
13歳でハロプロ研修生としての活動をスタートし、2020年に16歳でアンジュルムとしてデビューした為永幸音さん。長野県長野市で生まれ育った彼女は「地元・テレビ信州の番組に出演するのが夢で、芸能の道を選びました」と振り返ります。
今回は、そんな為永さんに、上京後に改めて気づいた地元・長野の魅力や、東京と長野を行き来する中で感じた特別な思い出を伺いました。
地元のテレビ番組に出たい! の一心で芸能界へ

―― 為永さんが芸能界を目指すようになったのは、いつのことですか?
為永:小学1年生の頃です。テレビ信州の『ゆうがたGet!every.』という番組に憧れていたんです。「この番組に出演するために芸能界に入りたい!」と思って、ダンスや歌、演技を教えてもらうスクールに通い始めました。
実は、学校の職場体験でテレビ信州に伺ったことがあるんです。そのときに、地域の子どもとして別番組に出演する機会をいただいて。さらに芸能界への憧れが募りましたね。
―― きっかけが地元局の番組だったんですね。
為永:そうなんです。長野のタレントになりたいと思っていたんですが、母いわく、「東京で売れないと、長野で活躍できない」そうで。子どもながらに「すごく有名になれないと、テレビ信州には出られないんだ」って感じていたんです。
芸能界を目指すようになってからは、アイドル以外にもオーディションをたくさん受けていました。その中のひとつが、モーニング娘。のオーディションでした。そのときは落ちちゃったんですけど、それをきっかけにハロー!プロジェクトを知り、翌年の20周年記念オーディションに応募して、13歳でハロプロ研修生になりました。
―― そこからしばらく、長野から東京に通う生活が始まったんですね。為永さんはもともと、東京にはどんなイメージをもっていましたか?
為永:「栄えていて活気があって、食べ歩きの宝庫」というイメージでしたね。小学生の頃に観光する機会があって、浅草の花やしきなどを歩いたことがあるんです。東京はどこへ行ってもカラフルで東京全体が「原宿」みたいなイメージがありました。
上京してからは、「東京にも落ち着いたエリアもあるんだな」とわかりました。東京を知ってから改めて「長野は遊ぶところがきゅっと集まっていて、栄えていたんだな」と、地元の良さも感じました。
―― 長野から東京までは新幹線で1時間30分ほどですし、利便性もいいですよね。
為永:でも、ハロプロ研修生の頃は、ちょっとでも節約したくて高速バスを使うことも多かったです。長野から東京間は車だと4時間くらい。だから「あー、やっと着いた!」という疲労感がありました。
でも、もっと遠くから通うハロプロ研修生もいたから、「長野ってアクセスが良くて恵まれているんだな」とすぐに気がつきました。
―― よく購入する「旅のお供」は?
為永:自販機で購入できる温かい「そば茶」ですね。今でもホームで買ってから新幹線に乗ります。お菓子も欠かせないです。ハロプロ研修生時代は、石川県出身のOCHA NORMA・中山夏月姫さんと北陸新幹線で一緒になることも多くて。彼女がお土産を買ってきてくれるので、私も「じゃがりこ 野沢菜こんぶ味」とかそば粉を使ったスナック菓子など長野のお菓子を持っていきました。
差し入れの一番人気は、ツルヤの「りんごかりんとう」

―― 為永さんが上京したのはいつのことでしょうか。
為永:高校に入学するタイミングで上京しました。まだハロプロ研修生でデビューが決まる前だったけど、「ハロー!プロジェクトでデビューするぞ!」という覚悟で東京に来たんです。
中学の友達に「東京に出るんだ」と伝えたときは、寂しがってくれましたね。「デビューしたら、長野にたくさん帰るよ」と伝えました。卒業式の日は、お互いの姿が見えなくなるまで「バイバーイ!」って手を振ったんです。そのときの光景は、今も忘れられません。思い出す度に「絶対にデビューするぞ!」という気持ちになれましたし、今でも頑張る原動力になっています。
―― アンジュルム加入後、地元・長野県での凱旋公演も実現しましたね。
為永:はい。最初はハロー!プロジェクトのコンサートで松本市のキッセイ文化ホールに立ちました。そのときに「おかえり」とファンの皆さんから声をかけていただいて、「やっと長野県に帰ってこれたんだな」と思いました。
私の地元・長野市のホクト文化ホールに立てたときもうれしかったです。でも、当時はコロナ禍で歓声が制限されていたから、「おかえり」の言葉が聞けなかったんですよね。拍手でもうれしかったけど、ファンの方の歓声が聞ける状態になった今、改めて凱旋コンサートがしたいです。
―― 長野県は縦に長く、北と南で食文化も異なります。松本・長野でそれぞれ差し入れやケータリングにも違いがあったのでは?
為永:たしかに! 松本公演では、山賊焼きと牛乳パンがありました。
長野市のホクト文化ホール公演では、野沢菜がメインのお弁当が出たのを覚えています。個人的には長野のきのこが好きだから、次はメンバーにもたくさん食べてもらいたいです。
―― 長野はたくさんの名産品があります。地元のコンサートでは、どんな差し入れを持っていくんですか?
為永:毎回迷うんですよ。これまでも母と相談しながら、いろんな種類のおやつをそろえて勝負してきました。おやきもシャインマスカットも持っていったけど、メンバーから一番好評だったのはツルヤの「りんごかりんとう」です。
為永家の恒例行事、善光寺の「二年参り」

