賃貸でセカンドハウスを借りる注意点は?週末サーフィンや二拠点生活も

公開日 2024年03月22日
賃貸でセカンドハウスを借りる注意点は?週末サーフィンや二拠点生活も

賃貸でセカンドハウスを利用するには、どんな注意点があるのでしょうか?週末サーフィンやスノボに行くのに拠点となる家がほしい、田舎暮らしをしてみたいけど、いきなり移住は不安だからお試し生活できたらいいな……そんな理想のライフスタイルを実現するセカンドハウスですが、複数の賃貸物件を借りることは可能なのでしょうか?本宅の住宅ローンへの影響は?セカンドハウスを賃貸で借りるメリット・デメリットは?物件選びの注意点、事前に確認しておきたいポイントなど、賃貸管理会社ハウスメイトマネジメントの伊部尚子さんにお話をうかがいました。

そもそもセカンドハウスって?別荘とは別モノ?

セカンドハウスとはどんなもの?

セカンドハウスとは、その名のとおり「第二の家」のこと。普段生活している拠点とは別に、定期的に暮らしている住居のことをいいます。マンション、一戸建てなど建物の形式には決まりがなく、賃貸物件として借りることも可能。「毎月1日以上、住むために使っている物件」というのがセカンドハウスのポイントです。

別荘とはどう違うの?

別荘は主にリゾートエリアに立地し、避暑や長期休暇を楽しむために滞在する住まいのこと。保養・休養を目的とする「ぜいたく品」とみなされます。

一方、セカンドハウスのロケーションはリゾート地に限らずさまざま。生活するための居住が目的の「生活必需品」という位置付けです。そのため、購入のケースだと、別荘では受けられない固定資産税や不動産取得税などの優遇措置が受けられます。

セカンドハウスはこんな人におすすめ!

それでは、セカンドハウスを利用したいと考えているのはどういった人たちなのでしょうか。それぞれのおすすめの理由も見ていきましょう。

趣味を楽しむ拠点がほしい人

釣り、サーフィンなどのマリンスポーツ、スノーボードなどのウィンタースポーツ、登山、キャンプ、DIY、家庭菜園など、趣味のために定期的に出かけている人。「セカンドハウスを拠点にすれば、趣味の道具を置いたり、そのまま泊まってリフレッシュしたりできます」(ハウスメイトマネジメント・伊部さん)

二拠点生活をしてみたい人

コロナ禍を経て働き方が多様に変化し、テレワークも普及しました。国も二拠点居住を推進しています。普段都会で暮らす人なら、週末は自然豊かな環境に身を置いてみるのもいいでしょう。

いずれ移住を考えている人

移住したいエリアにセカンドハウスを借りて、自分たちのライフスタイルに合う環境かどうか、お試しで生活してみるのもおすすめ。隊員1人あたり上限480万円が交付される地域おこし協力隊など、地方への移住は国が促進政策を打ち出しています。

通勤・通学時間を減らしたい人

遠距離通勤のストレスを減らしたい人、子どもの通学時間を短縮させたい人などは、会社や学校近くにセカンドハウスを借りるという手も。通勤・通学時間が減った分、プライベートな時間を充実させることができます。

サーフィンを楽しむ男女。海辺にはマンションがあり、そこに住みたいと話している
毎週サーフィンを楽しんでいるなら、セカンドハウスがあると便利(イラスト/いぢちひろゆき)

賃貸でセカンドハウスを利用するメリットは?

