エコ住宅最新事情 2010

公開日 2010年09月15日
エコ住宅最新事情 2010

エコ住宅市場が注目されているワケは?「市場動向編」

住宅エコポイントがスタートしたこともあり、「エコ住宅」が盛り上がっている。少し前までは「エコ=高い」というイメージがあったが、最近は環境だけでなくコストダウンで財布にもやさしくなっているらしい。

エコポイントで盛り上がる「エコ住宅市場」

エコポイントで住宅のエコ化が進む!?

グラフ「家庭部門からのCO2排出量の推移」「住宅エコポイント申請戸数の推移」

地球環境問題がクローズアップされるなか、温暖化の原因とされるCO2排出量の削減が課題となっている。だが、実際には削減はなかなか進んでおらず、なかでも家庭からの排出量はむしろ増加気味だ。2008年度は不況の影響で前年度より排出量が減ったが、京都議定書の基準年である1990年度と比べると34.2%も増えている。住宅のエコ化は「待ったなし」の宿題といえる状況なのだ。

そこで景気対策と合わせ、住宅のエコ化を進める政策として国が導入したのが、2010年3月から受付を開始した住宅エコポイントだ。一定の省エネ基準を満たす住宅を新築したり、リフォームした場合に、1戸当たり最高30万ポイントが交付される。ポイントは1ポイント=1円に換算して住宅の追加工事や商品券、地域産品などと交換できる仕組みだ。制度がスタートして以来、ポイントを申請する戸数が順調に伸びている。対象となる住宅は2010年末までに着工していることが条件だが、期限の延長が打ち出された。

エコ住宅はこんなに身近になっている

エコ設備や自然素材でCO2と光熱費を削減

グラフ「住宅用太陽電池出荷量の推移」「家庭用ヒートポンプ給湯器出荷台数の推移」

そもそもエコ住宅とはどんな住宅を指すのか。いろいろな定義があるが、住宅エコポイントの基準では壁や窓の断熱性を高め、効率の高い給湯器やエアコンなどを設置することを求めている。このほか最近では、太陽光発電システムやLED照明などの省エネ設備を搭載するケースも少なくない。

なかでも注目度が高まっているのが、太陽光発電システムだ。数年前までは設置コストが高く、光熱費が安くなっても「元を取るのに20年以上かかる」と言われていたが、メーカー側の開発競争で設備の価格が下がってきた。さらに2009年に国が1kW当たり7万円の補助金を開始し、同年11月からは太陽光発電で余った電力を従来の2倍の価格で電力会社が買い取る制度がスタート。自治体の補助金も利用すると10年前後で初期投資を回収できるケースもあるとも言われており、市場が一気に盛り上がっている。

このほか、効率の高い給湯機としてはヒートポンプ給湯器(エコキュート)や潜熱回収型給湯機(エコジョーズなど)の普及が進んでおり、国や自治体の補助金制度が使える場合もある。断熱性の高い複層ガラスや、10年程度は取り替え不要と言われるLED照明を採用するケースも増えており、光熱費を節約できる点が人気だ。

また、機械だけでなく自然素材や植物などを利用したエコ住宅も増えてきた。最近では屋上や壁面を緑化したり、ヘチマやゴーヤなどツル性の植物を窓辺に植えることで、夏の陽差しを遮って冷房の使用を抑えるケースが目立っている。新築住宅などにツルを伝わせるネットを張れるよう、あらかじめフックなどを取り付ける物件もある。

「エコ住宅」はここまで進化している「最新物件編」

省エネで環境にやさしいだけでなく、光熱費が節約できて家計もラクになるメリットが人気のエコ住宅。最近ではマンション、一戸建て、賃貸住宅と、さまざまな住宅に採用されてきている。各種のトレンドとともに注目の住宅を紹介しよう。

太陽光発電で

新築マンションに太陽光発電やLED照明などを搭載

新築マンション市場では、このところエコに配慮した物件の供給が活発になっている。目立つのは太陽光発電システムやLED照明を採用するケースで、太陽光発電システム導入の分譲マンション共用部分の光熱費を削減して管理費を抑える例が多い。高効率給湯機や節水型シャワーを設置するなど、住宅エコポイントの基準を満たす物件も増えてきている。

