新しい人を受け入れる土壌ができている街――私たちが「赤羽岩淵」に住む理由

取材、執筆: 小野 洋平(やじろべえ) 

あなたがその街に住んでる理由は何ですか? 商店街の雰囲気がいい。すてきなカフェがある。交通アクセスがいい……。きっと、住む人それぞれに“街の好きなところ”があるはず。

今回紹介するのは東京都北区の赤羽岩淵。名前のとおり、隣接する赤羽と岩淵町エリアにある赤羽岩淵駅を拠点に広がる街です。

赤羽と聞けば街のイメージが湧く方も多いかもしれないですが、赤羽岩淵となるとピンとこない方もいるのではないでしょうか。そこで今回は、街の魅力を探るべく、赤羽岩淵を拠点にまちづくりの会社を運営する米谷太揮さんと、赤羽岩淵在住歴8年で「肉」のスペシャリストとして活動するミート高沢さんに、「赤羽岩淵」の魅力や住む理由を聞いてみました。

赤羽岩淵……東京都北区北部に位置する地域。最寄駅は東京メトロ・埼玉高速鉄道の赤羽岩淵駅。かつて、日光御成街道の第一の宿場町として栄えた岩淵町全域を「赤羽」とする予定だったが、地域の方々の住民運動もあり、現在では岩淵町一丁目のみ「岩淵町」の町名が残されている。

◆◆◆

f:id:SUUMO:20190306155458j:plain

▲ミート高沢さん(写真左)、米谷太揮さん(写真右)


米谷太揮さん(以下、米谷さん)「正直、引越してくるまで岩淵の存在を知りませんでした(笑)。赤羽に対しても、メディアでよく取り上げられているような“昼から飲めるお店が多い”とか “せんべろの街”という印象が強く、住環境についてはよく分からなかったのですが、実際に1年半住んでみたらめちゃくちゃ暮らしやすい場所だったんです」

ミート高沢さん(以下、高沢さん)「岩淵は閑静な街なんですけど、10分ほど歩けば繁華街の赤羽。今日は、街を歩きながら赤羽の魅力や岩淵の住み心地をお伝えします」

理由その1. 赤羽駅前に広がる充実のショッピング環境

米谷さん「正直、僕らが住む岩淵にはあまりお店がないので、界隈の住民は赤羽で買い物をしています。赤羽って観光客向けの美味しいお店紹介はあっても、住民目線の便利なお店紹介ってあまりされていないと思うんですよ」

高沢さん「赤羽駅には、駅ナカの『エキュート赤羽』をはじめ、駅前に『アピレ』『ビビオ』『イトーヨーカドー』、さらには『西友』『ダイエー』『マツモトキヨシ』『ダイソー』など、生活に欠かせないお店が徒歩圏内に広がっています。特に、駅前のマツモトキヨシは24時間営業ですし、西友は隣に本社があるので、セルフレジも充実しているんですよ」

f:id:SUUMO:20190306155527j:plain

▲赤羽駅直結の商業施設「ビーンズ赤羽」


米谷さん「まず、赤羽に飲みに来る方は『ビーンズ赤羽』の存在を知らないでしょうね。スーパーや本屋、スポーツ用品店、ペットショップなど地域住民に寄り添ったお店が集まっているんです。個人的にはホームセンターの『ビバホーム』があるのが助かりますね。僕の家はDIY可能な賃貸アパートなので、欲しいアイテムがすぐにそろえられるビバホームにはしょっちゅう来ています」

高沢さん:「スーパー『富士ガーデン』内にある『角上魚類』は重宝しています。僕が赤羽から離れられない理由の1つですね。魚の鮮度・品質は抜群ですし、ネタは日替わりなのに豊富。ツブ貝なんてめちゃくちゃ美味しいです。しかも、価格が安い上に購入した魚をその場で捌いてくれるんですよ? もう、他の魚屋さんには行けなくなりますよ。そのため午前中から混雑必至です」

f:id:SUUMO:20190306155545j:plain

▲赤羽スズラン通り商店街(LaLaガーデン)の八百屋「激安本舗」


f:id:SUUMO:20190306155601j:plain

▲全国各地の野菜が路面に並ぶ


米谷さん:「住民は価格、品質、食材によってスーパーと個人商店を使い分けています。それだけ駅前が充実しているって証拠ですよね。多分、高沢さんのような料理好きの方にはたまらないと思いますよ。お店で飲むだけじゃなく、宅飲みでもせんべろできるのが赤羽の特徴です」

高沢さん:「この近辺の個人商店は本当に安いです。『激安本舗』なんて、国産レモンが1個20円ですよ? 岩淵に住みながらにして、赤羽の買い物環境を享受できるのは大きな魅力の一つですね」

  • ビーンズ赤羽
    • 住所:東京都北区赤羽1丁目1-1(赤羽駅直結)
    • 電話番号:03-3903-6761
    • 営業時間:ショッピング・サービス 10:00~21:00/レストラン 11:00~23:00

