「本日の握手会、ヲタク約1名。」SKE48相川暖花が、名古屋の街とファンに育てられリーダーになるまで

取材・編集: 小沢あや(ピース株式会社) 撮影: 武石早代

SKE48の活動を含め、人生の多くの時間を名古屋の中心地・栄(さかえ)で過ごしてきた相川暖花さん。
11歳でデビュー後、長年グループの選抜メンバーに選ばれず、苦しい時代が続きましたが、「本日の握手会、ヲタク約1名。」というピンチをXにPOSTしたのがバズり、一気に注目を集めるメンバーになりました。


そんな相川さんが20代になって改めて感じる、名古屋で暮らす心地よさやグランパス愛について伺いました。

愛知県育ちの11歳が飛び込んだ芸能界

―― 相川さんは愛知県で生まれ育ち、現在も在住です。今も生活と仕事のすべてが名古屋にあるんですよね。

相川暖花さん(以下、相川):はい。小学生の頃からAKB48に憧れていたんですが、愛知県に生まれ育ったからこそ、地元のSKE48に入りたかったんです。SKE48は、ほかのグループと違って体育会系のイメージがあって。ダンスと歌の全力さに引かれましたね。

―― オーディションには一発合格されました。

相川:7期生として受かって。今、無事にここにいます。

―― そこから今、リーダーに……感慨深いですね。SKE48に合格した当時は学校が終わってから栄の劇場へ向かう日々だったと思います。

相川:学業との両立は大変でした。午前は学校、午後はレッスン、夜は宿題。なかなかハードでしたね。

―― そんな中で、相川さんを支えてくれたスポットは?

相川:東山線・名城線栄駅の改札を出てすぐにある「オアシス21」には、思い出がいっぱいあります。レッスンが終わった後にメンバーみんなで行って、広場で練習。20人くらいでずっと踊っていました。

―― えっ。外で、ですか!?

相川:そうですね。SKE48は「踊りたくなったから踊る」みたいな、その瞬間の気持ちで動くタイプの子が多くて(笑)。チェーン店も一通りそろってるし、高校生がわいわいしてて。その横で、私たちも普通に青春してました。

―― 名古屋の栄でSKE48のメンバーが大人数で踊っていたら、バレて大騒ぎになりませんか?

相川:バレないですね。ファンの方に遭遇しても、皆さんそっとしてくれるんですよ。

名古屋って街がぎゅっとしてるし、ファンの方もメンバーもみんな行動範囲が同じです。とくに名古屋PARCOは遭遇しまくりで、エスカレーターですれ違って、お互い「あっ……!」ってなるくらい。

―― お仕事と生活が繋がっているんですね。街に根差したアイドルとして、とくに印象的だったお仕事は。

相川:長年グループで続けている地域貢献ボランティアで「SAKAEクリーン大作戦 with SKE48」という活動があるんです。ファンの方と一緒に、名古屋の街をわいわいお話しながらゴミ拾いをして回る企画。いつもお世話になっている栄の街を自分たちの手できれいにしながら、ファンの皆さんと近い距離でいろんなお話ができる大切な時間でしたね。

あとは、愛知県民として毎年楽しみにしている「にっぽんど真ん中祭り(どまつり)」ですね!  私はずっと選抜メンバーに入れなかったので、まだステージには出られていないんですけど、愛知県民として満喫しています。

劇場公演終わりに大通りへ繰り出して、ずらりと並ぶ屋台をメンバーと巡るのが夏の楽しみです。名前のとおり、名古屋のど真ん中が熱気に包まれるお祭りで、街のエネルギーを肌で感じられます。

リーダーの財布を救う(?)名古屋のモーニング文化

―― 年齢が上がり、ご自身で行動範囲が広がる中で、街の歩き方はどう変わりましたか?

相川:年齢が上がるにつれて「ちょっと大人な街の楽しみ方」もできるようになってきました。お仕事で何か大きな壁を乗り越えたり、頑張ったときのご褒美は、やっぱり焼肉ですね!

―― リーダーにも就任され、後輩の皆さんにもおごりますか。

相川:実は私、普段はあまり後輩におごらないんです。事件があって(笑)。

―― 事件?

相川:チームSで初のツアーが実現したときの打ち上げで「せっかくリーダーになったんだから、ここは私が格好よく全員におごろう!」と思ったんです。成人メンバーだけで、10人くらいいたのかな?

お会計のときにドヤ顔でクレジットカードを出したら……機械が「ピ〜〜〜ッ!!!」って……カードの限度額を超えちゃって、払えなかったんですよ。

結局、後輩の坂本真凛(さかもとまりん)にお会計を立て替えてもらうことになって……カッコ悪いですよね……。それ以来、無理に見栄を張っておごるのはやめようと心に誓いました。

―― ほほ笑ましいエピソードですね。

相川:最近は、無理のない範囲で、名古屋が誇る「モーニング」のカルチャーに甘えています。名古屋のモーニングはお財布に優しくて最高なんです。おなかいっぱい食べてもリーズナブルだし、モーニングなら後輩にもいくらでもおごれます!

