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カードキーというとホテルやオフィスビルで使われているイメージがありますが、賃貸でもカードキーを使用する物件があります。カードキーの物件を検討している人に向けて、カードキーの種類やメリットのほか、紛失したり壊れたりした際や複製や再発行する際の対処法を、住まいのプロである明光トレーディングの武澤さんと、鍵のプロである美和ロックの田中さんに聞いてみました。
「実はカードキーを使用する賃貸物件は数としてはそれほど多くはなく、当社で扱っている物件では全体の5%未満程度です。最近はカードキーよりも、ハンズフリーキーや暗証番号、顔認証で認証するスマートロックの物件が増えている現状です」(明光トレーディング・武澤さん)
とはいえ気に入った物件がカードキーだった場合、普通の鍵とは違い分からないことも多いと思います。まずは賃貸物件におけるカードキーの種類にどんなものがあるのか解説します。
まず、電気も電池も使わない差し込みタイプのカードキーがあります。
「これはカード内部のマグネット配列や、カード自体の穴やくぼみの位置を読み取って解錠させるものです。電池を使った差し込みタイプのカードキーもありますが、ホテルなどに多く、賃貸物件ではほとんど使われることはありません。いずれも差し込み式なので、カードを挿入口に差し込むことによって鍵を開けたり閉めたりすることができます」(美和ロック・田中さん)

電池を使ったタッチ式のカードキーは、カード内部の情報を読み取って解錠する仕組みです。交通系カードと同じように、ドアにカードキーをタッチしたり、かざすだけで鍵の開け閉めができます。
「差し込み式よりも複製がしにくいため、新築物件ではこのタイプが増えているようです。カード挿入口がないためピッキングによる不正解錠のリスクが低く、カード紛失時はシステムからそのキーを抹消することもできるので防犯面でも比較的安心です」(田中さん)
カードキーは精巧につくられており、複製される可能性は低いと思います。カードキーが破損や紛失などで使えない非常時用に鍵穴もありますが、20年以上前の古いタイプでない限り、ピッキングの心配はほとんどありません。
「居住者様が退去をする際はカードキーが劣化して擦り切れたりしていることが多く、情報を登録し直して、新しいカードに交換することが多いです」(武澤さん)前の居住者がカードを持っていて、部屋に無断で入ってくるリスクは少ないので、安心してください。
管理の方法にもよりますが、物理的な鍵では鞄の中で他の荷物に紛れてすぐに見つからなかったり、ポケットに入れていたはずなのに落としてしまうこともあるでしょう。その点、カードキーは薄くて軽量な上、ほかの交通系カードやクレジットカードと同じサイズなので、カードケースや財布に入れてスマートに持ち歩け、どこかに置き忘れることが少ないのはメリットの一つです。

カードキーを差し込む、センサーにかざすだけの簡単な動作で開閉が可能です。特にタッチ式だと荷物を両手に抱えていたり、暗がりで素早く解錠したいという場合でも簡単に解錠できるので便利です。鍵穴に差し込むことがないので、高齢者や子ども、体の不自由な方でも複雑な動作がなく、鍵を開けられるでしょう。

薄くて軽量なのはカードキーの魅力ですが、一方でカードによっては折れたり割れたりしやすく、長い期間使い続けると摩耗や劣化をして、読み取れなくなってしまうこともあります。また、熱や水濡れによっても故障が起こります。コンロの横に置きっぱなしにする、真夏の車内に放置する、海に水没させるなどにも注意しましょう。ドアにかざしても、エラー音が出て解錠、施錠できない場合には破損と判断してOKです。
「管理会社にもよりますが、カードキーはスペアも合わせて2枚渡すことが多いです。そのうち1枚でも紛失、破損、劣化した場合には必ず管理会社に連絡をしてください」(武澤さん)
「差し込みタイプの場合は、勝手にスペアカードを作成することはできません。紛失、破損したら管理会社を通して発行した会社で複製ができます。ただし誰かが拾うリスクを考えると、ロック側を交換することが必要です。一方、電池を使ったタッチ式の場合は複製することはせず、管理会社を通して発行した会社で3枚目のカードとして情報を登録し直します。紛失したカードの情報を削除して使えなくすれば、誰かが拾ったとしても部屋の中に入ることはできません」(田中さん)
「複製は5000円程度で済むケースが多く、紛失でカードの情報を登録し直す場合は入居時に登録料として支払った金額がかかります(契約やカードの種類によって料金は異なる)。その場合、費用は入居者側が支払うことが多いです」(武澤さん)
「3枚目を登録し直す場合は、カード代として2000~3000円程度、登録費用が1万~1万5000円程度かかることが多いようです」(田中さん)ただし、契約や誰が登録をするのかによって異なるので、事前に確認をしておきましょう。
磁気が強いものと一緒に保管していることで、カード本体の磁気が弱まることがあります。バッグや財布のマグネット式の留め具と近づけた状態で保管してしまうと、磁気が弱まることがあるので注意しましょう。
また、「カードケースに入れるとき、交通系カードやクレジットカードなど磁気系のカードと重ねて入れると磁気不良を起こすことがあるので注意が必要です。管理会社に連絡をいただくカードキーのトラブルでは、磁気不良が一番多いですね。磁気が弱まってしまうと、自力で復活させることができません。その場合は管理会社にご連絡ください。ケースにもよりますが、カードの交換で済む場合が多いです」(武澤さん)
「磁気系カードと一緒に定期入れに入れる場合、左右分けて入れるなどカード同士が重ならないようにしまってください。スマホケースに入れて持ち歩いても、カードキー1枚しか入っていないなら問題ありません」(田中さん)

