「名古屋発のエンタメで、日本中を盛り上げたい」10周年を迎えた、BOYS AND MEN(ボイメン)の野望

インタビューと文章: 小沢あや

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BOYS AND MENのリーダー・水野勝さん(写真左)と本田剛文さん(写真右)

2010年に結成されたボーイズグループ・BOYS AND MEN(ボイメン)は、名古屋の「町おこしお兄さん」というキャッチコピーで活動しています。2014年に中京テレビで初の冠番組が始まり、2016年には「第58回日本レコード大賞」新人賞を受賞。順調に活動の幅を広げてきたボイメンですが、ここまでの道のりは決して平坦ではなかったそう。

リーダー・水野勝さんと本田剛文さんに、ボイメン10年の歴史を振り返りながら、おふたりが幼少期から暮らす名古屋の魅力を伺いました。(取材は2021年2月上旬、リモートにて実施しました)

ボイメンの10年は、名古屋とともにあり

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取材開始直後、自らインカメをハンカチで綺麗に拭いてくれました。親切!

―― 10周年、おめでとうございます。この10年で、名古屋を代表するボーイズグループになりましたね。

水野勝さん(以下、水野):ありがとうございます。ニューアルバムのリード曲『どえりゃあJUMP!』をトータルプロデュースしてくださったつんく♂さんにも「やっぱり名古屋はボイメンの武器だし、男性の地方グループはあまりいないから、誇りを持ってほしい」と言っていただけて。本当にうれしいですね。

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―― 上京せず、10年ずっと名古屋にいたからこそ、ボイメンさんらしくいられた部分もあるのではないでしょうか。

本田剛文さん(以下、本田):僕らの活動のコンセプトに「名古屋で芸能界への夢を叶えられる世界をつくる」があるんです。名古屋を拠点に活動して、地元に還元する。だからこそ、活動自体がブレずにいられるんだと思います。

水野:純粋に、名古屋って住みやすいんですよね。家賃も東京に比べて圧倒的に安いし。トヨタのお膝元だから車社会なんですけど、道幅も広いし、コンビニや喫茶店にも駐車場があるので便利。意外なところだと、水も美味しい!

本田:あんまり知られていないですけど、木曽川の水質がいいから、水道水も美味しいんですよ。少し前までの名古屋、ペットボトルで水買う人、少数派だったもんね?

水野:そうそう。名古屋、地味にいいところ多いよね。もしも上京していたら、生活費のためのバイトが必要になって、ボイメンの活動に割ける時間が減ってたと思うんですよ。名古屋にいたからこそ、自分のやりたいことに真っ直ぐ集中できた。結成4年目ぐらいまで給料ゼロだったけど、実家なんでなんとかなりました(笑)。

―― 給料ゼロ……! 結成当初は、苦しい時代も長かったんですね。

水野:なかなか市民権を得られない時期が長くありました。名古屋って、「名古屋飛ばし(※)」って言葉があるくらい、東京に比べるとエンターテインメントに触れる機会が少ない土地なんですよ。ライブにお客さんを呼び込むためにチラシを配りまくったけど、全然受け取ってもらえなかったんです。きつかったな〜。

※「名古屋飛ばし」=東京・名古屋・大阪の三大都市のうち、名古屋だけコンサートが開催されない現象などを指す

水野:最初は稽古場もなくて、練習も公園で。「にっぽんど真ん中祭り」っていう、有名なよさこい祭りに参加する人たちと、毎回練習場所の取り合いをしてました(笑)。ラジカセ持って公園で稽古しつつ、目の前を通って行く人にチラシを配る日々でしたね。ライブも音響がないから、マイクなしで生声で歌って(笑)。

―― 「……あれ? 夢見た芸能界とちょっと違うぞ?」と思ってしまうことはなかったですか?

本田:「まあいけるだろう!」って(笑)。ボイメンって、歴代の在籍人数100人以上いるんですよ。でも、今残ってる9人は不思議と「いける!」っていう気持ちが強かったんですよね。

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夢を信じて突き進んだ9人の精鋭たち

水野:ほかの約90人は「これ大丈夫か!?」って不安になって、辞めちゃったのかもしれない(笑)。今のメンバーはみんな、アホなんですよね(笑)。

本田:結成当初に「テレビ塔」の下で毎週末フリーライブをやっていたころなんて、お客さんが少なくて、社長から「450人集めなかったら解散」って話が出たことがあって……。

水野:ファンには「解散」とは言えなかったんで、「450人集めないととんでもないことが起きる!」っていう、ぼんやりした告知しかできなかったんです。

本田:結局、当日はたくさんの人が集まってくれたので、一山越えられました。初めて大人数の前でやったライブは、今でも目に焼き付いています。ファンの子も、お手製のチラシつくって配ってくれて、一緒に頑張ってくれたんです。僕らの活動の歴史は、名古屋の街の情景とともにありますね。

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冠番組を持って、やっと地元で認められた気がした

―― ボイメンの活動に、はっきりとした手応えを感じだしたのはいつですか?

