屋根や屋根材の種類を徹底比較!屋根材や形状別の特徴を解説

公開日 2019年04月26日
屋根の種類を徹底比較!屋根材や形状別の特徴を解説

家の外観の印象を左右する屋根。屋根の形や素材によって見た目だけでなく、費用やメンテナンスの手間が違ってきます。そこで屋根の形や屋根材の特徴をご紹介。現代の住宅における屋根の傾向も、LIXIL屋根部門の担当者に聞きました。

多彩な屋根の種類。それぞれの特徴を知れば、最適な形が見えてくる

代表的な屋根の形4タイプをイラストで紹介!

日本の屋根の形状には主に切妻屋根、寄棟(よせむね)屋根、片流れ屋根、陸屋根の4つのタイプがあります。下のイラストを見てください。普段皆さんが目にする多くの屋根の形は、イラストで示したタイプのいずれかに分類されるのではないでしょうか? しかし見慣れていても、それぞれの屋根の形に、どんな個性があるのでしょうか。この機会に屋根の形ごとの特徴を確認してみましょう。

日本の代表的な屋根のタイプ
イラスト
切妻屋根、寄棟屋根、片流れ屋根、陸屋根は日本で最も一般的な屋根のタイプ(イラスト/つぼい ひろき)

切妻(きりづま)屋根

子どものころ、お絵かきで家を描くときはこんな形の屋根を描いていたのではないでしょうか? 
日本人が“屋根”と聞いてすぐに思い浮かぶのがこの形。

2枚の流れ面が頂上部で合わさった、三角のシンプルな形です。
シンプルな形故に役物(屋根の流れ面以外の軒や袖などに使う部材)の使用が少なく、新築時もメンテナンス時も費用が安価に抑えられる利点があります。

切妻屋根
写真
2枚の流れ面が頂上部で合わさった、三角のシンプルな形(画像提供/PIXTA)

寄棟(よせむね)屋根

寄棟屋根とは、屋根の頂上で4枚の流れ面が合わさっているタイプの屋根です。切妻屋根と形は似ていますが、4枚の流れ面で屋根を寄せることにより、傾斜面が切妻屋根より短くて済むのが特徴です。

一方で切妻屋根に比べると継ぎ目が多く役物を使う量も多いことから、建設費が切妻屋根より10%程度割高になる傾向があります。

寄棟屋根
写真
屋根の頂上で4枚の流れ面が合わさっている(画像提供/PIXTA)

片流れ屋根

片流れ屋根は、頂点から片方にだけ流れ面があるタイプ。切妻屋根を半分にしたような屋根です。モダンな印象があり、小さな敷地の建物にもフィットすることから、近年の新築物件に多く見られるようになりました。

新築時の費用が安価に抑えられ、メンテナンスも容易。また太陽光発電パネルなども設置しやすいメリットがあります。

片流れ屋根
写真
頂点から片方にだけ流れ面がある形状の屋根(画像提供/PIXTA)

陸屋根(ろくやね 又は、りくやね)

屋上がある水平な屋根でフラットルーフとも言います。ルーフバルコニーを活用できる点や、スッキリとしたデザインが好まれ、近年少しずつ増えているタイプです。また豪雪地方では落雪による事故防止の観点から、陸屋根の家もよく見られます。

ただし屋根部分が水平で傾斜がないので、水がたまって雨漏りを起こしやすくなるデメリットがあります。陸屋根を採用する場合には、一見水平に見えて緩やかに傾斜がついている“陸屋根風”の造りにすることも可能ですので、設計担当者に相談してみましょう。

陸屋根
写真
水平な屋根。屋上を活用できるメリットがあります(画像提供/PIXTA)

屋根の形は、敷地の形状や立地にも左右される

日本の代表的な4タイプの屋根について解説しましたが、いかがでしたか? ひとくちに屋根といっても形状も特徴もさまざまだということがわかりますね。

ただ屋根の形状を決めるにあたっては、形状の特徴や好みだけでなく、法律や立地の制限など、さまざまな要素を考慮する必要がありますので、事前に建築士に相談したほうがよいでしょう。では次に建設費用やメンテナンス費用の多少に大きくかかわる、屋根の素材について見てみましょう。

金属系、セメント系、スレート系など、素材によって変わるコストや耐久性をチェック

屋根には大きく、金属系・スレート系・セメント系・粘土瓦の素材に分けられ、それぞれに重さや耐久性、価格帯が異なってきます。

金属系―トタン

価格の手ごろさ:★★★★★
重量の軽さ:★★★★★
耐久性の高さ:★☆☆☆☆

トタンは鉄板を亜鉛メッキで覆った素材です。高度経済成長期によく使われた建築材料なので、トタンというと、古い建物に使われているイメージをもつ人もいるかもしれません。

トタン屋根は、屋根自体の継ぎ目が少ないため雨漏りしにくいのが特徴。また素材が安価なのでコストを抑えて施工することができます。一方で遮音性や断熱性が低い、耐久性が低いなどのデメリットもあります。

