不動産会社には仲介や管理、サブリースなど多くの業務内容があり、会社の特徴もさまざまだ。会社規模に関わらず、自分の状況や物件に合う会社を見極めて数社に絞り込もう
家を貸し出す際に仲介や管理を委託することになるが、委託先である不動産会社が賃貸業務においてどんなことをやっているか、その役割を理解しておこう。不動産会社は、入居者を募集する際には「仲介会社」として、入居後は「管理会社」として入居者管理や建物管理などに関わる。また、貸主から物件を借りて、不動産会社が大家としてその物件を転貸して賃貸経営を行う「サブリース会社」(下記参照)となることもある。
入居者の募集、契約条件の交渉、賃貸借契約の締結手続き、入居手続きのサポートなどを行う。契約時に貸主や入居者(借主)から徴収する仲介手数料が、不動産会社の収入となる
入居者管理(家賃の入金管理、苦情や要望への対応など)、建物管理(維持や清掃など)を行う。「仲介業務のみしか行わない」「建物管理のみ行う」など、不動産会社の業務内容は、会社ごとに異なるので、全てを委託したい場合は、そうした体制が整っている会社を選んだほうがよい。
アンケート結果によると、貸主自身で入居後の入居者管理・建物管理を行っている人は2割強と、意外と少ない。マンションの場合、建物管理については、マンション管理組合の委託先の管理会社が共用部分を管理しており、委託する必要はあまり生じないので、必要な場合は、入居者管理のみの委託ということになる。管理委託費は家賃の5%程度など、不動産会社の業務体制に応じて設定され、毎月発生する
貸主から、アパート1棟、マンション数室などの物件をまとめて一括で借り上げて、不動産会社が大家として募集した入居者に転貸して、入居者管理や建物管理を行う。サブリース契約の場合、貸主は空室期間でも家賃を受け取ることができるメリットがあるが、一般的に家賃設定は相場より低くなる。
なお、貸主が貸す物件が1室のみという場合は、サブリース契約対象外としている会社が多く、また、基本的に「契約期間は2年間、必要なら更新する」といった契約も多いので、貸主は注意したい
家を貸し出す際に自分でどこまで行うか・できるのかによって、委託する業務内容も異なってくる。「仲介は委託するが管理は自分で行う」「仲介・管理とも委託」「借り上げてもらったほうが安心」など、委託内容をどうするかは、自分自身の状況(本業の多忙さ、物件との距離、賃貸経営の意欲)を考慮して決めていこう。
信頼できて依頼しやすい不動産会社を選ぶことは賃貸経営においてとても重要だ。アンケートの「貸し出し前・貸し出し時・貸し出し後に困ったことは?」の質問に、「会社が破綻した」「対応が悪い」「熱心じゃない」といった回答が少数だが寄せられた。そのような事態になると、委託した業務が滞ったり、困った事態に陥ったり、本業で忙しい人にはストレスの元ともなる。
不動産会社にはさまざまな特徴をもつ会社がある。
さまざまな地域情報に精通している
自身のネットワークを活用して、広域での集客や情報提供が得意
サブリース(借り上げ)やリロケーション(留守宅賃貸管理)などのサービスを必要としている人に向いている
■仲介会社を選ぶ際、比較検討した社数
賃貸経営を賢く行うためのノウハウや豆知識、成功のためのコツなどをご紹介いたします。
文/金井直子 イラスト/江口修平 監修/中村喜久夫(株)不動産アカデミー