一人暮らしの2LDKの間取りは、生活するだけではなく、プラスαの過ごし方を求めている人などに選ばれるが、一人暮らしの2LDKのメリット・デメリットとは?また、どれくらいの家具が置けるのか、どんなふうに家具をレイアウトしたらいいのかなど、実際の間取りをベースとした家具のレイアウト例をインテリアコーディネーターの住吉さやかさんに教えてもらった。部屋選び・家具選び・レイアウトの参考にしよう。
2LDKとは、LDK(リビング・ダイニング・キッチン)のほかに独立した2部屋がある間取り。複数の部屋を使い分けることができるため、ほとんどの場合はカップルか少人数ファミリーに選ばれることが多い。ただし一人暮らしの場合でも、その部屋で「暮らす」だけでなく、リモートワーク(在宅勤務)が多い人や、仕事をしたり、人を招いたりとプラス@の使い方を求めている人などに人気があるよう。広さは物件によってさまざまだが、「ワンルームや1K、1LDK以上に、それぞれの部屋に何を置いて、どう使うかにより、暮らし方が大きく変わります」(住吉さん)
2LDKでの一人暮らしにはどんなメリットがあるのだろう。よく挙げられるものを紹介しよう。
2LDKでの一人暮らしにはメリットがたくさんあるが、そのひとつが、LDK以外の2部屋を○○用・△△用と使い分け可能なこと。例えば、家で仕事をすることの多い人なら、1部屋を仕事部屋に、もう1部屋を寝室に、という使い分けも可能。仕事部屋は作業に集中しやすい環境を整え、寝室はリラックスできるインテリアに、などと空間づくりのテーマも明確になる。仕事部屋のほかにも、趣味の部屋、トレーニング部屋などさまざまな用途で使えるのがメリットだ。
例えば衣服が多いなら、2部屋のうち1部屋をウォークインクロゼットにするのもアイデア。本やコミック誌などが多い人は1室まるごとライブラリーにしたり、趣味のコレクションに場所を取られる人はショーケースを置いたり、趣味の道具が多い・大きいなどで場所を取るなら専用の部屋にしたりなど、持ち物の種類や数量に応じて収納専用の部屋にすることも可能だ。
例えば親やきょうだい、友人などがよく泊まりに来るといった場合、自分の寝室やLDK以外の独立した部屋を使ってもらえるというのは大きなメリット。また、仕事で来客の場合も、プライベートな寝室を見られずに仕事部屋に通すことができる。ただし、家族や恋人などとの「同居」に発展する場合、許可なく入居者を増やすことは契約違反となるため、不動産会社に連絡を入れよう。
シングル向けにつくられたワンルームや1Kなどと違い、2LDKはファミリー向けにつくられていることが多く、浴室やキッチンなど居室以外も広めにつくられる傾向にある。料理が好きな人、ゆったり入浴したい人などにとっては、これも大きなメリットといえる。
2LDKでの一人暮らしにはどんなデメリットがあるのだろう。よく挙げられるものを紹介しよう。
2LDKの部屋はワンルームや1K、1DK、1LDKと比べて専有面積が広いことが多く、家賃は当然高くなりがち。また、広いうえに部屋数が多いので、照明器具や冷暖房にかかる電気代なども高くなることが多い。
2LDKは一人で暮らすには十分すぎる広さがあるため、持ち物や来客が多くない限り、空間を持て余してしまいがち。また、部屋が広い分、大きな家具を買ってしまい、使いこなせなかったり、かえって使いにくかったりすることもある。置きたい家具や荷物のサイズ・数量などから、本当に必要な広さはどれくらいかを考えよう。
ワンルームや1Kなどに比べて部屋数が多く、床面積が広い2LDKは、掃除機がけなど掃除の手間や時間がかかるのもデメリットのひとつ。スペースに余裕があるので、人によってはついつい物を増やしてしまい、片付けにくくなるというケースもある。特に掃除や片付けが苦手な人は、この点にも気をつける必要がありそうだ。
同じ一人暮らしでも、物に囲まれた狭めの部屋より、ガランとした広めの部屋のほうが寂しく感じる人が多いよう。特に一人暮らしに慣れていない人ほどその傾向が強いようなので、最初のうちは自分の持ち物をすべて置いて、さらに少し余裕があるくらいの広さがちょうどいいだろう。
