屋根瓦は粘土を材料にした伝統的な瓦のことで、釉薬を用いて色をつける陶器瓦、煙でいぶして色を出すいぶし瓦が代表的。色落ちせず、耐久性の高い屋根材です。
強風でずれたり、割れたり、落下することがあるため補修が必要でしたが、近年の工法だと落下のおそれも減りました。
瓦を新しい瓦に葺き替えるタイミングや費用、補修費用の相場、瓦以外の屋根材に葺き替える費用相場も紹介しましょう。瓦から瓦への葺き替えには補助金もあるので紹介します。

記事の目次
屋根瓦の種類
伝統的な屋根瓦にも製法の違いやデザインなどによっていくつかの種類があります。
屋根瓦の原料は粘土
瓦は粘土を主原料に鉱物などを混ぜたものを瓦の形に成形し、高温で焼き締めてつくります。粘土瓦という名称はそこから来ています。簡単にいうと瓦は粘土の焼き物で、そこがセメントなどを主原料とした化粧スレートや鋼板を用いたほかの屋根材と違うところです。
陶器瓦といぶし瓦、無釉瓦がある
乾燥させた瓦の素地に釉薬(釉薬:うわぐすり)をかけて焼くのが陶器瓦です。
釉薬の色によってさまざまな色合いにできますが、シルバーが一般的に用いられています。そのほかに黒やブルー、鮮やかなオレンジなどのカラーバリエーションがあります。
釉薬を用いずに、瓦を焼いたあとにいぶして表面に銀色の炭素膜を形成させたものがいぶし瓦です。
いぶし瓦は自然な銀色が特徴です。
これらのほかに釉薬もいぶしの工程も経ずに粘土の生地そのままの色を出した無釉瓦もあります。

デザインは和瓦のほかに洋風の平板瓦も
瓦の形状は大きく分けるとS字にカーブした和瓦とフラットな形状の平板瓦があります。
和瓦は和風住宅に合い、平板瓦は洋風の住宅にもマッチします。
これらの形状をベースにデザインも多様になっているので、住宅のデザインに応じて選ぶことができます。