そんななか、首都圏の分譲マンションとして初めて、全住戸に戸別太陽光発電システムを導入するのが、オリックス不動産の「(仮称)武蔵野市関前3丁目計画」だ。屋上に約54kW(1戸当たり1kW強)の太陽光パネルを設置し、発電した電力を各住戸で消費するとともに、余った電力は電力会社に売ることもできる。「一般的なガス併用型住宅と比べて光熱費を約50%、CO2排出量は約35%削減できると試算しています。発電量や売電量などがひと目で分かるモニターも各住戸に設置するので、省エネ意識も高まるでしょう」(同社)

賃貸住宅でも建物や設備のエコ化が進む

エコ化の動きは賃貸住宅にも広がりつつある。建物の断熱性を高めたり、高効率給湯機や節水型設備などを導入する例が目立つ。さらに太陽光発電を設置するケースも登場してきた。

エコ賃貸

その一つが、三井ホームが発売した「eco賃貸」だ。太陽光発電を搭載したオール電化仕様の賃貸住宅だが、最大の特徴は電力の分配を「すべての住戸に分配」「オーナーの自宅に分配」など4つの方式から選べる点だ。「各住戸に分配した場合、標準的なケースで1戸当たり光熱費を月々1万円ほど削減できます。オーナーにとっても差別化できて入居者を確保しやすくなるなど、双方にとってもメリットがでるでしょう」(同社)。賃貸住宅も、いずれ太陽光発電付きが当たり前になるかもしれない。

自然の力を活用して

注文住宅は「ゼロ・エネルギー」をめざす

住宅分野で最もエコ化が進んでいると言えるのが、注文住宅市場だろう。建物の断熱性や気密性を高めるのはもちろん、割安な夜間電力を活用できる高効率給湯機やLED照明などを採用。さらに太陽光発電や燃料電池などの発電設備を搭載することで、光熱費がかからない「ゼロ・エネルギー住宅」をめざす動きが活発化している。

省エネ住宅

各社が新商品の開発に力を入れるなか、省エネ住宅のトップランナーを選定するハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エレクトリック2009の大賞を今年受賞したのが、トステム住宅研究所フィアスホームの「ルーチェ」だ。断熱材一体型パネルによる高い気密・断熱性に加えて、風や光といった自然のエネルギーを効率的に取り入れる技術を採用している。「夏と冬は家を閉じ、室内のエネルギーを逃がさず、春と秋は家を開けることで、できるだけエアコンや照明などに頼らないエコ生活を実現できます」(同社)

注文住宅でエコな家を建てる

新築一戸建ての分譲物件も省エネ性能がアップ

新築一戸建て住宅でも、エコへの取り組みが広がりつつある。きっかけはやはり住宅エコポイントだ。供給戸数が多い不動産会社が相次いで住宅エコポイントへの対応を打ち出し、建物の断熱性アップや高効率給湯機の導入など、標準仕様の省エネ性能を引き上げている。だが、そうした動きとは異なり、環境との共生を目指す物件も登場した。

コスモスイニシアは、東京大学や一般生活者との共同で新しいコンセプトの環境共生住宅を研究し、近く東京都八王子市で「ココラボモデル環境共生住宅」2棟を販売する。風洞実験などから周囲の風の流れを計算し、風通しのよい壁や屋根の形状を採用。抗菌作用がありリサイクルも可能な国産無垢材を構造体に使用し、庇(ひさし)や植樹などで日射しをコントロールする。また室内を仕切りの少ない広い住空間とすることで、家族構成の変化に合わせて間取りを変えて長く住めるようにした。「装置だけに頼らず、自然の力を活かしながら心地よく暮せる住まいを目指しました」(同社)

環境共生住宅

住む人の暮らしがエコであることが最大のポイント

エコ住宅といってもさまざまな形があるが、いずれも光熱費が下がり、CO2も削減できる点は同じだ。なによりエコ住宅に住めば、四季を通じて快適な暮らしが実現するだろう。

最近は太陽光発電をはじめとした”エコ設備”のコストダウンが進み、エコポイントの導入も契機となってエコ住宅が普及しつつある。そうした住宅は電力使用量やCO2排出量がリアルタイムで分かる「見える化設備」を備えているケースも多く、住む人の省エネ意識を高める効果もあるようだ。建物や設備だけでなく、住む人の暮らしが省エネ化されることが、本当の意味でのエコ住宅と言えるだろう。

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取材・文/大森広司(オイコス) イラスト/藤田美菜子
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