  • 激安本舗
    • 住所:東京都北区赤羽2丁目9-1 渡辺ビル1F
    • 電話番号:03-3902-9339
    • 営業時間:9:30~20:30

 

理由その2.グルメタウン赤羽で飲み道楽

f:id:SUUMO:20190306155625j:plain

▲北区立赤羽小学校の正門前にある「やきとん大王 赤羽店」


米谷さん「赤羽といえば、やはり『一番街』ですよね。平日休日に関係なく、いつもにぎわっています。こちらの『やきとん大王』は、なんと小学校の前にある居酒屋なんです。『いいの?』って思いますよね? でも、この背徳感をつまみに酒を飲むのが良いんです(笑)」
 
高沢さん『やきとん大王』は繁盛店なので、夜になると2階を開けてくれたり、外にテーブルを出して飲むことができます。大根を茶色くなるまで煮込んだ『大王煮込み』は絶品ですよ」

f:id:SUUMO:20190306155640j:plain

▲オリジナルジョッキに注がれた生ビール(480円)


f:id:SUUMO:20190306155654j:plain

▲固形燃料と鉄鍋で最後まで熱々でいただける「大王煮込み」(420円)


米谷さん「昼飲みの聖地と呼ばれる一番街ですけど、通りの中には薬局や呉服屋などの商店も入っています。実は一番街はもともと普通の商店街だったんです。それが、近隣で働く警察官や消防士の『夜勤明けにお酒を飲みたい』というニーズに応え、昼飲みの文化が広まっていったそうです」

高沢さん「一番街に商店が点在しているのは商店街の名残ということですね。なかでも、僕のオススメは和菓子店の『伊勢屋』。団子の大きさにも驚きですが、モッチモチの柔らかさとしっかりとしたもち米の味が評判です。駅前なので急な手土産にもピッタリですよね。15時から販売されるアンコはすぐに売り切れてしまうので早めに行った方がいいですよ」

f:id:SUUMO:20190306155713j:plain

▲赤羽といえばハシゴ酒。2軒目は立ち飲み屋へ


高沢さん「気になるお店は山ほどあるのですが、まだ30軒〜40軒くらいしか行けていません。だから、今年は積極的に友達を赤羽に呼んで、新しいお店を開拓していこうと思います。休肝日がなくなっちゃいますね」

米谷さん「その日の気分や誰と食事をするかによって、お店の選択肢が豊富にそろっているのもこのあたりの良さですよね。なかでも僕がオススメしたいのは『洋食いしだ』です」

f:id:SUUMO:20190306155735j:plain

▲赤羽岩淵駅近くの住宅街にたたずむ「洋食いしだ」。米谷さんオススメのお店


米谷さん「昭和の情緒が残る洋食屋さんです。外観からして、いかにも旨そうな雰囲気じゃないですか? 僕のお気に入りは上ロースカツ定食です。目の前でロースを揚げるときのジュ〜って音を聞くだけで、幸せな気持ちになれます」

f:id:SUUMO:20190306155756j:plain

▲巨大なカツにケチャップとマスタードが添えられた上ロースカツ定食(900円)


米谷さん「ロースカツもさることながら、一人暮らしの僕にとっては、ほっとする味の味噌汁と自家製のお新香も大好きなんですよ」

f:id:SUUMO:20190306155821j:plain

▲米谷さんが「おとうさん」と慕うマスターは、コック歴40年超えの大ベテラン


米谷さん「あと、ナポリタンの上にロースカツが乗った『スパゲッティいしだ』も名物料理です。面白い組み合わせですが、おとうさんの特製デミグラスソースがどちらにもマッチして美味ですよ」

f:id:SUUMO:20190306155837j:plain

▲スパゲッティいしだ(800円)


f:id:SUUMO:20190306155853j:plain

▲気さくなご夫婦との会話も楽しみのひとつ


高沢さん「僕のオススメは近所の中華屋さんです。オススメと言っておきながらなんですが、常連さんが多いお店なので店名は伏せさせてください(笑)。ここの肉チャーハンは、がっつり食べたいランチのときも、飲んだ帰りの〆にもバッチリなんですよ」

f:id:SUUMO:20190306155913j:plain

▲肉チャーハン(850円)


高沢さん「世間ではパラパラなチャーハンが美味しいとされがちですが、僕はここの油と旨味をたっぷりと吸いこんだしっとりとしたチャーハンが好みなんです。そこに、ひき肉の餡を絡めれば、そりゃ〜もう(笑)。ちなみに、ちょっとだけスープに浸しながら食べるのが僕流です」

  • やきとん大王
    • 住所:東京都北区赤羽1丁目23-6 三晃ビル1・2F
    • 電話番号:03-5939-7748
    • 営業時間:平日16:00~24:00/土日・祝12:00~24:00

  • 洋食いしだ
    • 住所:東京都北区赤羽2丁目54-7
    • 電話番号:03-3903-5087
    • 営業時間:11:30~15:00/17:00〜21:00
    • 定休日:火・水曜日

 