セメント瓦とコンクリート瓦は生産中止
セメントを成形したセメント瓦、乾式コンクリートを成形したコンクリート瓦(モニエル瓦など)はかつて製造されていましたが、重いことや耐久性の問題などから、現在では化粧スレートなどに取って代わられ、生産中止になっています。
屋根瓦の耐用年数
瓦は耐久性が高いといわれますが、どの程度もつのか耐用年数を見てみましょう。
屋根瓦の耐用年数は50年~100年
古い民家やお寺に瓦が乗っているのを見てもわかるように、瓦の寿命は長く、50年~60年は使用できます。長ければ100年以上もつこともあります。
ただし途中で必要な補修を行うことが条件です。
瓦は強風や揺れでずれたり、割れたり、落下することがあります。
また、しっくいを使っている部分ではしっくいがはがれることもあります。
そうした場合は、そのつど補修が必要です。
屋根瓦は耐久性が高い
瓦は成形した粘土を乾燥し、釜の中で1000℃以上の高温で焼く、冷やす工程を繰り返してつくります。そのため素材自体の強度が非常に高くなります。瓦の寿命が長いのはそのためです。
瓦は色落ち・色あせしない
釉薬で色付けする陶器瓦も煙でいぶして色を出すいぶし瓦も塗装した製品ではないので、長く使っても色落ち・色あせすることはありません。
したがって再塗装の手間もコストもかかりません。
汚れがひどくなった場合は洗浄してきれいにすることもできます。
瓦以外の屋根材は塗装製品なので、10年も経つと色あせて再塗装の必要があります。
再塗装しないと見栄えに影響するだけでなく、屋根材の劣化も進めてしまいます。
再塗装を続けていても瓦以外の屋根材は、一般的に30年程度で素材の劣化などにより葺き替えなどの必要性が出てきます。
屋根瓦を葺き替えるタイミング
瓦を葺き替えるタイミングは屋根下地まで劣化して、雨漏りがするようになったころです。
2022年には地震や台風に強い瓦の葺き方「瓦屋根標準設計・施工ガイドライン工法」(後述)が新築住宅では義務化され、リフォームの際もこの工法で施工を行うのが望ましいとされています。
屋根瓦の葺き替えと葺き直しの違い
屋根瓦は葺き替えのほかに葺き直しという方法もあります。また、費用はどれぐらい違うのでしょうか?
葺き替え
葺き替えは既存の瓦を撤去して、新しい瓦を施工する方法です。
この場合、下地の野地板(合板)は残して瓦だけ入れ替えることもできますが、築年数が経っていれば下地にも影響が出ていたり、雨漏りが発生したりすることもあります。そういう場合は、下地からやり直すのがいいでしょう。
費用は下地からやり直すほうが高くなりますが、下地が傷みすぎていると家の寿命に影響しますから、リフォーム会社に点検してもらって判断を仰ぎましょう。
葺き直し
葺き直しは、撤去した既存の瓦をストックしておいて、下地工事を終えたあとに再使用する方法です。
瓦の状態によりますが、再使用できれば材料費が削減できます。
ただし、解体時にていねいに行わなければならない、ストックする用地が必要で管理もしなければならないなど手間もかかります。
実際にどの程度コスト削減になるのか、リフォーム会社に確認しておきましょう。
屋根瓦を葺き替えるメリット・デメリット
屋根瓦の葺き替えは、住まいの耐久性や快適性を高める一方で、費用や工期などの面で慎重な検討も必要です。葺き替えのメリット・デメリットを理解して、最適な選択につなげましょう。ここでは、その特徴について解説します。
屋根瓦を葺き替えるメリット
屋根瓦を葺き替える工事では、屋根材だけでなく下地や防水シートまで新しくできるため、屋根の機能を根本から改善できる点が大きなメリットです。特に、次のような効果が期待できます。
- 劣化箇所の補修により雨漏りリスクを抑えられる
- 瓦から軽量素材へ変更すれば耐震性が向上する
- 外観を一新でき、住まいの印象が刷新される
- 断熱性や防水性に優れた素材で快適性が高まる
新築同様の性能を得られることに加え、将来的なメンテナンスの手間や費用を抑えられる点も、葺き替えならではの魅力といえるでしょう。
屋根瓦を葺き替えるデメリット
屋根瓦の葺き替えは、他のリフォーム方法と比較して費用負担が大きくなりやすい点がデメリットです。工事にはさまざまな費用が含まれており、例えば以下のような点が挙げられます。
- 屋根材の撤去・処分費用に加え、下地補修や新規屋根材の施工費がかかる
- 一般的に100万円以上の予算を要する
- 工期は7~10日前後で、天候によっては延びる場合もある
さらに、施工中は騒音や振動が発生しやすく、近隣への配慮も必要です。下地の状態によっては追加工事が必要になることもあるため、事前に複数社から見積もりを取り、内容をていねいに比較しておくと安心です。
屋根瓦の葺き替え方法
屋根瓦の葺き替え工程を流れに沿って説明しましょう。
屋根の構成
まず屋根の構成から説明しましょう。
日本の伝統的な木造軸組工法の屋根の構成は次の図のようになっています。

屋根を支える母屋(もや)や垂木(たるき)などで小屋組みをつくり、その上に野地板をのせ、さらに防水シートを張って、瓦桟(かわらざん)、瓦の順でのせていきます。
瓦桟は瓦を釘でとめる際に受ける木となります。
また、防水シートは雨漏りを防ぐための重要な部材です。
屋根のずれやひび割れがあってもアスファルトを含浸させた防水シートが雨水から守ってくれます。
しかし瓦のずれやひび割れは防水シートの劣化につながります。
防水シートの寿命は20年~30年と瓦より短いことに注意が必要です。
天井にしみができるなど雨漏りの兆候が見られたら、防水シートの劣化を疑いましょう。
既存の瓦と防水シートを撤去
まず既存の瓦を撤去します。
1枚1枚ていねいに撤去していく手間のかかる仕事です。
人数に応じてかかる期間も変わります。
瓦を撤去すると、瓦をとめていた瓦桟、防水シートが見えてきます。

下地の野地板を撤去する場合も
瓦桟、防水シートを撤去すると、野地板が見えてきます。
野地板に腐食などが見られる場合は野路板も剥がします。
劣化が進んでいなければ、そのまま使用します。

