私にとっての熊本は「なんだか居心地がいい」街

著: 田中森士 

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やっぱり熊本が好きだ

 生まれも育ちも熊本市。大学や就職で何度か外に出たが、今は同市で暮らしている。なぜ熊本市で暮らしているのか。この原稿を書くにあたって、自宅からほど近いスーパー銭湯の「源泉風呂」に浸かりながら、今一度よく考えてみた。
 
・両親が暮らしている
・肉や野菜など物価が比較的安い
・カフェが空いている
・カフェの隣の席との間隔が広い
・自然が近い
・スーパー銭湯が多い
・人が明るい
 
 少し熱めの源泉に浸かっていた約10分間でざっと思いついたのは、以上の理由だ。そしてこれらを一言でくくると、「なんだか居心地がいいから」ということになる。

 人や経済など、あらゆるものが集中する東京。私は仕事柄出張が異常なほど多く、東京にもよく滞在しているが、そこでの生活も刺激的で悪くない。行動を起こせば、どんどん人と繋がっていく。これほどチャンスに満ちた場所もないだろう。

 しかし、熊本で生まれ育った私にとっては、東京で暮らすことイコール、何か大切なものとトレードオフな気がしているのもまた事実だ。 10日も続けて滞在すると、のんびりした熊本の空気が恋しくなる。羽田から熊本に戻るJAL便に搭乗し、シートベルトを「カチッ」と締めた瞬間、安心感に包まれる。ああ、やっぱり熊本が好きなんだな。

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自然が身近にある暮らし

 関西から熊本市にUターンしたのが、今から5年前。かつて暮らしていたころは気づかなかったが、自然の多さに驚いた。自然が身近にある暮らしに、感動すら覚えた。

 熊本市内に横たわる江津湖(えづこ)は、市民の憩いの場所だ。国道57号線(通称・東バイパス)を境に上江津湖と下江津湖に分かれ、それぞれ駐車場付きの公園を抱える。貸しボート店やカフェのほか、水遊びができるエリアもあり、天気の良い週末は、まるでテーマパークのように家族連れでにぎわう。

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 江津湖には私も時折足を運ぶ。仕事で大きな決断が必要なとき、ベンチに座って夕日が映る湖面を見つめると、驚くほどアイデアが湧いてくる。なんだか体が重いとき、ゆっくりとランニングすると、体がほぐれてくる。

 ちなみに下江津湖の一部は熊本市動植物園と接しており、ゾウやキリンの姿を見ることができる。江津湖にはこの「動物スポット」も含む散歩コースが整備されており、多くの市民が利用している。

 修学旅行の訪問先として根強い人気を誇る、水前寺成趣園 (通称:水前寺公園)。熊本市民はあまり行かないようだが、私は何カ月かに一回、足を運ぶ。美しい日本庭園をゆっくりと歩くと、心が落ち着く。桜のシーズンは花見もできる。

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 参道沿いには熱々の「いきなり団子*1」を売る店もあり、これが地味に美味しい。

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 園に入るには大人400円、子どもは200円が必要だが、「水前寺成趣園友の会」に入会して年会費1000円を支払えば、有効期限まで何度でも入園できる。会員証を財布に忍ばせておくのが、個人的には格好良い。

 熊本大学の裏手にある立田山(たつだやま)は、気軽に散策を楽しめる。他界した祖父母の自宅が近くにあったため、幼いころからよく両親に連れられて登っていた。

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 「少し車を走らせれば」というレベルでもなく、自然が暮らしのなかに「ごく自然に」ある。これは、「なんだか居心地がいい」を構成する重要な要素なのだ。

人が明るくフレンドリー、そして食が充実

 これは県民性かもしれない。県外から遊びに来た友人・知人が「熊本は人が明るくフレンドリー」と口をそろえる。

 まず小学生からして、明るくてフレンドリーだ。私が住む熊本市南区の住宅街。通学中の小学生に「おはようございます!」とよく挨拶される。ストリートカルチャーが根付く熊本。スケーターやDJも元気で、友達思いの良い人が多い。

