シングルマザーになったとき、職住近接を実現させてくれた港区

著: 勝間和代
自宅での様子

離婚してシングルマザーになった34歳の時、それまで住んでいた実家近くの荒川区から、港区に住み替えました。以来ずっと、港区のどこかに住み続けています。

なぜ港区への住み替えを決意したかというと、3人の娘たちの小学校や保育園と、六本木一丁目にある当時の職場との距離を近くしたかったからです。小学校や保育園へも職場へも、自転車で10〜15分くらいで行ける物件を選びました。

通勤時間を短くすることで、なるべく家にいる時間を長くしようという意図もありました。とにかく、シングルマザーになって以前より時間がなくなるのが目に見えていたので、それを職住近接で補おうとしたわけです。

家賃や生活費を抑えるために工夫したこと

ただ港区に住む上での問題は、何といっても

「家賃がお高いこと!!」

に尽きます。

そこでまず、収入の何パーセントまでなら家賃に充てられるかを計算し、さまざまな物件の1平米当たりの値段をはじき出しました。

親子4人が住める大きさで、私が払える家賃の物件を探すと、出てきたのがほとんど

「わけあり物件」

でした。しかしそんなわけあり物件も常にはあるわけではなく、条件に合う物件となるとさらに限られます。猫を2匹飼っているので、ペット可というのも必須条件でした。

飼い猫たち

そこで賃貸住宅の情報サイトに希望する条件を登録し、半年ぐらいかけて、条件が合った物件の情報が飛んでくるたびに細かくチェックしていました。

見つかった物件の多くは、古い上に駅からは遠く、3〜4年後に建て替えや改築が決まっていて、それまでの短い定期借家契約の期間内だけ、平米単価が市価の半額ぐらいで住めるというものでした。つまり同じ場所に長く住むことはできず、3〜4年ほどの契約期間が終わったら引越さなければなりません。

港区で新築のぴかぴかで、駅から近い物件を探すと、購入にしろ、賃貸にしろそれこそ目が飛び出るような値段です。でも、築年数や立地にこだわりすぎず引越しの手間を惜しまなければ、安いとは言えないものの、何とか手の届く物件はあったのです。

そうして、最初は麻布狸穴からさらに奥の古いマンションに約4年間、その後は南麻布の古い一軒家に引越して約4年間、という感じで過ごしました。私は引越し自体はさほど嫌いではなく、断捨離のいいチャンスだと思って毎回活用しています。物を減らして、引越し自体の費用も抑えるようにしていました。

引越しのような変化を嫌がる人は多いかもしれませんが、変化はチャンスでもあります。引越しの回数を増やしても構わないと思えるなら、もっともっと住むところに対する選択肢は広がると思います。

駅から遠いことは、自転車さえあれば特に大きな問題になりません。子どもたちもよく自転車に乗っていたので、足腰丈夫に育ちました。当時は坂の上り下りが大変でしたが、今は電動自転車が普及していますので、もっと楽だと思います。

そんなこんなで、港区の中でも何とか手の届く家賃の家に住むことができました。それでも周りは高級住宅街ですから、問題は何かというと、スーパーマーケットの物価が高いことです。よく子どもを連れて自転車で隣の品川区まで買い出しに行きましたし、生協にもずいぶんお世話になりました。

また、南麻布で借りていた一軒家にはガレージがついていたのですが、私は車を持っていないので「このガレージを他の人に貸し出す代わりに、家賃を2万円下げてください」と交渉し、下げてもらったのをよく覚えています。

職住近接のメリット

私は中学から大学まで慶應に通っていたため、学生時代のほとんどを港区で過ごしました。職場も、外資系が多かったので港区のビルを転々としていました。港区に引越す前から生活時間のほとんどを港区で過ごしていたので、思い切って住居も移してしまったという感じです。

私にとって、職住近接はとにかく何が楽だったかというと、コミュニティーが全て港区で完結することです。家や職場から子どもの学校にもすぐ行けるので、さまざまな行事に出やすくなりました。運良くママ友にも恵まれ、私の都合がつかないときにお迎えを代わってもらったり、休みの日に子どもたちを映画や旅行に連れて行ってもらったりしたこともありました。

南麻布の一軒家は、4年ほど住んだところでとうとう取り壊されることになり、ふたたび引越しが必要になりました。子どもたちの友達もいるので、これまで住んでいた麻布近辺で探そうと何軒か不動産屋さんを回りましたが、

