入居者の募集・契約から物件の維持・管理など、貸主、つまり「大家さん」がやることはいろいろ。だが、時間がない、遠く離れているという場合は管理を委託する方法もある
いざ自分の持ち家を賃貸に出すことになったら、貸主は「大家さん」としてやるべき役割がある。その役割は主に3つある。
■貸主の役割
入居者の管理 | 建物の管理 | 経営資金の管理 | |
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日常 | 家賃の管理 | 清掃 メンテナンス |
賃貸経営の収支管理 納税書類の準備 リフォーム費用などの積み立て |
必要時 | 苦情や要望への対応 契約違反への対応 |
設備の修理 リフォーム |
確定申告 固定資産税の支払い |
更新時 | 入居者の意思確認 更新手続き |
更新・退去に伴う収支管理 | |
退去時 | 退去の立ち合い 修繕箇所の確認 家賃・敷金などの清算 入居者の募集 |
リフォーム ルームクリーニング |
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自分で行わない 場合の委託先 |
不動産会社 | 不動産会社 | 税理士など |
家賃をいくらにするかといった入居条件を整え、不動産会社や知人などを通じて入居者を募集し、入居希望者を見極め、賃貸契約を結ぶ。入居後は、家賃の入金確認、入居者からの苦情や要望への対応、契約の更新手続き、退去の対応などを行う。
契約期間終了前後には、さまざまな手続きが必要になる。契約期間終了の半年から3カ月前までに更新か退去かの意思確認を行い、更新の場合は、家賃など入居条件に変更があれば手続きをし、退去の場合は、上図にあるように諸手続きを行う。
自分が住むぶんには家が壊れていようが汚れていようが、自分次第なのでかまわないが、人に貸す場合には、入居者が住みたくなるような物件にすることも貸主の役割と考えよう。そうしてこそ、安定した賃貸経営につながるのだ。
例えば、新しい壁紙に張り替えなくても貸し出すことはできるが、古いままだと入居者にとって物件の魅力が低くなり、ひいては空室期間が長引く事態となる可能性も生じる。入居後、住宅設備が壊れた際には、修理や交換をするのも貸主の役割。
また、退去時は、入居者の故意や過失によるもの以外の原状回復義務は入居者にはないので、貸主の負担でリフォームやルームクリーニングをすることになる。
家賃などの収入と維持費・税金などの支出といった日常的な収支から、更新時、退去時、必要時に生じる敷金精算、リフォーム費用、仲介手数料等までを管理する必要がある。将来の大規模なリフォームに備えて、資金を用意しておくことも必要だ。そして、賃貸経営で生じた所得と本業の所得を合わせて、毎年、確定申告をして納税手続きも行う。
上記以外にも、賃貸経営をするに当たって知っておくべき法律や知識は身につけておきたい。借地借家法や退去時の原状回復に関する自治体の条例、国土交通省のガイドライン、あるいは、いつどんなときにどんな対応が必要になるのか、その知識を得ておけば、いざとなったら落ち着いて対応できる。
■仲介と管理の委託状況
賃貸経営を賢く行うためのノウハウや豆知識、成功のためのコツなどをご紹介いたします。
文/金井直子 監修/中村喜久夫(株)不動産アカデミー