駅前のふしぎな建物に一目惚れ。我慢が苦手なオタクが安住の地に「武蔵境」を選んだワケ【オタ女子街図鑑】

著: 劇団雌猫 

二次元、ジャニーズ、宝塚にアイドル。次元もジャンルも異なれど、オタク女子にとって趣味は人生の重要な一部。趣味を満喫するうえで、実は大切なのが「暮らす街」。オタク女子はどんなことを考え、どんなことを重視して街と家を選ぶのか?

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『浪費図鑑』『だから私はメイクする』が話題の4人組オタク女子ユニット「劇団雌猫」がお届けする連載「オタ女子街図鑑」。

今回ご紹介していただく街は「武蔵境」。中央線沿線には、吉祥寺、中野、阿佐ヶ谷など人気の街もたくさん。その中で、武蔵境を“推す”理由は?

本日の語り手 ダマスカスヤギさん

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家探しもオタ活も、ときめきを我慢しない

私が住んでいるのは、中央線の「武蔵境」という駅だ。

「武蔵」を冠する駅名は東京近郊に多くあるため、よく「どこ?」と聞き返されるのだが、武蔵境は中央線で三鷹の隣に位置する、西武多摩川線の始発でもある駅だ。

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私はオタクである。ただ、何のオタクであるかというとこれが結構難しい。好きな作家が紹介していた映画、好きな作品がモチーフになっている舞台、趣味の合う友人が最近ハマっているゲーム……。

好奇心の赴くままに手を伸ばしていたら毎日が24時間では到底足りない。けれど、好きなものは見たいし知りたい。ときめきは心のAEDだ。

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劇団☆新感線の「髑髏城の七人」にハマり、かなりの回数観劇

やりたいことを我慢するのは体に良くない、という葛藤の末にたどり着いた結論は「優先順位を決める」ということだった。並行して追えるものには限度があるため、ときめきの度合いで定期的に優先順位を見直していく。

至極当たり前のことだが、私にとってこれを納得したのがまさに「家選び」の過程だった。

「駅まで近い」を最優先にしたものの…

実家が都内にあったため、私は30近くまで実家暮らしを堪能していた。きょうだいが多く、ジャンルは違えど全員オタクなので、オタクとして生きるにもオタク情報を共有するのにも、実家暮らしは快適すぎた。

しかし、我が実家には致命的な難点があった。実家は駅からの距離が徒歩約20分超。つまり「駅から遠い」のだ。

最寄駅から新宿まで電車に乗る時間よりも、駅から家まで歩く時間のほうが長い。かなりの坂道なので自転車で通うのは難しい。バスは毎朝渋滞で、これも歩くより時間がかかる。

20代も残りわずかというころに家を出る決意をした私は「駅まで近い」ということを最優先に物件を探し、勤め先まで1本で行ける吉祥寺に6畳ワンルームの部屋を借りた。駅までの道は平らで自転車なら5分という距離だったので課題はクリアしていた。

しかし、ここで私は、致命的なことを忘れていたのである。そう、オタクは物が多いのだ。

しかも、私は我慢の苦手なオタクでもある。今までハマってきたジャンルも雑多で、そのほとんどを引きずりながら次のジャンルへと移行してきた。特に本の数が多く(実家にほぼ全ての本を置いてきたにも関わらず!)、果ては「こんなところにあともう一部屋あった」「よかったこれで収納ができる」なんてぬか喜びする夢を繰り返し見る始末。

そんなわけで、次の引越しで掲げた最優先事項は「広い」ということだった。吉祥寺暮らしにもいいところはあって、それは近くに美味しいご飯屋さんが多いということだった。近所に住んでいる友人も多いので中央線沿線を離れるつもりはなく、同価格帯で広い住まいを探すために、自ずと沿線を下っていく形で家探しを始めた。

そうして出会った新天地が、吉祥寺から2駅先にある「武蔵境」という街だった。

SFっぽいこの建物、なに?

吉祥寺からたった2駅離れただけだというのに、武蔵境では同じ価格帯(7万~8万円)で倍の広さの部屋(2K)を借りることができた。少々古いが広さ的には十分だし、駅までも徒歩5分の立地であるため、今の家はとても気に入っている。

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武蔵境に決めた最大の理由は、何よりも駅前にある図書館「武蔵野プレイス」に一目惚れしたからだった。SFっぽい外観がとても好みだし、毎日この建物を眺められるだけでもQOLが上がる。

