【小説:広島県・呉市】夜の港のわたしたち

著: 土門 蘭 実家の近くの朝日町公園の時計は、直しても直しても時間が狂うという噂で、幼いころはそれが気味悪かった。 ここに来るのは何年ぶりだろう。遊具はぴかぴかに新しくなっているのに、時計は古いままで、わたしはコートのポケットに手を突っ込み…