推せる理由は「ビッグサイトまでバス直行」。酒好きオタクにおすすめの街、門前仲町の魅力【オタ女子街図鑑】

著: 劇団雌猫 

二次元、ジャニーズ、宝塚にアイドル。次元もジャンルも異なれど、オタク女子にとって趣味は人生の重要な一部。趣味を満喫するうえで、実は大切なのが「暮らす街」。オタク女子はどんなことを考え、どんなことを重視して街と家を選ぶのか?

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『浪費図鑑』『悪友』が話題の4人組オタク女子ユニット「劇団雌猫」がお届けする連載「オタ女子街図鑑」。ボーイズラブを愛する腐女子が住処に選んだのは、門前仲町。その理由は……?

本日の語り手 アデリーペンギンさん

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門前仲町にはまだ住んで1年の私であるが、門前仲町(以下門仲とする)の前はそのお隣の駅である清澄白河に住んでおり、あの辺りの居住歴はわりと長い。

というか何を隠そう祖母が門仲に住んでおり、毎年初詣の定番は富岡八幡宮、お盆は深川祭へと、もともとなじみの深い街ではあった。

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門前仲町が位置するのは江東区。これに墨田区や台東区を合わせた辺りを、私は勝手に“東京の東ゾーン”と呼んでいる。東ゾーンといえば、海抜ゼロメートル地帯も多く、いわゆる『下町』と呼ばれる地帯だ。下町ならではの義理人情といったものはさすがに近年失われつつあるものの、ほどほどなにぎわいと住みやすさが気に入っている。

社会人になって約5年。今まで一度も東京の西ゾーンに惹かれたことがないかといえば嘘になる。ここで私がいう西ゾーンとは港区、渋谷区や世田谷区を指す。

東ゾーンにも遊ぶところはたくさんある。だが渋谷、新宿といったいわゆる繁華街とは絶妙に離れているので、突発的に「今夜飲む人~!」といった感じで友人などと集まることは一切ない。

インスタのストーリーとやらで友人たちがイエーイしているのを何度苦々しく思ったことか。「誘ってくれよ!」という気持ちと「誘われたところで遠くて行く気しねぇ!」という気持ちが交互にやってくる(ちなみに私は飲むのが好きなただの酒好きでパリピではない)

密かにそんな想いを抱きながらも、私は居住地として門仲を選んだ。なぜなのか?答えは1つ。

東京ビッグサイトへの直通バスがあるから。

もちろんほかにも理由はある。だが、正直これはかなりでかい。

オタクと東京ビッグサイトの切っても切れない関係

私はオタクだ(このコラムに寄稿している女子は皆オタクなので言うまでもないことだが、一応宣言しておく)。何のオタクかというと、腐女子だ。さらにいうと、商業BLに加えて二次創作BLもたしなむ腐女子だ。もう一点追加すると、めちゃくちゃミーハーで、旬ジャンルに飛びつきがちの腐女子だ。

さて。商業BLに加えて二次創作BLもたしなむ腐女子が、ミーハーで、旬ジャンルに飛びついてしまう習性があると何が起こるのか? 答えは1つ。

オンリーイベントにすんっっごい頻度で行くことになる。

オンリーイベントとは、ある特定のジャンルに絞って開催される同人誌即売会のことである。国内最大規模の同人誌即売会・コミックマーケット(通称コミケ)は、夏と冬、一年に2回しか開催されない。しかし、オンリーイベントは春夏秋冬四季折々に開催されており、旬ジャンルであればあるほどその頻度は上がる。

登場から2年以上経ってなお人気の衰えないゲーム『刀剣乱舞』のオンリーイベントなど、全国に目を向ければ毎週どこかで開催されているというレベルだ。そして、そのオンリーイベントの会場としてよく利用されているのが東京ビッグサイトというわけなのだ。

行ったことのある方ならばわかると思うが、東京ビッグサイトへのアクセスは意外と面倒くさい。りんかい線やゆりかもめなど複数路線乗り入れているものの、場所によっては結構な回数乗り換える必要がある人もいるだろう。

だが! 門仲にはバスがある。
しかも! 土日に限ってだが、急行の直通バスも運行するのだ!!!

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いつも利用している急行06

この30分に一本運行している急行バスに乗れば、かなり楽にビッグサイトに行ける。バスの特性上やや時間が読めないところはあるが、スムーズにいけば門前仲町~国際展示場正門前間はなんと16分。私の家はバス停に近いのでドア・トゥ・ドアで20分だ。

これはすごい。りんかい線で夢の国に向かうキラキラした恋人たちや家族連れに紛れてSAN値が下がることもない。カバンにパンパンに詰まった戦利品が重くても、電車のように階段の上り下りなしで地元へ帰ってこれる。いいことづくめだ。

酒好きさん、いらっしゃい

と、ここまでほぼ、オンリーイベントとビッグサイトの話しかしていないが、門前仲町の魅力はもちろんそれだけではない。歴史と文化も色濃く、そしてなにより現役で栄えている。そして!! おいしいお酒が飲める!!

