ゲーム好きなら「自分の部屋をゲームに集中できるゲーム部屋にしたい」と思ったことがあるのでは? 今回は「一人暮らしの部屋をゲーム部屋にする」と仮定して、向いている物件の特徴やレイアウト例のほか、最初に必要なもの、おしゃれな部屋にするコツ、おすすめのアイテムや家具などをゲーミング家具ブランドのBauhutte(バウヒュッテ)さんに聞いてみました。
ゲーム部屋を作る上で、快適なネット環境は必須条件です。賃貸物件では物件全体でインターネット回線を契約しているケースやインターネット無料の物件もあります。個人的に回線を引くよりも初期費用がかからないのはメリットですが、ゲームの種類によっては通信速度が遅くてストレスがたまることもあります。
「プレイするゲームによって必要な回線の大きさは異なりますが、はじめから大きめの回線を選んでおくと安心です。育成ゲームにはまっているので今は大きな回線は必要ないと思っていても、今後友達に誘われて違うゲームで遊ぶことも考えられますし、通信環境が弱いとやりたいゲームが出てきてもプレイできないことがあります。また、どのような物件を契約するとしても、後から任意の回線の個人契約ができるか、回線工事が可能かなどを物件の契約前に不動産会社や管理会社に確認しておくことをおすすめします」(バウヒュッテ広報・バウたんさん、以下同)
ゲームをプレイしたり配信をする際に、つい大きな声を出してしまうことがあります。また、ヘッドセットをしていると装着中は自分の声量はわかりにくいものです。特に夜中の音漏れは近隣トラブルの元なので、隣の部屋、上下階への騒音にならないよう壁、床、天井の薄さには気を付けて、防音性に優れた物件を選びましょう。木造より鉄筋コンクリート(RC)造の建物のほうが音は伝わりにくいですし、角部屋のほうが隣に迷惑をかける確率が減るのでおすすめです。
「ゲームをする上で声は出るものと考えて物件を選ぶと騒音トラブルなどに発展しにくいと思います。内見の際、壁をたたいて音が響くか確認したり、窓を閉めて外の音が聞こえるかをチェックするといいですね。配信を考えている方は、配信中に音が入らないよう上階の足音が聞こえないか時間を考えて内見したり、近くに高速道路や線路がある場合には外からの音を確認することをおすすめします。特に駅に近い場合は、アナウンスなどで配信場所が特定されることがあるので注意が必要です」
物件の防音性はあるにこしたことはないですが、条件的にかなわない場合もあるでしょう。そんなときは遮音カーテンや防音カーペット、壁に貼る防音ボード、窓の隙間に貼る隙間テープなどで対策を行います。「これ以外にも4畳半程度の組み立て式の防音ルームを活用し、ゲーミングエリアを囲うのも一つの方法です。デスク周りに個室空間が作れるため、防音できる上に室内の生活感が消せるのでゲームに集中できます」
「最近は東京・神奈川、名古屋、大阪など首都圏を中心に、デスクやチェア、回線などあらかじめゲームができる環境が用意されているゲーミングマンションも人気です。手軽に理想のゲーム部屋を作ることができるので、選択肢の一つに加えてみてもいいかもしれません」
ゲームスペースと生活エリアを分ける場合、デスク、チェアなどを合わせて3畳程度確保できると快適なゲーム部屋を作ることができます。ワンルームかDKが分かれたほうがいいか、部屋の形が正方形か長方形かは個人の好みですが、ゲームエリアが3畳程度なら、生活エリアを合わせて6畳以上の部屋が理想です。また、家具や床、壁などの色はデバイスとの相性を考えて選びましょう。
自分好みのゲーム部屋を作るには、どんなゲーム部屋にしたいかイメージすることから始めます。SNSなどで理想のゲーム部屋を探して研究するのもいいでしょう。次に、借りた部屋の図面を基にどんなデスクやチェアを配置するか検討します。デスクをどこに置くか、ベッドや収納棚はどのくらいのサイズにするかなど考えてから家具やアイテム探しをするとスムーズです。「内見の際に部屋の寸法を測っておくと、ベッドなど手持ちの家具が実際に置けるか確認できます」
部屋のレイアウトは、自分がどんな生活をしたいかで考えます。どっぷりゲームにはまりたい人はゲームスペース中心のレイアウトを考えるといいですし、ゲームスペースと生活スペースを対角線に配置すれば、空間を区切れるのでリラックスタイムも快適です。また、配線がごちゃごちゃしないようコンセントの位置を確認してレイアウトを考えることも大事です。
賃貸物件では納得のいく広さの部屋を借りることは難しいこともあります。狭い部屋でも快適なゲーミングスペースを作るコツを聞いてみました。
