「せっかく、DIY可の賃貸物件を借りたんだから、自分の手でDIYカスタマイズしたい!」と考えている人へ。
DIYでできることは、いろいろあります。照明の電球交換レベルの道具を使わない簡単なことから、床材張り替えや間取り変更といったプロレベルの高難度のことまで、がんばれば資格が必要な作業以外のほとんどのリノベーションメニューをDIYでこなせます。そこで、DIYテクニックを難易度別に3段階に分け、リノベーションに関する部材・ツールなどのネット販売やデザイン・設計・施工を行っている「R不動産toolbox」による監修・協力のもと、各レベルに応じたカスタマイズ施工例をご紹介します。
上級編はプロレベルの高難度テクニック。「あえて、チャレンジしたい!」という上級者には楽しんでもらえるかも!? また、施工内容によっては電気工事のように資格が必要な場合もあるので、なんでもDIYでやろうと思わず、プロに施工を依頼することも必要です。プロの施工の場合、仕上がりに高いクオリティが確保されるため、オーナーとの交渉時に承認されやすい一面も。
「麦わらボード」は麦わらを圧縮成型した合板ボード。30cm角サイズで軽量なため扱いやすく、加工がしやすい。今回は既存フローリングの上に直接張りつけます。一般的なフローリングは、実(さね)と呼ばれる板の凸部分をはめ込みながら施工しますが、このアイテムは両面テープとボンドを使って敷くだけ。
【Before】床を掃除する
まずは既存フローリングを掃除して、麦わらボードを張る際に支障となる凹凸物がないようにします。接着剤やボンドの効きを良くするために、ほこりやチリも掃きとって。
【Step1】部屋の真ん中から基準線を描く
壁際に張るボードのサイズが部屋の左右でそろうよう、部屋の中心部分から張っていきます。まずは部屋の中心を割り出すために部屋の4辺の壁の長さを採寸。中心が決まったら部屋の長手方向に沿って中心線を引きます。
【Step2】麦わらボードの張りつけ準備
一般的なフローリングは、実(さね)部分に釘を打ち固定しながら張りますが、今回は両面テープとボンドで固定。下線に沿って両面テープを張ったら、ボードの裏面にボンドをポンポンと載せるようにつけていきます。
【Step3】ボードを張っていく
部屋の中心を通る一列を中心線に沿ってに張っていきます。この列が左右の列の基準になるので、一枚一枚慎重に張っていきましょう。二列目以降は、床面にボンドをつけてボードを張っていくと効率的です。
【Step4】端の列のサイズを測る
ボードを壁際に当てて、カットする位置に印をつけます。印は小口につけ、ボードを裏返して裏面にカットラインを書きます。このとき、カットした小口が壁側にくるようにします。
【Step5】カットラインに合わせてボードを切る
カットラインに沿って丸のこで切っていきます。直線に切る場合は端材などをガイド代わりに使うと切りやすい。最後は切断面にヤスリ掛けを。今回はDIYに最適なBLACK+DECKERマルチツールEVOを使用。
【Step6】端のボードを張っていく
カットしたボードがぴったりはまるかどうか、ボンドをつける前に仮置きして確認。1枚ずつ張っていきます。数ミリの微調整は、ヤスリ掛けするか、丸のこの刃を回転させながら板に当てて削っていくやり方も。
【Step7】凸凹部分は丁寧に切り抜いて
ただの四角に見える室内も、よく見ると柱や敷居など、各所に凸凹があるもの。ここは慎重に丁寧に。1カ所ずつ細かく採寸して、手のこやヤスリを駆使しながら切り抜いていきましょう。
【Step8】隅にジョイントコークをいれる
壁とボードの隙間はジョイントコークという充填材で埋めます。ジョイントコークの先端のノズルを斜めにカット。隙間に流し込んで、指で押し込むようになぞります。はみ出た部分は濡らしたスポンジや布で拭き取って。
【Step9】ワックスをかける