実際にセカンドハウスを借りることで、一体どんなメリットがあるのか、見ていきましょう。

メリット1:都市生活と郊外生活のバランスが取れる

平日と週末で住まいを分けることでオン・オフの切り替えがしやすくなり、生活にメリハリがついて心身がリフレッシュできます。郊外のセカンドハウスでリモートワークをするなど、柔軟な働き方も実現できるでしょう。

メリット2:新たな人脈や交流、発想が生まれる

普段は自宅と会社の往復だけという人も、セカンドハウスがある地域の行事などに参加してみれば、新たな人脈が生まれ、交流を広げることができます。住環境が変わることで、新しい発想が生まれることも。

メリット3:お試しで生活できる。本格移住の前に、土地勘やつながりを広げられる

生活の拠点を完全に移してしまったあとで、「想像していたのと違った」「環境が合わなかった」となるのは避けたいもの。「住んでみたい街が見つかったら、まずはセカンドハウスを借りてお試しで生活してみるといいでしょう。土地勘を養ったり、周りの人とのつながりを広げたりしてから本格移住できるのもメリットです」(伊部さん)

メリット4:購入した場合のリスクが回避できる

賃貸なら、購入するよりも低コストでセカンドハウスが利用できます。固定資産税や不動産取得税、家の修繕などのメンテナンス費用も基本的にはかかりません。もし住んでみて環境や地域のコミュニティーが合わないと感じたときは、無理に住み続けることなく解約することも可能です。

平日は都会のオフィスで仕事、週末は田舎で野菜づくり
平日は都会で働き、週末は田舎の畑で野菜を育てる、といった暮らし方もセカンドハウスがあれば叶う(イラスト/いぢちひろゆき)

賃貸でセカンドハウスを利用するデメリットは?

逆に、賃貸セカンドハウスで考えられるデメリットも見ていきましょう。

デメリット1:初期費用とランニングコストがもう1軒分かかる

セカンドハウスに入居する際には、敷金、礼金、仲介手数料などの初期費用がかかります。また月に1回以上とはいえ、セカンドハウスで生活するには必要最低限の家具や家電も必要。水道光熱費も別途かかります。特に地方ではプロパンガスが供給される地域が多く、都市ガスと比べて料金は高い傾向にあります。

賃貸のセカンドハウス利用に必要な諸費用
  • 敷金・礼金・仲介手数料(家賃の5~6カ月分が相場)
  • 火災保険料
  • 家具、家電、調理器具代など
  • 水道光熱費
  • 通信費
  • テレビ視聴料
  • 日用品費
  • ガソリン代など車にかかる費用(公共交通機関が少ない地域の場合)

デメリット2:交通費がかかる

住む場所が2カ所になるので、移動するたびに交通費はかかってきます。地方の場合、立地によっては車がないとどこにも行けないことも。また雪が降る地域だと冬はスタッドレスタイヤも必要になってきます。

大荷物なのにバスが来ない。地元のおばあさんが次のバスは3時間後だと教えてくれる
公共交通機関が少ない立地だと、自家用車が必要になることも(イラスト/いぢちひろゆき)

デメリット3:不在がちなセカンドハウスは防犯対策が必須

毎日そこで生活するわけではないセカンドハウス。一戸建てはもちろん、マンションもオートロックでないなどセキュリティーが不安な場合は、防犯対策をきちんと行うことが大切です。「オーナーの許可を得て鍵を防犯性の高いものに替える、サッシや窓に補助錠を取り付ける、窓ガラスに防犯フィルムを貼る、といった対策が必要になってくるでしょう。また、留守中に『在宅を装う』ことも有効。タイマー設定や遠隔操作で照明をオン・オフできるスマート電球を活用するのもおすすめです」(伊部さん)

デメリット4:ゴミ出しのタイミングが難しい

ゴミ回収の日にちょうどセカンドハウスにいるとは限りません。特ににおいの原因となる生ゴミは、放置しておかないよう注意が必要です。セカンドハウスで生活して出たゴミは、本宅に帰る際こまめに持ち帰るのがベストでしょう。持ち帰れないときは食事は外食にするなど工夫が必要かもしれません。

