生まれ育った難波を愛するわたしが今、山を越えて奈良に住んでいる理由【オタ女子街図鑑】

著: 劇団雌猫 

二次元、ジャニーズ、宝塚にアイドル。次元もジャンルも異なれど、オタク女子にとって趣味は人生の重要な一部。趣味を満喫するうえで、実は大切なのが「暮らす街」。オタク女子はどんなことを考え、どんなことを重視して街と家を選ぶのか?

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4人組オタク女子ユニット「劇団雌猫」がお届けする連載「オタ女子街図鑑」。

今回のプレゼンター、ヒトコブラクダさんは関西在住。生まれ育った「浪速区」「難波」の魅力をたっぷり語っていただきました。なのですが、こんなに大阪を愛しつつ今住んでいる街は大阪府外。あるオタク的なニーズを優先した結果、行き着いたのは……。

本日の語り手 ヒトコブラクダさん

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ミナミ・ディビジョン vs キタ・ディビジョン

私が生まれ育ったのは、大阪・ミナミと呼ばれる地域である。

キタの玄関口・梅田は、複数の路線が乗り入れ、多くのビルが建ち並び、何年も開発工事が続けられているために「梅田ダンジョン」と呼ばれている。

しかし、ミナミの玄関口・難波だって、JR、地下鉄3線、近鉄、阪神、南海が乗り入れているし工事は終わらない。似たようなものだ。

ミナミの人間は常にキタに対抗意識を持っている。オオサカ・ディビジョンだなんてまとめないで欲しい。ミナミ・ディビジョン vs キタ・ディビジョンである。喧嘩なら負ける気がしないが、ラップには自信がないので、ここは冷静にミナミの魅力をお伝えしたい。

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「ヒプノシスマイク」の新チームとして登場した「オオサカ・ディビジョン」。Creepy Nutsが手掛けた楽曲のカッコよさが話題に

難波に住むなら浪速区

私が生まれ育ったのは「大阪市浪速区」である。

関西ジャニーズJr.の人気グループ「なにわ男子」でおなじみの「なにわ」。土地勘のない方には「なにわ=なんかガチャガチャしている大阪を象徴する通称」としてしか知られていないだろうが、実は、大阪環状線の内側の下の方にあるひとつの区として「浪速区」がある。

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繁華街を一本入ると静かな街。奥に見えるのが通天閣

キタ方面から来る人たちにとっての「難波」のイメージは「道頓堀」だと思われるが、浪速区の人間に言わせると、道頓堀は難波の最北端である。難波は中央区と浪速区に跨っており、道頓堀があるのは北側の中央区。南側が浪速区になる。

道頓堀のあたりは完全に繁華街で人が住める場所ではなさそうに感じるだろう。しかし浪速区は下町なので、意外と普通に人が暮らしており、そして家賃も比較的リーズナブルである。庶民に優しい!さすが我らがミナミ!!

西のアキバ、日本橋

南海なんば駅の南東に位置する日本橋エリアは「西のアキバ」として知られている電気街だ(ちなみに大阪では「日本橋」は「にほんばし」ではなく「にっぽんばし」と読む)。

週末になるとパソコンやゲームなどのオタクたちが集まる街。オタクたちにとってのミナミの玄関はこの「南海なんば駅」と言える。

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ミナミの玄関、南海なんば駅

男性オタクの方が圧倒的に多いが、「アニメイト」「K-BOOKS」「とらのあな」など、女性オタク向けの店も池袋のように密集していて二次元オタには便利なエリアだ。

かくいう私も学生時代、ほぼ毎日のように『漫画専門店 わんだーらんど』に通って新刊パトロールをしていた。テニプリにハマれば、原作漫画からキャラクターCD、テニミュの中古生写真まで一気に手に入る生活。しかも徒歩で!最高!

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『漫画専門店 わんだーらんど』。実家にはこの(わ)のブックカバーがあふれている

日本橋駅を通る路線のひとつ、地下鉄堺筋線は阪急が乗り入れているため、阪急電車の車両も走っている。キタの人間が上品ぶって乗っている阪急(の車両)にはミナミの我々も乗っているのだハハハ!

関西に育った観劇オタクの中には、子どものころから阪急電車で宝塚歌劇や東宝ミュージカルの広告を何気なく眺めていたことが原点にある人も少なくないんじゃないかと思う。「『レ・ミゼラブル』ってテレビで見たことがある俳優さんも出ているんだなぁ」と思いながら電車に乗っていたことを、今でも覚えている。

坂本くん、西の合羽橋で待ってるよ

がっつりオタクごとに関係あるわけではないが、南海なんば駅のすぐそばには、調理器具などの専門店が並ぶ「道具屋筋商店街」というエリアがあって、ここも面白い。「西の合羽橋」と言えば雰囲気を分かってもらえるだろうか? 「V6」のリーダー・坂本くんは料理が得意で合羽橋も大好きなので、きっと道具屋筋も喜んでくれるはずだ。

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「DOGUYASUJI」とローマ字で書いてある

そして、このあたりは「裏難波」と呼ばれるグルメスポットでもある。「魔法のレストラン」という番組では、グルメで知られるV6長野くんが何度もロケに来ている(関西ローカルなのに長野くんがレギュラー!)。

いつか「魔法のレストラン」で坂本くんと長野くんがここでロケをしてくれたらいいのに……。超(スーパー)ひらパー兄さんこと岡田くんは何度もこの番組に出ているのに……坂本くんも映画に出るチャンスがあれば……。

歯ぎしりしながら商店街を抜けると、「なんばグランド花月」があらわれる。

「ただし吉本芸人は除く」

なんばグランド花月(NGK)は吉本の劇場である。ベテランから若手まで毎日さまざまな芸人が舞台に立っている。

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大阪で芸能人を見かけることなんてほとんどないが、「ただし吉本芸人は除く」と注釈が付く。アイドル的な人気のある若手芸人には出待ちするファンも多い。

NGKの向かいには「NMB48シアター」がある 。少し離れるが、道頓堀には関西ジャニーズJr.がよく公演を行っている「大阪松竹座」もある。難波はアイドルファンが集う渋谷のような街でもあるのだ。

梅田も難波の庭ですが?