しかもここは、地下2階から地上2階までが図書で埋め尽くされた至福の空間だ。さらにレンタルのワーキングスペースまで完備されている。

趣味の同人サークル活動などで突発的に調べ物をしなければならなくなったときに、この大量の蔵書がすぐ近くに控えていてくれるのは頼もしい。思う存分調べ物をした後は1階のラウンジでビールまで飲めるという至れり尽くせりぶりである。

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その横にはイトーヨーカドーが2棟建っている。片方は大型スーパーマーケットで片方は専門店街なのだが、この専門店街にはユニクロ、GU、無印、LOFT、ダイソーまでがそろっている。

オタク的には書店も必須だけれど、なんと駅前の文教堂にはアニメガ(アニメ・マンガに特化した店舗)が併設されている。ワンフロアなので品ぞろえは限られてはいるが、新刊は確実に手に入るし、アニメグッズだってちゃんとある。

あのアニメにも出てきた「すきっぷ通り」

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駅の反対側に行けば「すきっぷ通り」というかわいらしい名前の商店街がある。ここはアニメ「SHIROBAKO」にも登場したいわゆる「聖地」であり、実は内見に来た際、このすきっぷ通りがSHIROBAKO推しだったことも決め手の一つになった。

近所に大学が複数あるせいか、すきっぷ通りにはチェーン系の飲食店が豊富で、王将の向かいにぎょうざの満州があるため餃子には困らない。

私は読書をするときは家より喫茶店を好むタイプなのだけれど、武蔵境の駅前にはドトールが2店舗、スターバックスにエクセルシオール、上島珈琲に椿屋茶房までが揃っているのもポイントが高い。自転車に乗れば広々とした店内が魅力的な喫茶店「くすの樹」もある。

愛車は「弱虫ペダル」にどハマりしたのをきっかけに購入したクロスバイク。武蔵境には自転車屋「サイクルベースあさひ」もある。徒歩圏内でメンテナンスできるのはとても助かる。

中野も立川も“近所”です!

実家から最寄駅まで20分超、という立地に育ったおかげで、私は「20分圏内は近所」というどんぶり勘定で生きている。と考えると現在、上りは中野、下りは立川までが私的「近所」ということになる。

武蔵境にないものがあっても吉祥寺まで出れば大抵のものがそろうし、美味しいものが食べたければ西荻窪(昼から夜まで美味しい酒を飲む店に困らない)、映画を見るなら立川シネマシティがある。さらにオタクとしてうれしいのが中野の存在だ。

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まんだらけをはじめとするサブカル&オタクショップが立ち並ぶ中野ブロードウェイには中学のころから通っていた。いわば私にとってのオタクのお城みたいなものだ。ここが近所におさまるなんて今でも夢のようである。

駅から少し歩けば同人活動的に心強い「おたクラブ」だってある。「おたクラブ」は最近友人に教えてもらった「同人誌印刷所」なのだけれど、家にフォトショがなくてもここで作業をすることができるし、イベント前にオフィス街のキン◯ーズでハラハラしながら印刷をしなくても、オタクしかいないこの店で安心して冊子を印刷することができるのだ。

趣味に思い切り夢中になるための優しい街

長らくオタクとして生きていると、時には「もしかして私はこれに飽きたのか?」と思うこともある。すごく好きだったものに冷める瞬間というのは寂しい。もう自分には何かに夢中になることはできないんじゃないかと不安になったときもある。

けれど、ついに40代になった今考えると、それも杞憂のように感じる。もちろん、徹夜ができなくなるとかそういう類の衰えはあるけれど、新たな出会いへのときめきというのは、来るときには来てしまうものなのだ。

夢中になれるときは思い切り、それに夢中になりたい。そのために必要なのが、多分、生活を整えるということなんじゃないかと思う。

体力でなんとかなる時期は越した感があるので、通いたい現場があるときはとにかく健康に気を使うし、大事なイベント前にも、できればしっかりと睡眠をとりたい。

武蔵境はどちらかというと「生活のため」の街なので、夜は静かだし、0時を過ぎれば駅前にはほとんど人通りもない。イベントや飲み会帰りの高揚感を抱えながら駅までたどり着き、静かな街を歩きながら生活に軟着陸していく時間が、私はとても気に入っている。



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<劇団雌猫による連載、次回は3月後半に更新予定です!>




著者:劇団雌猫

劇団雌猫

アラサー女4人の同人サークル。「インターネットで言えない話」をテーマに、さまざまなジャンルのオタク女性の匿名エッセイを集めた同人誌「悪友」シリーズを刊行中。その他、イベントや執筆活動などもおこなっている。同人誌を元にした書籍『浪費図鑑』『シン・浪費図鑑』(小学館)、『だから私はメイクする』が発売中。

Twitter:@aku__you

ブログ:劇団雌猫



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