夫婦円満の秘訣は「全ステ」!? 漫画家・ひうらさとるさん【楽しい大人の暮らし方】

インタビュー: 劇団雌猫 構成:むらたえりか 写真:飯本貴子

f:id:haruna26:20190127165230j:plain

好きなものがあると、毎日はもっと楽しい。

劇団雌猫がオタク趣味に生きる人に好きなこと、好きな街や暮らしについて聞く新インタビュー企画「楽しい大人の暮らし方」。

第1回のゲストは、『ホタルノヒカリ』の作者であり、KAT-TUN 亀梨和也くんのファンとしても有名な漫画家・ひうらさとるさん。ジャニオタになった理由は? オタ活、家庭、仕事を両立させる秘訣は? 明日をもっと楽しくするヒント、たっぷり聞いてきました!

亀梨和也のイケメンしぐさでKAT-TUN沼に

――ひうらさんは、ドラマ化もされた大ヒット漫画『ホタルノヒカリ』の作者としてはもちろん、KAT-TUNのファンとしても有名ですよね。

ひうらさとる(以下、ひうら) このインタビューのお話をいただいたときは、ジャニオタの話ってSUUMOに関係あるのかな? と思いました(笑)

f:id:haruna26:20190127231457j:plain

――(笑)今日は思う存分KAT-TUNのお話をしていただければ! ひうらさんは亀梨和也くんのファンなんですよね。

ひうら 40歳くらいまではジャニーズには全然興味がなかったんです。例えばドラマ『木更津キャッツアイ』が好きだとしたら岡田准一くんや櫻井翔くんの名前と顔は知っていましたが、2人自身というより演じていた「ぶっさん」と「バンビ」が好き……な感じでした。

――そうなんですね。それがどうしてジャニオタに?

ひうら ジャニオタで芸人の松本美香さんとインターネットを通して知り合ったのかきっかけでした。松本さんに「ジャニーズで誰が好きですか?」と聞かれたとき、ちょうどドラマ『野ブタ。をプロデュース』を見ていたんですよね。

「亀梨くんなら顔が分かるし、わりと好きかも」と伝えたら、大阪城ホールのコンサートに連れて行ってくれることになって。2006年ですね。

――デビュー直前! 友人をジャニーズの沼に落とすためには絶対に連れて行きたい現場ですね。

ひうら 松本さんもまさにそう思っていたらしく、ジャニーズ初体験のそのコンサートがすっごく良い席だったんです。上田竜也くんや赤西仁くんが目の前に現れて、ぽーっとしました。

私はとても楽しんでいたんですが、松本さんは隣で、おみやげ……つまりファンサを体験して帰ってほしいとやきもきしていたそうなんです。コンサートの終盤、亀梨くんが『青春アミーゴ』を歌って席の近くの外周を回ってきたときに、「亀梨っ!!」とドスの利いた低音で突然叫び……。

――力技で振り向かせたんだ(笑) 黄色い声のなかで目立ったでしょうね!

ひうら 「え?」って振り向いた亀梨くんが、「チャッ……!」(額から客席に向けて二本指を振るイケメンしぐさ)をしてくれて……! 私はもちろん周りのファンも、ふわ~っと倒れてしまいそうなほどかっこよかったんです。

――鮮烈な初ファンサ! それで完全に亀梨くんに落ちたんですね。

ひうら それからは、漫画家の吉住渉さんや俳優の井出卓也くん、強烈なジャニオタの皆さんと仲良くなって、集まってはジャニーズの話をしています。ジャニーズのファンは本当に年齢も性別も超えますね!

育児でオタ活から手を引いた時期も

――2011年に都内から兵庫県の城崎温泉に引越されています。引越しでオタ活に影響はありましたか。

ひうら 娘が0~2歳のころはちょっとオタ活から手を引いていた時期で、それが引越し時期と重なっていたんです(2009年に出産)。だから、「東京に行けなくてつらい!」ということはなかったかな。育児中って、妄想力が弱るというか……私はオタ活に没頭できるモードではなかったので。

――とはいえ、そのままフェードアウトしたわけでなく、ジャニオタに復帰したんですね。

ひうら オタ活を再開したのは子どもが少し大きくなった2014年くらいですね。テレビのお仕事で3カ月に1回アジアの国に行くようになって、遠出や移動をするのがそんなに苦にならないことが分かり、「これなら行けるな」と感じました。KAT-TUNが4人(亀梨和也、田口淳之介、上田竜也、中丸雄一)の時期かな。

――KAT-TUNの人数で時期を表現するスタイル(笑)

ひうら オタクあるあるですね(笑) 4人の時期に復帰したんですが、でもそのあとすぐに3人に、そして「充電期間」になってしまって……。

(※充電期間:3人体制となった直後、2016年5月から2018年4月までグループとしての活動を休止していた)

――充電期間中は、どうしていたんですか。

ひうら その間にもメンバーのソロツアーや舞台があったので。亀のソロツアーがあると聞いたときは「全ステ(全公演に参加すること)します!」という勢いで、目一杯楽しみました。

――すごく小さな会場でも公演したツアーですよね? キャパ1500人くらいの「江戸川区総合文化センター」とか。

ひうら そう、しかもそこが千秋楽だったんですよね。ソロツアーを回ったことで、ジャニオタとしての感覚を取り戻しました。


家庭・夫婦円満の秘訣は「全ステ」!