「さすがに、今の値段付近で麻布の物件はないです」

と言われて、港区の中でももう少し都心から遠ざかる立地の、築20年の賃貸マンションに引越しました。子どもたちはもう中学、高校、大学に通っていましたから、電車通学が便利なように、駅から近い物件にしました。

引越し当初は、長年麻布に住みすぎたせいで、自転車でも電車でも都心まで以前より10分ほど長くかかることを忘れ、遅刻ばかりしていたのをよく覚えています。

これが最後の引越しで、今もそこに10年以上住んでおり、もう築30年を超えました。最近の悩み事は、水道管が詰まりがちになって、1年に1回ぐらい、漏水騒ぎが起きること。それでも新築の物件に比べると同じ広さで3分の2から半額ぐらいの家賃なので、住み続けています。

家選びの優先順位は、人生のステージごとに変わる

人生のステージごとに、家に求める条件の優先順位は変わります。

以前の私は、家選びの際も、まず子どもたちの都合を優先していました。しかし子どもたちが就職や進学で独立した今、私は1人暮らしです。最近は、友人たちを家に招いて過ごす時間を重視するようになりました。

そこで熱心に行っているのが、

「自宅の遊び場化」

です。友人たちには

「大人の児童館」

と言われるのですが、

・卓球台
・麻雀台
・カラオケ
・マッサージチェア

などをリビングに用意して、いつでも友人や家族たちが集えるようにしています。もうすぐ新駅もそばにできますので、ますますみんなが集まりやすくなると思います。

家族と
友人たちと麻雀
ホームパーティー

また、友人たちに料理を振る舞うことも多いので、広い台所も重要です。今の家の台所がすごく気に入っています。

お気に入りの台所

そこそこ駅から近くてみんなで集まれるスペースがあれば、建物が古く多少水道の管理が大変でもいい、というのが、最近の私の優先順位です。

今の家は10年以上前に選びましたが、今私が優先したいことをかなえてくれているので、引越さずにいます。今後また人生のステージが進んで優先順位が変わったとしても、引越しの決断がしやすいのが、賃貸の利点だと思います。

ちなみに、港区に住み続けて、おもしろいことに気づきました。昔は物価が高かった近所のスーパーマーケットも、どんどんイオングループに買収されたり経営移管されたりして、今ではすっかり普通の値段のスーパーマーケットになっているのです。なので最近は、昔ほどわざわざ品川区に行ったり、宅配を頼んだりせずに済むようになりました。

また、私のプライベートのパートナーであるひろこさんが京都に住んでいるので、2018年の末から、1カ月の3分の1くらいは京都で過ごしています。麻布に住んでいたころは自転車で山坂を乗り越えないと新幹線に乗れませんでしたが、今は平地を歩くだけで新幹線に乗れます。以前は都心に近い麻布に戻りたいと思っていましたが、今はこの立地が気に入っているので、本当に人生の優先順位が変わったのだなと思います。


住み慣れた土地から離れるには、思い切りが必要です。しかしこれまでとは違う地域コミュニティーに属してみると、そこでまた新しいネットワークも生まれます。アクセスが便利なところなら、人が集まりやすくなり、友人の輪も広がりやすくなると思います。

多少背伸びが必要と思うかもしれませんが、ぜひとも

「自分には、高い地域は無理」

と決めつけずに、いろいろ情報収集をしてみて、選択肢を増やしてください。意外と手を伸ばせば届くところにあるかもしれません。

賃貸|マンション(新築マンション中古マンション)|新築一戸建て|中古一戸建て|土地

著者:勝間和代 (id:kazuyomugi)

勝間和代

1968年東京都生まれ、経済評論家。アーサー・アンダーセン、マッキンゼー、JPモルガンを経て独立し、現在は株式会社監査と分析取締役、国土交通省社会資本整備 審議会委員、中央大学ビジネススクール客員教授として活躍中。

少子化問題、若者の雇用問題、ワークライフバランス、ITを活用した個人の生産性向上など、幅広い分野で発言をしており、ネットリテラシーの高い若年層を中心に高い支持を受けている。著作の累計発行部数は500万部を超える。

ブログ:勝間和代が徹底的にマニアックな話をアップするブログ
Twitter:@kazuyo_k

※記事公開時、家族の人数の記述に誤りがありました。6月13日(木)15:30ごろ修正しました。お詫びして訂正いたします。ご指摘ありがとうございました。

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編集:はてな編集部