ダサくても干されでも愛してるよ!我が推し「練馬」のことを語らせてくれ 【オタ女子街図鑑】

著: 劇団雌猫 

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二次元、ジャニーズ、宝塚にアイドル。次元もジャンルも異なれど、オタク女子にとって趣味は人生の重要な一部。趣味を満喫するうえで、実は大切なのが「暮らす街」。オタク女子はどんなことを考え、どんなことを重視して街と家を選ぶのか? 

『浪費図鑑』『悪友』が話題の4人組オタク女子ユニット「劇団雌猫」がお届けする連載「オタ女子街図鑑」。関西から上京したロン毛キャラに心奪われがちな女性が奇跡の街を探してたどりついたのは……?

本日の語り手 フレミッシュジャイアントさん

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あの頃は何も知らなかった

練馬へ引越すと決めたとき、友達から「ねりまざふぁっかーw」と言われた。

当時の私は練馬についても「練MOTHA FUCKERZ」についても知見がなかったのでニコニコ聞いていたのだが、まぁ、今思うとそこそこひどい友人だ。


私は練馬に4年間住んでいる。

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関西から就職で東京に出てきて、すぐに渋谷に住んだ。「職場が近かったから」、それだけで家を選んだことを今は後悔している。

激務で朦朧としながら深夜に家に着き、化粧も落とさずに寝てシャワーを浴びて出社する。生ゴミを1カ月捨てなくて虫がいっぱい出て、全部嫌になってゴミ箱ごと袋に入れて捨てた。

「東京に行ったらアイドルとか声優さんのライブにたくさん行くぞ!」と意気込んでいたはずなのに、用意していたサイリウムはクローゼットで埃をかぶっていた。とっても楽しみにしていたTVアニメ「Free!」は放送時間までに家にたどり着けず、結局1度もリアタイできなかった。

練馬に引越したきっかけは、海外赴任をしていた彼氏が東京に戻って来たことを機に「一緒に住もう」と言い出したからだ。家にゴミ箱もない私の暮らしぶりを見たからか、「あたしンちみたいなほのぼのした日常を送る!」と宣言されて家探しが始まった。

練馬 is 奇跡の駅

引越しにあたって2人で考えた条件は以下の通り。

1.職場の人が緊急呼び出しをしにくい絶妙な距離感がある
2.けど、何気に電車で30分以内
3.JRが幅をきかせていない


3つめの「JR」、意外とこの条件だけでかなり絞られる(JRすごい)。子どものころにQueen「アンダー・プレッシャー」のMVを見て以来、満員電車を見るのがつらい。乗るのはもっとつらい!

ラッシュ時は基本満員のイメージがあるJRに比べて地下鉄はなんだかんだ空いている……という理由で、都営地下鉄か東京メトロの沿線で駅を探したところ奇跡の駅に出会った。

練馬である。

練馬は都営大江戸線と西武池袋線が通っていて、後者は東京メトロ有楽町線、副都心線と直通運転している。渋谷も新宿三丁目も池袋も六本木も横浜も一本!!4年住んでも週1くらいで感動できる、神乗り入れ。


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見て下さいこの神乗り入れ!(西武鉄道公式サイトより)

そして、希望通り近くにJRの駅がない。書いてるだけで興奮してきた……!他の条件も満たしていたのですぐ決めた。引越した。

彼は東北、私は関西の出身ということもあり、私たちは幸か不幸か東京の色んな街に対する先入観がなかった。そりゃあもちろん、六本木ギラギラ、銀座はセレブ、くらいの認識はあったけども、大阪で言うと「南船場はオシャ」みたいな機微が分からなかった。