――この記事を読んでくれている読者にもオタク女性が多いと思います。家庭とオタクと仕事、3つを両立しているひうらさんが、バランスを取れている秘訣は何ですか。

ひうら 私の場合、遠征や全ステをすることが、むしろ夫婦円満につながってる気はしますね。

f:id:haruna26:20190127231520j:plain

――全ステで夫婦円満?

ひうら 家を空けるとどうしても夫に負担をかけてしまうじゃないですか。その分「いつもありがとう!」と感謝の気持ちが湧くんですよ。

去年の亀のコンサートのときも、東京公演の日が結婚記念日だということをすっかり忘れてチケットを取ってしまいまして。夫は記念日を大切にするタイプなのでヤバい! と焦ったんですが、1カ月前に「ごめんなさい」と打ち明けたんです。そうしたら「まあ、行ったらいいじゃん」って言ってくれて。

で、そのコンサートがめちゃくちゃよくて! ジャニオタ友達みんなで笑って盛り上がりながら「私の夫は最高だ!」「こんな素敵なコンサートに行かせてくれるなんて!」と、夫に全力で感謝しました。

――自担が深める夫婦仲……!

ひうら 私を見て育った娘もしっかり上田担なので、一人で遠征するだけでなく、家族旅行にコンサートを組み込むときもありますよ。さすがに夫は来ませんが、「この時間は私と娘はドームです!」と別行動して……。

――オタ活を全力で楽しみつつ、家族への感謝の気持ちも忘れない。大事なことですね。

東京にいなくても触れられる“現場”感

――いまお住まいの、城崎温泉の推しポイントも教えてください。

f:id:haruna26:20090124160206j:plain
城崎温泉/豊岡市フォトライブラリーより)

ひうら やっぱり「温泉があること」が圧倒的にいいです!町のなかに7つくらい公衆温泉があるんですよ。歩いて1分足らずのところにそのひとつがあって、町民は1回100円で入れます。

――ええ、安っ!

ひうら Suicaみたいに「ゆめぱ」というデジタル外湯券があって、ピッとかざすと温泉に入れるんですよ~。

――家から1分で温泉、幸せすぎますね……。

ひうら 本当に! 寒い日に家の湯舟を洗ってお湯入れて、って考えたら、もう外で温泉に入って来ちゃったほうがいいなって。ほぼ毎日入っています。

f:id:haruna26:20080515102659j:plain
こんな素敵な温泉に毎日…!(写真は「御所の湯」/豊岡市フォトライブラリーより)

――う、羨ましい!

ひうら 観光地なのでお店もいっぱいあって、美味しいお寿司屋さんやビストロ、居酒屋もあります。いま、うちの夫が携わっている「城崎国際アートセンター」(KIAC)という施設は、舞台芸術のアーティスト・イン・レジデンス。ダンスや演劇の制作にアーティストがやってくる場所なんです。劇団ハイバイや演出家のタニノクロウさんなども作品づくりに訪れてます。

――わざわざ東京や大阪に行かなくても、ご近所で楽しめる!

ひうら 恵まれてますよねぇ。KIACでの滞在制作の条件に、参加無料の地域交流プログラムを実施することが含まれていて、市民や観光客向けのワークショップや、ゲネプロ的な公開リハーサルが開催されています。

城崎ではないですが、市内には、ミニシアター系の映画もかかる映画館が復活したので、東京では満員で見られなかったらしい『カメラを止めるな!』も悠々と見られました(笑)

――最高だ~~!その分、遠征があれば「めちゃくちゃ遊ぶ!」ってメリハリをつけられそうですね。

ひうら だから東京に来るときは、いつもギチギチにスケジュールを組んでしまいます(笑)

城崎温泉に住み、変わった仕事の取り組み方

――東京にいたころと仕事のやり方は変わりましたか?

ひうら 私はもともと漫画家にしては徹夜しないほうだったんですが、娘が生まれたこともあって朝方生活になりました。だいたい早朝3~4時に起きるんですけど。

――……それ、下手したら私たちが寝る時間です。

ひうら 夜も21時には寝てしまうので、6~7時間は寝ています。昔は深夜1時まで仕事をすることもありましたが、いまは娘が18時に帰宅するので仕事もそこで終わり。1日に「終わり」ができたことが変化かな。

これまでは「今日はノルマ何ページ」と決めていたので、それが終わらないと敗北感いっぱいでした。いまはページ数関係なく「18時で終わり」なので、気持ちも楽です。

f:id:haruna26:20190127165517j:plain

――確かに「家帰ってからちょっとやろう」って持って帰ってくる仕事ってたいていきちんと終えられないですよね……。時間があればできるわけじゃない!