水野:2014年に中京テレビで冠番組『ボイメン☆騎士』が始まってから、市民権を得られたような気がします。翌年には「ガイシホール」(日本ガイシ スポーツプラザ)で1万人規模のライブも実現したので、大きなターニングポイントかなと。

本田:冠番組では、大食いしたりとか、雪山登ったりとか、結構むちゃな企画ばっかりやってたんです。チラシ配っているときにも「あ! 夜中にめちゃくちゃご飯食べてる子たちだよね?」って、声をかけてもらえるようになりました。

―― 今ではボイメンさんもすっかり名古屋の有名人になって、声をかけられる機会も多いのでは?

本田:名古屋の人って、シャイなんですよ。僕がファンの子に気づいてるのに、ファンの子が気づいてないときもあります(笑)。

水野:でも、街でおじさんに「ドラゴンズ、勝ったな!」とか言われます。年配の方は、結構声かけてくれるよね? ドラゴンズの応援歌を歌っていて、副音声では試合の解説をやってるんですけど、そこから認知された気がするな〜。

本田:たしかに。この間、道で信号待ちしてたら、軽トラがバーンって停まって。急にウィーンって窓開いて、おじさん出てきて。「これ絡まれるのかな、怖いな」と思ってたら、「おい、いつも見とるぞ! 頑張っとるな!」って、わざわざ声をかけてくださったんですよ(笑)。ありがたいですね。

水野:僕たちも名古屋人なのでわかるんですけど、名古屋の人ってミーハーなんですよ。「テレビ出てる芸能人だ!」ってなるんですよね(笑)。少しは、認めてもらえたのかな?

―― 地元の大きな会場でも単独ライブを開催出来るようになって、ご自身でもしみじみと感じることがあるのでは。

水野:僕は両親がスポーツ好きで、ずっと中日ドラゴンズと名古屋グランパスの英才教育を受けてきたんです。「ナゴヤドーム」と「パロマ瑞穂スタジアム」は、小さなころから親父と何度も試合を観に行った場所。そこでライブなどのお仕事が出来ていること、やっぱり感動ですね。

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今もオフの日に、試合会場を訪れているそう

地元民が推す名古屋グルメ

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―― 名古屋といえば「ひつまぶし」「味噌カツ」などのイメージが強いです。おふたりに、地元民が推す名古屋ごはんを教えてほしいです。

水野:僕がプライベートでもよく行くのは「濃厚中華そば 佐とう」! 濃厚中華そばのお店で、分厚いチャーシューがどんぶりいっぱいに入ってるんですよ。ロケで行ってから通うようになったんですけど、今ではお店に入ると「おかえり」、帰るときは「行ってらっしゃい」って言ってくれます。

本田:僕のおすすめは伏見にある、味噌おでんのお店「島正」。名古屋ではおでんに味噌をつけて食べるんですが、地元の人からも「ダントツで美味しい!」って言われている有名店です。いつも満員なので、僕も2回しか行けてないですけどね。どれ頼んでも美味しかったけど、やっぱり大根! 味がしっかり染みてる!

水野:いつもサラリーマンでいっぱいだよね。あとは、大須にある鰻屋さん「やっこ」も。僕もライブの前日など、気合を入れて頑張りたいときによく行きます。

本田:ベタだけど、あとはやっぱり「味仙」かな〜。「味仙」って結構奥が深くて、お店によって微妙にメニューも味も違うんですよ。経営も店舗によって異なるので、名古屋人それぞれ「自分はココの味仙が好き!」ってお店があるんです。

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2016年、ロケで味仙に訪れた時の本田さん

本田:僕のおすすめは、ボイメンのライブ本拠地「BM THEATER」から一番近い「味仙 矢場店」! あとは、今池本店ですね。矢場店と経営が違うんですけど、この2店は手堅いです。

水野:味仙行ったら、絶対頼むのが青菜炒め!

本田:味仙の青菜炒めは、世の中の草で一番美味い(笑)。あとは、ニンニクチャーハン!

水野:ナゴヤドームのライブの前日にも食べに行きました!

―― おふたりの味仙愛がすごい……!

本田:差し入れおやつだと、「坂角総本舗」の「ゆかり」ですね! めちゃめちゃ美味しいエビせんべいなんです。中身は一緒で、外側の缶だけゴールドになってるタイプもあって。

水野:そうそう、見栄っ張りな名古屋人にぴったりなやつ(笑)。

本田:スーパー手土産! って感じの(笑)。少し高いんですけど、誠意を見せたいんで、ここぞというときはゴールドでいきます。お正月には、名古屋で有名な老舗和菓子屋「両口屋是清」さんで、特注のボイメンロゴの焼印が入ったどら焼きも毎年つくっています。ご挨拶のときは、可能な限り名古屋アイテムを用意していきますね。

在住者が推す、マニアックな名古屋スポット

―― 観光でおすすめのエリアはありますか?