―― 朝ならドヤ顔で財布を出すぞ! と。

相川:メンバー内でも「モーニング部」があって、みんないろんな喫茶店を巡っているんです。いつも決まった場所に行くのではなく、新しいお店を開拓するのが楽しくて。斉藤真木子さん(2024年末に卒業)とも一緒にモーニングに行きます。

―― 特にお気に入りの喫茶店はどこですか?

相川:地下鉄東山線・鶴舞線の伏見(ふしみ)駅の近くにある「英吉利西屋珈琲店 桶屋店」さんはすごくおすすめです!  レトロな雰囲気がとてもすてきで、トーストの焼き色がしっかりしていてサクサクで、本当においしいんですよ。栄や伏見周辺で朝活をするなら外せない場所です。

住むにもいいとこ取り! 名古屋の街

―― お仕事で忙しい日々の中、名古屋で相川さんが一番リラックスできるスポットは?

相川:私、実はすごく散歩が好きで、公園に行くのが一番のリフレッシュになるんです。中でもめちゃくちゃ好きな場所が、緑区にある「滝の水公園」。

地元の人なら誰もが知っている、初日の出を見に行くような絶景スポットなんですよ。小高い丘の上にある公園なので、遮るものが何もなくて見晴らしが最高なんです。そこに行くまでの長い階段を上るのが結構大変なんですけど、↑りきった後に目の前に広がる景色が最高の快感で。

ベンチにポツンと座って、ぼーっと街を眺めてたそがれるのが私の至福の時間です。夜に行くと夜景が本当にきれいで、昼でも夜でも心がすーっと軽くなります。

―― ぼーっと、「なにもしない」を楽しむんですね。

相川:街中にある「白川公園(中区)」もよく行きますね。美術館や科学館がある大きな公園なんですけど、そこでもベンチに腰掛けて、コンビニで買ったご飯を食べながらただただぼーっと過ごすのが好きです。

―― 名古屋は、街の中に座れる場所がたくさんありますよね。穏やかに生きられるというか。

相川:東京の公園に行ったとき、夜になったら「閉園です!」って門を閉められて追い出されたことがあって、すごくびっくりしたんですよ。「えっ、公園って、閉まるの!?」って。名古屋の公園は夜でも普通に入れる場所が多いので、自分のペースで寄り添ってくれる。いつでものんびりできる心のゆとりが、名古屋の一番の住みやすさだと思います。

―― 本当に暮らしやすい街なんですね。相川さんから見て、これから名古屋で新生活を始める同世代におすすめのエリアは?

相川:おしゃれで落ち着いた暮らしに憧れるなら、地下鉄東山線の「覚王山(かくおうざん)」エリアがイチオシです。 栄や名古屋駅周辺に比べて、静かで落ち着いた雰囲気のきれいな住宅街なんですよ。個性的でかわいいお店やおいしいカフェがたくさんそろっていて、お散歩するだけでも楽しい街ですね。今でも「覚王山プリン」を買いにふらっと訪れたくなる大好きなエリアです。

もっとにぎやかで利便性を重視するなら「金山(かなやま)」もすごく楽しい街だと思います。「アスナル金山」という商業施設で何でもそろいますし、SKE48のトークイベントなどでもよくお世話になっている場所です。

幼少期から名古屋グランパスサポーター オフはスタジアムへ

―― 相川さんはプロサッカークラブ「名古屋グランパス」のファンとしても知られていますね。

相川:私の母がものすごく情熱的なグランパスサポーターで、その影響で小さい頃から試合に連れて行ってもらっていました。わが家では、家族のスケジュール帳に「この日はスタジアムに行く日!」って赤ペンで書き込まれるくらい、生活の一部になっているんです。

テレビでも観戦しますけど、やっぱりスタジアムで生の試合を観ると迫力が全然違います。ゴールが決まった瞬間の地鳴りのような歓声や、スタジアム全体で分かち合う勝利の喜びを知ってからは、もう完全に虜になってしまいました。


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―― 試合の日の名古屋の街の雰囲気って、やっぱり独特ですか?

相川:そうなんです! グランパスの試合がある日は、街のあちこちで赤いユニフォームを着た人たちを見かけます。特別なことをしていなくても、地下鉄に乗るだけで「あ、今日はグランパス戦か」って一目でわかって、街の呼吸がサッカーと連動しているのを感じます。

とくに「鯱の大祭典」という夏のイベント期間中はすごくて、駅員さんたちもみんなユニフォームを着用して仕事をしているし、電車の車内ナレーションもグランパスの選手の声になるんですよ。 街の公共交通機関まで一体になるなんて、本当に名古屋の街とクラブの結びつきは密接だなと思います。


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栄駅周辺の街灯の横にも、ずらりとグランパスのフラッグが掲げられていて、暮らしているうちに自然と生活の中にグランパスが入り込んでくるんです。