麦わらボードの表面を美しく保つために、ワックスをかけて仕上げます。ワックスにはボードの表面を保護する役割と、色みを深く美しく見せてくれる効果があります。
【After】完成
キッチンやトイレ、洗面室など、水まわりの床に使われることが多いクッションフロア(CF)。ビニールなので汚れに強く、色や柄が豊富。今回は空間のアクセントとして、鮮やかなブルーのモロッコ柄CFをキッチン床にセレクト。ボンドを使って張っていますが、賃貸の場合、既存の床の上から両面テープで簡易に張ってもOK。
【Before】施工前
既存の床を掃除して、凹凸物がないようにします。接着剤やボンドの効きを良くするために、ほこりやチリも掃きとって。
【Step1】寸法を測る
クッションフロアを張る部分の各辺の長さを測り、形とサイズをメモします。今回のクッションフロアは幅182cm、柄は15cmごとにリピートしています。幅と柄のリピートに配慮しながら、必要メートル分を算出。
【Step2】シートを大きめに切り出す
実寸サイズよりも少し大きめに必要メートル分を切り出します。大きめに切り出しておくと、複数枚を張り合わせる際に柄合わせが楽になります。凹凸部分も10cmほどの余裕をもって切り出します。
【Step3】シートを仮置きする
切り出したクッションフロアを仮置きしてみます。今回は、キッチンと床の隙間にクッションフロアを潜り込ませるようにしたのですが、入りにくかったので、ジャンプして着地時に押し出すようにして入れていきました。
【Step4】床にボンドをつける
シートをめくって、床面にボンドをつけます。クシベラでボンドをまんべんなく延ばす、数十分放置。これは「オープンタイム」といって、ボンドの強度を高めるための時間。時間は、ボンドの説明書で確認を。
【Step5】空気を抜きながら接着していく
空気が入り込まないよう、ゆっくりとクッションフロアを床に接着させていきます。このとき、シートの間に入ってしまった空気を、なではけで押し出しながら張っていきます。
【Step6】余分なクッションフロアをカットする
今回はコーナーカッターという道具を使いました。長い直線部分は、コーナーカッターを壁にしっかりと押しつけ、ゆっくりスライドさせながら切っていきます。端の部分は、地ベラで押さえながらカッターで切ります。
【Step7】コーナーの出っ張り部分を切り出す
コーナーの出っ張り部分はより慎重に。まず、コーナーに合わせて折り曲げくせをつけます。コーナー角の頂点部分から切り込みをいれ、地ベラで押さえながら余分な部分を丁寧に切っていきます。
【Step8】2枚目を張り合わせて切る
先に張ったクッションフロアの上に、もう1枚のクッションフロアを重ねるように置きます。柄を合わせたら、2枚が重なっている部分に定規を当てて、2枚とも切り落とします。
【Step9】ジョイントローラーでつなぎ目を押さえる
2枚のカットした端部を、ジョイントローラーを掛けて圧着。つなぎ目が目立たないようにします。床材の圧着には、重量の重い床用のジョイントローラーの使用がオススメ。
【Step10】コーキングをする
壁やほかの床とクッションフロアの隙間をジョイントコークで埋めます。ジョイントコークの先端のノズルを斜めにカット。隙間に流し込んで、指で押し込むようになぞります。はみ出た部分はぬらしたスポンジや布で拭き取って。
【After】完成
塗るだけで壁が黒板になる「黒板塗料」。黒板といえば黒や緑が定番ですが、最近ではカラフルカラーの黒板塗料も登場。色をお部屋のアクセントにしつつ、メモや絵を描いたりと楽しめます。匂いが控えめで扱いやすい水性タイプがオススメ。黒板として使いやすいよう、下地面をしっかり平滑にしておくのがポイントです。
【Before】施工前
【Step1】塗装する面に下地のシナベニヤを打ちつける