新たに野地板・防水シート・瓦桟の順で取り付ける
野地板を撤去した場合は、新たに野地板を張り、その上に防水シート、瓦桟を取り付けます。野地板は全部交換しなくても傷んでいる部分の補修で済む場合もあります。
野地板の上に新しい防水シート、瓦桟を取り付け、新しい瓦を施工します。
瓦以外の屋根材、化粧スレートやガルバリウム鋼板の場合は、瓦桟を用いず、野地板に直接張り付けます。

屋根瓦を葺き替えする注意点
屋根瓦は強風などでめくれてしまったり、落ちてしまうことがないように屋根にとめなければなりません。その方法が国交省の指導でまとめられた「瓦屋根標準設計・施工ガイドライン」です。この工法で施工すれば、台風や地震時にも安心です。
屋根瓦がはがれにくいガイドライン工法で施工
ガイドライン工法は、正式には「瓦屋根標準設計・施工ガイドライン」(以下ガイドライン工法と称します)といいます。
瓦屋根の新しい瓦への全面葺き替えや部分葺き替えの際に強風や揺れに耐えられる施工方法を示したものです。
このガイドライン工法は、粘土瓦(陶器瓦、いぶし瓦)を対象にしています。スレートや金属屋根は対象ではありません。
すべての瓦を釘またはネジでとめる
ガイドライン工法の特徴は、すべての瓦を容易に抜け出ないように加工した釘、またはネジで緊結することを求めている点です。これまでは軒(のき)や端部、棟(むね)など一部の瓦を釘でとめるだけでよかったのです。
このガイドライン工法による交換の検証としては、2019年の房総半島台風の強風による被害状況の分析があります。
それによると工法の違いによる被害状況は以下のとおりです。
非ガイドライン工法によって施工された屋根とガイドライン工法によるものとでは、被害状況に大きな差が見られます。
このようにガイドライン工法の安全性はすでに証明されています。

瓦のガイドライン工法による施工は新築では義務付け
2022年建築基準法の改正により新築の際は、ガイドライン工法によって瓦屋根に強風対策を講じることが義務付けられました。
増築する場合も増築部分にはガイドライン工法を採用する必要があります。
一方、既存の屋根を葺き替える場合には、法律では義務付けではないもののガイドライン工法によって葺き替えることが望ましいとされています。
今後の台風対策として法律に対応した工法で葺き替えるほうが安心でしょう。
屋根瓦の葺き替え費用
屋根瓦の葺き替え費用はどれぐらいかかるのでしょうか?目安を知っておきましょう。
屋根瓦葺き替えの費用相場は約250万円~350万円
瓦屋根を新しい瓦に葺き替える費用相場は、屋根面積約130m2(延床面積約120m2総2階建てを想定)で、約250万円~350万円です。
この費用には解体・撤去費用や下地(野地板)の交換費用も含んでいます。
既存の瓦を再利用する葺き直しの費用相場は屋根面積約130m2で、約65万円~90万円です。この費用には補修が必要な場合の補修用瓦の費用は含みません。
瓦は途中でずれや割れなど補修が必要になることがあります。
その際の補修費用は工事内容と補修面積によりますが、約10万円~30万円を見ておきましょう。
いずれも現場を見てもらって見積もりをもらう必要があります。
ほかの屋根材に葺き替えると材料費が変わる
屋根を軽量化して建物への負荷を減らし耐震性を上げるために、化粧スレートや鋼板の屋根材に葺き替えるケースがあります。
その場合は、屋根材の材料費が瓦より安くなるのが一般的です。
瓦の材料費が1m2あたり約1万5000円~2万円なのに対して、化粧スレートの場合は1m2あたり約1万円~1万5000円と割安です。
ただ施工の手間が大きく変わるわけではないので、葺き替え費用に与える影響は部分的なものとなります。
屋根瓦葺き替え費用の計算のしかた
自分で計算できる方法を使って葺き替え費用の目安を出してみましょう。
参考資料:「瓦屋根の改修工事のススメ」(国土交通省監修、建築防災協会発行)
屋根面積を計算する
屋根の葺き替え費用は、工事単価に屋根面積を掛けて算出します。
屋根面積の計算方法は、屋根の長辺に短辺を掛けて、さらに屋根勾配の係数を掛けて出します。屋根勾配の係数は一般的な勾配(4/10)で1.1、急な勾配の場合で1.2です。
屋根の長辺A(m)×短辺B(m)×勾配係数C=屋根面積
屋根は建物の間口・奥行きよりも少し大きめになっていることが多いので、軒の出の長さを加えて計算しましょう。長辺は棟の長さと同じです。