―― 相川さんのグランパス愛を仕事に活かせる機会も増えていますよね。

相川:地元の大好きなチームとお仕事で関わらせていただけるなんて、本当にありがたいことですし、これ以上ない親孝行だなと思っています。

以前、豊田スタジアムで、SKE48としてスタジアムライブをやらせていただく機会があったんです。……まあ、そのときも私は選抜メンバーには選ばれなくて、客席からみんなを応援していただけなんですけど(笑)。
でも、いちサポーターとして通っている大好きな聖地に、自分の所属するSKE48が立って、スタジアムを盛り上げている景色を見られたのは本当に誇らしかったです。

―― 「街をあげて応援される」という点では、グランパスもSKE48も同じですよね。

相川:そうかもしれません。ピッチで選手たちが必死に泥臭く頑張っている姿を見ると、「私ももっとアイドル活動を頑張ろう!」って、ものすごく大きなパワーをもらえます。これって、劇場公演に足を運んでくださるファンの方の気持ちともリンクしていると思うんです。

勝ち負けや完璧なパフォーマンスだけがすべてじゃなくて、「応援したい」と思ってくれるファンの方と、どれだけ気持ちを一つにできるか。

だからこそ、まずは私自身が心から楽しんで、熱量を持って活動をしなきゃいけないんだなと、グランパスを通して教えてもらいました。

―― 豊田スタジアムへ足を運ぶ際の、相川さんなりの「外せない定番スタジアムグルメ」やジンクスは?

相川:絶対に外せないのは「諭吉のからあげ」です! ものすごく大きくてジューシーで最高においしいんですよ。

あとは「グランパス大あんまき」も外せません。わが家には、グランパスの試合を観る時にいくつかの独自のジンクスがあって、その一つが「あんまきを食べると勝てる」なんです。

―― すごい、じゃあ毎回あんまきを食べないとですね。

相川:そうなんですよ。ちなみに、相川家のもう一つの強烈なジンクスは「お父さんがトイレに行くと点が入る」なんです(笑)。だから試合を観ていて、なかなか点が決まらなくて負けていたりすると、家族みんなで「お願いだから、お父さん早くトイレ行って!!」って真剣に急かしています(笑)。

街の人々とファンの温かさが強くしてくれた

―― SKE48のファンも、グランパスのサポーターも、名古屋の人は一度好きになると熱量がものすごく長く続くイメージがあります。

相川:「名古屋の人は、結局みんな名古屋が大好き」なんだと思います。地元のものは自分たちで支えよう、育てようという気持ちが人一倍強いんですよね。だからSKE48のことも、中日ドラゴンズも、名古屋グランパスも、ずっとずーっと深く長く応援し続けてくれる。

―― 相川さんご自身も、街からの愛を感じますか。

相川:SKE48のファンの方も、本当に初期の頃から長年ずっと支えてくださっている方が多くて。ありがたいことに名古屋には「箱推し(グループ全体を応援する)」の文化が根付いています。「◯◯ちゃん単推し」じゃなくて、「地元のエンタメであるSKE48というグループそのものが愛おしい、だからみんなで盛り上げよう!」と思ってくれる懐の深さがあるんです。

―― そんな大好きな名古屋の街で、相川さんがこれからかなえたい夢は?

相川:個人としては、やっぱりもっともっと名古屋グランパスに関わるお仕事をたくさんしていきたいです。

SKE48としては、先輩たちが何度も立ってきた「日本ガイシホール」のような大きなステージに、私たちの世代もどんどん立ちたいです。ここ最近、周年コンサートの会場規模が少しずつ小さくなってしまっているのが、リーダーとして本当に悔しくて。ここからもう一度這い上がって、ファンの皆さんと一緒にもっともっと大きい場所へ行きたいです。

名古屋には新しく「IGアリーナ」もできたし、私たちの最終的な目標は「バンテリンドーム ナゴヤ」に立つこと。そのためにも、これまでSKE48に触れてこなかったようなライトな層の方々にも、今の私たちの魅力を届けていきたいです。

―― 最近は新公演も始まって、栄にあるSKE48劇場も熱気に包まれていますね。

相川:はい! 栄の劇場は、メンバーとファンの方との距離がとにかく近くて、ステージの上の私たちの汗までしっかり見えちゃうくらいの臨場感が自慢です。一度来ていただければ、絶対にその熱量に圧倒されると思います。

名古屋に遊びに来る機会があれば、ぜひ劇場のステージを観にきてほしいですし、その帰りにすぐ上にある栄の観覧車「Sky-Boat」に乗って、私たちが大好きなこのぎゅっと詰まった愛おしい名古屋の街を眺めてほしいです!

お話を伺った人:相川暖花

2003年10月22日生まれ、愛知県出身。O型。SKE48 チームSのリーダーを務める。愛称は「ほのの」。2025年に発売された35枚目のシングル「Karma」でグループ加入11年目にして初の選抜入りを果たした。

編集:小沢あや(ピース)