黒板塗料の仕上がりには、下地面の平滑さが重要に。既存クロスを剥がし、壁の凸凹をパテで埋めて下地面を整えるやり方もありますが、今回は5.5mm厚のシナベニヤをネジで壁に固定して、その上に塗装します。
【Step2】ネジ穴をパテ埋めする
シナベニヤを固定するネジは、板に埋もれるくらいの深さまで打ち込みます。そしてネジ打ちでできた凹みをパテで埋めていきます。パテは、乾くと少し縮むので、一度塗って乾燥させたら二度塗りしましょう。
【Step3】パテをした箇所をヤスリで平滑にする
パテを埋めた箇所の凹凸を、紙ヤスリか電動サンダーを使って平滑にしていきます。今回は、ヘッドを変えて各種用途に使えるマルチツールEVOのヘッドをサンダーに交換して、電動サンダーとして使いました。
【Step4】塗装をする(2回)
塗装の手順は中級編と同じ。まずは養生、隅ははけで、広い面はローラーで塗装。乾燥したら二度塗りします。仕上がり面が平らにならなかったときは、乾燥後に問題箇所をヤスリ掛けして調整し、再度塗装。
【Step5】チョークをまぶしてなじませる
必須Stepではないけれど、より滑らかな描き心地の黒板壁にするためのアドバイス。チョークを黒板壁に寝かすように当て、全体を塗りつぶしていきます。こうすることで細かな凹凸が埋まり、描き心地がUPします。
【Step6】チョークを空拭きで拭き取る
乾いたやわらかい布でチョークを拭き取ったら完成です。
【After】完成
廊下とリビングの間のドアを交換します。既存ドアと同サイズのドアであれば、蝶番(ちょうつがい)という取りつけ金具のネジを外すだけで交換可能。アンティークドアを使いたい場合は同サイズ品を見つけるか、加工が必要になるので注意。今回のドアはオーダー製作しました。ドアを塗ったりドアノブを変えるだけでも雰囲気を変えられます。
【Before】施工前
既存のドアを採寸して、新規で同じサイズのドアをオーダーします。ラッチといわれるドアを枠に引き留める金具や蝶番の位置を測ることも忘れずに。ラッチの位置がずれるとドアがきちっと閉まらなくなることも。
【Step1】既存の扉をはずす
ドアは重量があるので、必ず二人以上で作業しましょう。一人がドアを支えながら、もう一人がまず上部の蝶番を外し、次に下部の蝶番を外して、ドアを取り外していきます。
【Step2】オイルステインを塗る
木を美しく着色しながら木目を際立たせる、ワックスやオイルステインなどの木部仕上げ材。今回のドアの素材は元々油分を多く含む樹種でワックスが浸透しにくいため、オイルステインで薄く着色していきます。
【Step3】BRIWAXで好みの色みに仕上げる
今回は、プロも愛用するワックス「BRIWAX」で、木部の艶出しと色みの調整をしていきます。ワックスを布につけ、刷り込むように拭き上げながら、好みの色合いになるまで繰り返します。
【Step4】ドア枠を塗装する
ドアを囲むドア枠も、ドアの色みに合わせて茶色に塗装。塗装の手順は中級編を参考に。枠の色は、ドアに合わせるか、壁に合わせるとコーディネートがまとまります。
【Step5】ドアノブをつける
ドアノブを取りつける位置に開いている穴に、ドアノブの軸を差し込み、ネジで固定します。最初はゆるめにネジを締めて、すべてのネジを差し込んだら、しっかり締めつけていきます。
【Step6】扉を設置する
取りつけ後のドアの上下がドア枠にぶつからないように、蝶番をつける位置を決めます。ドア枠側とドア側の蝶番の高さがそろように、きっちり計測を。今回は、既存ドアの蝶番位置を基準にして蝶番を取りつけました。
【After】完成
工場や機械で使われていそうな、金属のつまみを操作してON/OFFする「トグルスイッチ」。操作時の「パチン」という感じがたまりません。これを取りつけるには、初級編で紹介した化粧プレートの交換だけでなく、壁の内側にある電気配線を工事しなければいけないので、プロの電気業者さんへの依頼が必要です。