部屋の角を活用すれば、床面積の無駄をなくせるだけでなく、壁面を収納に利用したり、照明を設置するなどスペースを有効に使うことができます。
「パソコンでゲームをプレイするなら、モニター画面にテレビ用のチューナーをつなげばテレビとして使用できます。また、ソファを置かなくても、ベッドの上に背もたれクッションを置けば十分くつろぐことができます」
「背の高い家具は置かず、ロースタイルの家具で圧迫感をなくすと部屋が広く見えるのでおすすめです」。ゲームエリアも低いデスクに座椅子などでロースタイルにすると、狭さを感じにくくなります。
「思い切って生活エリアとゲームエリアを一緒にする方法もあります。ゲーミングベッドを中心にパソコンや生活家電、デスクを配置すると、1日の生活がベッドの上で完結させられる上にスペースが最小限で済むので狭い部屋には有効です」
モニターの上にラックを置いて収納に利用する、モニターアームでモニターを上に設置するなど、縦の空間を活用するのもいいでしょう。「ロフトベッドにして、下にデスクを設置するのもスペースを有効活用できておすすめです」
「部屋の壁や床は部屋の70%程度を占めるとされています。おしゃれなゲーム部屋にするなら、空間の大半を占める壁・床に手を加えるのが効率的です。シールタイプの壁紙やクッションフロアなどのDIYキットを活用し、自分が持っているデバイスの色やテイストとそろえると一気におしゃれな空間になります。借りた部屋の壁や床が自分好みの色やテイストではなかったり、デバイスと相性が良くない場合にはDIYで自分好みにするのもおすすめです」
ゲーム部屋は電源コードやHDMIケーブル、USBケーブルなどさまざまなケーブルが使われます。配線がごちゃごちゃしていると、ほかがどんなにおしゃれでも景観を損なってしまいます。また、配線が絡まることでほこりがたまり、ほこりが湿気を吸収して電流を通しやすい状態になります。放置するとショートして発火するリスクがあるので、まめにほこりを掃除するか、ほこりから配線をガードする配線整理グッズを活用しましょう。
配線整理のポイントは、「束ねる」「隠す」「浮かせる」です。
配線を束ねて整理します。結束バンドやマジックテープで外すことができるマジックタイ(配線ベルト)、複数のケーブルをひとまとめにできるケーブルカバーなどは100円ショップでも手に入るので、コードの長さや太さに合わせて選びましょう。
「壁に沿って配線を隠せる配線モールは見た目がすっきりする上、両面テープで壁に貼り付けられるので賃貸物件でも使用可能です。壁にテープ跡が残るのが気になる場合は、剥がせる両面テープを使ったり、マスキングテープを貼った上から両面テープを貼ったりするのがおすすめです。テープを使う際は、先に目立たない場所で試してから使用するとより安心です」
配線専用の収納ボックスやかごなどに配線を集め、布で目隠しをする方法もあります。この方法だとケーブルにはほこりはたまりません。ただしボックスやかごの裏にほこりがたまるので、ときどきボックスやかご自体を掃除します。100円ショップで売っているペーパーボックスや、靴を購入したときの箱を利用するのもいいでしょう。
配線を浮かせることでほこりが溜まりにくくなり、デスク周りがスッキリするので収納ボックスやオットマンを置くことが可能です。100円ショップで購入できるワイヤーネットなどで配線を浮かせて整理することができます。ワイヤーネットを使う場合はケーブルがむき出しになるので、ワイヤーネット自体をデスク下などの目立たない場所に設置するのがいいでしょう。
デバイスは黒や白が多いので、照明でアクセントをつけるとおしゃれな空間になります。「RGB照明を使用するとON時、OFF時でガラッと雰囲気を変えることができます。普段はOFF、ゲーム中はONにすれば、ゲームへの没入感も高まることでしょう。裏面にマスキングテープを貼って両面テープで壁につければ賃貸物件の壁でも安心です。100円ショップや量販店で売っているテープライトは好きな長さに切って使うことができ、単色のもの、リモコンで色や明るさが変えられるものなど種類もさまざまあるので、好みで使い分けるといいと思います」
また、「照明は光が顔に当たることで、配信の際に可愛く見えるメリットもあります」
ブルーやパステルカラーなど、最初から色が入ったグッズを取り入れるのもいいですが、ベースは白、黒、グレーなどのベーシックな色にして、RGB照明や小物類などポイントで色を入れるのがおすすめです。
「高価なデバイスや家具など、すぐに買い替えられないものはベーシックな色にすれば、飽きたり好みが変わったとしても、照明やグッズの色を変更するだけで簡単に雰囲気を変えることができます」
