持ち家を貸すという賃貸経営の
メリットやリスクを理解しよう

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家を貸すと家賃収入を得られるメリットがあるが、その半面、リスクもある。まずはどんなリスクがあるのかを認識することから、賃貸経営をするということについて考えよう

資産的にメリットとなるのか確認しよう

■持ち家を貸している人の年間家賃収入の価格帯分布

持ち家を貸している人の年間家賃収入の価格帯分布

賃貸経営の最大のメリットは、家賃収入を得られることだ。アンケートによると、住まなくなった自宅を貸し出すことで得ている家賃収入の平均は年間で約156万円、月に約13万円。維持費などの経費や税金を差し引くことになるので、これが丸々所得となるわけではないし、立地や築年数などの条件によっても異なるが、ある程度の収入は見込めることになる。また、将来、その家に戻って住むという選択肢も保てる。

リスクの内容を認識しておくことが大切

前ページのメリット・デメリットの箇所で少し触れたように、賃貸経営には家賃収入を得られるという大きなメリットがある半面、いろいろなリスクが伴う。

(1) 家賃収入ゼロのリスク

入居者が決まらなければ、もちろん収入はその間、ゼロだ。
その物件の住宅ローンを完済している人やローンを組んでいない人は、資金回収についての問題はないが、家賃収入をその物件のローン返済に充てる場合は、空室期間には自分の貯蓄や給与などを返済資金に回すことになる。転居先の新居にお金がかかる人は二重に住居費がかかることになるのだ。
また、部屋が空室でも維持・管理の費用は発生していることも忘れずに。建物と土地には毎年、固定資産税がかかるし、さらにマンションでは管理費と修繕積立金が毎月かかる。一戸建ての場合は、室内の空気の入れ替えや庭の手入れなどの管理の費用が発生する。

(2)建物や設備が劣化・故障するリスク

建物は時間とともに劣化する。また、多くの住宅設備は耐久年数が十数年ほどとされ、いずれ、故障や素材の劣化、性能・機能の低下が生じる。交換や修繕にかかる費用は貸主の負担だ。想定されている耐用年数よりずっと早く故障してしまうこともあるので、そうしたことを想定しておく必要もあるのだ。

(3) 家賃の設定額が減少するリスク

年数が経って建物が古くなれば、その分、賃貸物件としての魅力が減少しがちに。そのため、家賃を減額しないと入居者が決まらなくなる場合が考えられる。
また、周辺環境の変化や賃貸物件の供給数の変化、入居者ニーズの変化などによって賃貸相場が変動して、家賃を値下げせざるを得なくなることもある。
例えば、郊外のファミリータイプ物件を所有していたとして、周辺に似たような賃貸物件が増えることになれば、家賃相場が下落してしまうケースが見られる。

(4) 入居者トラブルのリスク

入居者が家賃を滞納する、騒音やゴミ出しなどで近隣に迷惑をかける、退去時に原状回復費用でもめるなど、入居者とのトラブルが発生する可能性もある。賃貸経営は相手あってこその商売なのだから、そうした心構えも必要だ。

(5) 災害リスク

地震、台風、水害などで建物に被害が及ぶことも考えられる。修理する場合は費用がかかるし、被害内容によっては、賃貸物件として維持できない状態になることも。

「賃貸オーナーに関するアンケート」によると、貸し出し後に困ったこととして、「借り手が決まらない・空室期間があった」と挙げている人が24.3%(複数回答)と多めだった。
その他、少数意見として「収支が思い通りにならない」「管理や修繕などに手間がかかる」「家賃が入金されているのを確認するのが手間」「退去時の費用で入居者ともめた」などがあった。賃貸経営は、これらのリスクがあることを認識した上で、予定外のトラブルなどに対しての心構えを持ち、対処できる術を考え備えておくことが重要だ。
(具体的な対処法や備えは、「リスクを最小限にする方法」を参照)

■貸し出し後に困ったこと(複数回答)

貸し出し後に困ったこと(複数回答)

リクルート「賃貸オーナーに関するアンケート」調査概要
※アンケート対象者:
  • (1)居住用に購入した自己所有の家を賃貸に出している人
  • (2)土地活用のためアパートマンションを建てて賃貸経営をしている人
  • (3)投資用にマンションを購入して賃貸経営をしている人
  • ※回答数:412人
  • ※実施期間:2012年5月19日~21日
  • 実施エリア:東京、神奈川、千葉、埼玉
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マンション・アパート経営はじめてマニュアル

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文/金井直子 監修/中村喜久夫(株)不動産アカデミー

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