【Before】施工前
今回の作業はすべて、電気工事士の資格をもつ、プロの電気業者さんが行う作業です。専門の免許がない人は電気工事を行ってはいけません。
【Step1】既存プレートを外す
初級編の「スイッチプレート交換」で紹介した手順と同じように、既存の化粧プレートをプラスドライバーを使って外します。賃貸物件で、退去時に元のプレートに戻す可能性がある場合は、化粧プレートとネジは保管しておきましょう。
【Step2】配線をつなぎ換える
スイッチ部分のパーツを取り外し、電気配線を引き出します。トグルスイッチに配線をつなぎ換えます。スイッチが複数個ある部分の交換では、壁面の穴を広げることもあります。
【Step3】プレートを戻す
トグルスイッチのアルミ製化粧プレートを、ドライバーを使ってネジで固定。配線が正常につながっているかオン・オフを試して確認します。退去時に元のスイッチプレートに戻す場合は、再び電気工事が必要になります。
【After】完成
壁の仕上げは、塗装やクロスだけではありません。板を張ったっていいんです。天然の木の表情が、空間を豊かに見せてくれます。縦張りにするのか横張りにするのか、オイル仕上げにするのか色を塗るのかによっても雰囲気が変わってきます。オイルや色を塗る場合、水分で板が反ってくるので、張る前に塗装するのがポイント。
【Before】施工前
今回は、クロスの上から板を張ります。クロスが剥がれたり、浮いているところがあったら、ボンドを使って補修を。クロスの表面、幅木まわりのほこりなどの汚れを払ってキレイにします。
【Step1】板の両面にクリアオイルを塗る
今回、使用する「オークの挽き板」は、クリアオイルを塗ると表面の色が一息落ち着き、木目が一層引き立ちます。水分を含むと木は反る性質をもっているので、できれば表裏両面に塗装を。壁に張る前に塗っておきます。
【Step2】壁に基準線をかく
板を張る際の基準線を壁に描きます。今回は、職人さんが使う墨出し器を使用。墨つきの糸を水平に引き、糸をはじいて印をつけます。墨出し器がない場合は、定規を使って基準の位置に印をつけ、水平線を描いていきます。
【Step3】板を切るための下線をかく
今回は、板をレンガのように一段ずつずらして張っていきます。差し金を使って板の端がしっかり垂直であるか確認し、切る位置に下線を描きます。端に張る用に、半分の長さにする板にも下線を描きます。
【Step4】板を切る
今回、使用したのは、ヘッドのパーツを交換して、さまざまな場面で使える万能電動工具・EVO。丸ノコヘッドをつけて板を切ります。ミシンの要領で、下線に沿って刃を進めていきます。切断面はやすりをかけて。
【Step5】両面テープとボンドをつける
両面テープは瞬間的に固定できるので、ボンドが硬化するまでの“つなぎ”として併用。基準線をベースに、板の上端と下端の位置にテープを張ったら、板の裏面にボンドをつけます。ザラザラしているほうが裏面です。
【Step6】目線の高さから板を張る
まずは目線高さから張っていきます。両面テープのフィルムを剥がし、基準線に合わせて板を張ります。少しの間、両手で押しつけて圧着。目線高さの横一列を張り終えたら、その一列を頼りに上下も張っていきます。
【Step7】天井際と床際の板を張る
天井際と床際の板を、必要サイズを実測して切り出していきます。天井や床がゆがんでいることもあるので、手間ですが、一枚分ずつ測って切っていくのが失敗しないポイント。接着前の仮合わせも忘れずに。
【Step8】仕上げのクリアオイルを塗る
すべての板が張り上がったら、もう一度、仕上げのクリアオイルを塗ります。一度塗りだけでもいいですが、二度塗りするとより木目が鮮明になる上、水や汚れの浸透を防ぎ、美しい見た目を長く保つことにつながります。
【After】完成