同じ2LDKの間取りで同じ広さでも、部屋の形はさまざま。どんな暮らしがしたいかによっても、家具の置き方は変わる。個室がLDKとつながる2LDK、個室がどちらも独立している2LDKという代表的な間取り2種類で、暮らしのスタイルに合わせたレイアウト例を紹介しよう。
玄関から入ってすぐの場所に独立した1部屋があり、もう1部屋がLDKと隣接する2LDKでは「LDKへのドアを境として、2つのゾーンをどのように使い分けるかがポイントとなります」と住吉さん。2つのタイプの使い分け方で、レイアウト例を見ていこう。
1つ目は、LDKへのドアを境とした2つのゾーンを「昼夜」で使い分けるレイアウト。
「2つの部屋のうち、1つを書斎・仕事部屋として使いたい人に向いています。この例では、LDK側は書斎として、玄関側は寝室として使うのがポイント。日のあたる側に書斎とLDKがあるので、日中は書斎で作業をしたり、LDKで食べたりくつろいだりして過ごし、夜は玄関近くの寝室でゆっくりと休みます」
玄関側の部屋はトイレや水まわりにも近く、寝室としても使いやすいというメリットもある。
昨今話題になっているリモートワーク(在宅勤務)をする際にも、このように明確に部屋の役割が分かれていれば、業務の時間とプライベートの時間にメリハリをつけることができそうだ。
【例2】は、LDKへのドアを境とした2つのゾーンを「公私」で使い分けるレイアウト。「2つの部屋のうち、LDK側を寝室とし、玄関側をオフィスとして使うと、LDKのドアから先が完全にプライベート空間となります。来客がトイレを使う場合も、リビングや寝室を通らずに出入りできるので、自宅で公私をはっきりと使い分けるのにぴったりです」
LDKと寝室を仕切るのが壁ではなく引き戸なので、閉じればゆっくり休める寝室に、開け放しておけば大きな1つのプライベート空間になる。
「こちらは【例1】の逆で、例えばデザイナー、ネイリストなど少人数の来客がある仕事をしている人がホームオフィスとして使う場合にも向いています」。ただしオフィスとしての使用が認められる物件かどうかは契約時に確認しよう。
上の【例1・2】と対照的に、2部屋とも独立したタイプの2LDKでのレイアウト例を、ライフスタイル別に紹介しよう。
シンプルにLDK+寝室+書斎として使う場合のレイアウト例。「LDKはリビングとダイニングを左右に分けて、食べるゾーン・くつろぐゾーンを明確に。個室は広いほうを寝室にしていますが、仕事のための持ち物が多い場合などは寝室と書斎を入れ替えて使ってもいいでしょう」
こちらも【例1】と同じく、仕事をするスペースとプライベートのスペースがはっきりと分かれているため、リモートワーク(在宅勤務)の際にも集中して業務に取り組めそう。
次の例は、せっかくの2LDKを活かして、もっと多目的に使うことを考えたレイアウト例。
「ダイニングテーブルは置きづらい間取りですが、リビングが広いので、ソファやラウンジチェアを置いてパーティールームに。寝室に小さなデスクを設けて、寝室以外のもう1部屋は、パーティー後に誰かが泊まっていくときのゲストルームに。ほかにもトレーニングルームなど、多目的に使えそうです」
一人暮らしで2LDKの間取りに住む場合、それぞれの部屋をLDK・寝室・書斎などと使い分けるのが一般的。ただし、「ひと口に『2LDK』といっても、部屋と水まわりがどのような配置・動線になっているかによって暮らしやすさは大きく変わってきます」と住吉さん。
「【例1・2】のように1部屋がLDKから離れていて、もう1部屋が隣接している場合、LDKの隣を書斎にすれば昼夜のメリハリがつけられ、玄関側の部屋を書斎にすれば公私の区別がはっきりとつけられるなど、それぞれにメリットがあります」
日中をどこで過ごすのかも考えたいポイント。「間取図を見ながら、1日の自分の行動をイメージしてみることも大切。そこからどの部屋をどんな用途に使うのか決め、そのために何を置く必要があるかを考え、それを置ける広さが十分にあるかなどをチェックしていきましょう」
2LDKはLDKのほかに2部屋ある間取り
同じ部屋数、面積でも、配置によって使いやすさは変わる
自分の1日の行動をイメージしながら間取図をチェック