―― 幼少期のことも聞かせてください。長野ではどんな生活をしていたんですか?
為永:長野駅に遊びに行くことが多かったです。プリクラを撮りに行ったり、ご飯屋さんに行ったり。
―― 長野駅周辺は栄えていますもんね。上京して改めて感じた「長野あるある」は?
為永:小学校の夏休みが全国より少し短めで、始業式が9月1日じゃないことですね。8月の下旬あたりから新学期が始まるんです。今でも『24時間テレビ』を観ると、テレビを観ながら夏休みの宿題を一気に済ませていた思い出がよみがえります。
あと、これは調べてわかったのですが、長野は県民の交通安全の意識が高いそうなんです。
横断歩道で一時停止してくださる運転手さんが本当に多くて、「ありがとうございます!」って返事をするのが当たり前。長野の人って、やっぱり優しいんですね。
(2023年「信号機のない横断歩道での歩行者横断時における車の一時停止状況全国調査」(JAF調査)によると長野県は全国的に高水準の84.4%)
―― 交通安全の意識が高い地域なんですね。為永さんが小学生の頃に訪れた思い出の場所は?
為永:わが家の恒例行事は、善光寺の「二年参り」。大みそかの夜に善光寺にお参りをして、年が明けるのを待ってからもう一度お参りするんです。上京してからなかなか参加できなかったけど、2024年の大みそかはお仕事がおやすみだったので、久しぶりに参加できました。
学校では、遠足で旭山に登ったり、善光寺を訪れたり。あとはやっぱりウィンタースポーツ。小学1~3年生まではスケート、小学4~6年生はスキーの授業があるんです。だから長野県民は全員、スケートとスキーができるんじゃないかな。
街では1998年の長野オリンピック・パラリンピックを記念した五輪マークも見かけますし、2月7日はオリンピックメモリアルデーに設定されています。スケートリンクも、小学生は無料で利用できるところがあるので、スポーツに興味をもつ若者を育てようとする文化も根付いています。
―― ウインタースポーツが身近なんですね。
為永:でも、寒くても「全然平気!」って強がる部分もあって(笑)。実は、長野は日本でもトップクラスのご長寿県なんです。心の中で「長野県民は健康なんだ」と信じている部分があって、「元気!」「寒くない!」と自慢しがちかもしれませんね。
―― なんだかかわいらしいですね。
為永:あと、東京の人に驚かれるのは、成人の日の式典が各地でバラバラなこと。すごく寒い地域は、夏に開かれることもあるんですよ。友達に成人式の日程を聞くと「どこでいつ開催されるかわからない」と混乱することもあるくらいです(笑)。
地元が恋しくなったときにはツルヤのアイテムを

―― 上京すると、地元の味が恋しくなることもあると思います。そんなときはどうしていますか?
為永:ツルヤの「森のきのこ」と「野沢菜漬」が大好きなので、よく実家から送ってもらっています。「森のきのこ」は名前のとおり、きのこのパックです。いろんな種類が 詰め合わさっているんですよ。そのままでも食べられるけど、スープやパスタに入れたり、大根おろしと混ぜて食べるとおいしいです。
あとは、巨峰やシャインマスカットを送ってもらうこともあります。東京のスーパーでお買い物をすると、「あんなに新鮮な野菜や果物が安く買えるのは長野の魅力だったんだ」と感じます。
―― 「そういえば、長野では当たり前だったけど、東京のスーパーで見かけないな」と感じるような食材は?
為永:いなごのつくだ煮ですね。最初は抵抗がありましたが、スーパーで普通に売っているから見慣れていました。
先日、アンジュルムの上國料萌衣さんと松本わかなちゃんと一緒に長野に仕事へ行ったとき、そば屋さんでランチをしたんです。それにいなごのつくだ煮がついていて、みんなびっくりしていました。その様子に「みんないなごを食べる文化がないのか!」と私も驚きました(笑)。
―― たしかに、都内ではあまりなじみがない食材です。
為永:長野はジビエが有名なので、イノシシのお肉を食べたりもしました。流行前から長野に根付いていた食べ物なので、いま全国に広がっているのは不思議な気持ちです。シカ肉を炒めて食べるワークショップなどに幼い頃から参加していたので、ジビエはなじみが深いんですよ。とくに「ジビエ食堂 ino-shika (イノシカ)」で食べたジビエのローストビーフがおいしかったですね。
長野に帰ると寄りたいお店がたくさん