「賃貸物件は電池を使ったタッチ式カードキーが多く、電池がなくなって鍵が開かないというトラブルも多いです。電池式は単3電池など市販で販売されている電池を使用しているものもあれば、専用の電池が必要なものもあります」(武澤さん)
電池交換は借主がすることが多いですが、契約がどうなっているか管理会社に確認をしてください。
また「弊社の製品では、外側の鍵穴の上に端子があり、コンビニで電池を購入して給電すると一時的に開けることができます。また、電池式のカードキーは1日10回の使用で1年間もつようにつくられており、電池が切れる3日前くらいから解錠や施錠をしたタイミングで音が鳴り、電池が少ないことをお知らせします」(田中さん)ほかにも製品に電池残量が表示されているものもあるので、自分の使用しているカードキーがどのタイプか確認をしておきましょう。
「カードキーを持たずに外出してしまった場合、管理会社に連絡をしてください。弊社の場合は鍵を貸し出すので、管理会社に取りに来てもらうこともあります」(武澤さん)
カードキーを使用している場合、カードを財布やスマホケースなどに入れて、ちょっとした外出であっても必ず持ち歩くようにしましょう。
「電気式の場合は、非常用の充電池が内蔵されていて停電時でも入室できるものもあれば、充電池が搭載されておらず入室できなくなるものもあります」(武澤さん)自分の入居する物件がどちらなのかを確認しておきましょう。
また「カードキーは非常時用に鍵穴があるケースが多いので、停電で使えなくなった場合には管理会社に連絡をして非常用の鍵で開けてもらうことが多いです」(田中さん)
賃貸物件に使用されるカードキーは、電気も電池も使わない差し込みタイプのカードキーと電池を使ったタッチ式のカードキーの2種類があり、新築物件ではタッチ式のほうが主流
電池式のタッチ式カードキーを紛失した場合は、複製はせず、3枚目の新しいカードとして情報を登録し直して使用する
カードキーのトラブルでは磁気不良が一番多い。交通系カードやクレジットカードなど磁気系のカードと重ねて保管すると磁気不良を起こす場合があるので注意が必要
●取材協力
武澤 和哉さん
株式会社明光トレーディング 賃貸管理部 / 資産活用コンサルティング部 部長
不動産業界に携わってから15年以上。完全歩合制の賃貸仲介営業に約4年従事した後、現職である株式会社明光トレーディングに参画。賃貸管理・売買仲介・賃貸営業部署の立ち上げ責任者を経験し、現在は賃貸管理部と資産活用コンサルティング部の部長を兼任。宅地建物取引士・相続診断士・賃貸住宅メンテナンス主任者
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田中健一さん
美和ロック株式会社 商品企画部 課長
鍵や錠前の製造・販売を行う総合メーカーであり、建築用錠前の国内シェア6割強を誇る美和ロック株式会社に入社し23年目。製品計画部、営業技術部を経て、入社4年目から商品企画部でシリンダー(=鍵穴と鍵)の企画に従事し、安心・安全に鍵注文ができる公式オンラインショップ開設の責任者を経験。現在はシリンダーに加え、スマートロックの企画・開発も推進している。
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