屋根葺き替え費用を計算してみる
では、実際に屋根葺き替え費用を計算してみます。
仮に屋根の長辺が12m、短辺が10mだとしたら真上から見た面積は120m2、これに勾配係数の1.1を掛けます。
【屋根面積】
長辺12m×短辺10m×勾配係数1.1=132m2
屋根面積は132m2となります。
これに工事のm2単価を掛けると工事費が出ます。
屋根葺き替えの工事単価は約2万9000円です。
ここでは工事単価2万9000円で計算します。
【屋根平場の工事費】
1m2あたり2万9000円×132m2=平場の工事費用382万8000円
ただしこれは屋根の平場(平らな部分)の費用です。
棟の部分については工事単価が異なり、約6500円です。
ここでは工事単価6500円で計算します。
【屋根の棟の工事費】
1mあたり6500円×棟の長さ12m=棟の工事費用7万8000円
【全体の合計費用】
平場の工事費用382万8000円+棟の工事費用7万8000円=合計390万円6000円(税抜き) となります。
建物の立地条件や使用する瓦、リフォーム会社などによって費用は変わりますし、物価の上昇によって上がることもあります。
上記の計算式は税抜きなので消費税を考えて、約400万円~450万円が費用相場と見ておきましょう。
屋根葺き替え費用の内訳
屋根葺き替え費用の内訳を見てみましょう。
下地工事を含む屋根葺き替え費用
野地板交換を含むケースで内訳を見てみましょう。
屋根葺き替え工事には以下のような項目があります。
- 足場工事/工事の安全性を確保するために家の周りを囲って作業台を設置する費用
- 既存屋根撤去/屋根瓦、瓦桟、防水シート、野地板を撤去する費用
- 処分費用/撤去して廃棄する屋根瓦などを処分する費用
- 野地板交換/古い野地板を撤去したあとに新しい野地板を敷設する費用
- 防水シート/撤去した古い防水シートに変えて新しいシートを張る費用
- 瓦葺き替え/新しい瓦を設置する費用
- 棟の改修/屋根の頂上の棟を施工する費用
- そのほか/上記に含まれない工事や諸経費
| 項目 | 工事単価 (m2、棟はm) |
金額 |
|---|---|---|
| 足場工事 | 1300円 | 17万1600円 |
| 既存屋根撤去 | 2400円 | 31万6800円 |
| 処分費用 | 3500円 | 46万2000円 |
| 野地板交換 | 2200円 | 29万400円 |
| 防水シート張り | 800円 | 10万5600円 |
| 瓦葺き替え | 1万1000円 | 145万2000円 |
| 棟の改修 | 6500円 | 7万8000円 |
| そのほか | 1800円 | 23万7600円 |
| 小計 | 2万9500円 | 311万4000円 |
| 消費税 | 31万1400円 | |
| 合計 | 342万5400円 |
過去データに基づいているので現状の価格と異なる場合があります
瓦屋根葺き替えの補助金
瓦屋根をガイドライン工法によって葺き替える場合に、国からの補助金が出ます。
補助額は最大55万2000円です。
国からの補助金ですが、窓口になっているのは自治体。対象となっている地域は人口密集地で基準風速が32m/秒以上の区域です。
実施状況などが自治体によって異なるので、お住まいの地域の役所で確認してみましょう。
瓦屋根葺き替えの補助金は診断と改修工事が対象
瓦屋根葺き替えの補助金は耐風診断と耐風改修工事(葺き替え)が対象です。
葺き替えは2022年に改正された現行の建築基準法基準に合わない瓦屋根を現行の基準に合わせて新しい瓦屋根に葺き替える場合が補助金の対象となります。
瓦以外の化粧スレートなどの屋根材への葺き替えはこの補助金の対象とはなりません(自治体により変わる可能性があります)。
| 補助対象 | 補助率・補助額 | |
|---|---|---|
| 瓦屋根の耐風診断 | 瓦屋根の緊結方法が基準に適合しているかどうかを診断 | 診断費の3分の2 最大2万1000円/棟 |
| 瓦屋根の耐風改修工事 | 現在の法律に適合しない瓦屋根を耐風性能の高い屋根に葺き替え | 工事費の23% 最大55万2000円/棟 |
みらいエコ住宅2026事業の補助金