―― 為永さんが帰省したらいつも立ち寄るお店はどこですか?
為永:「アル・デンテ」ですね。たらこいかスパゲッティがすごくおいしくて。私がたらこパスタ好きになったのはこのお店のおかげなんです。お祝い事といえばここで、毎回通っていました。
あとは、「中華そば 大石家」も祖父が常連で、よく連れて行ってもらいました。そこのおばあちゃんにもお世話になっているんですよ。
長野名物のおやきだったら、信州善光寺仲見世通りにある「豆吉本舗信州つち茂店」のおやきのねぎ味噌チーズが欠かせないですね。隣の「すや亀」のみそソフトクリームもおいしいから、ぜひ両方チェックしてほしいです。
―― 思い出の味がたくさんあるんですね。仕事で改めて長野を訪れた際、印象に残ったものは?
為永:先日伺った「pique-nique garden&cafe」ですね。りんごの木に蛇口がついていて、そこからりんごジュースが出てくるんです。りんごジュースは長野の至るところにあるけど、ワクワクがプラスされるとよりおいしく感じました。
―― たしかに、長野を観光していると、デザイン豊かでクリエイティブな側面を感じます。
為永:地元の名産が野沢菜漬とかおやきとか、おいしいけれど渋いものが多くて。変わり種やスポットをつくって、若い世代にも興味を持ってもらおうと努力しているのかもしれないですね。そういう工夫がすてきだなと思います。
アンジュルム流!雪でも元気いっぱいの長野観光プラン

―― 去年アンジュルムを卒業された川村文乃さんとも、長野旅行をしたそうですね。長野県内にはたくさんの見どころがありますが、どんな旅程を組んだんですか?
為永:川村さんは高知県出身で雪と触れ合った経験が少ないから、「雪が見たい」とリクエストをいただいたんです。そこから「じゃあ、北の方のエリアかな」と行き先を絞りました。雪遊びといえば、スキー場。あと「かまくらに入ってみたい」と言っていたので、飯山市の「かまくらの里」に行きました。
―― かまくらって、長野県民にとって身近なんですか?
為永:はい。毎年つくるほどじゃないですけど、なじみはあります。私も「かまくらの里」に行ったのは初めてでしたけど、すごく楽しかったです。かまくらの中でお鍋が味わえるし、焼き芋や飯山産のお米を使ったおにぎり、野沢菜も出てくるんです。すごく幻想的な雰囲気で写真映えするし、かまくら神社でお参りもできてオススメです。
あと、川村さんは白鳥好きだと聞いたので、御宝田(ごほうでん)遊水池にも行きました。私たちが行ったときは思ったよりも暖かくて「これなら大丈夫だ!」と戸隠神社にも立ち寄ったんですが、帰りには雪が降ってきてはいつくばりながら歩くことに……(笑)。「長野は土地によって天気が違う」と改めて感じましたね。
―― 無事に帰れて良かったです。それもまた、いい思い出になりましたね。次にメンバーと観光したい場所は?
為永:松本エリアをいろいろ巡りたいです。「信州・松本そば祭り」では、いろんなそばを食べ比べできるので、また行きたいですね。あと、松本はカエルも有名なんですよ。「松本かえるまつり」に、カエル好きなメンバーの川名凜ちゃんを連れて行きたいな。カエル大明神も有名なので、一緒にお参りしたいです。
―― 元気でなんでも楽しんでくれそうなアンジュルムのメンバーとなら、長野でもいろんな遊び方ができそうですね。
為永:何をしたいか教えてくれたら、どれもかなえられそうですね。長野県って、北は雪遊び、南は豊かな緑が味わえる。エリアごとに楽しみ方がたくさんあります。
またホクト文化ホールで単独公演がしたい

―― 今後、長野で挑戦したいお仕事はなんですか?
為永:また長野市のホクト文化ホールで、アンジュルムの単独コンサートがしたいです。実はホクト文化ホールは、私が学生の頃に合唱コンクールなどで立っていたステージだったので、思い出の場所なんですよ。ファンの方たちと「また絶対に一緒に長野へ行こうね」と約束しているから、その期待に応えたいです。
あとは長野のイベントで、地元のみなさんと触れ合える機会をつくっていきたいです。ショッピングモール「TOiGO」の一角で開かれるイベントを見て育ったから、いつかそのステージにも挑戦したいですね。あとは夏祭り「長野びんずる」でも、ステージに立ちたいです。
―― 地元でかなえたい夢が、まだまだたくさんあるんですね。
為永:長野の魅力を、長野のことを知らないアンジュルムのファンのみなさんに伝えたいし、逆にアンジュルムのことを長野のみなさんに知っていただきたいです。そう思えるのは大好きなグルメと観光スポットがある長野のおかげなので、これからも魅力をどんどん紹介していきます。
お話を伺った人:為永幸音(ためなが しおん)
2004年2月9日生まれ。長野県出身。2020年にアンジュルムへ加入。趣味はパワースポット巡りとドラム。
構成:結井ゆき江 撮影:あべあさみ 取材・編集:小沢あや(ピース株式会社)