というわけで以下は、酒飲みオタク女として門仲の魅力について語っていこうと思う。

門前仲町は酒飲みにもってこいの街だ。なにしろ、とにかくたくさんお店がある。さらにどこもコストパフォーマンスが高い。昼から飲めるお店や、逆に深夜までやっているお店も多い。

正直、清澄白河に住んでいたころはその辺りが少し物足りなかった。清澄白河といえば、最近では行列のできるコーヒースタンドが話題になり、また美術館や庭園もあって文化度も高く、何よりビッグサイトへの直通バスもあって気に入ってはいたのだが、お店が閉まるのが早くて結局二次会はファミレスということも多かった。だが、門前仲町ならそんな心配はゼロ!!! 選び放題だ。

街の中で、いくつか居酒屋が集中しているスポットがある。今回はそのうち3つを紹介しようと思う。

1.辰巳新道

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かつては花街として栄えたという名残を感じる小道。渋めのお店が所狭しと並んでおり、平日の夜は地元民でにぎわう。駅を出てすぐ、一本道を入ったところに存在しているのだが、レトロなたたずまいでタイムスリップ感があって非常に趣深い。

おばあちゃんが一人で切り盛りしているしっぽり系の店があったかと思えば、にぎやかな焼き鳥屋さん・もつ焼き屋さんなどもあって楽しいゾーンだ。

2.永代通り&永代通りの裏通り

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永代通りを大横川の方向へと入ると、2本の通りにまたがり飲み屋街が存在している。およそ400mにわたってさまざまなお店があり、昔ながらの大衆居酒屋さんやオシャレなワインのお店などバリエーションも豊かだ。

もちろん表通りに当たる永代通りにも、せんべろで有名な『魚三』をはじめとしてたくさんの居酒屋さんが存在するが、さらに裏通りから表通りへと向かう小道にもひっそりと名店が点在している。新しいお店もつぎつぎにオープンしており、何度来ても新しい発見があるゾーンだ。

3.ご利益通り

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成田山の東京別院である深川不動堂に向かう参道。お店の数は決して多くはないものの、個人的には門前仲町の象徴的なスポットだと思っている。ご利益通りという名前がめでたいし、何より雰囲気が下町っぽくてよい。

日本酒の角打ちができる『折原商店』があったり、

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向かいには、焼き肉をなぜか「おとなのおやつ」と称した看板を出しているハートの強い焼き肉屋さん『蔵庵』も。

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車通りがほとんどないので、開放的な気分でまったりと飲むことができる。お昼にこの辺りで飲むお酒はとくに最高だ。

パリピじゃなくても楽しめるフェス

門前仲町は、お祭りの街でもある。

神田祭、山王祭とならんで江戸三大祭として知られる深川祭。別名水かけ祭としても知られる深川祭は、その名のとおり神輿を担いでいる人に水をかけるというイベントだ。近隣住民やお店の人々が総出で水をまきまくるこの時期は、街全体が盛り上がって超~~~楽しい。フェスよりもフェスみがあると個人的には思っている。

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昨年の深川祭の様子

そしてお祭りの時期、歩行者天国の永代通り沿いにはたくさんの屋台が並ぶ。屋台が出るということはつまり……昼からお酒がいっぱい飲める! 楽しすぎる。

深川祭は毎年数十万人規模を動員するかなり大規模なお祭りなので、地元ならではの内輪な感じも薄く、初めて訪れた人でもワイワイ楽しめるのが魅力だ。

お祭り好きという属性ゆえか、永代通り沿いにはお祭り期間以外でも、毎週日曜日に屋台が出ている。この年になっても屋台を見るとなんだかわくわくしてくるという単純な人間なので、通りを歩いているだけでハッピーな気分になれる。

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タイムスリップしたようなレトロなたたずまい

以上さまざま書いてきたが、居酒屋さんやお祭り、そしてビッグサイトへの便以外の面でも門前仲町はとても便利な街だ。銀行、携帯ショップ、歯医者さん、美容院、カラオケといった施設は一通りあり、生活で困ることはほとんどない。

都営大江戸線と東京メトロ東西線が通っているので、交通の便もいい。また駅間が近いので隣駅まで10~15分あれば歩くことができ、門前仲町駅から徒歩15分ほどの越中島駅を使えば夢の国・舞浜へも一本だ。

というわけで、普段お酒を飲まない人にとってもおすすめの門前仲町だが、お酒を飲む人に対してはいわんやおすすめだ。

そしてお酒が好きな、オンリーイベントに行くタイプのオタクにはスーパーおすすめだ。

まずは一度、居酒屋目当てで遊びに来てもらうのもいいかもしれない。そして雰囲気を感じてもらえればと思う。昨今の大衆居酒屋ブームで栄えている赤羽や上野とはまた違った魅力が見つかれば何よりだ。





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<劇団雌猫による「オタ女子街図鑑」、次回は10月後半に更新予定です!>



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著者:劇団雌猫

劇団雌猫

アラサー女4人の同人サークル。「インターネットで言えない話」をテーマに、さまざまなジャンルのオタク女性の匿名エッセイを集めた同人誌「悪友」シリーズを刊行中。浪費、美意識、恋愛に続く新刊テーマは「東京」です。「悪友 vol.1 浪費」の増補改訂版として、書籍「浪費図鑑」(小学館)が2017年8月に発売。その他、イベントや執筆など楽しく活動中。

Twitter:@aku__you

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