理由その3.楽しみ方は季節によってさまざま。見晴らしのいい荒川の土手

f:id:SUUMO:20190306155935j:plain

▲埼玉との県境に流れる荒川。対岸は川口市


米谷さん「続いては、岩淵エリアへ行ってみましょう。荒川の土手には桜の木が植えられていて、春になると川沿い一面がピンク色に染まります。夏は河川敷でバーベキュー、秋には北区の花火大会が楽しめるんです」

高沢さん「赤羽から引越したくない、もう一つの理由がこの土手なんですよ。僕の地元には山も川も海もなかったので、こういう河川敷には人一倍憧れてしまうんですよね。学生時代に戻れるならば、この場所で青春を謳歌したいですよ(笑)」

f:id:SUUMO:20190306155952j:plain

▲岩淵水門をバックに土手でも一杯


米谷さん「天候によっては富士山が望めたり、東京タワーを見ることもできます。なんといっても川向こうの夜景が綺麗なんですよね。目的もなしにふらっと来ても満足できるスポットです」

高沢さん「休日に少年野球を見たり、川沿いをゆっくり散歩するだけで気持ち良いですよ。一度、ぼーっと川沿いを散歩していたら戸田まで行ってしまったことがあります。それぐらい、心を無にしてリラックスできる場所なんです。家の近所にこういった環境があるって、大事なことだと思うんですよね」

f:id:SUUMO:20190306160113j:plain

▲河川敷では、ピクニック、ランニング、サイクリングなど多様な楽しみ方ができる


米谷さん「川沿いを散歩したり、ピクニックしている親子も多いでしょう? 近年、赤羽岩淵エリアには新しいマンションがたくさん建設されています。ファミリーも増え、街には保育園も増えてきていますよ。北区でも子育て支援に力を入れているみたいですね」

高沢さん「多分、赤羽岩淵はこれからどんどんマンション価格が上がってくると思うので本当に狙い目です。現に僕が住むマンションの家賃も、僕が借りたときに比べて2万円も高くなっていましたから。絶対に引越したくないな(笑)」

理由その4. 食を通じてつながれる、コワーキングスペース「co-toiro iwabuchi(コトイロ)」

f:id:SUUMO:20190306160135j:plain

▲岩淵のコワーキングスペース「co-toiro iwabuchi(コトイロ)」


米谷さん「ここは僕と仲間が運営している、会員制のシェアキッチン&コワーキングスペースです。オーナーさんと共に元々長屋だった建物のリノベーションを進め、空き家活用が始まりました。このエリアには、こうした歴史が感じられる建物が多く、昔ながらのご近所付き合いも今なお残っているんです」

高沢さん「僕もよく肉料理を振る舞う会を『コトイロ』で主催しています。ほかにも、近所の方々は自宅ではなかなかできない料理教室や誕生日会などで積極的に利用している様子ですね」

米谷さん「 “食”を介すことで、世代を問わず誰もが交流しやすくなると思うんです。だから、キッチンは絶対に付けたかった。大人や子ども、初めての方とよく来てくださる方、地域の方と遠くから来てくれた方、というように、さまざまな人が繋がるコミュニティの場になればいいなと思っています」

高沢さん「今日は僕が『もつ鍋』をつくるので、地域の方々も呼びましょう。この地で生まれ育った方の話って貴重ですよ」

f:id:SUUMO:20190306160157j:plain

▲高沢さん特製の「もつ鍋」


地域住民の方「元々このエリアには地方から出てきた人が多く住んでいました。そして、そんな移住者たちが自分たちなりの住みやすさを追求していくうちに活気が生まれ、赤羽にJRが通り、駅前が発展していったんです。由緒ある街には、よそ者を毛嫌いする風習もあると思いますが、ここにはそれがない。移住者によって街が形づくられていった背景もあって、今も昔も新しい人を受け入れる土壌ができていると思います」


f:id:SUUMO:20190306160222j:plain


高沢さん「ここ数年、街に若い世代が増えてきましたよね。はじめはディープな街のイメージが強かったですけど、近年では住みたい街ランキングで取り上げられたりと、若者からの人気が高まっていることを実感します。赤羽を題材にした漫画やドラマが注目を集めたことや、東洋大学のキャンパスが誕生したことも大きく影響しているんでしょうね」

米谷さん「最近は面白い取り組みをしている人も集まってきているんですよね。個人的には、そういう方々と繋がって、さらに街を盛り上げていきたいです。そして、赤羽岩淵の住民の方々と一緒に住みやすさを追求していきたいですね」

  • co-toiro iwabuchi(コトイロ)

※3/30に宿場町まるしぇを開催予定!


賃貸|マンション(新築マンション中古マンション)|新築一戸建て|中古一戸建て|土地

取材、執筆:小野 洋平(やじろべえ)

小野 洋平(やじろべえ)

1991年生まれ。編集プロダクション「やじろべえ」所属。服飾大学を出るも服がつくれず、ライター・編集者を志す。譲れない条件は風呂・トイレ別(温水洗浄便座)。SUUMOなどで執筆しながら自身のサイト、小野便利屋を運営。

Twitter