マンションでは、専有部分(住戸内)に関しては、間取り変更をはじめとして、たいていの変更が可能ですが、玄関ドアやサッシなどの共用部分に関する変更は、できないケースがほとんどです。また、専有部分内でも、上下階との関係で、キッチンや浴室などの水周りの移動に制限が生じたり、使用できる床材が制限されたりすることも。一方、一戸建ての場合は、管理規約のようなルールはないものの、建築基準法に照らす必要が。階段の位置を変えるなどの大規模な変更は、建築確認が必要になります。また、総じて間仕切り壁が耐力壁であることが多いので、間仕切り壁を移動するようなリノベーションは難しいケースも多くなります
リノベーション後の住宅の資産価値は、どんなリノベーションを施したかにもよりますが、経年によって老朽化した建具、建築時のままの旧式の設備や仕様が最新式のものに変わることとともに、間取りが今のトレンドに合うものに変わることで、住宅の価値は格段にアップするといえるでしょう。ただし、リノベーションにかけた費用がそのまま売値に転嫁できるかというと、必ずしもそうとはいい切れず、あくまでもそのときの住宅マーケットの状況次第といえそうです。
万人受けするリノベーションをするのか、それともあくまでも自分のこだわりを追求した個性的な住まいにするのか、そのバランス次第でしょう。万人受けするほうが売りやすく貸しやすいはずですが、「無難さ」だけに縛られるのももったいないことです。「そこでお勧めなのが、将来、売るときに手を入れやすくするようなリノベーションにしておくこと。簡単に壊せる個室にしておく、あるいは逆に将来個室を作れるようにしておくなど、柔軟性の高いプランにすることで、売りやすく貸しやすい住宅にすることは大いに可能です」(石井さん)
マンションの場合は、まず購入を検討する段階で、具体的な建て替えの計画が持ち上がっていないかどうかを確認する必要があります。特に計画がない限り、あるいは、この先、建て替え計画が管理組合で決議されない限りは、原則として住み続けられます。また、大規模修繕計画がきちんと定められ、計画通りに実施されているなど、適切に管理・メンテナンスされていることが長く住めるかどうかを左右する重要な要素になるでしょう。一戸建ての場合は、住み手のメンテナンス次第。いずれの場合も、新築時に躯体が適切に設計され、その通りに施工されていることが条件となります。