リフォームでできる節税 固定資産税や所得税、印紙税が戻ってくる!?

リフォームで出来る節税 固定資産税や所得税、印紙税が戻ってくる!?

 

「リフォームは節税対策になるらしい」と、聞いたことはあっても具体的にご存じない方も多いのでは? 今回はリフォームにまつわる「固定資産税の減額措置」「所得税の控除」「印紙税の軽減措置」を税理士の眞喜屋さんに教えていただきました。これからリフォームしようと考えている方はお見逃しなく!

 

リフォームで受けられる「固定資産税の減額措置」

固定資産税は土地や家屋などの固定資産の所有者に課税される地方税のことで、リフォームをした場合には、「固定資産税の減額措置」が受けられるそう。どんなリフォームでも適用されるのでしょうか?

「固定資産税の減額措置は、50万円以上の工事費用をかけた省エネ改修工事・耐震改修工事・バリアフリー改修工事に適用されます。改修工事完了後3カ月以内に、必要書類をそろえて市区町村に申告する必要があります。それぞれ要件が異なりますので、国税庁のHPでしっかり確認しておきましょう。また、下記の表にあるように『バリアフリーの特例』『省エネの特例』は併用が可能です。『耐震の特例』のみ、同一年度には併用できないので、どちらかの特例を選択する必要があります」(以下、コメントすべて眞喜屋さん)

 

<固定資産税の減額措置>

固定資産税の減額措置

 

固定資産税の減額措置:省エネリフォームをした住宅(省エネの特例)

省エネリフォームとは、リフォームの中でも住宅の断熱性や気密性を高めることによって、省エネルギーに貢献するリフォームのこと。壁に断熱材を入れたり二重窓にしたり、「夏涼しく、冬暖かく」なるようなリフォームがこれにあたります。省エネリフォームの場合、どの程度減額されるのでしょうか?

「改修工事が完了した年の翌年度分(改修工事完了日が1月1日の場合は、その年度分)に限り、その住宅一戸当たり120㎡の床面積相当分まで固定資産税が1/3減額されます」

 

減額の対象となる住宅の要件(省エネリフォーム)

住宅要件 平成20年1月1日以前からすでに建っている住宅
(賃貸住宅には適用できません)
居住分 家屋の1/2以上(店舗用等は認められない)
他の併用適用 OK:バリアフリー改修をした住宅に係る固定資産税の減額制度
NG:新築住宅、耐震改修をした住宅に係る固定資産税の減額制度 など
工事内容 (1) 窓の断熱改修工事(二重サッシ化、複層ガラスなど)
(2) 床の断熱改修工事
(3) 天井の断熱改修工事
(4) 壁の断熱改修工事

 

固定資産税の減額措置:耐震リフォームをした住宅(耐震の特例)

耐震リフォームとは、1981年に大きく改正された新耐震基準(震度6強以上の地震で倒れない住宅)に合わせたリフォームがこれに当たります。耐震リフォームの場合、どの程度減額されるのでしょうか?

「改修工事が完了した年の翌年度分(改修工事完了日が1月1日の場合は、その年度分)に限り、その住宅一戸当たり120㎡の床面積相当分まで固定資産税が1/2減額されます」

 

減額の対象となる住宅の要件(耐震リフォーム)

住宅要件 昭和57年1月1日以前からすでに建っている住宅
(賃貸住宅も適用できます)
居住分 家屋の1/2以上(店舗用等は認められない)
他の併用適用 NG:新築住宅、省エネ改修・バリアフリー改修をした住宅に係る固定資産税の減額制度 など
工事内容 現行の耐震基準に適合する耐震改修であること

 

固定資産税の減額措置:バリアフリーリフォームをした住宅(バリアフリーの特例)

バリアフリーとは、階段に手すりをつけたり、段差をスロープにしたりなど、物理的な障害を取り除いて生活しやすくした事物や環境のこと。このバリアフリーにかかわるリフォームをした場合、どの程度減額されるのでしょうか?

「改修工事が完了した年の翌年度分(改修工事完了日が1月1日の場合は、その年度分)の固定資産税に限って、その住宅一戸当たり100㎡の床面積相当分まで固定資産税が1/3減額されます」

 

減額の対象となる住宅の要件(バリアフリーリフォーム)

住宅要件 平成19年1月1日以前からすでに建っている住宅
(賃貸住宅には適用できません)
居住分 家屋の1/2以上(店舗用等は認められない)
他の併用適用 OK:省エネ改修をした住宅に係る固定資産税の減額制度
NG:新築住宅、耐震改修をした住宅に係る固定資産税の減額制度 など
受ける人の要件 (1) 改修工事完了年の翌年の1月1日における年齢が65歳以上の方
(2) 要介護認定、または、要支援認定を受けている方
(3) 障害のある方(地方税法施行令第7条該当)

 

リフォームで受けられる「所得税の控除」

「要件に合うリフォームを行うと、所得税の控除が受けられます。会社勤めの方の所得税は毎月の給与から天引きされ、会社が代わりに納めているものですが、リフォームした翌年に確定申告を行えば控除分を適用した金額が「還付金」として戻ってきます」

