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賃貸マンションで猫を飼う場合、さまざまな心構えや準備が必要です。また、飼ってみないと分からない猫の意外な生態に戸惑ったり、それによって猫と人間の双方がストレスを感じてしまうこともあるかもしれません。
そこで、3年前に初めての猫を自宅に迎え、現在は2頭と共に暮らす声優・アーティストの芹澤優さんにお話を聞いてみました。猫を飼うにあたって不安だったこと、猫と人間が快適に過ごすために工夫していること、そして、猫と暮らす喜びなどについて、たっぷり語っていただきました。
――現在、2頭の猫と暮らしているということですが、出会いのきっかけを教えてください。

芹澤:2歳8カ月の「むーちゃん(ノルウェージャンフォレストキャット/オス)」、1歳3カ月の「るるちゃん(スコティッシュフォールド/メス) ※年齢は取材時点」と暮らしています。実家にもペットはいなかったので、むーちゃんが生まれて初めて飼った猫ですね。自宅から一番近いペットショップで一目惚れしたというか、運命の出会いと感じるくらい気になる子だったんです。
2頭目のるるちゃんはブリーダーさんから紹介してもらいました。むーちゃんと性格の合う猫がいいなと思い、いろんなブリーダーさんにメッセージを送って探しました。

芹澤:今では本当の兄妹のように仲良しです。特にむーちゃんは、るるちゃんが大好きで。常に後ろにぴったりくっついて歩いています。私に対しては王様みたいに「自分が一番」という感じで振る舞っていたのに、妹が来た途端にデレデレで。猫同士の関係性によってこんなに性格が変わるんだと驚きました。

――自宅での2頭は、どんな様子ですか?
芹澤:むーちゃんは窓辺の高い場所がお気に入りです。ノルウェージャンフォレストキャット自体がもともと森で暮らしていたからなのか、外がよく見える場所が好きみたいで。窓際に置いたキャットタワーの一番上で、時々ベランダに来るカラスと「にゃにゃにゃにゃにゃ」と喋っています。威嚇しているふうではなく、楽しそうにコミュニケーションをとっていますね。
るるちゃんは特に定位置はないんですけど、何かこだわりがあるのか床では絶対に寝ません。床暖房をつけていても、だいたい椅子かソファの上にいます。同じ猫でも、それぞれ家の中でお気に入りの場所が違うのは面白いですね。

――それまでも、ずっと猫を飼いたいと思っていたのでしょうか?
芹澤:飼いたい気持ちはありましたが、仕事で家を空けることも多いですし、なかなか覚悟がもてなくて。特に子猫の頃はお世話が大変と聞いていましたが、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言の影響で仕事が減って、家にいる時間が長くなったときに「飼うなら今だ!」と。このタイミングであればしっかり子猫の面倒を見てあげられると思い、むーちゃんを迎え入れました。それでも、一世一代というくらいの決心は必要でしたね。

――当時のご自宅はペット飼育可だったのですか?
芹澤:そのときに住んでいた賃貸マンションはペットNGだったんです。ただ、ちょうど契約更新のタイミングでもあったので、むーちゃんを飼うために引越すことにしました。
じつは、猫を飼う・飼わないに関係なく「ペット可物件」には住んでみたいと思っていたんですよ。
――え! なんでですか?
芹澤:ペット可の物件って「音」に対して寛容なイメージがあって。私は声優なので、自宅で練習したり台本を読んだりすることもあるので、その点でも魅力的だなと感じていました。実際、引越す前に住んでいたマンションでは少し練習するだけでお隣さんから「何か、一人で喋ってますよね?」と言われたことがありましたが、ペット可のマンションに引越してからはそういうこともなく。他にも、いろんなことに対して“ゆるさ”があって、猫だけでなく私にとっても住み心地がいいですね。

――音のこと以外に物件探しでこだわった点はありますか? 特に「猫を迎え入れる」うえで重視したポイントを教えてください。
芹澤:猫は「ひだまり」が好きなイメージがあったので、部屋の2カ所から光が入る角部屋を選びました。それから、うちの子は2頭とも長毛で、気づくと洋服に毛がたくさんついてしまうんです。だから、ドア付きのウォークインクローゼットなど、戸で仕切られる収納スペースはマストでしたね。
――では、新居にむーちゃんを迎える際に、準備したこと、新しく買ったものは何でしょうか?
芹澤:ケージは買いましたね。いらないっていう人もいるんですけど、私は猫を飼うのが初めてということもあって、それなりのサイズのものを用意しました。中に爪とぎの場所もご飯を食べる場所もあったので安心かなと思って。
それから、ノルウェージャンフォレストキャットは上下運動が好きで、なおかつ体が大きくなる猫種なので、キャットタワーは最初から高さがあって頑丈なものを選びました。