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 夜の街でもそうだ。例えば居酒屋の接客。学生アルバイトも、店長も、オーナーも、皆フレンドリーというか笑顔が良い。こちらまで気分が明るくなる。格式高そうな小料理店でも、一人でカウンターに座っていると、店主が気さくに話しかけてくれる。なんなら客同士が仲良くなることだってある。

 お酒が好きな人にとって、熊本は「天国」かもしれない。地方都市のなかでは、歓楽街の規模が大きいように思う。食材が良いこともあるのだろうが、料理が美味い。県南部には「球磨(くま)焼酎」と呼ばれる米焼酎の一大産地があり、熊本市中心市街地でもさまざまな種類を楽しむことができる。

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 最近は、日本酒業界も元気だ。花の香酒造の「花の香」という銘柄の日本酒は、すっきりとした上品な味わいがクセになる。なかには最近は人気が出すぎて手に入りにくくなったものもあるのが悲しいが、個人的に最も好きな日本酒の一つだ。

 「人の明るさ」と「夜の街の大きさ」は、暮らす上でのポジティブな要素であろう。もし、熊本に来る機会があれば、ぜひ「Sunny Blue」というお店に足を運んでいただきたい。フレッシュジュースやカクテルは、ここの店のものが一番好きだ。笑顔が素敵なマスターとの会話は、仕事の疲れを癒やしてくれる。

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 オススメのバーや居酒屋はまだまだある。もし、熊本市で新たに暮らすことになり、夜飲みに行ける店をほかにも知りたいという方がいらっしゃれば、お気軽にお尋ねいただければと思う。

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熊本で暮らすなら「車」は必須

 熊本で暮らす上での必須アイテム。それは車だ。断言しておこう。車がなければ熊本では暮らせない。

 市内の公共交通機関は、路線バス、市電、JR、熊本電鉄(私鉄)が挙げられる。居住エリアにもよるが、路線バスの存在感は大きい。熊本市中心部の交通センターから放射状に延びる路線は、市内全域をカバー。大抵の場所であれば、交通センターからアクセスすることができる。ただ、路線によっては運行本数が少なかったり、自宅からだと交通センターで乗り換えが必要となるケースも多かったりで、不便に感じることもある。

 市電は一律料金でコストパフォーマンスに優れるが、乗り入れエリアが限定的だ。自宅や職場が沿線でなければ、利用機会は少ないかもしれない。JRは市中心部まで直接乗り入れてはおらず、市電やバスと組み合わせることが必要となる。

 こうした理由から、熊本では車が必須となる。最近、東京から熊本市にUターンしてきた同級生も、車を購入した。先日久しぶりに再会したが、「車のことまで正直頭が回っていなかったよ。引越し費用も相当かかったし、痛い出費だった」と話していた。

 一方で、車があればスーパー銭湯や立田山などの「癒やしの場所」に簡単にアクセスすることができる、という利点もある。

暮らす土地は「相性」が大切

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 自然、人、食。熊本の良いところはたくさんあるが、一方で大都市にないものも多いし、車も必須だ。それでも、私は今の生活が気に入っている。言語化は難しいが、「なんだか居心地がいい」のだ。

 つまるところ、その土地で暮らすということは、その土地と自分や家族との「相性」がすべてではないかと思う。多少の不便があっても、フィーリングが合えば、それがその土地に住む理由となる気がする。

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 熊本の「なんだか居心地がいい」感じが、すべての人に当てはまるとは思わない。ただ、多くの人に熊本で暮らしてもらい、気に入ってもらえたら、うれしい。


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著者:田中森士

田中森士

株式会社クマベイス代表取締役CEO/ライター。熊本市出身、熊本市在住。熊本県立水俣高校で常勤講師として勤務した後、産経新聞社に入社。神戸総局、松山支局、大阪本社社会部を経て退職し、コンテンツマーケティングのエージェンシー「クマベイス」を創業。熊本を拠点に、国内外を飛び回る生活を送る。

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*1:輪切りにしたサツマイモと小豆あんの入った団子というか饅頭。熊本県民のソウルフード