みらいエコ住宅2026事業は、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、既存住宅の省エネ性能や居住性能を高めるリフォームを支援する補助金制度です。補助金額の上限は、住宅の築年数やリフォーム後に達する省エネ基準の水準によって異なり、最大で80万円または100万円となっています。
(★これらの補助金についての情報は2026年度のものです)
火災保険は屋根の被災時にも使える
火災保険には火災のほかに風災の保証が含まれているのが一般的です。
例えば台風で屋根がめくれた瓦が落ちたといった被害は火災保険の対象です。
補償額は被害の度合いなどによるので、保険会社の査定が必要です。写真をとっておくこと、修理の見積もりをリフォーム会社からもらっておくことが必要となります。
被害を受けたら保険会社への連絡とともに、信頼のおけるリフォーム会社に相談してみるのがよいでしょう。
瓦以外の屋根材に葺き替える方法と費用
では、瓦以外の屋根材に葺き替える方法と費用を見てみましょう。
屋根材の種類と特徴
屋根材の種類別の採用割合は以下のとおりです(新築)。
| 屋根材の種類 | 割合 |
|---|---|
| 1.鋼板屋根材(ガルバリウム鋼板、ジンカリウム鋼板※) | 52.5% |
| 2.化粧スレート | 27.3% |
| 3.瓦(粘土瓦) | 11.0% |
| 4.そのほかの鋼板屋根 | 3.2% |
| 5. アスファルトシングル | 3.2% |
| 6. 屋根一体型太陽光パネル | 0.9% |
| 7. そのほか | 2.3% |
(住宅金融支援機構 フラット35住宅仕様実態報告2023年度)
鋼板屋根材が圧倒的なシェアを占めています。
鋼板屋根材は軽いのでリフォームの葺き替えやカバー工法にも用いられる屋根材です。
化粧スレートは成形した薄いセメントを繊維で強化した材料ですが、同様に軽量さが特徴の屋根材です。
軽量な屋根材で耐震性を上げる
鋼板屋根材や化粧スレートの屋根材は、軽量なので建物への負荷を軽減するという特徴があります。
伝統的な重い瓦から軽量な屋根材に葺き替えることで耐震性を向上できるのが、これらの屋根材のメリットです。
ただデメリットは鋼板、化粧スレートともに塗装製品なので10年ごとくらいに再塗装しなければなりません。
いずれも寿命は25年~35年程度といわれていますが、メンテナンスによって美観を長持ちさせ、寿命も40年程度まで延ばすことができます。また、ガルバリウム鋼板には高耐久タイプもあります。
屋根材の価格の目安
瓦(陶器瓦・粘土瓦)を含めて材工価格の相場を比較してみましょう。
| 種類 | 費用相場 |
|---|---|
| 瓦 | 約250万円~300万円 |
| ガルバリウム鋼板 | 約150万円~240万円 |
| 化粧スレート | 約140万円~180万円 |
こうして見るとガルバリウム鋼板と化粧スレートの普及品は瓦より安いものがあり、高級品では瓦を上まわるものもあります。
耐久性などをよく確認した上で、製品を選びましょう。
屋根の葺き替えで建築確認申請が必要になる場合がある
建築確認申請は設計図などの書類を提出して役所の審査を受けるものです。
建築確認申請を行うと完成検査も行われます。
屋根の葺き替えは内容によって建築確認申請が必要になります。
建築確認申請が必要な屋根の葺き替え(2025年4月から)
屋根の構造は、母屋(もや)や垂木(たるき)など屋根を支える骨組みの上に野地板(合板など)を張って、その上に防水シート、瓦などの屋根材が載っています。
建築確認申請をしなければいけないのは、屋根を張り替える際に、構造材の工事まで行い、工事部分の面積が屋根全体の過半にわたる場合です。構造材には野地板まで含みますから、野地板を交換すると建築確認申請が必要になります。
建築確認申請が不要な屋根の葺き替え
建築確認申請が不要な屋根の葺き替えは、屋根材と防水シートの交換だけの場合です。
この場合は、工事が屋根全体の過半にわたっても建築確認申請はしなくてもいいです。
建築確認申請を行うと申請費用や書類作成の手間がかかります。
申請をしなくてよければその費用や手間もかかりませんが、ただ野地板が腐食していないか、そのほかの部材が雨漏りなどの影響を受けていないかなど、リフォーム会社にしっかりチェックしてもらう必要があります。
傷んだ構造材をそのままにして屋根材だけがきれいになっても、結果的には家の寿命を縮めてしまうことになるので、気をつけましょう。
以下のイラストの改修範囲であれば、建築確認申請は必要ありません。

