SUUMO(スーモ)は、住宅・不動産購入をサポートする情報サイトです。

マンションやアパートなどの間取りで見られる3畳の部屋。どう使えばいいのか迷っている人も多いのではないでしょうか。寝室や収納部屋として使うのもいいですし、程よい狭さが集中できると書斎や趣味の部屋として利用する人もいます。この記事では3畳の部屋にどのくらいの大きさのベッドをレイアウトするのか、子ども部屋や書斎など部屋の使い方別のレイアウトをインテリアコーディネーターの磯崎久美子さんに聞いてみました。
3畳の部屋は4.86平米(平方メートル)で、畳3枚分の広さと言われています。
今回、東日本エリアで普及している江戸間(横幅176cm×長さ88cm)の畳を3枚分、横幅176cm×長さ264cmの長方形をベースにレイアウトを考えていきます。正方形の部屋は、横幅と長さどちらも約220cmが目安です。
「長方形の部屋は正方形に比べて壁面が広いので置く家具の形状に合わせやすく、デッドスペースを最小限に抑えられます。ベッドを置く寝室は長方形のほうが向いています。ただし家具の置き方が単一化しやすいので、レイアウトの意外性はあまり期待できません」(インテリアコーディネーター・磯崎久美子さん、以下同)
正方形の部屋は奥行きも幅もある程度確保でき、自由なレイアウトが楽しめるため、ホビースペースや書斎、ベッドを置かない子ども部屋に向いています。ベッドを置くとデッドスペースが発生しやすいので、寝室にはあまり向いていません。

磯崎さんによると、部屋をどんな用途に使うとしてもレイアウトのポイントは3つです。
3畳の部屋を寝室にする場合、寝室周りのものを集約し、寝ることだけを考えてレイアウトします。家具はベッドとリネンなどをしまう収納家具、ナイトテーブルまたはサイドポールを置くといいでしょう。サイドポールは省スペースと機能性を兼ね備えた家具で(イラスト参照)、衣服やカバンを掛けられるほか、携帯電話や時計などの置き場にもなります。別パーツを取り付けて照明も設置できます。
「レイアウトのポイントはベッド周りに間仕切り代わりの収納家具を置き、スペースをゆるく仕切ること。間接照明を利用して就寝前のリズムを整え、部屋全体には眠りを誘う安心感のある色味を使用しましょう。家具はツヤのないものであれば色はお好きなものでOK。ファブリックは麻やコットン、ウールなど天然素材を生かした色がおすすめです。
部屋全体は、暖色系ならオフホワイト→ベージュ→ブラウン、寒色系ならホワイト→ライトグレー→グレーといったニュートラルカラーのグラデーションで、ブラックを全体のまとめ役にすると効果的です」


ベッドは一人部屋ならシングル(横幅90~100cm)かセミダブル(横幅約120cm)、小柄ならセミシングル(横幅80~90cm)、ダブル(横幅140cm)が置けます。「夫婦ならダブル(横幅約140cm)もいいですが、お互いの就寝リズムを考えてセミシングル(横幅80~90cm)2台もおすすめです。若いうちはダブルベッドでもいいのですが、年を重ねると自分の就寝・起床時間、就寝スタイルが分かってくるので、相手の睡眠を邪魔しないようマットレスを分ける(セミシングル2台)のがおすすめです。また、3畳はどうしても狭さを感じるので、一人部屋や夫婦の部屋のベッドはヘッドボードがない低めのものや収納付きのものを選び、置く家具は最小限にして視界の圧迫感をなくすことがポイントです」
子ども部屋に学校で使うものや着替えなど身の回りのものを置く場合、ベッドはセミシングルやシングルのほか、ロフトベッドにして下にデスクや収納家具を置き、高さを有効に使うのもおすすめです。

「ラグを置くなら1畳用(90cm×180cm)か1.5畳用(140cm×200cm)のものがありますが、家具の下(ベッドの下など)に敷きこめる1.5畳用がおすすめです。色味はグレー、ホワイト、ベージュ系のニュートラルカラー(無地)を選び、部屋全体で色に濃淡をつけるといいですね」
部屋にアクセントカラーを入れたい場合には、クッションなどの小物で全体8分の1~10分の1程度にするといいでしょう。
「書斎やワークスペースにしたい場合、適度な閉塞感のある作業スペースがあるクローズタイプと、共有しやすい収納と広い作業スペースがあるオープンタイプの2種類が考えられます。併せて集中して作業や仕事をするために必要な収納も考えたいもの。今回はクローズタイプのレイアウト例を紹介します」
「必要な家具はデスクと背もたれのあるゆったり座れるチェア、そして高さがあるシェルフです。仕事の書類は無制限に増えていくので、天井まであるなど収納量があるシェルフがいいですね。圧迫感があるからと低いシェルフにすると、書類が増えた時にしまう場所が足りなくなり散らかる可能性があります。また、最近はリモートワークをする方も多く、奥にパソコン、手前に書類を置いて作業することもあるため、デスクは奥行きのあるものが使いやすいです」
部屋の色は集中できるよう、鎮静効果のあるネイビーやダークグレーなどの寒色のダークカラーがおすすめです。暖色系ならダークブラウンなどもいいでしょう。