ただ「新しい家どこ?」と聞かれて答えたときの反応から「もしかしたら練馬って、東京の人的にはあんまりいいイメージがないのかな?」とぼんやり感じるようになった。

それで冒頭の「練MOTHA FUCKERZ」に戻る。

この物騒な名前の正体は練馬区を拠点に活動するヒップホップユニットだ。超人気番組「フリースタイルダンジョン」の放送開始は2015年。私の引越しは2014年。あともう少し遅く引越していればD.Oさん(リーダーです)スゲーよね!と一緒に盛り上がれたかもしれない……(?)。

ジェローデルと練馬の共通点

ただ、周りの人の「え……なんで練馬?」みたいな反応は、実はそんなに嫌でもなかった。

当方オタク女道20年、好きなキャラクターが報われたためしがない。

編集長(注1)もジェローデル(注2)も振られたし、スネイプ先生(注3)は死んだ。

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ロン毛の男が登場する漫画コーナー

「報われないキャラが好き」なわけではなく「推したキャラが偶然、いつもストーリーの都合上報われない」だけなのだが、奇しくも住む街までそうなってしまった……。

連載後の読み切りで後日談描いてもらえることを願って感想のお手紙を送り続けるしかない、みたいな感じ。「ヒカルの碁」の三谷祐輝くん(注4)にフィーチャーした読み切り漫画がジャンプに掲載されたとき、うれしくて何冊その号を買ったか……!話が逸れました。

注1:漫画「はいからさんが通る」に登場するキャラクター青江冬星の愛称。2017年に公開された劇場版アニメでの担当声優は櫻井孝宏さん。主人公(紅緒)に想いを寄せるがこっぴどく振られる。ロン毛。

注2:漫画「ベルサイユのばら」に登場するキャラクター。主人公(オスカル)に想いを寄せ結婚まで申し込むものの、いろいろあって身を引く。ロン毛。

注3:「ハリー・ポッター」シリーズに登場するキャラクター。主人公の母親(リリー)が結婚しても子どもを産んでも想いを寄せ続けている。ロン毛。

注4:セミロン毛。


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目黒桜祭りに負けない?桜道

そんなわけで、推しに出会うと世界の全てが輝いて見えるように、練馬に住み始めて私の日常もどんどん変わっていった。やっと出会えた最高の推し、練馬くんさすが♡!

渋谷に住んでたときはお隣に誰が住んでるか知らなくて、会社に着くまで発声することもなかった。今は家を出ると保育園の周りでお散歩している赤ちゃんたちが大群をなしておはようございましゅ〜と絡んでくるし、クリーニング屋のおばあちゃんもチオビタくれる。人がたくさん住んでる街、ハッピーイベントが多い!

かといってオタク的活動を諦める必要もなく、池袋には電車に乗れば6分で行けるし、横アリも菊名から一本で帰れる。

以下、練馬くんに出会って変わったことを列挙しておく。

1.オタク活動が増えた

職場から距離を置いたことで、「仕事の時間」「プライベートの時間」を頭の中で整理できるようになった。

通勤に使う副都心線のトンネルは、「千と千尋の神隠し」のあのトンネルみたいだなといつも思っている。トンネルをくぐるとキリッとした私、反対向きにくぐるとふにゃふにゃした私になれる。

頭の切り替えによって、1週間の中で趣味に使える時間が何時間あるのか把握できるようになった。人間の脳は不思議なもので、使える時間を把握できると効率よく使いたくなる。

休みの日はずるずると仕事をしながら布団にくるまっていた昔の私は、かくしてガシガシ現場に入る系のアクティブオタクにジョブチェンジしたのであった。

2.肌がきれいになった

練馬に引越して睡眠時間が増えた、それだけの話だ。

アラサー、とにかく寝不足だと必ず次の日に肌が荒れる。会社から徒歩15分という超都心に住んでいると、すぐに帰れるからという甘えたマインドになる。ついつい0時過ぎまで仕事をしたり、社員の愚痴を聞いたり、飲み会したり……家に帰るのが遅くなりがちだった。土日の緊急対応など呼び出しも多く、生活が不規則になっていた。