デメリット5:留守の期間が長いと近隣住民が嫌がることも

伊部さんによると、郵便受けにチラシなどがたまると、防犯上の問題から近隣住民に嫌がられることもあるようです。「地域によっては、町会への加入が求められたり、掃除当番があったり、回覧板が頻繁にまわってくることもあります。近隣の人やマンションの管理人に、セカンドハウスとして利用しているという事情を話し、免除してもらうなど交渉が必要になることも。いずれにせよ、入居の際はすぐに挨拶に行き、近隣との関係性を良好にしておくことが肝心です」

デメリット6:資産にならない

賃貸物件は資産にならず、また自由にリフォームやリノベーションができません。古い物件に手を加えたいという場合は、DIYが可能かどうか、原状回復についても申し込みの前に確認を。

セカンドハウスを借りるときの注意点、事前に確認したいポイント

賃貸のセカンドハウスを利用する際、事前にチェックしておきたいポイントをご紹介しましょう。

複数の賃貸物件を借りることは可能?審査に影響しない家賃の範囲とは?

同じ名義人で複数の賃貸物件を借りることは可能です。ただし家計の負担が大きくなるため、滞納のリスクが考慮されます。
「現在は、家賃債務保証会社の審査が通ることを必須としている会社がほとんどです。セカンドハウスとして借りることがわかっていれば、当然本宅の家賃も保証会社の審査に影響してくるでしょう」と、伊部さんは言います。

「重要なのは、家賃の総額。家賃は手取り収入の1/3までというのが鉄則ですが、現在の家賃とセカンドハウスの家賃の合計で1/3以下に収まっていれば、保証会社の審査にも通りやすいでしょう」。セカンドハウスの家賃が安ければチャンスあり。エリアによっては2万円台で借りられるところもあるようです。
申し込みの際は、源泉徴収票など収入を証明できるものを準備して、本宅とセカンドハウス2カ所の家賃を支払える根拠を示すことが大切です。

複数の賃貸物件を借りる際の家賃の目安
手取り額 本宅+セカンドハウスの合計家賃
25万円 8万3000円まで
30万円 10万円まで
35万円 11万6000円まで
40万円 13万3000円まで
45万円 15万円まで

また、セカンドハウスとして借りたいという目的や利用頻度も偽りなく説明しましょう。審査のため、仲介会社がオーナーに説明する必要があるからです。
「オーナーさんも、なにもわからなければ『本宅があるのになぜ?』と怪しく思ってしまいますよね。安心して貸していただくためにも、月に何日程度、どんな目的で使いたいのか、担当者に伝えるようにしましょう」(伊部さん)

セカンドハウスの利用目的を不動産会社で説明する男女
セカンドハウスの利用目的や頻度についてしっかり伝えよう(イラスト/いぢちひろゆき)

本宅が分譲の場合、住宅ローンへの影響は?

本宅の住宅ローンを払っている場合も同じく、月々の返済額+セカンドハウスの家賃の合計金額が手取り収入の1/3に収まるように考えるといいでしょう。家賃保証会社では、住宅ローンだけでなく、車のローンなどほかの借り入れの残債や年収などを考慮して審査が行われます。

住民票は移した方がいい?住民税はどうなる?

住民票は「生活の本拠」に置くことと定められていることから、普段の生活拠点がある本宅の自治体のままで大丈夫です。ただ住民票がないと、選挙の投票や予防接種といった自治体が実施する福祉サービスが受けられないので、セカンドハウス滞在中は気をつけましょう。

住民税は、住民票のある本宅の自治体で支払いますが、セカンドハウスのある自治体でも「住民税の均等割」を支払う必要があります。賃貸・分譲に関わらず、セカンドハウスは「生活する場所」とみなされているためです。
伊部さんによると、均等割には地域社会の会費のような意味合いがあり、税額は道府県民税(東京都は都民税)1500円+市町村民税3500円で年間5000円※。原則的に全国一律ですが、例えば神奈川県では水源環境の保全・再生のため1800円など、自治体によって異なる場合があります。

※「東日本大震災からの復興に関し地方公共団体が実施する防災のための施策に必要な財源の確保に係る地方税の臨時特例に関する法律」により、平成26年度から令和5年度までの10年間、それぞれ500円加算されている。令和6年度以降は、道府県民税(東京都は都民税)1000円、市町村民税3000円で年間4000円となる

支援金や補助金はある?