水野:名古屋が初めてなら、大須は定番じゃないですか。巣鴨と下北沢と原宿がミックスになったような街。1日歩くだけでも色んな発見と出会いがありますよ。ショッピングモールもたくさんあるし、商店街もあるし。栄・金山も、若い人が多いエリアですね。

―― ボイメンさんも、イベントなどで商業施設のステージに立つ機会も多かったのでは?

水野:新型コロナウイルスが流行る前は「アスナル金山」の屋外ステージで、CD発売日にライブを行うことが多かったですね。アスナルは地元の中高生が遊びに行く定番の場所で、僕も高校時代に、リア・ディゾンのイベントを観に行ったんですよ。「わ〜! リア・ディゾン来る〜!」って(笑)。自分が初めて出たときは、感慨深かったですね。

本田:確かに。「名古屋5回目!」くらいの方に是非行ってもらいたいのが「円頓寺商店街」。渋い商店街で、若者向けの店とかはあんまりないんですけど、風情があるんですよ。

水野:その近くの「四間道」には、昔ながらの家屋をリノベーションしたレストランもあります。デートとか、ちょっと大事な会食のときに行くエリアですね。

本田:「四間道」と「円頓寺商店街」はこんな位置関係になってます。「イタリアンバール アランチャ」も、おすすめです。

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「四間道」と「円頓寺商店街」の位置関係をおててで説明してくれたおふたりが可愛いらしかったので、画像ガビガビですが載せておきます

本田:個人的には、枇杷(びわ)島の方にある映画グッズを買えるお店「ダークサイド」もおすすめです。僕、マーベル映画の「アベンジャーズ」シリーズが好きで、グッズを集めてるんですよ。東京でもよく探しているんですけど、結局ダークサイドの仕入れが最高!

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「ダークサイド」でそろえたものが多いという、本田さんの自宅のマーベルコレクション

本田:ダークサイドは個人経営のお店なんですけど、商品セレクトセンスが良くて、ファン心をくすぐるアイテムがたくさんあるんです。月1以上行ってるので、僕と遭遇するかもしれません(笑)。

名古屋に貢献するために、全国で売れたい

―― ボイメンは今後も、地元に住みながら、名古屋代表として活動を続けるのでしょうか。

水野:「名古屋に住み続けたい!」と思っていますが、一度は東京で結果を出さなきゃ! という気持ちも強くあります。名古屋が拠点なのは絶対にブレないんですけど、全国区のお仕事を充実させないと、本当の意味で地元に貢献できないなって思うんです。

本田:名古屋に拠点を置いて活動してると、やっぱり東京や大阪はライバル的存在。「名古屋のエンタメ負けてねぇぞ!」って見せていかないと僕らの夢は叶わないから、ハングリー精神はありますね。

―― 名古屋を愛しつつも、しっかりとした野心があるんですね。

水野:東京や大阪の番組って、全国に流れるじゃないですか? でも、東海エリアの番組ってなかなか他のエリアでは放送されないんです。名古屋発のエンタメを、僕たちがつくりたいですね。個人的には、北海道を全国で盛り上げているTEAM NACSさんみたいな存在になりたいんです。

本田:いつかボイメンで紅白に出ることが出来たら、「名古屋まつり」みたいな大きな山車に乗って、凱旋パレードできないかな? とか、夢を持っています。「ボイメン、名古屋で盛り上がってるらしいよ」と他のエリアに伝えてくれたのは、ずっと熱く応援してくれてる地元ファンなんです。名古屋に貢献するためにも、もっとたくさんの人にボイメンを知って欲しいですね。

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お話を伺った人:BOYS AND MEN /水野勝(みずのまさる)・本田剛文(ほんだたかふみ)

2010年に結成された東海エリア出身・在住のメンバーで構成された9人組エンターテインメント集団「BOYS AND MEN」のメンバー。 東海エリアを中心にテレビ・ラジオのレギュラーを多数持ちながら、ソロでもドラマ・映画・バラエティー番組などさまざまな分野で活躍中。2021年1月には約3年ぶりのオリジナルアルバム『BOYMEN the Universe』をリリース。CanCamとタッグを組んだ10周年記念写真集『BOYS AND MEN 10th Anniversary Book』を3月9日発売予定。

聞き手:小沢あや

小沢あや

コンテンツプランナー / 編集者。音楽レーベルでの営業・PR、IT企業を経て独立。Engadget日本版にて「ワーママのガジェット育児日記」連載中。SUUMOタウンに寄稿したエッセイ「独身OLだった私にも優しく住みやすい街 池袋」をきっかけに、豊島区長公認の池袋愛好家としても活動している。 Twitter note

原稿協力:ねむみえり