「デスクは部屋の形状やサイズに合わせて購入しましょう。黒いモニターに合わせて黒にするか、ナチュラルな木目にするか、最近人気の白にするかで部屋の雰囲気が変わるので、好みのものを選びましょう。傷が気になりだしたり、好みが変わったりした場合は、デスク天板にリメイクシートを貼るなどして雰囲気を変えてもいいでしょう」
デスクはモニターが1台か2台かによって必要な横幅が変わります。また、奥行きのないデスクだとマウスの可動域やモニターとの距離が狭く使いづらいので、大きめを選んだほうが快適です。ゲーミングデスクはベーシックなものなら1~3万円弱程度、電動で高さが変えられるなど機能がプラスされると費用が加算していくことが多いです。
ゲーミングチェアは長時間ゲームをプレイする方向けに設計されているため、身体への負担が少ないとされています。
「最近はリビングに置いても違和感がないもののほか、黒、白以外にピンクやラベンダーなどの色や、低身長に対応した小さめサイズ、座椅子タイプなど、さまざまな種類が販売されています。一般的なゲーミングチェアだと2万~4万円程度、ソファタイプのゲーミングチェアだと5万~6万円程度で購入できるものが多いです」
ほかにもカバーが取り外せて洗えるものやアームレストが前後・左右・上下に調節できるもの、リクライニング角度が深いものなど機能もさまざまです。自分の好みやゲームスタイルに合ったものを選びましょう。
ゲーム内の音声が正確に聞き取れるヘッドセットは、背後からの足音を聞き取ることが重要なシューティングゲームなどでは必須のアイテムです。友達とボイスチャットを行ったり、配信を行う場合にはマイクも必要です。有線か無線か、立体的な音を楽しめるサラウンド機能が付いているかなど、人によって求める機能は異なります。店頭でフィット感を試したり、友達におすすめを聞くなどして、自分に合ったヘッドセットを見つけてください。
ゲーミングチェアはサイズが大きく重いため、床にかかる負荷も大きいです。
「キャスターで床が傷付いたり凹んでしまう可能性があるので、賃貸物件でチェアマットは必須です。黒や木目、透明など、デスクやデバイスの色やサイズに合わせて選びましょう」
チェアマットはプレイ中に床に伝わる振動を軽減するため、マンションなどでは下の階への騒音対策に有効です。ドリンクをこぼしても汚れをさっと拭き取れる撥水タイプもおすすめです。
モニターライトはモニターの上に取り付けて、キーボードを照らしてくれるライトです。種類によってはモニターの後ろ側も照らしてくれるので、おしゃれな雰囲気づくりに欠かせません。また、モニターと手元の明るさの差がなくなるので目の負担が軽減されるほか、画面の上から下に向けて照らすために目に直接光が入りにくく、室内灯に比べてまぶしさを感じません。省スペースで設置できるため、デスク周りにものを置きたくない人にもおすすめです。低価格なものだと5000円程度から販売されています。
モニターアームはデスクにアームを固定することによりスタンドなしでモニターを使用できるので、デスクの上がすっきりします。ほかにもモニターを目線の高さにそろえられ、猫背になりにくい快適なPC環境が整えられます。モニターを2枚支えるアームだと、1万~3万円程度で購入することが可能です。
「背の高い人は一般的なサイズのゲーミングチェアでは足が窮屈に感じることがあります。オットマンがあると、足をゆったり伸ばす・あぐらをかくなどの体勢が取れて快適です。もちろん背の高い人でなくても足の上げ下げを行うことで、適度に姿勢を変えリフレッシュできます。ゲームの周辺機器や漫画などを収納できるオットマンは、収納が少ない部屋では重宝します」
基本的なゲーミングセットなら、もちろん商品によって変動はあるものの、10~15万円程度で購入することができます。
「機能やデザインなど、こだわる部分で値段は変わります。さまざまな考え方がありますが、大きなスペースを占めるデスク、チェア、チェアマットなど最低限のセットを最初に用意して、プレイする中で必要だと思ったアイテムを付け加えていくと、より理想に近いゲーム空間を作れるのではないでしょうか。買い替えが難しいデスクやチェアは、ケチらず理想のものを用意するのがいいと思います」
部屋選びには快適な回線と防音性は必須。遮音カーテンなどの対策のほか、防音ルームなども選択肢に入れて
部屋の角を利用する、大きな家電や家具を置かずロースタイルで生活する、縦の空間を活用するなどで狭い部屋も快適に
部屋全体の色、テイストに統一感を持たせ、配線整理とRGB照明の活用でおしゃれな空間にしよう