移動の交通費や家具・家電代、光熱費など、セカンドハウスって想像以上に費用がかかるな…と思った方もいるかもしれません。二拠点生活を推進している自治体では支援金や補助金が出る場合もあるので、気になるエリアは自治体のサイトをチェックしてみましょう。条件が合えば、リモートワーク支度金などが支給されるケースがあります。

セカンドハウスを借りるときの注意点は?確認しておくべきことは?

住みたいエリアが決まったら、まずはネットで物件探し。すぐに現地に行けない場合でも、オンライン内見に対応している物件もあります。ただし、住み始めてから「周辺環境が思っていたのと違う」ということにならないよう、必ず現地に行って自分の目で確かめてから申し込むことが大切です。
不動産会社で申し込む際には、ゴミ出しのルールや地域の決まりごとについてもあらかじめ確認しておきましょう。都会とは異なるコミュニティーやマナーが存在することもあります。「留守にすることが多いセカンドハウスだけに、留守中の維持管理がしっかりできるかどうかも入居審査のポイントになります」(伊部さん)

セカンドハウス専用の車を購入するには?

公共交通機関がなく、車がないと移動に不便な地域の場合、セカンドハウスで使うために車を購入したい、という人もいるでしょう。車を購入する際には自動車保管場所証明書(車庫証明)が必要ですが、主にセカンドハウスで利用する場合、迷いがちな申請のポイントを紹介します。

  • 車庫証明に記載する「使用の本拠の位置」をセカンドハウスの駐車場住所にする
  • その場合、生活実態を証明するため、セカンドハウスでの公共料金の領収書の写しが必要。消印のある郵便物でも可能な場合も
  • 「申請者の住所」は住民票のある本宅の住所でよい
  • セカンドハウスの所在地を管轄する警察署で車庫証明を取る
  • ナンバープレートは本拠地(この場合セカンドハウス)の所在地域の地名になる
自動車保管場所証明申請書の書式
自動車保管場所証明申請書 別記様式第3号
自動車保管場所証明申請書 別記様式第1号
自動車保管場所証明申請書の書式は、各都道府県警のサイトからダウンロードできます。上記は警視庁のサイトより

車庫証明の取得は車の販売店などでも代行してくれるので、相談してみましょう。

セカンドハウスを購入するならもっと詳しく
二拠点生活でセカンドハウスローンを借りて住宅を購入することは可能?

セカンドハウスで二拠点生活するなら、ここが人気!

最後に、セカンドハウスを借りて二拠点生活するなら、どこが注目なのでしょうか?東京都在住の20~60代に聞いた、「二拠点居住したいエリアランキング」をご紹介しましょう。

1位は神奈川県鎌倉・三浦エリア、2位は東京都八王子・奥多摩エリア、3位は神奈川県湘南エリア。東京と行き来しやすい距離で、何度も行ったことがあり、住むイメージがつきやすいエリアが上位を占めているといえます。ほか、沖縄・那覇や離島・諸島エリア、軽井沢のある長野県東信エリア、豊かな自然が広がる北海道石狩エリアなどがランクインしています。

海と江ノ電が見える鎌倉の街を男女と犬が散歩している
東京都民が二拠点居住したいエリア1位は、都内からも行きやすい鎌倉・三浦エリア(イラスト/いぢちひろゆき)
まとめ

家電代や光熱費、移動費はかかるが、二拠点での暮らしは生活の満足度を上げてくれる

本宅の家賃またはローン返済額+セカンドハウスの家賃が、手取り収入の1/3を超えないように

セカンドハウスを借りて理想のライフスタイルを叶えよう

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取材・文/塚田真理子 イラスト/いぢちひろゆき
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