特に耐久性においてはデメリットが大きく、経年劣化でメッキが剥がれると、サビが出てきてしまうので、10年に一度は塗装する必要があります。

トタン
写真
素材が安価なのでコストを抑えて施工することができる(写真/PIXTA)

スレート系―化粧スレート

価格の手ごろさ:★★★★★
重量の軽さ:★★★☆☆
耐久性の高さ:★☆☆☆☆

化粧スレートは主原料にセメントと繊維材料を用い、約5mmの薄い板状に加工した人工的な屋根材です。スレートには天然の玄昌岩(げんしょうせき)を加工した天然スレートという種類もあるのですが、素材が高価で施工も難しいことから、日本ではほとんど見られません。日本のスレート系屋根の大部分が人工的な化粧スレートです。

薄くて軽く施工性が高いので、新築時の費用が安く済むのがメリットです。一方で苔やカビが発生したり割れたりする頻度が高く、約10年ごとに塗装することが必要になります。また過去に製造されたスレート屋根材には健康被害をひきおこすアスベストが含まれていましたが、2004年以降のスレート材には、アスベストは使用されていません。

化粧スレート
写真
薄くて軽く、施工性が高い(写真/PIXTA)

金属系―ガルバリウム鋼鈑

価格の手ごろさ:★☆☆☆☆
重量の軽さ:★☆☆☆☆
耐久性の高さ:★★★★☆

金属系のなかでも近年多く住宅に使用されるガルバリウム鋼鈑とは、アルミニウム・亜鉛・シリコンによる合金の総称です。耐用年数は約20年といわれ、高い耐久性を誇ります。また軽量であることから建物全体の耐震性アップに貢献できる点、塗装が容易でデザイン性が高い点が人気です。

一方、軽量で薄いので、重いものが当たると凹みができるなど傷つきやすく、強風にも弱いのが弱点。またサビにくいとはいえ、傷ついて塗膜が剥がれた部分から、サビることもありますし、塩害で白サビがつくこともあります。メンテナンスで再塗装する場合は、塗膜でコーティングされている分難易度が高く、割高になる傾向があることにも注意しておきましょう。

ガルバリウム鋼鈑
写真
軽量で耐久性が高いガルバリウム鋼鈑(写真/PIXTA)

金属系―石付きガルバリウム鋼鈑

価格の手ごろさ:★☆☆☆☆
重量の軽さ:★★☆☆☆
耐久性の高さ:★★★★★

ガルバリウム鋼鈑に天然石を吹き付けた新素材。塗り替えの必要がなく耐久性が高い素材です。石を吹き付ける分、ガルバリウム鋼鈑よりは若干重量が重くなるものの、粘土瓦やスレートなど他の素材よりも軽い素材です。

天然の石を吹き付けているので、石の色を変えたり瓦のような見た目にできたりするのも特徴です。耐久性の高いガルバリウム鋼鈑と、塗り替えのいらない天然石のメリットを合わせた素材といえるでしょう。

石付きガルバリウム鋼鈑
写真
ガルバリウム鋼鈑と天然石のメリットを合わせた素材(画像提供/LIXIL)

瓦―粘土瓦

価格の手ごろさ:★★★☆☆
重量の軽さ:★☆☆☆☆
耐久性の高さ:★★★★☆

瓦の主流は粘土瓦で、釉薬(ゆうやく)を塗って艶を出した釉薬瓦と釉薬を塗らない無釉薬瓦(いぶし瓦ともいう)に分けられます。また日本瓦と西洋瓦という分け方もありますが、瓦の形状の違いであり、素材は同じ粘土です。ほかにも金属やスレートなどの素材で瓦を模したものもありますが、一般的に瓦といえば粘土瓦を指します。

粘土瓦の特徴は、何といっても耐久性が高いこと。耐用年数は30~40年といわれており、塗装も必要ありません。ただ、重さは他の素材に比べて重く、建物はそれを支える強度が必要になります。また瓦のズレや漆喰(しっくい)の剥がれなどがある場合はメンテナンスが必要になります。

粘土瓦
写真
耐用年数は30~40年(写真/PIXTA)

最新の技術進歩にも目を配り、屋根材のもつデメリットを軽減しよう

代表的な屋根の素材について紹介しましたがそれぞれに特徴がありますので、マイホームにはどのタイプの屋根材がふさわしいか考える際の参考にしてください。

また森木さんによると、屋根の素材は常に進化しているとのこと。
「素材のもつデメリットを軽減した新素材を、各社が開発しています。希望する素材のデメリットが気になったら施工会社に解決の方法がないか尋ねてみてください。新素材を使うほかにも、デメリットと思われる素材の重さや費用の高さを、家全体のバランスでカバーできる可能性もあります」

屋根は住まいを雨や日光から守る家の要であり、家の外観を左右する大きなポイントです。屋根についての知識を蓄えた上で、設計や施工を担当する会社とじっくり話し合って満足度の高い家づくりをしたいものですね。

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取材・文/蜂谷智子 イラスト/つぼい ひろき
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