あとは、洋服についた毛をとるためのコロコロをたくさん買ったり、おもちゃも定番のものは一通り揃えました。むーちゃんはすぐにおもちゃに飽きてしまったんですけど、るるちゃんはいつまでも初めてみたいな反応で遊んでくれるので、こちらも買い与え甲斐がありますね。

芹澤:他には……なんだろう。走り回るときに足の負担がないよう、リビングに大きめのラグを敷いているくらいかな。基本的にはあまり特別なことはせず、気になることがあれば取り入れていくようにしています。

――猫と暮らすうえで、心配だったことがあれば教えてください。
芹澤:やっぱり「壁紙引っかき問題」は心配でしたね。猫によってすごく引っかく子とそうでもない子がいると聞いていたのですが、むーちゃんはわりと頻繁に爪とぎをするタイプだったので。これは敷金が大変なことになるなと(笑)。ただ、むーちゃんの場合はどこもかしこも引っかくという感じではなく、一カ所お気に入りの場所があったので、そこに透明の爪とぎシートを貼っておけば家中がボロボロなるようなことはなかったですね。
――よく猫を飼う際のアドバイスとして「爪とぎをする場所を決める」みたいなことを聞くのですが、そんなにうまくいくものではない?
芹澤:そうですね。爪とぎってストレスが溜まったときや構って欲しいときに『あえて』やっていることもあるみたいで。壁を引っかいていると飼い主が「ダメだよー」って近寄ってくるじゃないですか。うちの2頭も、それを狙っての犯行が結構あったと思います。
ただ、猫を飼う以上は最大限の対策をしながら、ある程度は仕方がないと割り切ることも必要なのかなと思います。あまり気にしすぎず、神経質になりすぎないないほうがいいのかなと。

――では、飼ってみてから気づいたこと、想定外に大変だったことはありますか?
芹澤:いろんな部屋のドアを自分で開けてしまうのは驚きましたね。前の家は寝室とLDKが扉で仕切られていたんですけど、火を使う料理をしているときに2頭を寝室に避難させていてもすぐに開けてしまうんです。
あとは、どこにでも登ってしまうのも大変でした。花瓶など、割れてしまうものは飾れなくなりましたね。
――確かに、お気に入りの物を飾りにくくなって、インテリアが制限されてしまいそうです。
芹澤:それでも部屋の美観やインテリアにはこだわりたいので、結構頑張りました。ネットで「猫との暮らしと素敵なインテリアを両立する方法」を調べると、いろんなアイデアが出てくるんですよ。そうした情報を頼りに可能な範囲で楽しんだり、おしゃれなキャットタワーを探したり、猫用のタオルなども部屋にマッチするものを選んだりしていました。

――他に、猫と人間の両方が快適に過ごすために工夫していること、意識していることがあれば教えてください。
芹澤:物が壊れることもそうですけど、いろんなことに神経質になってこちらがイライラしたり、猫を怒ってしまうことが嫌だったんです。だから、壊れたら困るようなものはあらかじめしまっておこうと。そのためにも、収納が多い家を選ぶのは猫と暮らすうえでのポイントの一つかもしれません。
私は、猫には基本的に自由にさせてあげたいと思っています。危険なこととか、本当にダメなとき以外は怒ったりせず、なるべくゆるく過ごさせてあげたい。「あれもダメ、これもダメ」と言いすぎると猫にとっても息苦しいし、それを言っている自分自身のことも嫌になってしまいますから。
そのためにも、何事にも過敏にならないように意識していますね。そのせいか、2頭とも若干わがままに育っている気はしますが、猫も人間もストレスなく暮らすことが大事だと思います。
――この先、自宅に取り入れてみたい猫のためのスペースはありますか?
芹澤:実現できるかどうかは別として、天井が上下で2層になっている家なんていいですね。天井の下に透明の板があり上下が区切られていて、上のスペースを猫が縦横無尽に走り回り、人間は下からその様子を観察できる。肉球とかお腹を下から見られて幸せかなって思います(笑)。

――最後に、猫を飼う前と後で、芹澤さんの生活や心境がどのように変化したか教えてください。
芹澤:昔は嫌なことがあると、生活が荒んでしまうことがありました。部屋はぐちゃぐちゃ、何日も掃除機をかけず、洗濯物も山積みみたいな状態になってしまうことがあって。部屋が汚くても「自分しかいないし、どうでもいいや」みたいに投げやりな気持ちがあったんだと思います。
でも、猫と暮らし始めてからは気分が乗らなくても、きちんとした生活を心がけるようになりました。猫が汚いものを舐めないよう掃除をしたり、残り物を食べないよう洗い物をすぐに片付けるようになったり。そうすると、自分の気持ちもリフレッシュするんですよね。汚い部屋の中にいるとそのまま負のループに入ってしまうけど、生活を整えることで憂鬱な気持ちが晴れていく。そういう意味では、むーちゃん、るるちゃんのおかげで人間らしい生活が送れているのかもしれませんね(笑)。