「子ども部屋は学校で使うものや身の回りのものを集約させ、自分の空間を片づける意識を持たせるレイアウトがおすすめです。3畳ではスペースに限りがあるため、ロフトベッドにして下にデスクや収納スペースを設けて高さを有効に使うといいでしょう。シングルベッドやセミシングルベッドにするなら、ベッドの近くに衣類などを収納できるチェストを置くほか、ベッドの下に収納ボックスを置いたり、ベッドを収納付きのものにするといいでしょう」
子ども部屋の色は、頻繁に変更できない壁や床、天井はベーシックカラー(※)にして、ベッドカバーやカーテン、クッションなど比較的すぐ変更できるインテリア小物は子どもが好きな色で部屋に愛着を持たせます。成長に伴い好みも変わっていくので、希望に合わせてインテリア小物の色を変えて対応します。ベーシックカラーがホワイト、ライトグレー、ライトブルーなどの寒色(ブルー系)ならアクセントカラーはイエロー系、ベーシックカラーがオフホワイト、ライトベージュ、ライトピンクなど暖色(レッド系)の場合、アクセントカラーはグリーン系がおすすめです。ベースもアクセントも彩度の低いペールトーン(※)を使うと柔らかな雰囲気が出ておすすめです。
※ベーシックカラー:どんなスタイルにも合わせやすい基本色。白、黒、グレー、ネイビー、ベージュ、ブラウン
※ペールトーン:白にビビッドな色を少しだけ混ぜたような淡く澄んだ色。シャーベットトーンとも呼ばれる
「アイアンでできているロフトベッドなら大人っぽい印象になるので、高校生から大学生くらいまで使用できると思います。その場合、ベッドの高さが160cm以上あれば下にデスクを置いても問題ないはずです」
2人兄弟の場合、2段ベッドを置きたいという人もいると思いますが、3畳のスペースでは圧迫感が出る上に他の家具が置けなくなるので、布団にするか、マットレスで代用するのがいいでしょう。



紹介したレイアウトは、手元の作業を多く行う裁縫やプラモデル作りなどのケースを想定しています。手元の作業が多い上に作業グッズも多いので横長のデスクの下に収納を設けています。ワゴンは作業するためのグッズを収納する収納家具として使用します。(イラスト参照)シアタールームやくつろぎスペースとして部屋を使う場合には、ワゴンは本や飲み物を置くサイドテーブルとして使用するといいでしょう。
「3畳くらいの限られたスペースの部屋は『おこもり感』があるので、ホビースペースにはぴったりだと思います。自分だけの空間なので、色は自分の好きなものを使って部屋全体を大好きな空間にするといいですね」


「ウォークインクローゼットは、仕切りのないハンガー収納がおすすめです。棚を細分化してしまうと生活が変化したときに使わなくなることが多いので、180cm程度のポールを両側につけ、下の空いたスぺ―スに収納ボックスを置く方法がいいでしょう。洗濯物はハンガーで干したらそのままクローゼットにかけます。夫婦で使う場合は、左右で夫・妻のスペースを区分けするといいですね」
布団など大物は圧縮できれば圧縮して、ハンガーの下に置いた収納ボックスの上または隅に縦に置いて収納します。布団を圧縮する際は、一式(敷き布団、掛け布団、毛布など)で圧縮するほうが効率的です。
「新しくクローゼットを作るなら、コンセントをつけ、脱臭機材を使えるようにするといいでしょう。通気性を気にして窓をつけがちですが、窓があると衣服が日光で焼けてしまうので、窓よりも換気扇をつけるのがおすすめです」
クローゼットの壁はホワイトをベースにして、照明は昼白色にすると服の色をはっきり識別できるようになります。


夫婦の寝室にする際は、お互いの就寝リズムを優先するセミシングル2台を置くのがおすすめ
子ども部屋は壁などすぐ変更できないものはベーシックカラーに、小物など変更可能なものはアクセントカラーでまとめる
ウォークインクローゼットはホワイトベースが基本。照明は昼白色にして、自然な光で洋服を見ることができるようにする
●取材協力
磯崎久美子さん
株式会社いそざきや 代表
インテリアコーディネーター、キッチンスペシャリスト、福祉住環境コーディネーター2級。個人、法人向けにインテリアデザインからリノベーションまで幅広く行う。美しさと機能性を兼ね備えた「最高のわが家」を目指して、人それぞれに寄り添うインテリアプランを提案している。
●画像提供
リノベる株式会社