメリカンダイナーを象徴する市松模様の床に加え、レトロな家具や小物などが、古き良きアメリカの雰囲気を醸し出しています。

また、2階は1階とは雰囲気を変え、天井や壁を黒で統一したシックな空間に。モールディングや3色サインポール、アンティークな照明などを用いることで、50年代のアメリカの街並みにあるバーバーのようなイメージを実現しました。

ダイナミックな吹き抜け空間
ダイナミックな吹き抜け空間をつなぐ鉄骨階段も特注品。シックな2階の空間には、ショップのようにディスプレーして洋服を収納できる空間も(画像提供/ブリリアントホーム)

【実例3】西海岸風のインテリアで、明るく開放的な住まい

ナチュラルでさわやかな印象の室内
ナチュラルでさわやかな印象の室内(画像提供/クラシスホーム)

フルオープンにして室内と一体化して使える広々としたウッドデッキは開放感満点!自然を感じられる西海岸のライフスタイルを体現したようなHさんの住まいのインテリアは、白を基調にコーディネートされています。床のオーク材などのナチュラルな木の色と相まって、室内でも自然を感じられるようなさわやかな印象です。床に敷かれたネイビーのラグや各所に配されたグリーンが、開放的な吹き抜けリビングのアクセントになっています。

室内と一体に使えるウッドデッキ
室内と一体に使えるウッドデッキでは、友人たちとのバーベキューや、子どものプール遊びなどを楽しんでいるそう(画像提供/クラシスホーム)

アメリカンインテリアに漠然と憧れている場合は、まずは自分の思い描く『アメリカンインテリア』はどのようなスタイルなのか、具体的に考えてみましょう。自分の好みのスタイルをイメージできたら、ぜひ住まいづくりで理想のインテリアコーディネートを楽しんでみてください。

まとめ

アメリカンインテリアはアメリカのさまざまなエリアや時代において親しまれてきた内装や家具などを指す

レトロでポップなアメリカンダイナーや、リゾートの雰囲気も感じられるカリフォルニアスタイル、素朴で温かみのあるアーリーアメリカンなど、アメリカンインテリアには異なるイメージのスタイルが存在する

スタイルによって選ぶ色や素材などは異なるが、インテリアコーディネーターとイメージを共有し、スタイルに沿ったコーディネートをするのが成功の秘訣

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構成・取材・文/島田美那子
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