給与から毎月天引きされる所得税、普段は意識していないかもしれませんが、お金が戻ってくるとなると申告しない手はありません。

「リフォームにかかわる所得税の控除には、投資型減税・ローン型減税・住宅ローン減税の3つがあります。工事費用を自己資金でまかなう場合は投資型減税、5年以上のローンを組む場合はローン型減税、10年以上のローンを組むなら住宅ローン減税が当てはまります。ローン型減税と住宅ローン控除は併用できません。詳しくは、下記の表をご覧ください」

ここではおおまかな要件のみご紹介するので、対象になりそうな方はぜひ国税庁のHPをチェックしてみてください。どのくらい控除される(お金が戻ってくる)のか、自分も控除が受けられるのか? リフォーム前に知っておけば、予算をもう少しアップしてもいいかな……と夢が広がるかもしれません!

 

<所得税額の控除の「投資型減税」のみを適用する場合>
自己資金でリフォームを行う場合、または借入金によりリフォームを行う場合

所得税額の控除の「投資型減税」のみを適用する場合

 

<所得税額の控除の「ローン型減税」または「住宅ローン減税」のいずれかを適用する場合>

5年、または10年以上の借入金によりリフォームを行う場合

所得税額の控除の「ローン型減税」または「住宅ローン減税」のいずれかを適用する場合

 

投資型減税は「省エネ」「耐震」「バリアフリー」に適用

「投資型減税は自ら居住する住宅において、省エネ・耐震・バリアフリー改修で一定要件を満たす改修工事を行い、かつ、100%自己資金で工事を行った場合に適用されます。控除額は標準的な『工事費用相当額(補助金等を除く)の10%』、または『控除対象限度額(下表)』のいずれか少ないほうが控除されます。また、投資型減税は耐震改修と省エネ改修、もしくは耐震改修とバリアフリー改修の併用が可能です。省エネ改修とバリアフリー改修の併用は可能ですが、控除限度額を合算して計算します」

 

投資型減税の控除限度額

省エネリフォーム 25万円
太陽光発電設備を設置する場合は35 万円
耐震リフォーム 25万円
バリアフリーリフォーム 20万円

 

ローン型減税は「省エネ」「バリアフリー」に適用

「ローン型減税は自ら居住する住宅において、省エネ・バリアフリー改修で一定要件を満たす改修工事を行い、かつ、返済期間5年以上のリフォームローンを利用する場合が対象です。ローン型減税では省エネ改修とバリアフリー改修の併用は可能ですが、控除限度額を合算して計算します。また、投資型減税との併用も可能です。年末のリフォームローン残高の2%または1%が5年間、所得税額より控除されます」

 

10年以上の住宅ローンを組むと住宅ローン減税

「工事費100万円以上、返済期間10年以上の住宅ローンを利用して、かつ、一定要件を満たす増改築工事などを行うと住宅ローン減税が適用されます。10年間にわたり、住宅ローンの年末残高の1%が所得税額から控除されるもので、耐震改修・一定のバリアフリー改修工事・一定の省エネ改修工事も対象です」

 

所得税の控除は確定申告で

【画像1】所得税の控除は確定申告で(画像:Fotolia)

 

印紙税にもある優遇措置

「住宅のリフォームをリフォーム会社に依頼すると、一般的に建設工事請負契約書(※)が作成され、これは『不動産売買契約書の印紙税の軽減措置』の対象となります。平成26年4月1日から平成30年3月31日までの間に作成された建設工事契約書にかかる印紙税の税率は、契約金額に応じて下表の軽減後の税率欄の金額となります」

※ 建設工事の請負契約の成立を証明するものであれば、その文書の名称は問いません

契約金額 本則税率 軽減税率
100万円を超え 200万円以下のもの 400円 200円
200万円を超え 300万円以下のもの 1千円 500円
300万円を超え 500万円以下のもの 2千円 1千円
500万円を超え 1千万円以下のもの 1万円 5千円
1千万円を超え 5千万円以下のもの 2万円 1万円
5千万円を超え 1億円以下のもの 6万円 3万円
1億円を超え 5億円以下のもの 10万円 6万円
5億円を超え 10億円以下のもの 20万円 16万円
10億円を超え 50億円以下のもの 40万円 32万円
50億円を超えるもの 60万円 48万円

 

まとめ

リフォームにまつわる税金の優遇措置を知らない人も多いはず。ここで紹介した税金の優遇措置は、地方公共団体で利用できる住宅リフォーム支援制度も併用が可能ですが、要件によって異なりますので自治体のホームページを参照してくださいね。リフォーム資金の予算とこれらの制度を見比べて、賢くオトクなリフォームを実現させましょう!

ちなみに、リフォーム資金を親や祖父母から受けた場合には、「贈与税の非課税制度」や「相続時精算課税制度」を利用できます。次の記事をぜひ参考にしてくださいね。
親や祖父母からのリフォーム援助、贈与税はかかる? 節税対策は?

 

●取材協力:税理士 眞喜屋朱里(まきや・あかり)さん