屋根瓦補修・葺き替えの実例
屋根瓦の補修実例と瓦屋根からスレートに葺き替えた実例を紹介しましょう。
※表示されているリフォーム費用は施工当時のもので、現在の価格とは異なる場合があります。
棟(むね)のしっくいを塗り直し
屋根の頂上は棟といいます。その棟に載っている瓦はしっくいで固定されていて、雨漏りを防いでいます。
築20年でそのしっくいの塗り替えと、瓦の釘止めをビス止めに変える工事を行いました。瓦職人の技が光る、きれいなしっくい塗りに仕上がっています。

瓦屋根を軽量な化粧スレートに葺き替え
築49年目に耐震性を考慮して、瓦屋根を軽量な化粧スレートに葺き替えました。
元の瓦屋根は土葺きの上に瓦をのせた工法だったので、非常に重いという評価を受けていました。

2階を減築し、瓦で屋根を復旧
2階を減築し、瓦で屋根を復旧、外壁は既存の真壁(柱などが外から見える伝統的なつくり)からモダンな金属サイディング張りに変えました。玄関の位置や間取りも大きく変えています。

(設計・施工/住まいる工房)
屋根瓦の葺き替えを依頼するリフォーム選び
屋根葺き替えの依頼先を選ぶ際の注意点を紹介します。
屋根葺き替えの施工実績をチェック
屋根の塗装や補修と違って、屋根の葺き替えは、屋根の重さが変わるなど建物の構造にも影響を与えるリフォームなので、総合的にリフォームを行っている会社に依頼するのがよいでしょう。
その際に屋根葺き替え工事の実績を確認することが大切です。
その会社のホームページなどで施工実例をチェックしてみましょう。
複数社に見積もりを取って比較
地域密着型の会社や大手など複数のリフォーム会社をピックアップしたら、実際に現場を見てもらいましょう。その上で見積もりをもらいます。
見積もりはどのような材料を使って、どのようなやり方で工事を行うのかがわかる明細がついたものでなくてはいけません。
屋根工事一式いくらといった漠然とした見積もりだと、後々トラブルのもとになります。
また、見積もりが出たら、どうしてそのような工事を行うのか、どうしてそんな費用がかかるのかなどを詳細に聞いてみましょう。
話を聞いて納得がいったら契約を交わします。
訪問販売のように突然やってくる会社には要注意です。
無料で屋根の点検をしますといわれても断りましょう。というのも全国の消費生活センター等に寄せられる「屋根工事の点検商法」に関する相談が増加しているからです。
高額の費用がかかる葺き替えですから、十分な検討を経て信頼できる会社に依頼しましょう。

屋根瓦は粘土を素材にした屋根材です。粘土を成形して高温で焼き締めてつくります。
釉薬を用いて色をつけるのを陶器瓦、煙でいぶして表面を炭化させて色を出すのがいぶし瓦。ともに色落ちせず、素材の特性からも長持ちするのが特徴です。
台風などでずれや割れが生じたり、落下することがあるので、そのつど補修が必要になります。2022年の法律改正ですべての瓦の釘止めを行うガイドライン工法が義務付けになり、落下対策が取られるようになりました。
補修以外のリフォーム方法は、葺き替えまたは瓦を再利用する葺き直しになります。
葺き替えは以前よりいくらか軽量化した新しい瓦に葺き替えるか、ほかの屋根材に葺き替えることになります。
瓦から新しい瓦への葺き替え費用は、約250万円~350万円が相場。ほかの屋根材だと屋根材によって費用が変わりますが、それほど大きく変わるわけではありません。
点検商法など屋根リフォームのトラブルも増えていますが、工事は総合的なリフォームを行う会社に、きちんと見積もりを取ってから依頼するのがトラブルを避けることになります。
イラスト/ふじや
住宅ジャーナリスト。著書に「最高の住まいをつくるリフォームの教科書」(建築家佐川旭さんとの共著、PHP研究所)、「絶対に失敗しない中古マンションのかしこい買い方」(田方みきさんとの共著、成美堂出版)、「リフォームにかかるお金がわかる本」(田方みきさんとの共著、成美堂出版)など