ところがどうだろう、練馬のこの微妙な心理的距離。周りの人も「あー練馬か〜……」みたいな反応になり、真っ先に呼び出されなくなったし早く帰してもらえるようになった。

練馬、さすが我が推し、干されメン。本当はわりとすぐ出社できるけどね、ぐふふ、と思いつつ、ありがたくお休みさせていただいている。結果、お化粧も早い時間に落とせてぐっすり眠れてハッピーつるつるアラサーの完成である。

3.痩せた

引越す前は、ほとんど歩かなかった。マンションを出たらすぐに駅があって、1駅だけ乗ってオフィスビル直通。夜はビル内の飲食店で済ませて帰ったり、会食後は深夜でタクシーに乗る日々。太った〜!

今は駅から家まで15分弱歩くので、それだけでも結構痩せた。渋谷ではスーパーやお魚屋さんをハシゴすることも無かったなぁ。パンパンのお買い物袋を腕に下げて歩くの、結構重労働だ。

なにより土日や平日の夜、現場(今のメインは新大久保アイドル。これも東新宿まで5〜10分ほど歩けば練馬まで1本!)でめっちゃはしゃいでるので、そこで相当な運動量がある。というわけで、練馬に住んで5キロ痩せた!

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「おいしい街」!

……と言ったあとですが、練馬は美味しいご飯屋さんもとっても多い。エリアごとの名店を紹介するグルメ本シリーズ「街ラブ本」(エイ出版社)の中には、神楽坂、目黒、六本木、浅草などそうそうたるメンツがラインナップする中、なんと「練馬本」もある。

30冊くらいしか出ていない街ラブ本シリーズで単独特集を組んでもらえるなんて、推しのソロ曲がニューアルバムに入ってたくらいの感動だ。

練馬本に載っているお店は出来る限りたくさん赴くようにしている。そうすれば、お店の人が「練馬本効果あったよ!」と出版社さんに伝えてくれて、また練馬本最新版を作っていただけるかもしれないから……。

あぁ、三つ子のオタク魂百まで……。(レタスしゃぶしゃぶ「潮彩」さんオススメです♡!)

「街探し」は「推し探し」

住む街で人の生活は変わる。体も気持ちも大きく変わる。練馬への引越しはそんなことを私に教えてくれた。

もし今これを読んでいるあなたに「推し」がいたら、住んでいる街や家に「推しっぽさ」を探してみてください。自分が「どんな人を好きになるか」と「どんな街に住みたいか」って結構似ていると思う。

今住んでいるところにしっくり来ていない人は「推し」から要素を抽出して街探しに活用するのもいいかもしれません。みんなの中心にいるような目立つキャラクターだったり、個性的でオシャレなキャラクターだったり。

推しに住む、住んでいる街を推しに重ねると、毎日がとってもハッピーになるので、みなさんもぜひご検討ください!

人気者になっちゃうのはちょっと寂しい。けど、練馬くんは本当に自慢の推しだよ……!




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劇団雌猫、同人誌最新刊は「悪友 vol.3 東京」。

オタク活動と切っても切り離せないこの街について14人の女性が内と外から語る、愛憎まみれる匿名エッセイ集。あなたにとって「東京」ってなんですか?

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<劇団雌猫による「オタ女子街図鑑」、次回は4月後半に更新予定です!>

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■オタ女子街図鑑 過去の記事

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著者:劇団雌猫

劇団雌猫

アラサー女4人の同人サークル。「インターネットで言えない話」をテーマに、さまざまなジャンルのオタク女性の匿名エッセイを集めた同人誌「悪友」シリーズを刊行中。浪費、美意識、恋愛に続く新刊テーマは「東京」です。「悪友 vol.1 浪費」の増補改訂版として、書籍「浪費図鑑」(小学館)が2017年8月に発売。その他、イベントや執筆など楽しく活動中。

Twitter:@aku__you

ブログ:劇団雌猫