難波についていろいろ紹介してきたが、要するに、秋葉原&池袋と合羽橋に歩いて行ける渋谷のようなものである(反論は受け付けない)。しかも、梅田まで4駅8分で着くので、梅田も難波の庭と言って過言ではないだろう。広い庭だ(反論は受け付けない)。

新幹線は新大阪駅まで御堂筋線で一本だし、関西空港は南海かJRで一本だし、伊丹空港へはリムジンバスが出ている。難波に住んでいたころの私は東京出張が多く、この選びたい放題の立地がとても便利だった。

「徒歩圏でなんでも済ませたいズボラオタク」にも「東京にしょっちゅう通いたい遠征民」にもオススメである。

オーディオオタク、心の平安を求めて

……と、ここまで難波の魅力をアツく語って来たが、実はいま、私は奈良に住んでいる。結婚を機に予算内の住居を探していたところ、山を越えて奈良にたどり着いてしまったのだ(大阪と奈良の県境には生駒山がある)。

オーディオオタクの夫に大音量で心置きなく楽しんでもらうために、騒音トラブルの可能性を極力避けたかったのが大きな理由だった。難波に住むならマンションになる。マンションに住むと騒音が気になる。オタク同士なので、彼が趣味を諦めないであろうことはよく分かった。大好きな難波での生活を当時は泣く泣く諦めた。

「あなたは奈良になんて絶対住めない」とみんなに言われたけれど、住めば都というか……まぁなんとかなっている。

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「学園前駅」の駅前。何十年もかけて開発されてきた広い住宅街なのでバスの路線網も広範囲

今住んでいる近鉄奈良線「学園前駅」は、難波まで25分で出られる。大阪府下の各停しか停まらない駅に比べれば、逆に楽かもしれない。

引越した頃にはどっぷりジャニオタになっていた私にとって全国の「現場」に行きにくくなるのは嫌だな、と思っていたのだが、少し時間がかかるようになったとはいえ、ものすごく不便なことは意外になかった。

大阪方面に出るときは難波に住んでいたころからプラス25分見ればいいだけだし、新幹線で東京に行くときは新大阪まで行かずに京都まで近鉄で出ればいい(45分)から東京には近づいているし、関西空港に行くときは駅前から直通のリムジンバスが出ている。

車社会で車なしで生活するということ

学園前は50年以上かけて開発された広大な住宅地で、駅までバスで20〜30分という立地の家も多い。しかし、免許を持っていない私はどうしても駅徒歩圏に住みたかったので、そこはこだわった。夫は免許を持っているが、車の維持費を払うくらいなら自分の趣味に充てたい主義である。

奈良県民は車が足代わりなので、一戸建てにはたいてい駐車スペースが1〜2台分ある。我が家にも、例によってガレージはあるが車はない。タクシーの運転手にまで「車持ってないの!?」と言われるレベルだが、私たち2人が納得して選んだライフスタイルなのでこれでいいのだ。

一戸建てライフは、理想通り、ある程度オーディオで大きな音を出しても気兼ねなく過ごせるのが素晴らしい。と言いつつ、お隣さん的に本当に大丈夫なのかは怖くて聞いたことがないが、これまで苦情は来ていないので大丈夫だと信じたい。

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ジャニオタにはありがたい奈良西郵便局

学園前のオタク目線でのオススメポイントとしては、駅前にある「奈良西郵便局」を挙げたい。ゆうゆう窓口のおかげでジャニーズコンサート事務局から届く簡易書留がストレスなく受け取れるし、チケット業務もスムーズに出来る。

それから、これは学園前に限らないが、奈良市で子どもを産むと、KinKi Kids堂本剛くんデザインの母子手帳が貰えるのだ! こんなレアグッズ、メルカリでもなかなか手に入らないい。奈良市民はなんと無料である(子どもを産めば)。堂本剛くんの愛する奈良の地で子育てするなんて、夢のジャニオタライフではないだろうか。

憐れみの目で見られがちだけど…

大阪の人に「奈良に住んでいる」と言うと憐れみの目で見られがちだが、場所によっては実はそれほど遠くないのである。

ミナミに住んでいたころ、たいていの場所が徒歩圏内だったため、それなりの距離を歩くことは苦ではない。おかげで、奈良でも車を持たずとも歩いてなんとかなる環境を選ぶことができた。

一戸建てに引越したことで夫がオーディオを満喫できるだけでなく、自分のジャニオタグッズを置くスペースも増えた。が、油断して気軽に買い込んできたせいで、さすがに溢れてきてしまった。そろそろなんとかしなきゃ……(と何年も言っている)。


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著者:劇団雌猫

劇団雌猫

アラサー女4人の同人サークル。「インターネットで言えない話」をテーマに、さまざまなジャンルのオタク女性の匿名エッセイを集めた同人誌「悪友」シリーズを刊行中。その他、イベントや執筆活動などもおこなっている。編著書に『浪費図鑑』『シン・浪費図鑑』『まんが浪費図鑑』『だから私はメイクする』『一生楽しく浪費するためのお金の話』。7月に新刊『本業はオタクです。シュミも楽しむあの人の仕事術』が発売した。

Twitter:@aku__you

ブログ:劇団雌猫


<劇団雌猫による連載、次回は12月後半に更新予定です!>


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