ひうら 18時から21時は自由な時間になったので、娘と過ごすほかにも東京から来た友達と遊んだり飲んだりして楽しいです。みんな、何かと理由をつけて来てくれるんですよ。城崎温泉は良いところだから、好きになっちゃうみたい。

――素敵な生活! 温泉に住んで仲間を巻き込むなんて、理想だなあ。

ひうら 終わりを設けてメリハリがつくようになったことで「なんかずっと仕事している」みたいなストレスがなくなりました。コンスタントに仕事をするようになったので、疲れないし、年間で考えると以前と同じかちょっと多いくらいの量の仕事ができていますよ。

迷えるオタ女子が人生を楽しむには「マンションを買え」?

――アラサー世代から見ると、ひうらさんは人生を楽しみ尽くしている素敵な年上のお姉さんです。私たち迷える年下女性に、楽しんで生きていくコツを教えてもらえないでしょうか。

ひうら 私が30代のころと比べたら、みんなしっかりしていると思うけど……(笑) でも、「私は仕事に生きる!」とか「私は恋愛に生きる!」とか1つのことに没頭しないで、もっと気軽にポッピングしていく感じでもいいと思う。

――1つの分野に決めすぎない、集中しすぎない。

ひうら そういう軽やかな生き方ができる年齢だと思うんですよね。SUUMO的なことを言うと、マンションを買ったのはよかったですね。

――マンション!? 予想外の単語が出てきました。

ひうら 私、『ホタルノヒカリ』を描く前、32歳くらいで都内のマンションを買ったんですよ。フラッとお昼休みにモデルルームを見に行って「1DKと1K、2つ買うからまけてくれませんかね」って言って。

――そんな気軽に、野菜買いに来た人みたいな……。

ひうら 最初に買った2部屋のローンは、40歳手前くらいで完済したのですが、そのうちの一部屋が元値より高い値段で買い手がついたんですよ。東京って、地価が上がってるんですよね。

SUUMO編集 そうですね、ここ数年上昇傾向が続いてますね。

ひうら 無事売却の契約をした帰りに「私やったな」って。「30代、大変だったし行き詰まっていたけど、あのころに頑張ったおかげだな」と。マンダリンオリエンタル東京のバーに行ってシャンパンを飲んで一人で打ち上げしました。

f:id:haruna26:20190127231641j:plain

――頑張った30代を思い出して。

ひうら 無責任に「みんな、家を買おう!」というわけでは全然ないんですけど(笑)、自分としては、何か1つそういう“頑張った成果”があってよかったなと思いました。

30代って、「年相応にちゃんとしなきゃ」とか「可愛い服は控えなきゃ」とか「子どもを産むには何歳までに結婚しなきゃ」、そういうのがたくさんあるじゃないですか。私は41歳で結婚したんですけど、40歳になった瞬間からすごく楽しくて。

アラサーのころが一番めんどくさかったな~と思います。40代は楽しいよ! 待ってるね! って、年下のみんなには言いたいかな。

――まだまだこの先楽しいことが待っていそうな気がしてきました。ありがとうございました!





賃貸|マンション(新築マンション中古マンション)|新築一戸建て|中古一戸建て|土地


お話を伺った人:ひうら さとる

ひうら さとる

漫画家。大阪府出身、兵庫県在住。1984年なかよしにてデビュー。代表作に「月下美人」「プレイガールK」「ホタルノヒカリ」「ヒゲの妊婦(43)」など。「ホタルノヒカリSP」全6巻発売中。現在、講談社kissにて「ホタルノヒカリBABY」、集英社ザ マーガレットにて「もいちどあなたに」連載中。


聞き手:劇団雌猫

劇団雌猫

アラサー女4人の同人サークル。「インターネットで言えない話」をテーマに、さまざまなジャンルのオタク女性の匿名エッセイを集めた同人誌「悪友」シリーズを刊行中。その他、イベントや執筆活動などもおこなっている。同人誌を元にした書籍『浪費図鑑』『シン・浪費図鑑』(小学館)、『だから私はメイクする』が発売中。

Twitter:@aku__you

ブログ:劇団雌猫


---------

劇団雌猫の新刊は『悪友 vol.4 卒業』発売中。



書籍『シン・浪費図鑑』『まんが 浪費図鑑』『だから私はメイクする』も発売中!

f:id:haruna26:20181025124642j:plain


<劇団雌猫による連載、次回は2月後半に更新予定です!>




■過去の記事

suumo.jp


構成:むらたえりか

写真:飯本貴子