木材の種類でよく聞く「集成材」と「無垢材」。集成材・無垢材とはどのような木材でどのような違いがあるのか、それぞれの特徴やメリットやデメリット、使い分け方などについてご紹介します。
集成材のイメージは、「素材を寄せ集めたもの」という漠然とした印象を持つ方もいるかもしれません。
実は、家の構造体や床などの建材・家具などにも使用される部材です。
詳しく説明すると、製材された板あるいは小角材などを乾燥し、節や割れなどの欠点の部分を取り除き、繊維方向をそろえて接着剤で接着してつくる木質材料のことで
天然材に比べ、強度や寸法安定性、耐久性に優れ、湾曲した材料も製造できるなどの特徴があります。
日本集成材工業協同組合によると、「集成材は原料となる丸太から、2~4cm程度の厚さに切り出される『ひき板』(ラミナという)や小角材を乾燥させ、厚さ、幅及び長さの方向に接着した木質材料をいいます」
つまり集成材とは、「木材の良い部分を集めて成型する木材」といったところでしょうか。
集成材の種類としては、次のふたつがあります。
集成材の種類 | 用途 |
---|---|
構造用集成材 | 住宅の柱や梁などの構造に使う |
造作用集成材 | 住宅の内装や家具などに使う |
また、「合板」は集成材と別の素材です。
同じく日本集成材工業協同組合によると「合板は、原料となる丸太を『桂剥き』のようにして3ミリ程度に薄く剥いた『単板』を乾燥させ、その奇数枚を繊維方向が直交するように重ねて接着剤で貼り合わせた木質材料です。ちなみに、合板を指して『ベニヤ』といわれることがありますが、べニア(veneer)は『単板』を意味する英語であり、『合板』はプライウッド(plywood)です」とのこと。
集成材の特徴などについて紹介しましょう。
構造用集成材は、強度が高いため、住宅の柱や梁・桁、土台に使われています。
日本農林規格(JAS)に基づき、ひき板を組み合わせて必要な強度の木材をつくれる、つまり木材の強度が明示されています。
この時、含水率を15%以下に抑えることも要件となっているため、十分な乾燥が施されています。つまり、湿度などで寸法が狂いにくく、安定した木材であるともいえます。
造作用集成材は、美観に優れていることから、食卓テーブルや机の天板、カウンター、階段、上り框(かまち)、和室の敷居、鴨居、長押などに使われています。
また、集成材には環境に優しい一面もあります。東南アジアでは、ゴムを採取した後のゴムの木を再利用して造作用集成材がつくられ、テーブルの天板などに利用されています。
次に、集成材のメリットをみていきましょう。
・乾燥された部材のため、湿気などに強く品質が安定している
・接着して製造するために、無垢材では実現できない幅、厚み、長さの製品をつくることができる
・美観を目的として表面に化粧薄板を貼りつける「化粧貼り造作用集成材」もあり、高級感のある木を見た目に使用した集成材を手ごろな価格で入手できる
品質の安定だけでなく、デザイン性にも集成材ならではの利点があります。
デメリットというよりも注意点のようなものですが、集成材はつくられるようになってまだあまり年数が経っていないことから、数十年単位の実績データがありません。そのため、素材を接着している接着剤の長期的な耐久性などには未知数のところもあります。また、接着剤に含まれる化学物質を懸念する声もありますが、これに関しては、2003年に建築基準法で安全基準が設けられています。
「無垢材は自然の木そのまま」という印象がありますが、表面に張り物をしたり、修正加工したものではない木材のこと。1つの材質でできているものを『むく(無垢)』、あるいは『正物』(しょうもの・しょうぶつ)といいます。
つまり、「1本の木から切り出されていて、他の素材を貼ったり塗ったりしていない木材」といったところでしょうか。一本の太い丸太から挽いて得た板で接着などの加工を施しておらず、そのままの木目や質感を楽しむ「一枚板」や、希少でブランド価値の高い種類の木から切り出すなどして、美しい・珍しい木目、目の詰まった年輪、色、艶等を呈している「銘木材」も無垢材の一種です。
無垢材の魅力として大きいのは、木材そのものの風合いがあることです。したがって、デザイン性や高級感が求められるダイニングテーブルの天板や、和室の床柱などには向いていると言えます。また、調湿機能があり、体に優しいことなどから、住人が比較的長い時間を過ごすリビング・ダイニングの床などにもよく用いられます。
無垢材は、いわば木そのままの素材ですから、自然な風合いが魅力です。
メリットとしては
・接着剤などの化学物質を含まないことから、身体に優しい素材と言われている
・コーティングを施していない無垢材には調湿機能がある
(湿度の高い時:水分を吸収 乾燥している時:水分を放出)
・傷がついた場合に補修がしやすい
・コーティングを施していないオイル仕上げの場合は手触りを楽める
・ダイナミックな木目を味わえる
こうした風合いの良さや、希少性の高さから、高級感を醸し出す素材として人気の部材です。
調湿機能があるということは、木が伸び縮みするということでもあり、フローリングに隙間ができたり、テーブルの天板が反ってしまったりといった可能性はあります。無垢材の製材では、あらかじめ十分な乾燥が施されていないこともままあり、住宅の引き渡し後に乾燥が進み、柱などに割れが入り、夜中に音を立てるといったケースが見られます。こうしたことを避けて、積極的に無垢材が採用されない現場もあるようです。
また、一般的な集成材が日本農林規格(JAS)に基づいて強度を表示しているのに対し、無垢材はJAS認証品が極めて少なく、入手も難しくなっています。
家の柱には、寸法が安定していて耐久性が高い構造用集成材が向いています。先に示した「木造住宅の柱への集成材採用比率」を見ても、多くのケースで採用されているのがわかります。
それでは無垢材は向いていないのかというと、これも「質の良い無垢材と腕のいい職人をそろえられるなら」という条件付きなら良しといえます。しかし、そうなるとコストもかなりかかってきます。
「集成材・無垢材だから良い・悪い」とか「集成材・無垢材だからこの用途に使うべき」といった決まりはありません。使用する人の求めるものや品質、特徴、環境によって選び方が変わります。例えば一般的には集成材が向いていると言われる階段で無垢材を使う方がいいケースや逆に無垢材が好まれるダイニングテーブルに、集成材の方が適しているケースもあります。この記事で集成材と無垢材の基本的な特徴を押さえたら、それを踏まえた上で、プロにも相談してみましょう。
集成材は木材の良い部分を集めて接着したもの、無垢材は1つの木から切り出したもの
集成材は安定性や機能性、無垢材は風合いや快適性が持ち味
用途や選び方はケースバイケースの面もある、知識を得た上でプロにも相談を